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「これが見たかった!」企業が本当に見たいグループディスカッションの姿

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Written/Edited by 熊谷 亮輔

みなさんも一度は聞いたことがあるでしょうグループディスカッション(以下、GD)。多くの企業の選考でGDが実施されていますが、そもそもGDは何のために行われるのでしょうか。コミュニケーション能力を測るため? 論理的思考力を見極めるため? ──どちらも正解とは言えません。今回は一度立ち止まって、考えてみましょう。GDを通じて選考官は何を見ているのか。そこからわかる、将来を見据えた上で本当に意識するべきことは何なのか。

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GDで求められるのは「他人の力を引き出す力」

まずはGDとは何か、から始めましょう。GDとは一言でいえばビジネスにおける「会議」にあたります。実際の現場で直面する課題は、利害関係者が複雑に絡みあい、正解は一つでないことがほとんどであり、ケース面接のようにひとりで問題を解決することは簡単にはできません。現場では、多面的な知恵を借りることで解決策を考案し、周囲の協力を仰ぐ必要があります。そのために、会議を行うのです。

つまり、会議において重要な点は、「個々人の力」ではなく、「他人の力を引き出すこと」です。「三人寄れば文殊の知恵」という言葉もあるように、課題解決のためにより必要なのは、他人の知恵や考えを引き出し、1+1を2ではなく、10や100にすることです。

会議を模したGDでは、与えられたお題に複数人で取り組む様子を観察することで、選考官は「他人の力を引き出す力」「他人と合意を導く力」があるのかを確認しています。“自分の考えを伝えるための”コミュニケーションや“自分一人で考え抜く力”だけを見極めている訳ではないのです。

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共通認識を生み出す“理”

では、どうすれば「他人の力を引き出す」ことや「他人と合意を導く」ことができるのでしょうか。今回はGDに欠かせない、“情”と“理”の2つのポイントをお届けします。まずは分かりやすい“理”の部分から。“理”とは、Goodfind College読者ならご存じであろう「ロジカルシンキング」を表します。(不安な方はこちらの記事を参照)

複数人での議論で起こりがちなのが、それぞれ全く違う問題の捉え方をした結果、空中戦になること。なんか意見が噛み合わないなあ、という場合は大抵がこうです。

そのとき、大切なことは共通の地図をもつことです。ロジカルシンキングを使って問題を構造化して全体像を描くことで、いまどの部分を議論しているのか、どの部分に集中するべきかを全員が正しく認識でき、議論の効率が高まるのです。

ここで「働く人のモチベーションを高めるには? 」というお題を例に考えてみましょう。このような抽象度の高いお題では特に「どんな会議の設定なのか」という共通認識が重要です。施策案を考える前に「我々は何者で、何のために議論していて、どうすればそれが達成されるのか? 」など、「主語・目的・目標」と、求められるアウトプットを明確化することで、正確な地図を描くことが出来ます。

主語・目的・目標の共通認識がない場合のアウトプットの差
同じお題でも共通認識がないと、議論に食い違いが起こってしまう

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相手の納得を得るための“情”

GDに欠かせない2つ目のポイントは“情”です。“情”とは、相互理解を深めるための「コミュニケーション」を表します。ここでの「コミュニケーション」とは、単に会話だけではなく、表情や相づちを含めた「ふるまいとしてのコミュニケーション」です。

よく聞く話ですが、熟練した選考官なら、仮にGDの様子を「無音で」見るだけでも大体は合格者を選べる、といいます。何故かというと、議論をリードする学生には自然と視線が集まっているからです。(厳密には発言内容など上記の“理”部分が関わるので、無音では正確には判定はできませんが)

恐らく視線が集まる学生は、単に考えや発言が優れているだけではありません。みんなの声に耳を傾け、意見をうまく議論に組み込み、その結果メンバーから信頼を集めていることでしょう。冷静に淡々と正論を言い続けるだけのいわゆる“キレ者”が、みんなから視線を集めることが難しいのはみなさんもお分かりのことでしょう。

当たり前のように聞こえますが、実は理より難しいのがこの“情”なのです。議論に白熱するあまり周りが見えなくなったり、良い意見を出そうとして攻撃的になってしまったり。しかし、ほんの少し意識を持って習慣づけることにより、向上するポイントです。今回はその一例を紹介します。

  • アクティブリスニング
  • アクティブリスニングとは、相手の意見を拾う力のことを指します。自分の意見を聞いて欲しいのなら、まずは相手の話を聞き、理解しようと努めることが必要です。発言の意図が分からなかったとしても、「今の発言は○○という意味ですか?」と聞き返すだけで、例え意見が採用されなかったとしても、相手が納得してくれる可能性は高まります。
  • 事前の対話
  • グループでの議論を円滑に進めるには、メンバー間でお互いの「ひととなり」を知り、信頼関係を築いておくことも重要です。そのために有効なのが、自分から話しかけてみること。挨拶でも雑談でも何でも良いのですが、この人は「信頼に足る人かもしれない」と思ってもらうことが大切です。「この人なら聞いてくれるかも知れないから、自分の意見を出してみよう」「いい人そうなこの人の意見なら聞いてみてもいいかも」とお互いが思えることで、議論の活性化に繋がります。会場内・グループ内で必ず挨拶を行う、自己紹介を工夫する、雑談を積極的に行うなど、手段はたくさんあるはずです。
  • テンション
  • 同じ発言でも自信をもって明朗に話すことで、相手が受ける印象は大きく変わります。しかし、注意するべきはあくまで「適度な」テンション。テンションで意見を押し通しては、逆効果になるので注意が必要です。

これらの技術は、初対面同士で信頼を獲得し、議論を円滑に進め、みんなが納得する良い結論を導くために必要です。

ここまで、GDに欠かせないスキルとして“情”と“理”の両方が大切であるというお話をしました。一方で、改めて考えてみたいことがあります。これらのスキルを選考官にアピールだけのために使い、GD突破をゴールにしている人を、果たして企業は採用したいと思うでしょうか。

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企業は、未来の仕事仲間を探している

冷静に考えてみれば、選考活動は“未来の仕事仲間”を選ぶためのもの。つまり、会社で活躍し、未来の成長を担う人物を探し求めているのです。それはどんな人物なのでしょうか。

企業が取り組んでいる課題は、前例や答えがない場合がほとんどです。方程式が存在し、組み合わせれば唯一の解が導けるような、これまでの受験勉強の領域とは異なります。ビジネスの課題は、切り口次第ではどの選択肢も正解と捉えることができ、どれを選ぶかは自分次第……選択次第では数千・数億円もの影響が生まれる場面もあります。

その状況でより良い結果を導くには、他人の視点を借り問題を多面的に捉え、ひとりでは出せない答えを導こうとする「マインド」が必要です。物事を考える時、多くの場合は自分ひとりで完結させるほうがラクです。しかし、より良い成果を導くためには人の力を求める熱意が大切です。

また解決策は導き出して終わりではなく、実行して成果が出て初めて価値を生み出します。そして多くの場合、その実行はひとりで完結することはありません。実際のビジネスプロセスは複雑な仕事の積み重ねで成り立っており、想像以上に多くの人が関わっているものです。

関わるそれぞれの人に実行してもらうには、なによりも解決策に納得していなければなりません。いくら優れた施策であっても「本当は自分は違うほうがやりたかったんだよなあ……」と仲間が思っているままでは、その仲間の協力を得ることは困難でしょう。そのためにはただ良い解決策を導けるだけではなく、その過程で信頼を獲得し、協力したいと思ってもらうことが必要です。

「他人の手を借り、より良い成果に向き合う」「導いた答えを実現すべく周囲の信頼を獲得して巻き込む」──この2点をなすために、いわゆる会議は存在します。GDはその模擬と考えれば、皆さんが自らのスキルを高め、自分だけ目立って受かることだけを目指しても、むしろ結果はついてこないことはもうお分かりでしょう。

学生と面接官で評価認識にギャップが生まれている

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スキルに終始しない、マインドを持とう

ロジカルシンキングやコミュニケーションなど、前半でご紹介したスキルは、議論を円滑に進める上で大いに役に立ちます。しかし、表面的な正解っぽいポイントに飛びつき、それだけに終始するのは本末転倒といえるでしょう。

企業が見ているのは課題解決に本気で取り組むマインドです。「論理的に意見を求められているか」「周囲の意見を拾えているか」といったスキルは、あくまで前提となる基礎力として確認しているのです。

「十年後に日本の金メダルを倍にするためにはどうすればよいか?」「コンビニの売上を1年後に2倍にするための施策を立案せよ」──GDで与えられるお題は、ときに現実感が無く自分事として本気で捉えるのは難しく感じるかもしれません。

しかし、周囲の人を巻き込んででもやり遂げる姿勢は、時間をかけて資格を取るかのように”習得する”ものではなく、今この瞬間から”持つ”もの。ゆえに、そこに練習も実践も関係ありません。相対的には環境が整った解決しやすいGDという練習において本気で課題解決に取り組めなければ、実践でも本気で取り組むことは難しいでしょう。まずは、一歩を踏み出して行動してみること。今後のGDはぜひ、社会で自分がどれだけ通用するのか、その腕試しだと思って挑んでみてください。

執筆/編集

熊谷 亮輔

熊谷 亮輔

Goodfind College 編集部
神奈川県立小田原高校出身、東京理科大学理学部4年生。3年生の12月にGoodfindと出会い、面談などのキャリア支援を受ける中で、自分も言葉を使って人に価値を与える仕事をしたいと感じ始める。そして現在、メディアを通じて学びを届けるGoodfind Collegeにインターン生として参画。