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A.T. カーニーに学ぶ。コンサルにおけるD&Iと「尖った個」の伸ばし方

コンサルティングファームにとって、D&Iは重要戦略です。コンサルタントの多様で強烈な個性を活かしてこそ、現代の複雑な社会課題に対応できるからです。これはすなわち、コンサルタントとして成功するためには「強く、尖った個」になる必要があるとも言えます。今回はA.T. カーニーの新卒採用リーダーに、コンサルの仕事とD&Iの関係性、そして「尖った個」を目指す学生がやるべき、「あること」について聞いてきました。

SPONSORED BY A.T. カーニー(Kearney)

話し手

末次 健人

末次 健人

A.T カーニー
メディアコンテンツ・PE/MAプラクティスマネージャー、新卒採用イノベーションチームリーダー

SECTION 1/5

D&Iの本質的価値とは

編集部:昨今、耳にする機会が増えたD&I。ダイバーシティとインクルージョンを組み合わせた概念で「多様性(Diversity)を、受け入れ活かすこと(Inclusion)」と定義できます。

D&Iの推進が性別、国籍、人種などによる不利益を減らし、機会平等へ導く「社会正義」であるという認識は、多くの人が持っていることでしょう。しかしその本質的な価値が「イノベーションの活性化」にあることは、あまり知られていないかもしれません。

D&Iの推進によって組織の多様性が増すと、事業を動かす際の意見や視点、思考の切り口の数が増え、多様な人材がそれぞれ繋がりを持つ多くのコミュニティへの巻き込みがしやすくなります。イノベーションは既存知と既存知の組み合わせであり、さまざまなプレーヤーが交差するところで生まれやすい傾向にあるので、D&Iの推進はイノベーションの活性化につながると言えるのです。

そしてこのようなD&Iの推進とも言える取り組みを、「尖った個」をキーワードに伝統的に実践しているのが、世界的な経営コンサルティングファーム、A.T. カーニーです。数多のファームの中でも少数精鋭の同社は、「①社内外の才能溢れる“尖った個”からなるベストチーム」「②日本企業と社会の“可能性を解き放つ”ことへの貢献」「③“創造と変革のリーダーの輩出”へのパッション」という3つの方向性にこだわり、「日本を変える、世界が変わる」の実現を目指しています。

コンサルにおけるD&Iや「尖った個」の活用とはどのようなもので、その価値は何にあるのでしょうか。また若手が「尖った個」になるためには、何をすべきなのでしょうか。同社で新卒採用を担当する末次氏にインタビューしました。

SECTION 2/5

「尖った個」を積み上げるコンサルティングワーク

⸺コンサルティングの仕事をする上で「D&I」を尊重するメリットは何なのでしょうか?

末次:コンサルティングワークにおいてD&Iを尊重するメリットは、クライアント企業の課題解決や変革を叶えるのみならず、その産業と社会の変革、課題解決につながるアウトプットを最も早く作り上げられることにあります。

すなわち、さまざまなキャリアを積んだコンサルタントやステークホルダーがテーマに縛られず集って多様性の高いチームを成し、「この産業ではこんな事例がある」「この領域ではこんなアプローチがある」と各々の経験に基づく価値を出し合うことで、イノベーションに働きかけられるということです。

例を挙げて説明しましょう。コンサルの仕事を、石を積み上げて高い山を作り上げることに例えてみます。皆で同じような平たい石を作って積み上げたり、それぞれが一番良いと思う形を作って組み合わせたり、そのやり方は無数にありますよね。それぞれのアプローチに優劣はありませんが、どう積み上げていくと早く、最も高い山ができるかには差分が出ます。平たく薄いものを積んでいくのは簡単ですが、一気に積み上がることはないでしょう。D&Iを尊重するということは、「それぞれが生み出した尖った石を上手くはめ込んで積み上げていく」やり方をすることであり、私はコンサルにおいてはこのやり方が、最も早く高い山を生み出すことができると考えています。

A.T. カーニー(以後「カーニー」)は、特に個の突出を積み上げて仕事をするファームです。他のファームには業界や領域ごとに決まったフレームワークがあり、それらを用いて進めることも多いと聞きますが、我々はこういった決まったやり方を前提としません。つまり「この仕事のときはこう考えよう」という縛りがなく、各々がゼロベースで思考した、突き抜けたアウトプットを重ね合わせて価値を出してゆきます。

この手法は、何かフレームを使うよりも前提から考え始めるので手間が掛かりますし、どのようにパーツをはめ込んでいくか、という難しさもあります。それでも、尖ったものが積み上がり、それらが時には衝突しながら摩耗して山になっていくことで、他にはない、世の中にとって大きな価値となるアウトプットを生み出すことができるのです。

SECTION 3/5

「日本社会を変える」学生との協働

⸺カーニーは新卒採用においても、「尖った個」となるポテンシャルのある学生を求めていると伺いました。

末次:もちろんそれもありますが、個の尖りは入社後に伸ばせるものでもあります。大前提としては、「日本を変える、世界が変わる」というビジョンを共有できる人に出会いたいと思っています。また、カーニーへの入社に関わらず、採用フローを通じてそういった世界観を共有する人のパッションを強めていきたいと考えています。

Goodfind主催のZEDプログラムに参加したのも、まさにこの理由からです。「多様なバックグラウンドを持つメンバーと協働することの価値を体験し、カーニーのメソドロジーで日本社会の『可能性を解き放つ』スキルを得て、世の中を変えるパッションをさらに強めてほしい」と考え、参加を決めました。

このプログラムでは「ヘルスケアにおける社会課題をスタートアップでどのように解決するか?」をテーマに、サステナブルな医療・ヘルスケアの実現に向け、課題の要因分解、スタートアップで解決しうる要因の特定からビジネスモデルの具体化まで、 カーニーのコンサルティング手法を用いて検討していただきました。

今回はソーシャルビジネスに携わり海外で起業している学生や、医療・ヘルスケア領域にパッションを持ち介護現場で働いていた学生など、多様な経験を持つ学生が協働する、貴重な機会となったと思います。

参加学生からも、「ここまで濃い時間を過ごすことのできるプログラムはこれまで出会ったことがなかった」「社内に様々な方面のプロフェッショナルがいる環境はとても面白そうに感じた」「良い意味で戦略コンサル、カーニーへの印象が大きく変わった」という声をもらうことができました。カーニーとしては、今後もこういった機会を増やしていきたいですね。

※ZEDプログラム:「Z世代のダイバーシティでビジネスを変え、より良い未来と社会をつくる」をテーマに、Z世代から選ばれた未来の有識者候補の学生と、一流のビジネスパーソンがサステナビリティに関するテーマを議論する選抜型共同学習プログラム。

SECTION 4/5

個を伸ばす、文化と仕組み

⸺では入社後、若手コンサルタントはどのように個を磨いてゆくのでしょうか。

末次:個人が出しうるバリューの大きさは、「ハードスキル×知見×アウトプット力」という三つの掛け算で決まると考えています。ハードスキルはExcelやPowerPoint、ロジカルシンキングなどの体系化されたスキル、知見は業界や領域の専門的な知識、アウトプット力は可視化し伝える力を指します。

これらの何から尖らせていくかは人によりますが、若手では、ある領域で深い見識を身につけることでレバレッジし、急速に成長していく人が多くいます。

ある女性社員の例を挙げましょう。彼女は新卒入社後、スピード感に着いていけず苦戦しており、数年目までは目立たない若手でした。それがある時ヘルスケアの世界に出会って一変。ここで自分のスキルを伸ばしたいと閃き、ファームもその成長を支えるためにフォーカスさせたところ、のめり込んで急速に成長したのです。5年目となった今、彼女は入社当時では考えられないような実力を付け、ヘルスケアのプラクティスのコアメンバーになりました。

⸺とはいえ、自らを尖らせられる領域を見つけるのは中々難しいように思います。

末次:確かに火が付くポイントを見出し、伸ばしていくのは簡単なことではありませんが、カーニーには本人の努力と挑戦を前提に、若手を尖らせてゆく仕掛けがたくさんあります。

多くの領域を経験できることも、その仕掛けの一つです。私はもともと興味のあった消費財や小売の領域にアサインされていた期間が長いですが、ヘルスケアやエネルギー、リースなどの業界も経験しています。アサインされる際も、各コンサルタントが自身のメンターと話し合って策定したキャリアプランに基づき、アサインメントの希望・非希望を提出し、その意志が尊重されます。各コンサルタントのビジョンやパッションを限りなく尊重したアサインメントプロセスは、当社ならではの仕組みです。

また、カーニーのアットホームなカルチャーも個を伸ばす土台になっています。コンサルティングファームはドライな文化だと思われることが多いのですが、個を重視しているからといって個人主義で周りに無関心というわけではなく、むしろ互いに異なる個性に対する興味関心は高いです。各プロジェクトでも、マネージャーが若手に強い関心を持って接しており、その産業における思考の仕方や進め方を体得して強み・尖りにしてもらおうと心掛けています。

⸺ファームの文化も、自らの成長に影響するものだとわかりました。

末次:そうですね。カルチャーは、自分が心地よく働く上で大切なだけでなく、そのファームのコンサルティングスタイルにも関わる極めて重要な要素です。就活初期段階では意識しづらいと思いますが、最終的に入社する企業を決める上ではファームの文化も重視して決めてほしいですね。

SECTION 5/5

コンサルタントに重要な「好き」の効用

⸺将来尖ったコンサルタントを目指すために、学生時代からしておくべきことはありますか?

末次:私がやるべきだと思うことは2つあります。

1つめは、長い目でキャリアを捉え、「なりたい自分からの逆算」をすることです。よくコンサルに入ることが目的になっている学生がいますが、そうではなく、どんなキャリアの順序を経て何者になっていくのかを意識してほしいです。その結果そもそもファーストキャリアでコンサルタントを選ぶのかどうかは、多くの学生が熟考すべきところだと思います。私自身、事業会社からコンサルに転職する際には、キャリアのゴールイメージを4〜5つに絞り、その最大公約数を取って何になるのが良いかと考えて、最終的にコンサルを選びました。

2つ目は、コンサルタントとして自分の武器になるものが何かをきちんと考えておくことです。おそらくそれは論理的思考力やコミュニケーション力と言われるものではないと思っています。これらは後からでも伸びるスキルですし、どれだけそれを磨こうとしてもシニアどころか2年目の若手にも及ばないでしょう。

個人的には、学生の皆さんが今から身につけられる武器は「好きなことを追求できる力」だと考えています。

実は、パートナークラスのトップコンサルタントの共通項は、とにかく「好き」が仕事の原動力になっていることです。私が一緒に仕事をしているシニアメンバーにも、ゲーム好きが転じて、メディアコンテンツ領域のクライアントを開拓し、仕事にしている人がいます。彼は「メディアなら自分が日本一詳しい」と豪語しながら、本当に楽しくて仕方がないといった様子で日々の仕事に励んでいます。

よくコンサルに受かりたいからといってロジカルシンキングやフレームワークの型を血眼になって勉強する学生がいますが、そういった意味では、そこに時間をかけるよりも好きなものを追求し、その質や良さを語ってアウトプットすることが、むしろロジカルシンキングを深める大事なステップだと思っています。

実際のプロジェクトでも、本当に好きなものがあって、そのことに関してのめりこんで考え、アウトプットしてきている人は、議論する際にも相手の発言背景を理解する力が高く、その上で自分のスタンスを取って意見を言えることが多いように感じています。チームでのアウトプットを考えても、考え方・好きなものの多様性のあるチームの方が良いものを出せるので、私生活でもそれぞれ好きなものを追求しているメンバーが集まると嬉しいですし、カーニーにはそういう人が多いように思います。

好きなものを見つけるのは難しいかもしれませんが、さまざまな見識を広げられる学生時代に、是非何かに夢中になる経験をしてみてください。好きになる力、夢中になれるものを持った皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。

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