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「軸なんていらない」自分に合う企業の見つけ方・前編

日本たばこ産業株式会社(JT)で人事部長・執行役員を務め、30年以上に渡って新卒採用を見てきた米田氏と、Goodfind/FactLogicを運営するスローガンにて、1万人以上の学生のキャリアを支援してきた野島氏。 2名の採用プロフェッショナルが、企業選び・面接のポイントなどキャリア選択について本音で語る特別セッション。JT現役人事の神谷氏が学生目線で鋭く突っ込みます。

SPONSORED BY 日本たばこ産業株式会社

話し手

神谷 なつ美

神谷 なつ美

日本たばこ産業株式会社(JT)
事業企画室採用研修チーム次長

米田 靖之

米田 靖之

元JT執行役員R&D責任者

野島 繁昭

野島 繁昭

J-CAD企画責任者

SECTION 1/6

仕事力を鍛えるには合う会社を選ぼう

神谷:今日のタイトル通り、お二人はよく「就活の軸なんていらなくて、社風を感じることが大事」とおっしゃっていますね。ただ、就活っていろんな軸がありますよね?安定しているかとか、外資か日系かとか。

──神谷:会社選びにはいろんな軸がありますが、どうやって「社風が大事」という考えに至ったのですか?

米田:「社風が大事」じゃなくて、社風が「一番大事」なんです。その考えに至った経緯として、まずは多くの学生が持つ大きな誤解からお話します。それは「世の中に面白い仕事があるに違いない」という誤解です。

夢を壊すようですが、世の中に面白い仕事なんてないんですよ。では、なぜ誤解するのか?それは学生が就活でいろんな会社のセミナーに参加すると、すごい人がたくさん出て来るからです。そのすごい人の話を聞いて「面白い仕事があるんだ!」と思ってしまうのですが、事実は「その人が面白い」のであって、その仕事(例えば経営企画)が面白いわけではない。その人が面白く話せるのは、その人が仕事を面白くやっているからです。

元JT人事部長 米田氏

つまり、世の中に存在するのは「面白く仕事をしている人」なんです。そして、どういう人が面白く仕事をしているかというと「仕事をする力がある人」です。仕事をする力がある人は、どこにいっても面白く仕事をやっています。

ということは、つまり面白い仕事をやりたかったら、「一番仕事をする力がつく会社」に入ればいいんです。

ただ、仕事をする力というのは、ビジネスもプロの世界なのでそう簡単にはつかなくて、特にどの会社に入ればつくというものでもない。自分で5年くらいやり続けないとプロとして通用する力はつきません。やり続けるためには、自分が自分らしく熱中できる環境=合う会社でないと続かないので、合う会社を選ぶことが大切です。そして、合う会社を見つけるポイントが「社風」です。

SECTION 2/6

社風って何ですか?

──神谷:合う会社を見つけるには「社風が一番大事」というお話でしたが、「社風」ってなんですか?どう感じたらいいのでしょうか?

米田:「社風」は、大学のゼミや研究室、サークルの雰囲気に近いものです。ゼミや研究室って同じ研究テーマなのに「ここは居心地がいいな」「ここは先輩と話が嚙み合わないな」とか「飲み会が楽しいな」「一次会で帰ろうかな」というふうに、雰囲気が合う・合わないがありませんか?テニスサークルにしても練習はどこも大体同じですが、雰囲気が合うと、楽しいので自分から積極的に参加するようになりますよね。

──神谷:サークルやゼミは所属する人の世代も近いですけど、世代も違う「会社」の社風を感じるのに、サークルの雰囲気と同じ感覚を適用していいのでしょうか?

米田:会社同士を比較する時にはその感覚でいいと思います。例えばある会社の社員3人に会って「この会社の社風はこうだ」と学生が理解するのは結構難しいのですが、「この2社を比べるとどちらが自分に合うか」については、学生でも感じ取ることができます。同じ業界でも社風は驚くほど違うもので、私たちが運営している選抜コミュニティ「J-CAD」では「社員との対話を通して社風を感じることで自分に向いている会社を選ぼう」という取り組みを実践しています。

その取り組みでは、学生に、あえて同じ業界の複数社の社員に会ってもらっています。例えば総合商社のA社とB社の両方の社員3人ずつという形です。すると、各社の社風がどんなものかについては、その会社の3人に会っただけではわからなくても、「どっちが自分に合うか」はみんな感じ取れます。

つまり、学生の皆さんが思っている以上に、企業の社風はかなり違うということです。そして、社風は実際に社員に会ってみないとわからない。

左から米田氏、Goodfind野島氏、JT神谷氏

SECTION 3/6

合う会社を絞るコツは「2:6:2の法則」

──神谷:社風を感じて「なんとなく居心地がよさそうだな」とか「ここは合わないな」とかはわかると思うのですが、そこからどうやって絞り込んだらいいのですか?

米田:いくつかステップがあります。まずは大体2:6:2に分けてみる。例えば10社会うと「合いそうな2社、全然合わない2社、どちらともいえない6社」というふうに分かれます。「合う」と思った2社はすごく近くに存在していて、例えば10個の卵がバスケットの中に入っているとすると2個の卵だけ色が違うようなイメージです。そして、次にその合う2社だけ取り出して比べてみると、10社の中ではその2社は同じ色に見えたのに、実はその2社の色も全然違う、ということがわかります。

全体を見ていると細かくはわからないのですが、そこに集中すると違いがわかるようになります。 

SECTION 4/6

軸に縛られるな

──神谷:そうやって「合うな」という2社が見つかった後に「この会社がほんとに向いているのか?」と見極めるには、どう見たらいいのか、学生は気になると思います。絞り込むために、例えば、軸を頑張って作って判断しようとする人がいますけど、それはどうなのでしょうか?

野島:軸を作って判断するやり方には限界があると思いますね。10年間、多くの学生とキャリア面談で話をしてきた立場でお話すると、うまくいかない典型的な例は、会社を見る評価軸を10個くらい挙げてExcelでまとめている人ですね。

理系だとさらにそれを加重平均とかしていて「迷った8社をランキングするとこうで」と僕に見せてくれるんですけど、「一番上の会社に行きたいの?」と聞くと「迷うんですよね」と言うんです。軸をつくって判断する時って、当たり前ですが言葉にできるものしか軸にしていないんですよね。本当はもっといろんなことを非言語で感じているはずですが、それは表現しきれていません。

例えば、仮に「米田さんと野島のどっちが自分に合うかをいま判断して」と言われたらどうでしょうか?2人の雰囲気やしゃべり方、内容もテンポも見ますよね。このように、本来は軸にしにくいような、もっといろんな変数を本当は観察して感じているはずなんですよね。なのに、「野島の方が年齢が近いから話しやすいのかな?」ということだけで無理やり軸をつくって、その軸にあてはめて判断しようとするから、直感とズレるのではないかなと思いますね。

神谷:軸に縛られずに、直感含めて合う会社を感じるのが大事ということですね。

SECTION 5/6

内定するのは優秀だからじゃない

──神谷:そうやって合う会社が見つかったとしても入れなきゃしょうがない。つまり、就活では内定をとらないといけないですよね。そこで、少し話が変わりますが、内定をとるためには自分をどう見せたらいいのでしょうか?自分を「優秀そう」に見せなくていいのですか?

米田:企業は最後どうやって合否の判断をしているのか? これは、みんな知りたいけどどこにも書かれてない、誰も教えてくれない話ですね。学生は「優秀な人が内定している」と思っているけど実は違う。実際は「合う人」に内定を出しています。

──神谷:優秀そうな人ではなくて、合う人が内定してるのですね!?

米田:補足すると、即戦力採用なら企業は優秀な人を採りますが、日系の大企業の多くは、新卒の場合、10年後に一番活躍しそうな人(=仕事の力をつけられそうな人)を採用している。仕事の力をつけるには、自分で頑張り続けることが必要で、自分で頑張り続けるためには、その会社に合っているかどうかが重要です。そのため新卒については能力で足切りをした上で、自社に合いそうな人を採っています。「受かる人は合っている」というだけの話。受かった人の方が落ちた人より優秀だと学生は誤解してますが、あるレベル以上の中で最後の方(最終面接)は「受かる人は合っている」というだけのことです。大学入試とは違う世界ですね。

神谷:そうは言っても、就活はだまし合いとも言われているように、どの段階で素を出していいのか、どこまでは優秀に見せなきゃいけないのか。面接を重ねて選考が進んでも決めきれなくて学生は迷うことが多いんじゃないかなと思います。

でも、いまのお話ならば、相性や合うかどうかは優劣の勝負ではないので「自分はできるぞ」とは見せなくていいって事なんですね。

SECTION 6/6

結局、面接ではどうしたらいいの?

──神谷:では、優秀そうに振舞わなくていいのだとしたら、どう振舞えばいいのでしょうか?その面接官と仲良くすることが大事なのか、自分らしくいることが大事なのか。どうしたらいいのでしょうか?

米田:その問いに答える時に一つ問題があって、それは企業の面接官の中には、学生を見極められる人とそうじゃない人がいるということ、つまりプロの面接官と素人の面接官がいるんです。「素人面接官」は、つい優秀な人を採ろうとしてしまいます。素人面接官というのは人事担当ではなくて、日頃は各事業部で他の仕事をしていて、採用のときだけ面接に駆り出される人。仕事ではプロですが、学生を面接した経験があまりないので採用面接においては素人なんです。対して「プロ面接官」は、人事や採用の経験が豊富で、学生を見極めることができるので、合う人を採ろうとします。

──神谷:では、プロ面接官は何を見て、どういう人が「合う」と判断するのですか?

米田:日系大手の新卒採用の場合ですが、プロ面接官は、10年後の活躍を見据えて合う人を採ろうとします。その人の過去の経験や価値観・考え方を深掘りして、自社と合う・合わないを判断します。

一般的に、企業は、3年後に活躍する人を採る場合は今の能力を見ますが、10年後に活躍する人を採る場合は自社の社風とその人が合うかどうかを見ます。10年後に大きく伸びて活躍するには自分で頑張り続けて仕事の力をつける必要があり、頑張り続けられるのはその会社に合う人だと経験上分かっているからです。

──神谷:素人面接官にあたってしまったら、どうしたらいいのですか?

米田:素人面接官にあたって落ちてしまったら「運が悪いな」と思って、さっさと諦めて他の会社にいった方が、結果的にはいいのかもしれません。

一方で、しっかりわかるプロ面接官もいます。どこの会社でも最後の方になると必ずプロ面接官が出てくるので、プロ面接官の目を通って内定をもらえたということは、その会社と自分は合っていると信じていいでしょう。

面接を通過したら、内定後にこそ学生がやるべきことがある?後編へ続きます。

編集:

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