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織田が解説。会社に依存せずグローバル化を生き抜くキャリアの築き方

「日本で働くとしても、自分のスキルや市場価値をグローバルの中で考える必要がある」。そう語るのは、戦略コンサル出身で大学教授でもあるGoodfind講師の織田です。


終身雇用の崩壊、少子高齢化、賃金の二極化等、皆さんを取り巻く環境はITの発展と企業のグローバル化によって変化が激化しています。そんな不確実な時代ですが、マクロ経済学の観点で世界を知るとチャンスも見えてきます。グローバルな視点で産業やビジネスを理解するリテラシーを身につけ、組織に依存することなく自らキャリア構築できる力をつけましょう。

話し手

織田 一彰

織田 一彰

スローガン株式会社 共同創業者・エグゼクティブフェロー ケイ・コンサルティング株式会社 代表取締役 名古屋大学 客員教授 バンドン工科大学 客員講師

SECTION 1/3

グローバル化の結末「社会と賃金の二極化」

⸺人口減少などの影響で日本経済が衰退する中、「自分の市場価値やスキルをどのように高めたらいいのか」「老後の資金はいくら必要なのか」、多くの学生が不安に感じています。

織田:学生の皆さんが老後を迎える頃には、現在より10歳程度日本の平均寿命が伸びると私は予想しています。仮に年金支給開始が80歳まで後ろ倒しとなった場合、皆さんは60代70代のキャリアも考えなくてはなりません。そして、より長期化するキャリアを設計する上で考慮すべきは、グローバル化(グローバリゼーション)の影響です。

⸺「グローバル化」という言葉はよく耳にしますが、その影響は私たちにどう及ぶのでしょうか?

織田:グローバル化とは、「市場、労働力、技術(知識)などが、国家や地域の枠組みを超えて“地球”単位で一体化していき、経済や文化などが世界的規模で動くこと」です。世界のなかで最もコストが安く生産性の高い場所でモノを作り、才能のある人たちが国籍関係なく同じ場所で働くシステムのことで、結果として社会の中や個人間の差が大きくなっていきます。

グローバル化が進むことで国家を超える巨大企業が生まれ、賃金は二極化し、キャリアの格差が広がっています。グローバル化によって生まれた国家を超えるような巨大企業とは、世界の時価総額ランキング上位のアップルやマイクロソフト、アマゾンなどのことで、実際に数字を見ればアップル一社の時価総額はイギリスのGDPを超えています(2023年7月時点)。

⸺グローバル化により巨大企業が生まれる背景や現状を詳しく教えてください。

織田:アップルのような巨大企業が生まれている背景には、ITサービスはみんなが同じツールやプラットフォームを使う方が便利であるという要因があります。世界中が同じフォーマットのPPT(パワーポイント)やSNSを使うから便利になり、そうしたサービスを提供するGAFAMなどのIT企業は世界中にオフィスを持ち、各地で優秀な人を雇用しています。

さらに最近ではコロナによるリモートワークの一般化により、雇用される人が移動する必要がなくなってきたため、例えば英語ができる他国の低賃金の人が、移住せずともアメリカの会社で働くことができます。

そうするとアメリカ国内の仕事がなくなり、結果として中間層が消え、高付加価値のマネージャー達と、海外の人達と同水準の低賃金の層だけが残ることになり、個人間と社会の格差が拡大します。

その結果、例えばアップルでは現在、製品のデザインはアメリカでおこなっていますが、製造の中心は中国で、今後の主な生産拠点は他のアジアの国々へ移行していくと言われています。

このようにグローバル化によって単純労働は分散して低賃金化しており、特に英語圏の国や企業では、東南アジアのように賃金の低い国・地域へのアウトソーシングが進んでいるのです。

SECTION 2/3

スキルや市場価値をグローバルで考えるべき理由

⸺日本で働く私たちにも、賃金が低下したり失業したりするリスクはあるのでしょうか。

織田:日本人は仕事を発注する側も英語ができないことが多く、また特殊な文化圏でガラパゴス化しているため、現状では日本より低賃金な東南アジア等にまだ完全には仕事を奪われていません。日本人の雇用と賃金水準は、皮肉にも四方に囲まれた海と語学の壁によって守られているんです。

しかし、今後は日本もグローバル化の影響を強く受け、日本人の賃金も二極化していくでしょう。ITやAIの普及により工場だけでなくホワイトカラーも高いスキルがないと給与は上がりませんし、単純作業はより安い海外の労働者に奪われる可能性があります。いま日本で働いている人でも、実は英語ができる人と英語ができない人との間で平均年収の差が広がっています。海外(外資系企業)から見ると、スキルが高い日本人の賃金は割安なのです。

一般的に日本人の仕事は丁寧でクオリティも平均的に高いので、「付加価値が期待できる仕事」は日系企業にお願いした方が安くなり、特に為替が円安になれば海外から見てさらに相対的に日本人の賃金は安くなります。

結果として日本人のキャリアにおいては「海外から見てもクオリティが高いと評価されるだけの仕事ができるかどうか」が明暗を分けるでしょう。これから社会に出て働く皆さんは、日本で働き続ける場合でも、自らのスキルや市場価値をグローバルの中で考える必要があるのです。

⸺今後はどういった人材やスキルが求められるのでしょうか。

織田:今後のキャリアのキーワードは「グローバルリーダーシップ」と「アントレプレナーシップ」です。大手のグローバル企業は今後海外展開を加速させるため、そこで活躍できる人材を求めています。

日本国内とビジネス環境が異なる海外では、日本人のように規律がない人々も多いため、事業を拡大するためには様々な要素が必要です。行動力、リーダーシップ、交渉力など総合力で結果を出せる人材は貴重です。

一方で新しい事業を作っていくアントレプレナーの人材も必要です。周囲を見てみれば多くの商品やサービスがしのぎを削って競い合っていますが、課題も多くあり、それらを事業を通じて解決するプロダクトが求められています。

例えば少子高齢化の問題は日本が世界で最も進行しており、労働力不足や介護の問題などに直面しています。エネルギーについても脱炭素と言いながら経済成長を優先する各国の事情の中、スローガンだけが独り歩きし、実際は何も変わっていないという状況が続いています。これらの課題に真正面から取り組み、事業化する人材は貴重でないわけがありません。

最近はコンサルや銀行などが就職や転職で人気ですが、事業を主体的に行う人がいてはじめてこれらのサポート産業が成り立ちます。そういう意味では事業創造系の人材こそが、現在も将来も市場価値が高く求められている人材であることは明らかです。

⸺グローバルで見ると伸びる業界はあるのでしょうか?

織田:グローバルで見れば今後も全産業が伸びていきます。理由はインドやアフリカなどの途上国の経済成長が大きく、インフラから製造業、サービス業など全産業が先進国からの技術と資金により発展し、先進国に近づいていくからです。

この観点から考えれば就職先として日本の企業を見るときには、その会社が「世界の伸びている分野にどれくらい関与しているか」という点が重要でしょう。

より短期的に見れば人口が多く経済が安定的に伸びているアジアの産業への進出が重要になってきます。インフラ整備から工場の建設、現地での販売など多くの分野ですでに事業を拡大しています。例えば日本の食料品メーカーや外食産業は東南アジアでも伸びているところがたくさんありますし、ユニクロも積極的に進出しています。

また日本企業による海外企業のM&Aもずっと堅調であり、今後もこの基調は続くと考えられます。

SECTION 3/3

グローバルの時代に生き残るキャリア、成功した人の特徴

織田:現在日本では、終身雇用の崩壊、少子高齢化、企業の国際化、賃金の二極化が起こっています。

終身雇用が崩壊し、リストラや転職が普通になる時代に「潰れない会社に行く」という考えは意味がありません。仮に会社が潰れなかったとしても、事業部自体がなくなり早期退職が大量に発生している場合も多く、「潰れない会社に行くこと」は全く安定を意味しません。そのような時代に必要なのは仮に会社がなくなっても、ちゃんと次の就職先が見つかるように、「私はこれができます」という専門性を身につけることです。

企業のM&Aにおいては経営資産を持つ会社の価値が高いように、皆さんのキャリアでは「自分という個人がスキル、経験や人脈といった資産を持つこと」を目指しましょう。職種は何でも構いませんが、顧客を獲得できる人になりましょう。

日本のようにモノが余っている先進国では、モノ自体で差別化できないのでマーケティングやブランディングが重要です。さらに、それを時代に合わせてできる人の市場価値が高いです。顧客を獲得できる人は市場価値が高いので、技術、営業、ネットマーケティング、プロモーション、企画・商品開発、ブランドマネージャーなど職種は何でも構いません。

そうした専門性に加えて、グローバルリーダーシップとアントレプレナーシップが求められています。いまは大手企業もスタートアップ人材を求めていて、それは新規事業を推進できる事業家であったり、M&Aした会社や事業を経営できる人であったりします。

⸺そのような人材になるために、就活生が意識すべきことは何ですか?

織田:「金太郎飴になるな、標準的な人材を目指すな」ということです。私は多くの国で働き現在も海外の大学でも多くの若者に毎年会っていますが、今の日本の若い人は標準的になりすぎ、将来の可能性について過小評価しているように感じます。

実際に私が出会った知人約400名を対象とした個人的な調査では、30年の長期スパンでビジネスパーソンを分析すると、最終的に成功した人は以下の特徴を持っていることが分かりました。

「個性的」であるということは自分らしくあるということです。しかしこれがなかなか難しく、我々は周囲の期待や流行に流されやすい生き物です。

例えば現在だとコンサル業界に大変人気がありますが、コンサルタントというのは調査や資料作りに特化した専門家であり、事業家ではありません。カッコいい資料を作ることには長けていても、社会の中ではむしろ裏方の仕事であり、市場とは直接触れていないために、商品開発や営業やマーケティングについてはむしろ素人です。

そもそも仕事の内容には多様性と多くの選択肢があり、そのなかで自分が活躍できる池を探すことが大切です。ある人は外を回って案件を取ってきますし、ある人は資金調達や経理や法務の仕事で現場をサポートします。各々が自身の特性や価値観で最も適した環境や役割を選ぶ努力は必要だと思います。

もしも事業家や起業家になりたいのであれば、ユーザーの近くにいること、もしくは起業家や経営層の近くで働くこと、または社長に直接営業するような法人営業をすることが良いと思います。実は過去50年で成功した起業家を輩出している会社の共通点の一つは、社長などに営業をするポジションがあり、その営業先の社長の影響を大きく受ける経験ができた企業なんです。

就活生の皆さんは「どうしたら市場価値が上がるか、どの会社に入るといいか」を気にしていますが、まずは自分の専門分野を見つけることにもっと注力してください。業界分析も大切ですが「自分は何ができて、何が好きで得意で夢中になれるか」を大事に、キャリアを歩んでほしいと思います。広い視野で世界を見て、自分が戦える大好きな分野で活躍することを願っています。

※本記事は、2022年4月に開催したセミナーの内容を抜粋しています。より詳しく最新の話を知りたい方は、下記セミナーにご参加ください。

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