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SDGsってなんで知らなきゃだめなんですか?

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Written/Edited by 川村 直道

皆さんは就活を進める中で、新しい情報や重要そうなキーワードに出会ったとき、何をどう考えるでしょうか。もしかすると、その背景に潜んだあなたの就活やキャリアに活きるヒントを見逃してしまっているかもしれません。今回は「SDGs」をテーマに、「意味を理解した」「選考対策をした」にとどまらない、一歩踏み込んだ情報の捉え方と、キャリア観・企業選びへの活かし方をお伝えします。

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選考対策にだけ使うのはもったいない

「SDGs」──Goodfindをお使いの方は、きっと言葉自体は聞いたことがあるでしょう。「Sustainable Development Goals」(持続可能な開発目標)の略ですが、何たるかを事細かに解説した記事は巷にたくさんあるので、ここでは割愛します。

問題は社会に出ようとする就活生が、この言葉をどう捉え使っていくか、ということです。偏差値教育を受けてきた典型的な日本人(筆者もそう)なら、「ここテストに出るよ~」と言われたかのごとく、面接やESでどう答えるか、まさに試験対策をしたくなるでしょう。またはもう少しだけポジティブに、逆質問とやらのタネとして「御社のSDGsに関する取り組みはどうなっていますか?」なんて質問を用意しているかもしれません。

その考え方は一定必要ではあるものの、「先生が言っているからやる」「みんながやってたからやる」状態から脱し、より皆さんがうまくSDGsと向き合うきっかけになれば、と思いこの記事を書いています。今回は具体的な使い方の一つとして、会社選びへの活かし方をお伝えします。

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SDGsとビジネスってどう関係してるの?

とはいえまずはSDGs(持続可能な開発目標)とは何か、かいつまんでお話ししましょう。2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された2016年から2030年までの国際目標のことで、17のゴールと169のターゲットから構成されています。ひとつのポイントとしては「みんなで」取り組む目標であるというところでしょう。

この「みんなで」の意味は、あらゆる場所・あらゆる人の課題を全人類で解決するという思想が根本ではありますが、特に意識すべきは、国際機関や政府だけでなく官民みんなで取り組む、ということです。

SDGs17の目標の具体的な項目(出典:SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン)

2015年のSDGs制定時、国際機関と各国政府が民間にも呼びかけたものの、国際経済界ではあまり注目されませんでした。それから数年を経たいま世間で注目を集めているのは、2017年の世界経済フォーラム(ダボス会議)で「SDGsの達成に向けた活動により、12兆ドルの経済価値と3億8000万人分の雇用を創出」との推計が発表されたことがきっかけです。

この発表を起点に各企業も対応を進め、例えば、スターバックスは使い捨てプラスチック製ストローの使用を2020年までに廃止する方針を打ち出しました。これはSDGsの17のゴールのうちの「14.海の豊かさを守ろう」に向き合ったものです。このような取り組みは、今となっては企業活動での当然の責任として認識されるようにすらなっています。

先の例のように、社会に対して負う責任が大きい大手企業だけの問題と捉えられがちですが、SDGsはスタートアップ・ベンチャー企業にとっても見過ごせないテーマです。世間の目がSDGsに向く中で、株価の変動や、投資家の投資判断にも少なからず影響を与えています。それに伴い、相対的に短期間での成果が求められるベンチャー企業側でも、「SDGsにあわせて長期的に持続するための準備がなされているか」が投資家や社会から信頼を獲得し成長するための大きな論点になるでしょう。

さて、ここまで読んでみて「じゃあ企業がSDGsに対して取り組んでいるか見よう!」と企業HPを開き、恐らくCSR活動のページにアクセスしたくなると思いますが、ちょっと待った。せっかくなら、企業理解のためだけでなく、皆さん自身のキャリアの観点の一つとして活用しませんか?

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経済発展と需要の成熟化

まずは、日本の経済発展とキャリアで求められる観点の変化について考えてみましょう。戦後復興から高度経済成長期における 消費者のニーズは「モノ消費」。テレビで見るような欧米のあの家電がほしい、というわかりやすい個別製品の機能への欲求の時代でした。一方経済成長によって国民の生活が豊かになり、モノに溢れだした現代では「コト消費」にニーズが変化。商品単体の機能だけでなく、商品を通した一連の体験を対象とした需要に変わっていきます。

この消費の成熟化により企業も、ただモノを作ればいいのではなく、どんなコトを体験をさせるかに向き合い、消費者の期待の先を捉え、新しい需要を作り出すことが求められるようになりました。例えば車というモノによって「どんな体験を生み出すか」とサービスが思考された結果として、Googleが自動運転を始めれば、ディー・エヌ・エー(DeNA)が配車サービスを展開し、トヨタ自動車も車をリースするし、ソニーが車を製造する――業界の垣根はもはや存在せず、どんな課題解決・期待を達成するか次第であらゆる企業が入り乱れる「乱世」に突入したのです。

これらの社会変化に紐付いて皆さんの企業の選び方も変化すべきです。車が好きだから自動車メーカー!という安易な選択から脱し、車という手段を通して何を為したいか、より先進的な課題・ニーズはなにか、を想像する必要があります。車という手段でみれば、全く業界・規模の異なる先の4社が選択肢に入るでしょう(詳しくはテクノロジー社会学についてのこちらの記事を参照)。

上記の現代における需要の複雑さを整理すると、消費者の中で顕在化している課題からボトムアップで事業を考えていくのではなく、まだ潜在的だが将来あるべきはこんな状態で、それをどう達成するかという理想からバックキャスティング(逆算)的に思考する必要があります。

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SDGsの見方「ターゲットまで見よう」

ここでやっと話を戻すと、SDGsは、2030年時点での世界の理想状態を、やや背伸び気味に描いたものです。つまり企業が活動する上で、また皆さんがキャリアを描く上で目標とすべき理想のひとつといえます。企業が考えるべき事業のあり方に紐付いているからこそ、12兆ドルという経済価値が推定されたのでしょう。

また、目標と言われるとついやらなくてはならない宿題のように捉えがちですが、むしろビジネスチャンスを示していると前向きに考えることもできます。

ここであらためてSDGsを見てみましょう。キャッチーなデザインや17のゴールにだけ注目しがちですが、そこだけ眺めてもきっと、自分とは縁遠いなあ、と思うでしょう。「4.質の高い教育をみんなに」「8.働きがいも 経済成長も」「9.産業と技術革新の土台をつくろう」などは自分の就職にも関連があるかも、と思えるかも知れませんが、例えば「2.飢餓をゼロ」「6.安全な水とトイレを世界中に」「13.気候変動に具体的な対策を」などは、大事だとわかっていても自分にとやかくできるものではないと感じるかもしれません。

しかしそこで終えず、169あるターゲットには、より具体的な表記がされています。例えば「2.飢餓をゼロ」の2.3のターゲットを見てみると、「一見遠そうな第一次産業の領域をITシステムや社会インフラなど含め包括的に支援し、生産性や所得を充実させることで、結果的に農業を促進し飢餓を減らす」という内容になっています。

その内容に興味関心があり、取り組みたいテーマだ!と思えるかはさておいて、自分が関与する社会において何が求められ、どんな解決方法がありえるのか、と参考になるはずです。

ゴール

2. 飢餓をゼロに

ゴール2のターゲットより抜粋(8つ)

2.1 2030年までに、飢餓を撲滅し、全ての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。

2.3 2030年までに、土地、その他の生産資源や、投入財、知識、金融サービス、市場及び高付加価値化や非農業雇用の機会への確実かつ平等なアクセスの確保などを通じて、女性、先住民、家族農家、牧畜民及び漁業者をはじめとする小規模食料生産者の農業生産性及び所得を倍増させる。

2.a 開発途上国、特に後発開発途上国における農業生産能力向上のために、国際協力の強化などを通じて、農村インフラ、農業研究・普及サービス、技術開発及び植物・家畜のジーン・バンクへの投資の拡大を図る。

2.c 食料価格の極端な変動に歯止めをかけるため、食料市場及びデリバティブ市場の適正な機能を確保するための措置を講じ、食料備蓄などの市場情報への適時のアクセスを容易にする。

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社会に何が求められているか考えよう

最後に、私のキャリアアドバイザーとしての経験をお話しします。何千人という就活真っ最中の学生に会ってきた中で、最も多かった相談は「やりたいことが見つからないのですが、どうしたらいいですか」というものでした。ごく自然な悩みですし、私はいつも「それでいいと思うよ」と答えていました。今もきっと同じように答えるでしょう。

「やりたいことが見つからない」論争は界隈で常に起きているし、それ自体にとやかく言うつもりもないですが、皆さんは「じゃあどうしたらよいか?」が気になるところでしょう。私なら、一つの答えとして「じゃあ『やるべきこと』で選びましょう」とアドバイスします。やるべきことと言われると、なんだかハードルが高く感じるでしょうが、簡単に言い換えると、「世の中が必要としていること」だと思ってください。

皆さんが社会に出てやりたいことがまだないとすると、就職をする外せない理由は、生計を立てること(もちろんその他多様にありますが、ここは敢えてドライにいうと)。お金を稼ぐためには、人が求めていることをやる必要があるというのは当たり前のことですよね。

人がなにを求めているのか=社会の理想の状態ってどんなものか、を例えばSDGsをきっかけに考えることで、自分が社会に出てなにをやるべきかが見つかるかもしれません。なにやら重要そうな言葉が出てきたから対策しなきゃ、でなく、自分の進むべき道を考えるきっかけとしてポジティブに向き合う人が増えれば幸いです。

Writer/Editor

川村 直道

川村 直道

Goodfind College 編集長
早稲田大学創造理工学部出身、新卒でスローガンに入社。学生向けセミナー講師/キャリアアドバイザー、京都支社長、Goodfindのメディア・イベント責任者を経て現職。