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実績は関係ない?面接官が採用したくなる自己PRとは

公開日:

Written/Edited by 長嶺 匡晃

「自己PRで話せる実績なんてない」「留学や代表経験がないと受からない」──どちらも自己PRに関するよくある勘違いです。大事なのは実績ではなく「行動パターン・価値観」を伝えること。今回は面接官が見ているポイントから効果的な伝え方まで、自己PRを話す上で重要なエッセンスをお届けします。

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よくある自己PR例の落とし穴

次の自己PRは、同じ経験を異なる切り口で説明したものです。どちらも完璧ではありませんが、皆さんだったら、どちらの自己PRを評価しますか?

A
「私は人の幸せに携わるような仕事がしたいと考え、結婚式場でウェディングプランナーの方をサポートするバイト活動を頑張りました。お客様の真のニーズは何かを理解することに努めた結果、いろんなお客様から「ありがとう」と感謝の言葉をいただくことに成功しました。また、私がバイトとしてサポートした社員の方は、対前年比3倍の成績を収めた結果、トップセールスとなりました。その社員の方からもとても感謝していただいたため、私は組織に利益をもたらすことができる人物だと考えております」

B
「私はウェディングの幸せな雰囲気にあこがれ、ウェディングプランナーのサポートをするバイトを始めました。プロをサポートする仕事は、予想以上に大変で、皆すぐに消えていきましたが、途中で投げ出したら逃げグセがつくと思い、必死で頑張りました。スピーディー&ダブルチェックという教えを守り続けた結果、ミスが減り、周りから信頼されるようになったため、仕事の難易度も上がり成長を実感できました。そして、チームからの期待に、よりこたえることにやりがいを感じるようになりました。

同じ経験にまつわる自己PRですが、Aには「前年比3倍の成績を収めた」「トップセールスになった」のように実績が具体的に書かれており、「必死に頑張った」「周りから信頼された」と曖昧な表現を使うBよりも「優秀そう」や「できそう」といった印象を受けるかもしれません。しかし実際には、面接官はBの自己PRを評価します。どの部分がAよりも優れているのでしょうか。

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面接官が見ている4つのポイント

採点基準が分からないまま試験を受けないように、面接を突破するには面接官の見ているポイントを知ることが大切です。もちろん、企業によって評価するポイントやその比重は異なりますが、面接官は自己PRで次の4つのポイントを確認しています。それぞれ詳しく見ていきましょう。

面接官が見ている4つのポイント

  1. 能力
  2. 価値観
  3. 話し方
  4. かわいげ

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「能力」はスキルではなく「資質」

当たり前ですが、企業は慈善団体ではありません。常に利益を生み出すために活動をしています。それは採用活動でも同じで、面接では「この人は会社に入って利益を生み出してくれるのだろうか?」を常に見極めています。そこで1つ目の重要なポイントが「能力」です。

ここで「能力」を、先天的なものと後天的なものに分類してみましょう。前者はいわゆる、「資質」のことです。協調性や積極性など、特定の場面での思考のクセや行動パターンを指します。後者は「知識」や「スキル」と言い換えられるでしょう。そしてその中でも面接官が特に知りたいのは「資質」です。

知識やスキルは後からでも獲得することができますが、資質はその人が生まれ持った性質を基礎として幼少期からの経験の積み重ねによって形成されるため、簡単には変化しません。逆に言えば、資質は会社に入ってからも同じように再現される可能性が高く、面接を通してその人の資質が分かれば入社後の活躍のイメージを掴むことができます。

さらに、知識やスキルをどれだけ獲得できるかには、「良い機会があるか」という環境要因に加えて「努力」や「向上心」といった資質も大きく影響します。エンジニア職など専門性が求められる一部の職種は例外ですが、ポテンシャル採用の傾向が強い日本では、学生時代に身につけた知識やスキル以上に「どれだけ伸びしろがあるか」という資質の有無を重要視しているのです。

資質の有無が入社後の伸びしろに影響する

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自分の行動を「なぜ」で深堀りして整理しよう

2つ目のポイントは価値観。「何を大事にする人なのか?」「モノゴトの判断基準はなにか?」を表す部分で、あらゆる行動の源泉です。「自分が大事にするコト」と「会社が大事にするコト」が大きく乖離していると、資質が十分に備わっている人でも、それに応じたパフォーマンスを発揮することは難しいため、企業は面接でその人の価値観を探ろうとします。

価値観を分かりやすく伝えるための第一歩は、自分自身の価値観について正しく理解することです。普段の生活では、価値観を意識して行動することは少ないはず。整理が出来ていないと、過去の経験について「なぜ、それをやろうと思ったのか?」と聞かれても、答えに詰まってしまいます。自分の価値観を正しく理解するためには、過去の一つひとつの行動に「なぜ、この行動をしたのか?」「なぜ、別の選択肢を選ばなかったのか?」と問いかけてみるのが効果的です。

また、その判断基準は人と同じであれば良い、人と違うことが良いということはありません。どんなことにベクトルが向くのかということなので、良い悪いはないのです。

自分の行動を「なぜ」で深掘りした例

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「トライアングルロジック」でまとめよう

面接はあくまでコミュニケーションであり、自分自身を伝える場。どんなに、資質が備わっていて会社と価値観が合致していても、それを面接官に伝えられなければ意味がありません。

伝わる自己PRの話し方(構成)としておすすめなのが、「トライアングルロジック」でまとめること。マッキンゼーの「空・雨・傘」フレームワークとも呼ばれており、物事を3つに分けて整理する手法です。例えば、「傘を持って出かける」という意思決定であれば、「空が曇っている。雨が降りそうだ。傘を持って行こう」の様に分解します。このとき、「空が曇っている」が「客観的データや事実」、「雨が降りそうだ」が「判断理由、根拠・感情」、「傘を持って行こう」が「主張・アクション(メインメッセージ)」を表します。つまり、相手が理解・納得しやすい客観的データや事実をまず述べ、判断理由や根拠・感情を話した上で、メインメッセージを伝えるというのがトライアングルロジックを用いた話し方です。

多くの学生の自己PRは、「空が曇ってるから傘を持っていこう」と「判断理由、根拠・感情」が省略されている場合が多いです。日本は世界の中でも非常にハイコンテクストな国と言われており、普段の会話でも「空が曇っていて雨が降りそうだから傘を持っていこう」のように判断理由まで含めて話す人は少ないですよね。しかし面接においては、面接官が一番知りたい「判断理由」を省略してしまうと、適切な判断ができなくなります。

トライアングルロジックを使った話の構成

最後のポイント「かわいげ」については、明るい雰囲気を持っているか、一緒に働きたいと思えるかも見られています。印象や雰囲気が本質的なポイントではないのは言わずもがなですが、心理学では第一印象は会って5秒で決まるとも言われていますので、身だしなみや笑顔にも気を配りましょう。

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経験に優劣はなく、「どう考えて行動したか」がポイント

改めて冒頭の2つの自己PR例を見比べてみましょう。Aの自己PRには資質や価値観に関する記載が全くないのに対し、Bには「逃げ癖がついて良くないから必死で頑張る」や「チームからの期待に応えることにやりがいを感じた」など、資質や価値観について書かれています。この点において、Bの方があなたのことが面接官により伝わる自己PRと言えます。

ここまで、面接官が採用したくなる自己PRのエッセンスをお伝えしてきましたが、自己PRに関して最も致命的な勘違いは「取り組んだモノゴトに優劣がある」というものです。グループ面接で「海外のNPOに参加して井戸を掘りました!」という自己PRを聞くと、「それに比べてなんて怠惰な学生生活を過ごしてきたのだろう」と気後れしてしまう人もいるかもしれません。しかし、アルバイト、留学、サークル活動、スポーツでの実績など、取り組んだモノゴト自体に優劣はありません。いかにして取り組んだか、その際の考え方や価値観が問われるのです。

面接官は実績ではなく取り組みの姿勢を重視している

1時間という短い面接の時間で、人となりを理解するのは難しいもの。だからこそ、自分の資質や価値観を効率的に伝える工夫が必要になります。今回紹介した方法を実践して、面接官に伝わる自己PRを披露してみてください。

執筆/編集

長嶺 匡晃

長嶺 匡晃

Goodfind College 編集部
中学・高校と試験管の振り方が校内随一の理系少年だったが、浪人を経て慶應義塾大学経済学部に入学。大学時代は大小様々なインターンを経験し、10社目のスローガンでのインターンを経て新卒で入社。趣味は写真撮影、愛用機はPENTAX K-3とSigma fp。