COLUMN
【今週の就活×ニュース】大学入試にAI「atama+」活用始まる
就職面接で「最近の気になるニュースは?」と聞かれたら何と答えますか? 【今週の就活×ニュース】では毎週月曜日、学生のみなさんに知ってほしいニュースを厳選してお届けします。就職面接や将来の意思決定に必要な情報収集の習慣化にご活用ください。
SECTION 1/3
atama+での数学学習が出願要件
第1問:全学年または一部の学年でタブレット等の端末を利活用している公立小学校の割合は?
(1)36%
(2)56%
(3)76%
(4)96%
年々社会への実装が進む人工知能(AI)。現場での異常検知から投資サービスまで多くの領域で活躍している技術ですが、最近は皆さんに身近な教育領域にも変革を起こしています。
立命館大学は3月29日、atama plus株式会社が提供するAI学習システム「atama+」を活用したAO選抜入試を行うことを発表しました。来年度より実施される同試験では、受験生がatama+を使って、各学部が指定する数学の「2次関数」や「確率」といった単元を学習・修得することを出願要件のひとつとします。
atama+は、AI が一人ひとりの習熟度を分析し、個別最適化した学習を提供するシステム。これを用いることにより、入学後に必要な基礎学力の効果的な修得、大学での学びへのスムーズな適応を狙います。なお合否は面接や小論文などで決定し、atama+での学習結果は影響しないとのことです。
今後同学は、他方式や他学部への展開、他教科への導入を推進していく方針です。また指定した単元の学習・修得を重視する入試の仕組みを、新たな大学入試のスタイルとして確立することを目指すといいます。
ほんの数年前まで「紙と鉛筆」による一斉授業が当たり前だった学校教育現場でも、現在では公立小学校の96%が「全学年」または「一部の学年」でタブレット等の端末の利活用を行っています。今後は授業だけでなく入試にも、テクノロジーによる変革の波がやってくるかもしれません。
SECTION 2/3
リンケージも推進「フェムテック」
第2問:企業が従業員の健康状態に配慮する経営を行うことを何と言う?
(1)コーポレートガバナンス
(2)健康経営
(3)フェムテック
(4)人的資本経営
医療や健康の専門家と共に健康支援サービスを提供しているヘルステック・ベンチャー、株式会社リンケージ。同社代表取締役社長の生駒恭明氏は、深刻な労働力不足と社会保障費の増大が懸念されている2040年を「ヘルスケアサービスを通じて、ハッピーな時代として迎えることに寄与したい」とGoodfind Collegeの「『質の高い濃密な時間が成長を左右する』PEファンド出身・プロ経営者のキャリアに迫る」という記事の中で語っていました。
そんなリンケージは3月30日、株式会社マイナビとの資本業務提携を発表しました。日本経済新聞によると、リンケージは5年後をメドに「フェムテック」とメンタルヘルスのサービスを、それぞれ最大1000社に導入してもらうことを目標としており、マイナビの顧客企業の中から従業員の健康状態に配慮する「健康経営」に積極的な企業を紹介してもらうといいます。
ここ2〜3年ほど、フェムテックという言葉をよく聞くようになりました。女性(Female)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた言葉で、女性特有の健康課題を解決するサービスや製品を指します。女性特有の健康課題とは、月経や妊娠、出産、更年期などが原因の不調のことで、本人の心身への負担はもちろん、日本経済全体にも影響を及ぼしている問題です。2019年の経済産業省の資料では、月経随伴症状による年間の労働損失は4911億円にのぼると試算されていました。
こうした課題に対応するため、リンケージは2020年に働く女性向けの健康支援サービスを開始。Web上の問診で女性が自身の健康課題に気づく機会をつくり、専門医への相談や医療機関の受診につなげています。これまでいわば腫れ物扱いだった女性特有の悩みを、フェムテックによって可視化・解決することで、女性も男性もより生活しやすい世の中に変わっていくかもしれませんね。
SECTION 3/3
東証60年ぶり再編、どう変わった?
第3問:東証プライム市場に上場した企業数は?
(1)339社
(2)676社
(3)1839社
(4)2176社
東京証券取引所は4月4日、市場区分を再編しました。東証の中核市場に及ぶ再編は東証2部を新設した1961年以来、60年ぶりです。東証はなぜ再編され、どう変わったのか。日本経済全体に関わる大きな変化を押さえておきましょう。
東証にはこれまで4つの市場区分があり、「1部」に2176社、「2部」に475社、「マザーズ」に432社、「ジャスダック」に686社が上場していました(3月末時点)。日本取引所グループによると、この4つの区分には大きく2つの課題があり、一つは各市場のコンセプトが曖昧なこと。もう一つは、新規上場基準よりも上場廃止基準の方が大幅に低いため、上場会社の持続的な企業価値向上の動機付けが不十分なことでした。こうした課題から、特に最上位市場である東証1部の企業数は膨れ上がり、玉石混淆だとの指摘がありました。
そこで新たな3つの市場区分では、コンセプトを明確化。最上位の「プライム市場」は海外投資家を呼び込めるような時価総額やガバナンス力を備えている企業向けの市場、「スタンダード市場」は持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指す企業向け、「グロース市場」は高い成長可能性を持つ企業向けと位置づけました。また、新規上場基準と上場維持基準は原則共通化して、上場後も企業価値を維持する動機付けをしています。
ただ、東証1部上場企業の8割以上にあたる1839社がプライム市場に移行したため、最上位市場はなお玉石混淆だとの見方は避けられそうにありません。日本経済新聞の記事では、プライム市場に上場する企業1社あたりの時価総額は欧米市場の3分の1にとどまり、海外マネーを呼び込む魅力に乏しいと指摘していました。市場再編は日本企業の価値向上につながるのか、今後注視する必要があるでしょう。
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正解 第1問:(4)96% 第2問:(2)健康経営 第3問:(3)1839社
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