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【プレゼン必勝法】覚えて使えるスライド資料作成術

インターンシップやゼミの発表など、学生の皆さんには資料を作ってプレゼンテーションを行う機会が多々あることでしょう。前回の「【プレゼン必勝法】インターンで差がつく話し方・構成術」では、Goodfindの人気セミナー「プレゼン・資料作成術」から、プレゼンの話し方と構成の作り方についてお伝えしました。今回は、プレゼンをより伝わりやすく、かつ格好良く見せるための資料作成術についてお伝えします。

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広告・コンサル・外銀…相手で変わる資料構成

資料作成は一見「センスが問われて難しい」と思われがちですが、意外とそうでもありません。グラフや表などのいくつかあるパターンを覚え、伝えたい内容によって使い分ければ、特別な工夫はほとんど必要ないのです。この記事では、そうしたテクニックについてお伝えします。

具体的な資料の内容を考える前に押さえておきたいのが、相手が何を求めているのか、どんなシチュエーションでの発表なのかによって、適切な資料の形は変わるということです。

例えば、

以下の(1)(2)(3)にはそれぞれ、外資系銀行・コンサルティングファーム・広告代理店のいずれかが入ります。どれがどの業界に適した資料かわかりますか?

(1)文字が少なめ/グラフが多い/夢を持たせるような表現/強調装飾を多用

(2)文字が多め/読んで理解できる/インパクトよりも説明しやすさに焦点/問題整理に注力し、安心感を出す

(3)文字が少なめ/イラストが多い/インパクトのあるデザイン

まず広告代理店のプレゼン資料は、文字が少なめでイラストが多いのが特徴です。これは広告代理店では広告のデザイン案などをプレゼンの場に持っていける場合が多いためです。実物の商品を見せられれば、資料に盛り込まなければならない情報量は減り、資料の優先度も相対的に下がることになります。したがって(3)は広告代理店です。

外銀とコンサルを比較するには、意思決定に必要な「要素」と「プロセス」が一般的に異なる点に着目すると良いでしょう。

意思決定に必要な要素として、コンサルでは施策実行の効用の高さが重視されるため、夢を持たせるような表現方法にすべきです。一方、外銀ではM&Aや資金調達の提案など、大規模で慎重にならざるを得ない施策が多いため、資料でも丁寧な説明で相手に安心感を与えることが重要になります。

また、意思決定のプロセスについては、外銀はM&A後の組織統合など、意思決定後に実務を行う現場に与える影響が大きくなります。そのため、経営層がプレゼンの場では意思決定せず、一旦持ち帰って現場の意見を仰ぐことも多くなるわけです。したがって資料も、後から経営層がプレゼンの場に出席していない関係者に対して説明できるような、しっかりと整理されたものを作成しなければなりません。

逆にコンサルでは、意思決定をするのは経営層のみである場合が多いので、詳しい説明よりも経営層の気持ちを動かすことのほうを優先すべきです。したがって(1)がコンサル、(2)が外銀となります。

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これが基本!6種類のグラフ・図

資料作成で最も差がつくのがグラフと表です。この章では、どんなときに、どんなグラフや表、図を使えば良いのかというパターンを解説します。

まずは例題です。下記の内容を伝えたい場合、どう表せば良いでしょうか?

昨年100億円あった利益は今年、原価上昇によって大きく減少してしまっている。

上の図では、原価上昇がどれほど利益の減少に影響したのかは、他の増加・減少要因の数字をつぶさに見て比較しなければわかりません。すべての情報が並列していて、メッセージが伝わりづらいのです。

では以下のグラフはどうでしょうか。

利益減少の大きな要因が原価上昇であると、ひと目でわかりますね。このグラフの形を「ウォーターフォール図」と呼び、数量データ間のつながりや累積結果を示したいときに使用します。伝えたい内容に合った表現方法を用いることで、無駄な情報を減らし、シンプルにメッセージを訴求できることがわかると思います。

インターン発表資料用のグラフ・図は、基本の6種類を覚えれば十分と言えるでしょう。それぞれの使い分けを見ていきます。

(1)棒グラフ

数量の大きさを棒線の長さで表したグラフで、いくつかの対象の数量を比べたいときに使用します。例えば、地域間や部門間での売上高の大小を、ひと目で判断することができます。折れ線グラフに比べ数量の小さな差は表しにくいことや、数量の軸は必ず0から始めなければならないこと、パーセント(%)などの割合の数値を比べるのには適さないことに注意しましょう。

(2)折れ線グラフ

数値を示す点を順につないだ線で表したグラフで、主に時系列での変化を見たいときに使用します。例えば、過去数年間の複数社の営業利益率について、各社がいつ上昇し、いつ低下したかをわかりやすく示すことができます。

(3)円グラフ

全体を100%としたときの内訳や構成を表したいときに使用します。例えば、売上高に占める各サービスの構成比をわかりやすく表すことができます。構成要素が多い場合や、構成比の差が小さい場合は、要素間の大小の比較が難しくなることに注意しましょう。

(4)散布図

2種類の項目を縦軸と横軸にとり、座標上に対応する点で表す図です。X軸が増加すればY軸も増加するというように、2つのデータの相関関係を主張したいときに使用します。例えば、気温が高くなるほど清涼飲料水の売上高が上がることを示したい場合、最高気温が何度のときにどれくらい売り上げたかをプロットすることで傾向を示すことができます。

(5)ウォーターフォール図

数量の構成要素を分解して表示したいときや、累積結果を表したいときに使用します。特に注目してほしい要素がある場合は、例題の図のように、その要素の色を変えることで容易に強調することができます。営業利益の増減要因を表すときなど、企業の決算説明資料でよく使われる図です。

(6)面積図

シンプルに構成要素ごとの大きさを伝えたいときに使用します。例えば社内の人員配置で、どの部署に、どの職種の人を、どれくらい配置するかといった情報を視覚的に伝えることができます。

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覚えておきたい4種類の表

表もグラフと同じく、伝えたい内容に合ったパターンを用いることで、メッセージをシャープに訴求することができます。以下では代表的な4種類の表を紹介します。

(1)テーブル

縦軸と横軸によって対応する数字を整理するシンプルな表で、数字そのものがメッセージとなる場合に使用します。企業の決算説明資料で今期と昨期の売上高や利益などを比べるときに、必ずと言って良いほど用いられます。

(2)マトリクス

縦軸と横軸によって対応するものの分布を整理する表で、全体をMECEに分解したいときなどに使用します。例えば、施策案を緊急度と重要度に分類して表すことで、どの施策を優先的に実行すればよいかを伝える材料になります。

(3)ツリーダイアグラム

構成要素の関係を整理したいときに使用します。上の図では、AユニットとBユニットが並列関係にあり、Aユニットとa営業部、Aユニットとaマーケ部の間には上下関係があることを伝えられます。会社の組織関係を表すときに「組織図」としてよく使われます。

(4)バリューチェーン

全体の流れを段階に分けて整理したいときに使用します。物事に時系列の関係があるときなどにわかりやすく表すことができます。例えば、ソフトウェアの開発工程を簡潔に伝えることができます。

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「実行したい」と思わせるためのTips

相手によって資料の形式を変え、グラフや表を使い分けることで、格段に伝わりやすい資料を作ることができるでしょう。最後に、実際に手を動かして資料を作成する際に気をつけたい、ちょっとしたコツを5つお伝えします。

(1)資料作成は構成を固めてから

資料を作成するのは、前回の記事でお伝えしたプレゼン全体の構成を固めてからにしましょう。資料のデータありきでプレゼンの構成を考えてしまうと、自分の主張したい内容からストーリーがずれてしまう可能性があるからです。既に固まったプレゼンのストーリーを、さらに相手が聞く耳を持ってくれたり、行動してくれたりするための「道具」として資料を捉えると良いでしょう。

(2)1スライド1メッセージ

1つのスライドに情報を詰め込みすぎると、どの情報が大切なのかがわかりにくくなってしまいます。前回の記事で、プレゼンの話し方について「平易な言葉で端的に話すことが大切だ」とお伝えしましたが、資料でも同じように短く明快なメッセージにすることを心がけましょう。

(3)「Z」の順に視線が動くように配置する

横書きの資料の場合、人間の視線は上から下、左から右に「Z」の字を描くように移動します。相手にぱっと見て理解してもらえる資料を作るために、この順番に視線がいく構造になるよう意識すると良いでしょう。

(4)文字は12ポイント以上、文字列は2行以内

文字が小さすぎると読みづらくなりますし、文字列が多すぎると読む気が失せてしまいます。文字の大きさは12ポイント以上にして、文字列は2行以内に収めるよう意識しましょう。1スライドの文字数を減らすためには、スライドを分けたり、グラフや表を使ったりするのが有効です。

(5)グラフや表以外の図も活用

資料内の文字数を減らすために、グラフや表以外の図を用いるのも効果的です。例えば資料内に企業名を並べる場合は、企業の「ロゴ」を用いると、テキストとして羅列したときよりも一目で理解しやすくなります。ただし著作権侵害にならないよう注意しなければなりません。

ここまでプレゼンの資料作成術についてお伝えしてきましたが、プレゼンで大切なのは一貫して「相手に望ましい行動をとらせること」です。それを念頭に置きながらストーリーを構成し、資料に落とし込めば、きっと相手の心に響くプレゼンを行うことができるでしょう。皆さんのプレゼン、そして就活の成功を祈っています。

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