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法改正が生んだSansanのビジネスチャンス─就活注目企業ニュース

「今週の就活×ニュース」では毎週月曜日、学生のみなさんに知ってほしいニュースを厳選してお届けしています。今週はGoodfind注目企業のニュースです。就職面接への対策としてはもちろん、新たな企業を知り視野を広げるためにもご活用ください。

SECTION 1/2

インボイス制度で解説。法改正にあるビジネス勝機

インボイス制度という言葉を聞いたことがありますか? 「インボイス」とは、企業の商取引において、適用税率や税額の記載を義務付けた請求書のこと。そして「インボイス制度」は、この記載義務を満たした請求書によって、消費税を計算し納付しましょうという制度です。

現在、消費税率は原則10%ですが、食品等一部の商品の税率は8%であり、10%と8%の2つの税率が存在しています。そこで、商品にどの税率を適用するかを請求書内で明記する手法を取ろうということになり、インボイス制度が導入されることになりました。

そしてこの分野ではもう一つ、「電子帳簿保存法」という、国税関係の帳簿や書類を電子データで保存することを認める法律も施行されました。企業の商取引や納税の領域は、今まさに変化の真っ只中にあるのです。

今回お伝えしたいのは、こういった領域では大きなビジネスチャンスが潜んでいるということ。

例えば、名刺管理サービスを主軸としてきたSansanは2020年5月、Bill Oneというサービス名で請求書受領サービスに新規参入。2年間で年間の経常収益が14億円にまで成長しました。ITmediaによると、Bill Oneの強みは「インボイスネットワーク」の作り込み。すなわち、1社が使うとその取引先企業も使いたくなるような仕掛けをし、ネットワークが出来上がる仕組みにあります。

請求書のやりとりの課題は、各社が異なるフォーマットを用い、異なる手段でデータをやり取りすることにあるので、ほとんどの会社がBill Oneを用いるようになれば、企業にとっては大きなメリットがあり、Sansanの勝機にもなりえます。

もちろん、会計系SaaS企業であるマネーフォワードやfreeeもこの領域に積極投資しているところであり、今後ますます競争とビジネスチャンスが拡大していくと言えます。

法や国の規制の変化に影響されやすい業界というと、自由にビジネスができなそうな印象を持つ方もいるかもしれませんが、変わるということはそれだけ業界自体の変化も大きく、次のチャンスがあるということ。そういった観点で業界を見てみるのも、面白いかもしれません。

SECTION 2/2

国の制度に頼らない再エネ推進

みなさんは、毎月の電気料金に、再生可能エネルギー普及支援のための費用が上乗せされていることを知っていますか?

2012年に国がスタートしたFIT制度(固定価格買取制度)により、再生可能エネルギー(以下、再エネ)発電の普及にかかるコストの一部を国民が負担するようになりました。FITとは、再エネ(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)で発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度です。あらかじめ決まった買取価格を設定することで、再エネの普及を後押しする狙いがありました。

一方で、レノバは3日、FITを利用しない太陽光電力の売買契約を東京ガスと結びました。これは、レノバが東京ガスに20年間の固定価格で売電するというものです。

レノバがFITを利用せず、東京ガスへの直接販売を手掛けた背景の一つに、FITによる買取価格の下落があります。日本経済新聞によると、太陽光発電システムの購入・設置費用の低下などに伴い、FITの買取価格は2012年度比4分の1程度の水準に落ちました。

今回のニュースのように、レノバはFITに頼らない事業の多角化を進めています。日本経済新聞がレノバの執行役員CSOにおこなったインタビューによると、レノバは今後、太陽光や陸上風力、地熱発電といった国内の再エネ事業を伸ばすほか、大型蓄電池やバイオマス燃料の製造などの再エネ以外の脱炭素分野にも着手するといいます。

レノバは「エネルギー×ベンチャー」という独特の立ち位置で、国内外で多様な再生可能エネルギー事業を開発・拡大させながら、環境領域で大きなインパクトを生む新規事業にも着手しています。地球規模の課題に取り組んでみたい方は注目の企業です。

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