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INTERVIEW

若い世代の社会意識やパッションが、 経営のリジェネレイトを促し「日本を変える、世界が変わる」

A.T. カーニー日本代表として「日本を変える、世界が変わる」をビジョンに掲げる関灘茂氏は、アジアパシフィックの代表も務めており、グローバルな視点で経営の「リジェネレイト(再構築)」に取り組んでいます。なぜ今リジェネレイトが必要とされるのか。また、どのように実現し、日本を変革していくのか。規模の追求ではなく、パーパスに基づく変革を目指すファームのあり方とは。関灘氏の視点と具体的な取り組みについて伺いました。

※本記事は2025年春発行『Goodfind Magazine #39』の特集企画「Goodfindが選んだ 日本を変える企業」に掲載予定です。


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SPONSORED BY A.T. カーニー株式会社(Kearney)

話し手

関灘 茂

関灘 茂

アジアパシフィック代表 兼 日本代表
代表取締役 マネージングディレクタージャパン

SECTION 1/6

A.T. カーニーがグローバルで掲げる「リジェネレイト」の必要性

⸺はじめに、A.T. カーニーがグローバルで掲げるリジェネレイトについて教えてください。

関灘:私たちのパーパスである「ウェルビーイングな社会の創造」のためには、経営の「リジェネレイト(再構築)」が必要であると考えています。これを実現するためには、企業は社会の公器であるという本質に立ち返る必要があるとも考えています。

短中期視点だけではなく、中長期視点。自社・株主至上主義的な視点ではなく、企業経営に関わるさまざまなステークホルダーとの関係を重視するマルチステークホルダー主義的な視点。地球環境への負荷を減らすという視点に留まらず、社会や地球を再生するという視点。これらの視点を持ち、経営をアップデートすることで、より良い未来を形作ることに繋がります。

実際に国内外のクライアント企業の経営層の皆さんは、中長期視点、マルチステークホルダー視点、社会と地球を再生するという視点を持ち、経営の全てを見直しつつあります。先進国のみならず、グローバルサウスをはじめとする国々においても、パーパス・ビジョン・ミッション、経営戦略・事業ポートフォリオ、R&D、新製品・サービス開発、マーケティング、サプライチェーンなど経営の考え方を再構築する取り組みが進みつつあります。

経営の「リジェネレイト」に謙虚かつ大胆に取り組み、世界中の企業の経営者の価値観や経営の在り方にも好影響をもたらし、ロールモデルとなるような企業・リーダー輩出に貢献することで、「ウェルビーイングな社会の創造」に繋がると信じています。

SECTION 2/6

「日本を変える、世界が変わる」を実現するための戦略

⸺「日本を変える、世界が変わる」というビジョンを実現するために、A.T. カーニーが最優先で取り組むべきことは何でしょうか?

関灘:日本においては、「20+200+2,000」というキーワードを掲げています。これは、世界中の経営のロールモデルとなるような日本を代表する大企業20社、世界市場に向けて価値創造するスタートアップ・成長企業200社を支援し、その創造と変革を推進する経営リーダーを2,000人輩出することに貢献しようという取り組みです。

日本のGDPの半分以上を占める「20+200」の企業群が、世界市場に向けて価値創造し、それに見合う対価を得て、適切に納税し、社会に資源が再分配されることで、持続可能性が高まると考えます。さらに「20+200」の企業群が本社を置く日本に、世界市場に向けて価値を創造するために必要な知識やスキルを持つ多様な人財が集まるようになれば理想的です。

また、「20+200」の企業群が、自社の視点だけではなく、企業横断や業界横断の視点で、バリューチェーンをどのように変革し、持続可能な形に再構築していくか、学ぶ場や働く場としての日本の魅力をいかに協力して高めるかといったことも重要なテーマとなるでしょう。

しかしながら、企業横断や業界横断の視点での変革・再構築に向けて各社が協力することは簡単ではありません。まずは、「20+200」の企業群の経営層の方々がお互いを深く知り、信頼関係を深めることが必要となります。我々は、20社の経営層の皆さんが集まる場、200社の経営層の皆さんが集まる場を企画することで貢献できればと考えています。

実際に、皆さんがどのように社会・産業・業界を捉えているか、創造と変革をどのように進めようとしているか、といったことを共有し、対話し、信頼関係を深める場となっています。このような場が500年後にも継承され、経営の知見が蓄積・深化し、企業横断や業界横断で協働する起点となることを願っています。

SECTION 3/6

創造と変革のリーダーを輩出する仕組みの構築

⸺他にも、取り組まれていることがあれば教えてください。

関灘:新たな事業の創造や既存事業の変革を進めるには、それをリードする「創造と変革のリーダー」の存在が必要不可欠です。そのため、我々はクライアント企業の皆さんや私たちの組織から、2050年までに約2,000人のリーダーが輩出されるように仕組みを創りたいと考えています。

その実現に向けて、「自分が何にパッションを感じるのか、生きがいを感じるのか」というテーマを深掘りし、それを起点にクライアントの皆さん1人1人が事業の創造や変革を構想するプログラムをテーラーメイドで作り、伴走する取り組みも進めています。

社内向けには、創造と変革のリーダーに至るまでに、強い個、経営を語れる個、尖った個と段階的に進化できるように、トレーニングプログラムやプロジェクトへのアサインの方法を進化させています。また、カルチャーデイやスタッフミーティングなど全従業員が参加する場では、自身のパッションを語る機会、出向・兼業・留学・海外オフィストランスファーなどからの学びを共有する機会を設けています。

さらに、記事や書籍の執筆、社会人大学院での講師、政府官公庁の委員など日々のプロジェクトとは異なる経験も個々人の意志に基づいて取り組んでもらえるようにしています。このような多様な機会を自らの意志でつかみ取り、挑戦することで、新たな視野・視点・視座が得られます。その結果として、多角的に物事を捉えられるようになり、創造と変革の構想や実行に活かすこともできるようになります。

他にも、アナリティクスの専門家である「サーベロ(Cervello)」や「オプタノ(Optano)」、大企業と起業家を繋いでイノベーションを支援する「シリコン・ファウンダリ(Silicon Foundry)」など尖った個からなる組織のメンバーがA.T. カーニーに加わっています。

また、プロダクトの品質向上や原価低減をビジネス・テクノロジー・クリエティブの観点から統合的に検討できる「パーラボ(PERLab)」というチームも強化しています。これらの取り組みにより、国内外の大企業やスタートアップに在籍する尖った個からなるベストチームで創造と変革の支援ができるようにしています。

SECTION 4/6

若い世代の社会意識の高まりが、経営の再構築を促す

⸺「日本を変える、世界が変わる」というところへの手応えを感じていますか?

関灘:企業の本質や本来の役割に立ち返り、経営を再構築しようとする「創造と変革のリーダー」が増えているように感じます。また、中長期視点、マルチステークホルダー主義的な視点、社会や地球を再生するという視点を持つ人が増えており、特に若い世代を中心に社会意識の高まりを感じます。そうした若い世代の感性や価値観が、組織の中でリーダーシップをとる世代にも少なからず影響を与えているように思います。

実際、「この会社は何のために存在するのか」「この事業をなぜ行うのか」といったパーパスやビジョン、ミッションを根本から見直し、それに基づいて経営戦略や事業ポートフォリオ、R&D、商品・サービス開発、人財採用・育成などの仕組みを再構築したいというご相談が増えています。既存の事業領域に留まらず、産業や事業を横断して戦略を描きたいと考える企業も増えています。

10年、20年ほど前は、大きな構想を描こうとしても、組織能力のギャップが障壁となり、諦めるケースが多かったように思います。しかし、日本を代表するような大企業の中でも、中途採用の比率を高める企業が生まれました。自社が必要とする組織能力と現状のギャップを客観的に判断し、外部からの人財登用、外部戦力の活用などが進められていて、従来の枠組みにとらわれずに、柔軟に組織の仕組みを変えています。

こうした動きの背景には、自前主義に固執すると、環境変化のスピードに対応できないという経験則や見立てを持つ企業が増えていることもあるでしょう。

SECTION 5/6

「パーパス・パッション・ドリブン」のファーム

⸺A.T. カーニーはどのようなコンサルタントが集うファームですか?

関灘:企業の環境をつくるのは「人」です。そのため、どのような人が集まる組織を創るかが非常に重要だと考えています。私たちの場合、「ウェルビーイング社会の創造」というパーパス、その実現に向けて「日本を変える、世界を変える」というビジョンを掲げており、これらに共感頂ける方々を求めています。

また、一人ひとりがパッションを持って働ける環境、生きがいを見出せる環境を整えることを重視しています。アジア各国オフィスで「パーパス・パッション・ドリブン」のファームならではのカルチャーを育み、採用や育成など組織運営を進化させてきました。たとえば、その一環として、アジア中のメンバーが参加する「Ikigai Talk Session(生きがいトークセッション)」、日本オフィスでは「キャリアを語る会」、「経営を学ぶ会」などの機会を設けています。

身近なメンバーがパッションを持って行動する姿は、周囲にも刺激を与え、「自分はどのようなパッションを持つことで、パーパスの実現に貢献できるのだろう」と考える機会になり、組織全体で個々人の成長を促し合うポジティブなサイクルが生まれます。こうしたカルチャーが組織に根付くことで、社会を少しでも良くしようと行動する人が増え、その影響がさらに広がっていくことを期待しています。

たとえ青臭いと思われても、「世の中のために何かを成し遂げたい」「自分は何者で、何をして生きていきたいのかを真剣に考え抜き、ぶれない軸を持ちたい」といったことを考える方々に、私たちはその思いを広げたり、深めたりするための環境や機会を提供していきます。パーパスやビジョンに共感し、「自分なりの生きがいを見つけたい」「主体的に生き、世の中をより良くするために時間を使いたい」と考える方々にとって、私たちの組織が大きな支えになればと思っています。

SECTION 6/6

日本を変える第一歩は、「自分を知ること」

⸺日本や世界を変えるリーダーになるためには、どのようなことが大事でしょうか?

関灘:大変ありがたいことに、日本や世界を変えるリーダーと思える方々と対話・対談する機会を多く頂いています。私はそのような方々の境地に達していないので、まだまだ見えていないことがあると思います。現時点で私が見えている範囲では、なにより「自分を知ること」が大切であろうということです。「自分を知る」とは、たとえば、自分は何をしているときに楽しいのか、ワクワクするのか、寝食を忘れるほど没頭できるのか、といったことを理解することではないでしょうか。

また、自分はどのような目的に向き合っている時に、誰と一緒にいる時に、楽しい、ワクワク、といった感情を抱くのか、没頭できるのか、といったことを素直に感じ取ることから始めると良いのかもしれません。そのような経験を重ねることで、「なぜするか」「何をするか」「誰とするか」などによって異なる自分の感情の動きをより解像度高く捉えられるようになり、自分らしい時間の使い方が見えてくるのではないでしょうか。

私がこれまでにお会いする機会を頂いた、何らかの分野で突出している方々は、自分が好きなこと、得意なことの重なりを大きくしながら、「どうすれば上達できるのか」を考え抜き、独自の訓練方法を編み出し、習熟するまで鍛錬する習慣を有しているように思います。そして、理解して支えてくれる仲間に囲まれ、長きに亘って追求できる環境を創り出し、周囲を感動させるものや成果を生み出し、世の中に価値をもたらしているのだと思います。

私も含めて多くの人は、強い自律心は持ち合わせておらず、周囲の環境に影響されやすいものだと思います。だからこそ、誰とどのような環境で時間を過ごすかを慎重に選ぶことが、自分がウェルビーイングな状態に近づく鍵であると思います。世の中の多くの方々にとって良い環境を求めるのではなく、自分にとってより良い環境をしっかりと見極め、自身の心に響く環境を見つけ、そこで好きなことを探索し、没頭できるものを見出せるとよりウェルビーイングな状態になるように思います。

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