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INTERVIEW

【理系就活】研究職のキャリアとは?可能性を拡げる企業選択のススメ

日々アカデミックの世界で奮闘している理系学生の皆さん、将来はどのような仕事に就きたいと考えていますか? やはり技術職?いや、コンサルもいいな、博士への進学でもいいな…そう思いつつ、日々のゼミや実験に追われて考えきれていない、という人も多いと思います。 今回は研究職のキャリアについて、バイオ系の研究員として働く社会人に聞いてきました。何故ふたりは研究職を選び、この先どのようなキャリアを考えているのでしょうか。少し休憩でもしながら読んで、是非就活の参考にしてみてください。

SPONSORED BY 日本たばこ産業株式会社

話し手

石川 晋吉

石川 晋吉

日本たばこ産業株式会社(JT)たばこ事業本部
R&Dグループ 製品評価センター

大橋 一寛

大橋 一寛

日本たばこ産業株式会社(JT)たばこ事業本部
R&Dグループ 製品評価センター

SECTION 1/5

ビジネス職か、研究職か?キャリア選択の決め手とは

──まず、お二人はなぜ研究職に就こうと思われたのか教えてください。

大橋:もともと私はコンサルティングファームを中心に就活を進めていました。周囲にもコンサル志望の学生が多かったですし、最初は研究職への意欲は高くなく、漠然とビジネス職に就くのかなと考えていました。当社のR&Dグループの存在を知ったのもたまたま研究室の先輩が当社に勤めていたからで、他社の研究職はあまり受けていなかったほどです。

そのような私がコンサルと迷って最終的に当社に入社を決めたのは、理系院卒のバックグラウンドを活かしつつ、新しい事業や価値を生み出していくチャンスがあると考えたからです。たばこ事業はグローバルにおいては堅調ですが、日本市場は縮小傾向にあります。会社として新たな価値を生み出すための変化が求められるタイミングであり、そのような環境で、新たな価値を生み出す存在として働くのは面白いだろうと思いました。

大橋 一寛氏

──大橋さんは職種にとらわれずに事業の将来性などこれからの変化を予想して、最終的に自分の志向性が合う貴社を選ばれたのですね。石川さんはいかがでしょうか?

石川:私は大学で研究を続けるかどうかを迷っていたタイプでした。研究者を目指すのであれば博士課程に進学をするのが良いと考えていたんですね。ただ研究者以外にも様々な選択肢があると思い、とりあえずいろいろな企業を見てみることにしました。

最終的には文系職も含めた大手メーカー数社、他に研究職もいくつか選択肢があったのですが、就職するのであれば営業やコンサルタントではなく研究開発のほうが合うと感じたことと、雰囲気や人の相性が良かったことから、当社に入社を決めました。

石川 晋吉氏

──研究職というと、「一生この領域で食べていく」という覚悟を持ってキャリア選択する人ばかりかと考えていたのですが、お二人とも研究領域以外の部分がキャリア選択の決め手になっていて、意外に感じました。

大橋:そもそも明確にやりたいことがある人って、そんなに多くはないと思います。

特にやりたいことがない人の就活の進め方として私がおすすめなのは、「絶対やりたくないこと」を明確にして、それ以外は全部見るというやり方です。「やってもいい」と思う仕事のインターンに参加したり、企業の人とも対話を重ねたりして情報を仕入れてみると、意外に自分が選ぶべき道は絞られてくるように思います。また、「やりたいこととなんとなく違うかも」と思っていても、知ってみると関心が高まることも多々ありますね。

石川:そうですよね。また、その企業や仕事のマイナスポイントを一つ見つけたからといって、「この会社は嫌だな、向いてないな」とすぐに思うのではなく、「こういう仕事であればできなくはないかな」「ここは良い部分だな」と、ある種楽観的に、前向きに捉えることも重要だと思います。やりたいことがなくても、ネガティブな感情を持ちにくいことに目を向けることで、自ずと道が拓けてくると思います。

SECTION 2/5

可能性を広げる、研究職の企業選びのポイント

──お二人は結果的に研究職に就かれましたが、研究職として働く企業を選ぶ上では、どのような点を見るべきだと思いますか?特に、研究者として外の世界と関わりを持って広い視野で物事を考え、キャリアの可能性を拡げたいと考えている学生さんにアドバイスをいただきたいです。

石川:まず大前提として、一口に研究開発職といっても企業によって環境が全く異なると思います。例えばA社の環境で自分が納得のゆくキャリアを歩めそうになくても、B社ではそうではないことも多いという感じです。したがって、1社のみを見て「自分に研究開発は合っていない」と判断してしまわないほうが良いと思います。

研究を通じて社外との関わりを持てる機会が多いかどうかを判断するためには、その企業が学会発表や論文発表に積極的かどうかを調べるのがおすすめです。

例えば研究の特性上社外秘情報が多い場合は、自分が何か新たな発見をしてから10年、20年と経たないと研究成果を社外に出せないという場合もあります。そのような研究も先進性があって面白いと思いますが、研究を通じて社外と関わるチャンスは比較的少なくなってしまうかもしれません。

大橋:キャリアの拡がりがあるかどうかを図るには、その企業に研究職で入社した後、ステップアップする際の選択肢の豊富さを見ることをおすすめします。

私自身、今後のキャリアにあまり明確な目標は立てられていません。現在の仕事は楽しいですが、やはり専門職なので永遠に飽きがこないか?と言われると正直わかりません。もともと新しい事業に携わりたかったこともあり、もしかするとビジネス側に寄せたキャリアを歩みたい時期が来るかもしれないとも思っています。

当社の場合、志向性が変化した際にはコーポレートや企画、経営に近い職種に進むルートもありますし、もちろん石川のように、研究職のマネージャーになる道も存在します。別の記事で開発側の者も話していますが、当社はたばこ製品の基礎研究から開発までほぼすべてを自社にて行っているからこそ、キャリア選択の幅の広さがあります。このことが、仕事をする上での心理的安全性を高めていると感じます。

石川:そうですね。私は現在、自分の研究課題の課題リーダーとして、メンバーの研究課題をマネジメントしたり、そのサポートを行ったりしています。ゆくゆくはメンバーの人財育成を担ったり、研究費の配分を決定するといった研究開発全体のマネジメントを統括するキャリアもありうるポジションで、大変やりがいを感じています。

また当社において面白いなと思うのが、キャリアパスの多様性があるだけでなく、各々の希望を重視し、「この人はここに合っているな」という場所に配属されていることです。それは当社に「無理にやらせても効率が悪いだろうし、誰も幸せにならないから、合うところで力を発揮してもらうのがベスト」という考え方が暗黙のうちに染み付いていて、それを実行するだけの組織のゆとりがあるからできていることであると思います。そういった文化がある企業かどうかを見てみるのも良いかもしれませんね。

SECTION 3/5

医療分野にも繋がる、「たばこの研究」の意外性

──ここまで「どんな環境でやるか」についてお話を伺ってきたのですが、「何をやるべきか」についてもお聞きしたいと思います。まずはお二人が何の研究をしているのか、改めてご説明いただけますか。

石川:私は一言で言うとたばこ製品の使用による生体への影響評価に関する研究をしています。私の研究目的は、気管支や肺の3次元培養モデルを作り、そこにたばこの煙を曝露するとどのような影響があるのかを評価することです。そのために、評価に適した細胞の培養方法、たばこの煙の曝露方法、測定項目の開発を中心に研究を行っています。

たばこ製品の評価というと特殊な研究を行っていると思われるかもしれませんが、実はそうではありません。例えば呼吸器の培養モデルを作成するために細胞培養の技術を究めることは、シャーレの上で実際の呼吸器を再現するようなものなのです。

培養細胞の技術は、再生医療や創薬にも活用されている一般的な技術であり、汎用性の高い研究を行っていると言えます。そのため、私たちが行っている研究は、培養技術を扱うバイオ系の学会や学術雑誌にも発表することができているんですよ。

【参考】石川さんの研究論文

大橋:私も石川と同じで、たばこ製品の使用による生体影響評価に関する研究をしています。私は主に肺と血管をターゲットにしていて、特殊な培養容器を使って細胞を培養し、そこにたばこの煙を曝露して、どのような影響があるかを調べています。

また、私はもともとITに関心があったので、計算機化学でのアプローチもしています。具体的には機械学習を用い、たばこに入っているある添加物の化合物情報とそれを細胞曝露した際の生物影響を学習させたモデルを用いて、別の添加物の生物影響の予測を試みています。機械学習はコロナ渦の在宅勤務期間中に勉強を開始し、現在も学習を続けています。

──「たばこの基礎研究」というとやや狭い領域のようにも感じられていたのですが、周辺分野にも広く活用されるような研究を行われているのですね。

石川:そうですね。詳しくはJT SCIENCEも見ていただければと思いますが、私たちが携わっているたばこ製品の評価では生命科学と関連した幅広い分野でアカデミックへの貢献もしていますし、新製品の開発では化学工学、分析化学をはじめ、電子工学、神経生理学、植物遺伝学や植物生理学といった幅広いバックグラウンドの人が集まっています。

当社に限らず、興味がないと思うようなプロダクトでも、その周辺研究として、興味を持てる分野の取り組みが思いも寄らない形で行われているかもしれません。何を作っているかに囚われすぎず、研究内容を調べてみることも重要だと思います。

SECTION 4/5

プロダクトをどう捉えるか?

──お二人は、たばこというプロダクトにはどのような想いを持たれていますか?

大橋:私はこの会社に入るまで、正直たばこが好きではありませんでした。しかしながらこの会社に入ってから、その人が吸うことで満足感を得られるのであれば、それはその人の選択なのだと受容できるようになりました。

たばこがあることによって日常から離れて気分転換できたり、コミュニケーションが活性化したり、そういった価値があるものなのだとは思っています。ただ、自分が非喫煙者であることには変わりないので、どちらかというと「研究のサンプル」としてドライに捉えている方かもしれませんね。

じゃあ何でJTにいるのか、と思われるかもしれませんが、たばこがものすごく好きでやっているというよりは、関連している研究であればいろんなことにチャレンジさせてもらえるので、その環境を楽しんでいるという感覚ですね。

例えば私のように機械学習でのアプローチが必要だと思ったら、提案するチャンスはいつでもありますし、必要な物品や環境を揃えることも可能です。それぞれの研究員が必要だと思った研究に挑戦する心意気を尊重する風土であることが、JTにいる理由の一つでもあります。

──JTってたばこが大好きでないと入れない会社だと思っていました。

石川:全くそんなことはありませんよ。もちろん喫煙者もいますが、実は私も吸うのは年に数回程度です。

私はJTに入社して10年以上が経ちますが、たばこには様々な魅力があって、一言では表せない不思議なものだな、と未だに思っています。そんな中で、気分転換になる、リフレッシュできるといったたばこの良い面として挙げられる部分は数値として表現しにくい反面、たばこの悪い面として挙げられる部分は数値として表現される場合が多く、データとして伝わりやすい気がしています。

そしてその数値をどう捉えるかは人それぞれです。例えば何らかのリスクが5%あったとして、自分としては随分リスクが低いと思っても、自分以外の人が同様の意見を持つのかは何とも言えないところです。たばこ製品の使用による生体影響の評価結果を解釈することの難しさはこのような部分にあると思っています。

また、これからもたばこ製品は進化を遂げていくと思いますし、10年後には私たちの全く想像がつかない形になっているかもしれません。そういった進化と合わせて、先に述べた難しさが解決されていくことを実際に体験できるかもしれないことに面白さを感じワクワクしています。

プロダクトが大好きでないと研究できないのではないか?と思っている学生の方もいるかもしれませんが、研究のモチベーションは人によって様々ですし、何か一つ興味を持てるポイントを持っていれば良いのではないかなと思いますね。

SECTION 5/5

研究職に向いているのは、変わりゆく環境を楽しめる人

──最後に、研究に就活に毎日忙しく過ごしている理系学生の皆さんに、エールとアドバイスをいただけますでしょうか。

大橋:少々シビアですが、まずはできることは全部やる努力をして欲しいなと思います。経験談ですが、就活って少しでも手を抜いて落ちると、努力を怠ったことを相当後悔すると思うんですよね。研究と就活が重なる時期は本当に忙しいと思いますが、やりきってほしいなと思います。

また、研究開発というと延々と同じことを突き詰めるようなイメージがあるかもしれませんが、実際は異なります。自由度が高く変化の激しい領域では、自分で勉強して、キャッチアップできる人に向いている仕事です。そういった環境を楽しめる人にはおすすめしたいですね。

石川:保育園の頃、画用紙に迷路を書くのがなぜか好きで、時間を忘れて作りつづけていました。今の私にとっての研究開発は迷路づくりのようなもので、「このためにやっている」という明確なビジョンがなくても、夢中になれることの一つです。

就活をしていると「私は御社で〇〇の領域に携わって貢献し…」といったことを話す、ビジョンとやりたいことが結びついたすごそうな人にたくさん出会うことがあるかもしれませんが、萎縮する必要はないと思います。仮に明確なビジョンが持てなくても、何となく夢中になれそうな領域や業務内容を見つけられると良いと思います。

合わせて、研究職を選ぶ際にはその領域や業務内容に目がいきがちですが、人や組織との相性も非常に重要です。もしJTの雰囲気や考え方に興味を持ってくださる方がいたら、ぜひ受けてみてほしいですね。

編集:

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