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【商社ニュース】三井物産や住友商事が今、森林に投資する理由

面接で「最近の気になるニュースは?」と聞かれたら何と答えますか? 「今週の就活×ニュース」では毎週月曜日、学生のみなさんに知ってほしいニュースを厳選してお届けしています。今週は商社志望の方にぜひチェックしてほしいニュース3選です。就職面接や将来の意思決定に必要な情報収集の習慣化にご活用ください。

SECTION 1/3

商社が森林へ投資。背景に「排出量取引」

大手総合商社の資源領域に対する動きを見ていきます。ここ1年間で、森林への投資を強化している商社があります。具体的には、5月20日に三井物産がオーストラリアの森林への投資管理会社の株を追加取得しました(リンクは読売新聞)。また、昨年には住友商事がニュージーランドの森林を追加取得したと発表しました

なぜ、商社が森林に投資をするのでしょうか? 背景の一つに「二酸化炭素の排出量取引への準備」がありそうです。

政府は2050年までに温室効果ガス(主に、二酸化炭素のこと)の排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すと宣言しています。その実現に向けた動きとして、政府は東京証券取引所の中に専用市場を設けて排出量取引を試行する実証実験を今年9月から始め、2023年には本格稼働を進めます(リンクは日本経済新聞)。実は、日本での排出量取引は2010年から東京都が独自に導入していましたが、国全体での取引を始めるのは今回が初めてです。

※ カーボンニュートラル:二酸化炭素の人為的な排出量から吸収量を差し引いたときの合計を0にすること。

排出量取引とは、各社で定められた温室効果ガスの排出量制限の枠を売買することができる制度です。例えば、A社が排出量制限枠の80%しか排出をしない場合、制限枠の100%を超えて排出してしまう恐れがあるB社に対し、余っている20%分の制限枠を売ることができます。

NHKによると、三井物産の執行役員は森林資産を活用した排出量取引など関連ビジネスの可能性について言及しており、森林投資管理会社の株追加取得もその動きの一環である可能性がありそうです。

資源を扱う商社にとって、政府主導の2050年までのカーボンニュートラル実現への動きは大きな影響があります。そのため、商社は温室効果ガス削減の文脈で森林以外の領域にも積極的に投資をしていくことが予想されるため、ぜひアンテナを張って情報収集をしてみてください。

SECTION 2/3

DXは商社をどう変えるのか?

サプライチェーンに介在し価値提供を行ってきた総合商社にとって、DX(デジタルトランスフォーメーション)は大きな変化をもたらしています。

従来オンラインを主戦場としてきたIT企業も次々と参入しており、いまや商社の競合は商社だけではありません。ジェネシア・ベンチャーズのインベストメントマネージャー水谷航己氏(BRIDGE掲載)によると、サプライチェーンに変化をもたらすプレイヤーは、主に以下の5種類の内の一つ、もしくは、複数を組み合わせたビジネスモデルを持つといいます。

(1)B to B のSaaS(若しくはBPO)

(2)事業者のマッチングサービス

(3)商品のマーケットプレイス

(4)SPA(製造小売事業)の延長線としてサプライチェーンを強固に垂直統合するD2Cモデル

(5)オンラインを起点にマーケや製販仕のオペレーションを構築し、業界内の一事業者として戦うOMOモデル

こうした新たなビジネスモデルを生み出すテクノロジー企業との競合が避けられない中で、総合商社ならではのサプライチェーンの現場のノウハウや、コネクションの広さといった強みを最大限に活用したDX推進が求められています。

各社のDX戦略として、外部企業との協業や、グループ傘下に専門企業を設立するなどの動きがあげられます。三井物産はKDDIとともにAI・人流分析で都市DXを推進することを目的とした新会社を設立住友商事三菱商事はそれぞれグループ内にDX技術専門会社を設立することでDXの内製化を推進しています。

他社のDXを推進するならば、自社のDXも欠かせません。生産性向上と人材育成のための取り組みは、DX部門の設立や、DX人材の育成プロジェクトの設計を通じて推進されています 。三井物産は2023年度中に100人のDXビジネス人材育成を目指したプログラムを設計(リンクは日経クロステック)。丸紅はデジチャレと称し、デジタルスキルの深化のための実践プロジェクトを実施しています。

トレーディングに加えて事業投資という新しい事業軸を確立し、時代の変化に適応してきた総合商社のDXへの対応に、今後も注目です。

SECTION 3/3

三井物産の格付けに見る、商社の注目分野

「格付け」と聞いてすぐに思い浮かぶのは、芸能人が高級ワインと市販ワインを飲み比べるあのお正月特番かと思いますが、ビジネスにおいて格付けとは、社債などの信用リスクを測る指標を指します。日本では格付投資情報センター(R&I)が発表する「発行体格付け」が有名で、企業の競争力や財務の健全性を分析し、信用力を「AAA」から「D」まで9段階で評価しています(AA格からCCC格については、上位格に近いものにプラス、下位格に近いものにマイナスの表示をすることがあります)。

R&Iは2日、三井物産の発行体格付けを「AAマイナス」から「AA」に引き上げたと発表しました。日本経済新聞によると、三井物産はこれまで大きな収益源だった資源分野に加え「ヘルスケアなど非資源分野でも収益基盤が拡大」していることが評価されたといいます。三井物産は、アジア最大級の病院グループで、10カ国で約80病院を展開するマレーシアの「IHHヘルスケア」に2011年から出資しており、現在では筆頭株主になっています

その他の総合商社も医療・ヘルスケア分野への積極的な投資を進めています。丸紅は9日、アラブ首長国連邦の医薬品・医療機器販売事業者との資本提携を発表。中東諸国ではライフスタイルの変化から健康意識が高まっており、市場ニーズに合わせた高品質製品を展開するといいます。伊藤忠商事も3月に医療機関向けクラウドサービスを提供する株式会社エムネスとの資本業務提携を発表しました

医療・ヘルスケアの市場規模は2040年には市場規模100兆円超となる見込み(みずほ銀行調査部の資料)。商社志望の方はもちろん、その他の企業・業界を見ている方も、今後注目すべき分野でしょう。

【お知らせ】 7月4日の「今週の就活×ニュース」はお休みします。

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