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ロジカルに相手を動かすコミュニケーションの本質

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Written/Edited by 川村 直道

面接対策といえば、「話す内容」を練り上げればいいと思っていませんか? もちろん「何を話すか」も重要ですが、「どう話すか」もまた無視できません。今回は、自分の伝えたいことを相手に伝え、相手を納得させ「動かす」ことのできるロジカルなコミュニケーション術を伝授します。面接やグループワークで使えるだけではなく、ビジネスパーソンとしても当然必須のスキルとして、必ず確認しておきましょう。

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「結局、何が言いたいの?」

自分の伝えたいことを正しく相手に伝えるためには、論理的に正しくかつ、わかりやすいコミュニケーションが必要です。まずは、ロジカルシンキングの基礎をおさらいしましょう。 ロジカルシンキングの第一歩は、物事を構造化して考えること。詳しくはロジカルシンキングの過去記事を読んでいただきたいのですが、ロジカルにコミュニケーションをする上で特に意識したいのも、この構造化です。つまり、あなたが伝えたいことを正しく伝えるためには、まずはあなた自身が何を伝えたいかを整理できている必要があります。

まるで部屋に脱ぎ散らかされた服のように、あれもこれもと伝えたいことが煩雑に広がっている状態では、まず正しく伝わりません。伝えたいことをジャンルやカテゴリごとに整理した上で優先順位を付け、きちんと規則通りに収納されたタンスから一つ一つ出していくように話さなければ、相手にわかってもらうことは難しいでしょう。

ではその整理の方法をワークを用いておさらいしてみましょう。

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説得力を生み出すロジカルシンキング

まずはじめに、下記の文章を読んでみてください。そしてこの文章が伝えたいことがなにか、読み取ってみましょう。

日本の英語教育について文句をいいたい。いろいろと勉強しているはずなのに、全然役に立つようなものになっていない。カンボジアは去年行った時に日本よりもはるかに英語が通じたって経験から思うんだけど、表現を覚えるだけでなく、実践ありきで自分の意見を英語で表現できるところまでやらないといけない。

多くの人は最低中高の6年間英語を勉強しているのに、結局使えないなんて悲しいよね。本当にもったいないと思う。インプット重視の従来の英語カリキュラムを抜本的に改革しないといけないと思う。決まりきった表現だけを覚えたり、教科書の英文を読み文法を勉強するような学習ではダメなんだよ。そもそもカンボジアは教育というより実践でみんな話せるようになっているはずだし。

あともっと積極的に話していた。日本人は謙虚が美徳とされてるけど、謙虚さが当たり前だと思っているのは、やっぱり外国人と触れ合う経験が少なすぎるから。文化背景を知らずに効果的な英語でのコミュニケーションはできないと思う。なんでみんなもっと外国人と触れ合わないのかなぁ。

いかがですか? まさに服が散らかった部屋のように感じたのではないでしょうか? 他人事と思うことなかれ。そもそも面接に通らない理由のほとんどがここにあります。伝えたいことが分散し、情報が整理されていないために、「なにが言いたいのかわからない」と面接官に思われてしまうのです。

では次に、同じ文章をロジカルに整理したものを見てみましょう。

主題:

日本の従来の英語教育を抜本的に変えなければいけない

背景:

中高の6年間英語を勉強しているにも関わらず、それだけで話せるようになる人が少なく、社会人になってから勉強し直すようなムダも発生している。

具体的な問題点と解決施策の提言:

  1. 実践・アウトプットが重視されていない
  2. これまではインプット重視の教育だったが、これからは実践・アウトプットありきの教育に変えるべき。
  3. 外国人との触れ合いが少ない
  4. 文化背景を知ってこそ効果的なコミュニケーションが取れるので、触れ合いを増やすべき。

大切なことは、「“一言”で何が主張なのか=メインメッセージがなにか」が伝わることです。この“一言”というのが重要で、一言にならない場合は大抵、まだ整理しきれていない状態なのです。

先のお題を例にとると、「6年も英語の勉強をしているのに生かされず無駄が生じているので、日本の英語教育を抜本的に変えなくてはならない」とまとめてしまいがちですが、もっと整理できます。「6年も英語の勉強をしているのに生かされずに無駄が生じている」という現状の共有と「日本の英語教育を抜本的に変えなくてはならない」という施策の提言の2つに情報を分けることができます。この文章においては後者の提言がメインメッセージであり、前者の共有は提言のためのいち補足でしかないのです。このように、実は一言にできるのに情報が混在してしまうケースは多分に起きます。

“一言”の主張が整理できたら、次はその“一言”に不足している部分を補うメッセージを考えます。先の例でいうと現状の共有がそれにあたり、主張のあとに背景として述べるだけで、格段に伝わりやすくなります。

更に、その補足でも伝わりきらない細かい部分については、骨組みを意識して中身を伝えていきましょう。この骨組みがまさに構造化であり、ロジカルシンキングです。中身同士の関係性(原因と解決策、自社と競合など)にも気を配ると、よりわかりやすくなります。

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コミュニケーションで大切なのは「動かすこと」

さてここまで、情報を正しく伝えるための手段としてのロジカルシンキングを解説してきました。一方で、ここまでできたとしても、ビジネスパーソンとしてはまだスタートラインにも立てていません。なぜなら、正しく伝えるだけでなく相手が話に納得し、こちらの思い通りに行動しなくては、ビジネスコミュニケーションとしては意味がないからです。

では、どうすれば相手に納得してもらえるのでしょうか。まずひとつ大切なことは、相手のコンテクスト(文脈)を汲み取って主張を組み立てることです。言ってみれば簡単に聞こえるかも知れませんが、実はとても難しいこと。人にはそれぞれの生い立ちや価値観が存在し、それをもとに見たもの・聞いたものを解釈します。例えば「ハート」の絵文字を使ったとしても、それを愛情表現ととるかただの社交辞令ととるのか、その人自身の性格や前後の会話の流れから大きな影響を受けます。

「空気を読む」という言葉に代表されるように、日本では特にコンテクストに依存したコミュニケーションが多い傾向にあります。それゆえ、面接の場やビジネスにおいてはコンテクストに依存しないロジカルさが求められる一方で、相手の考えを適切に汲み取りそれさえも要素として論理に組み込み、相手から得たい反応を得る必要があるのです。

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相手を“動かす”ためのフレームワーク

前述のとおり、コミュニケーションのカギは「伝える」ことではなく得たい反応が得られたかどうか、つまり伝えたことにより相手を「動かす」ことができるかどうかにかかっています。そして相手を動かすためには、ロジカルでわかりやすいだけでなく、先のコンテクストのような相手の持っている事実や思考を的確に押さえることが大切です。1つ例をもとに考えてみましょう。

例題:皆さんだったらどうアドバイスしますか?

「昨日の晩ごはんはとんかつ弁当でさ、あ、昼間はチャーシュー麺だったんだよね。今日何食べたらいいと思う?」

さて、彼に何を薦めましょうか? ここでは下記のような回答を挙げてみました。

「(とにかく肉が好きなので)ハンバーグ弁当にしよう」

「(こってり食が続いているので)焼き魚定食にしよう」

「(今週は完全にカロリーオーバーなので)コンビニでサラダにパン1個」

「いや、もはや何も食うなよ」

どれもありえそうな回答ですが、それぞれ方向性が全く違うためこの時点ではどれなら彼が納得しそうかがわかりません。しかし、ここで追加の情報が得られたとしましょう。

「一ヶ月で3キロ太ったんだよね」

この一言があれば、回答はかなり絞ることができます。おそらく続けてハイカロリーなメニューにしようとは考えづらいはず。どちらかというとサラダなどでヘルシーに攻める方が良さそうです。ここまでの流れを整理すると図のようになります。

上記の図のように主張を整理するフレームワークを、「ピラミッドストラクチャ」といいます。ここでは相手から得られた事実をもとに、仮説を構築し、出すべき主張を決定しました。追加で事実が得られたことで主張が絞られたように、持ち合わせるファクトは多ければ多いほどよく、かつモレなく考えられるとよいでしょう。例えばアドバイスを求めてきた人物の性別・年齢などその他のファクトがあれば、よりクリアで相手を動かすメッセージを発することができることでしょう。

今回は日常におけるカジュアルな例を示しましたが、ビジネス全般において同じことが言えます。就活で誰もが習得するであろうロジカルシンキングのスキルを駆使して、相手の人物像や状況を想像し、想定しうる事実を網羅的にできるだけ多く押さえましょう。そのうえで相手のニーズに対する仮説を構築し、それを捉えた主張を作れるかが重要です。

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就活も相手目線で考えられるかどうか

さて、面接の場に話を戻すと、面接官の考えていることは「この人物を採用すべきか?」であり、みなさんが出すべき主張は「私を採用すべきである!」でしょう。

ではこの主張を作るべく、先ほどの例と同じように考えてみましょう。必要な事実は、自分で考えたことや経験したこと(自己PRなど)、自分で調べたこと(企業研究)、それをもとに考えたなぜその企業に行きたいのか(志望動機)……と考えて行きますが、ここでやはり考えるべきなのは、相手目線。

「自分がどう思っているか」という自分目線ばかりをつい気にしてしまいがちですが、「面接官は何を期待していて、どんな人がほしい(採用像)のか」と相手目線で考えることが大切です。自分が成長したいから、安定した環境で不安なく過ごしたいから、といった自分のニーズをつい優先してしまいがちですが、入社したら自分がどのように役に立てるのか、相手のコンテクストを汲んだ主張が必要です。

ちなみに先に挙げたような面接官のコンテクストは、企業のコーポレートサイトを開けば採用像として当然のごとく記載してあるでしょう。ただしこれは誰もが目にするもの。本質的に良いと評価されるためには、もう一歩踏み込んだ相手目線で考える必要があります。その企業が置かれている社会的・経済的・政治的・テクノロジー的背景等をふまえ、今後企業がチャレンジしていくべき事業や、変化していくべき組織の姿を想像し、それに沿った主張をすることで、企業やその面接官が本当に求めているものはなにかを汲み取るのです。

(企業の置かれている背景を考えるには、テクノロジー社会学と時間軸思考を踏まえてみましょう)

上記の図のように想像するのはもちろん大変難しいことですが、やっていることはごくシンプルで、ロジカルシンキングを駆使しMECEに事象を捉え、ピラミッドストラクチャによって主張を作り上げているだけなのです。ただ、「自分視点でなく相手視点」そして「顕在化している採用像」だけでなく「企業の置かれる背景を汲み取った潜在的な採用像」と考える視点を本当の意味で網羅的に広げ、一歩先を行く主張を出せるかがどうかがポイントです。

自分の考えを整理して伝えられるだけではまだスタート地点に立ったばかりです。相手の思考や背景をロジカルに読み解き、伝えるだけでなく納得させ動かすコミュニケーションができて初めてビジネスパーソンとして活躍できることでしょう。習得したロジカルシンキングを存分に駆使し、相手を唸らせるコミュニケーションを身につけてくださいね。

執筆/編集

川村 直道

川村 直道

Goodfind College 編集長
早稲田大学創造理工学部出身、新卒でスローガンに入社。学生向けセミナー講師/キャリアアドバイザー、京都支社長、Goodfindのメディア・イベント責任者を経て現職。