INTERVIEW

20代でM&Aを経験した若手が語る、事業にかける想い

公開日:

Spoken by 阿戸 彰史

Sponsored by 日本たばこ産業株式会社

意欲的な学生ほど「事業をつくりたい」と言うものの、皆さんは企業を見るときに「事業づくりの考え方」や「事業を率いる社員の価値観」にまで触れていますか? そこで今回は、日本を代表する売上2兆円の大企業で、数千億の海外M&Aを20代で担ったエース社員にインタビュー。どんな価値観で何に共感して入社したのか。また、入社後はどんな想いや問題意識で、事業投資や事業づくりといった「打席」に立っているのかをお届けします。

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大きな経験となった、入社3年目の海外M&A

阿戸 彰史 氏

日本たばこ産業株式会社

事業企画室 課長代理

2014年新卒で日本たばこ産業(JT)へ入社し、キャリアの大半は事業投資に携わってきた。入社1年目は飲料事業(当時)の営業と撤退業務を担当した後、3年目からは経営企画部に異動し、海外たばこ会社のM&Aでの事業投資や、食品事業部の成長戦略策定を通じた事業創造等に参画。投資ファンドへの出向を経て、現在は事業企画室で国内たばこ事業のデジタルマーケティングの戦略を担当。

──入社3年目にして海外の大型M&Aを経験されたそうですね。詳しくお聞かせください。

入社3年目からは経営企画部で海外M&Aを担当し、2018年にバングラデシュのたばこ会社を約1,600億円で買収しました。その買収案件に携わる前段として、「グローバルのたばこ事業全体のポートフォリオを見直す」というプロジェクトがあって、僕はそのメンバーでもありました。

日本たばこ産業(JT) 事業企画室 阿戸 彰史氏 

当時のJTの投資ポートフォリオは、JTのプレゼンスが大きいマーケットを重要視していました。でも僕やプロジェクトメンバーの中には、「今はJTのプレゼンスは低いけれど、将来大きくなるマーケットにもリソースを配分しないと、持続的に会社が成長していくのは難しいよね」という問題意識がありました。そこであらためて「マーケットとして将来重要になりそうなのはどこだろう」という目線で、グローバルの各市場を見直したのです。

その結果、バングラデシュはとても成長性があると見込みました。インドの隣にあって人口が非常に伸びていて、急激な経済成長を遂げています。「そういう国に投資をすることが、JTの成長にはすごく重要だ」と社長に提言し、無事バングラデシュに投資をするということが決まりました。

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立ち向かった壁と、乗り越えるモチベーションの根源

──大きな資金を動かす提言をされたのですね。提言はすぐに受け入れられたのですか?

この投資決定に至るまでには大きな壁が立ちはだかりました。具体的に言うと、今までの「JTのプレゼンスが高いマーケットを重要視する」投資ポートフォリオから、「将来の市場の成長性が見込まれる」投資ポートフォリオに変える過程で、既存のやり方を是としている人達から最初は反発を受けました。

なぜなら僕たちの提案したことは、悪い見方をすると「後出しじゃんけん」に近かったからです。前提として「当時はその意思決定で正しかったけれど、状況が変わると正解は変わってくる」という構造が一般的にありますが、状況に応じてリスクを取って変化していこうともなかなか一歩足が出ない、といったことが社内で起きていました。

つまり当時は正しいと思ってなされた意思決定に対して、僕たちのチームは「状況が変わった今は違う意思決定をしよう」と、変化の一歩を踏み出そうとしました。しかし、そうした思いとは裏腹に、僕たちが既存派に対して「間違っていた」と指摘したように受け取られてしまいました。これは、既存のやり方を変えようとする時にしばしば起こることです。その時に自分のモチベーションの根源にあったのは、1年目で経験した事業撤退での悔しさです。

──入社1年目に事業撤退を経験されたのですね。「悔しさ」を感じられた当時のことを教えてください。

入社時に担当した飲料事業は、約20年続いていて当時業界10位で、「桃の天然水」や缶コーヒーの「ルーツ」などを製造・販売していました。しかし、僕が入社して1年目が終わるタイミングで急遽事業撤退が発表されました。

発表の日を振り返ると、その場で泣き崩れた人もいましたし、人の感情がすごくあらわになって冷静ではいられない状況でした。その時に僕はすごく自分を責めて苛立ちました。自分が入った時に「飲料事業部には課題がたくさんあるな」と感じていたにも関わらず、1年目という立場を気にして言えずにいて、課題解決に全力で取り組めていなかったからです。

今となれば、事業の撤退という大きな節目に立ち会うことができたのは、貴重な経験だったと前向きに捉えていますが、「今まで自分が当たり前にあると思った場所が急になくなって働く場所がなくなる」といった辛さを経験すると、人としてすごく感情が動きます。この経験は自分の糧になっていて「同じような経験は二度としたくない」という想いで、その後の事業投資や今の事業企画の役割に向き合っています。

──その後、撤退に関わる業務では、どんなことを担当されたのですか?

撤退が発表された時に、人事部長と話す機会がありました。その時に僕は「飲料事業の価値や学びを会社に残して将来に活かせるようにしたい」と思って、「撤退に至った理由をちゃんとまとめさせてほしい」と申し出ました。

そのような経緯で、飲料事業の歴史を振り返り「なぜ撤退判断に至ったのか」を調べることが、撤退業務のうちで僕の大きな仕事となりました。半年ほどかけて、製造側、研究開発、セールス、といったあらゆる部門の歴代の事業部長に話を聞きに行きました。

調べてまとめた結果、僕には「多角化経営の難しさ」という学びが見えてきました。JTにおける「たばこ」という一つの柱の事業の影響を、飲料のような他の事業が受けるという難しさがあると、僕なりに総括しました。

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歴史ある事業こそ、変化していかなければならない

──1年目の飲料事業撤退の経験から、その後のたばこ事業の投資において「変化が必要」と考えられたのですか?

たばこはある種堅い側面を持っている事業で、需要は徐々に減少していますが、単年で一気に消費量が変化するといったことが起こりにくい事業なんです。だけど長期的な視点で事業を考えた際には変化していかないと、国内ではたばこ単体だと先行きは厳しくなっていくと考えています。実際にたばこは、昭和40年頃には日本の男性の8割が吸っていましたが、少しずつ減少してきたことで今は3割くらいに減っています。

そういった市場の変化に加えて、飲料事業撤退における自分の経験からも、たばこ事業には変革が求められていると僕は考えています。「今変えないと10年後20年後の将来、たばこ事業も飲料事業みたいになくなってしまうかもしれないし、今変えないと将来大きな禍根を残すことになる」という信念のようなものが、すごく大きな自分のドライバーになっています。

JTが設立された背景や歴史を踏まえると、「元々たばこのためにできた会社なんだから、たばこの需要が減少することで、事業規模が維持できなくてもしょうがない」という考え方もあるのかもしれませんが、僕はあえてそういった困難な状況や壁を乗り越えてでも「今いるコミュニティ、すなわちJTという会社を守りたい」という想いが強いです。

そして、会社を残していくためには、たばこ事業の変革のみならず、新しい事業をやりたいと僕は思っていますし、JTはあらゆる面で現状維持ではなく、変革のためにチャレンジしなくてはいけないと思っています。

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JTの事業づくりの価値観で共感しているのは「心の豊かさ」

──阿戸さんが「変革が必要」と考えるJTのなかで、今後、ご自身は何を成していきたいと思われますか?

JTが掲げる「心の豊かさ」を実現していきたいです。ちなみに「心の豊かさ」というのは、JT創業時に謳われていた言葉で、それを新規事業に取り組む際にも「なぜそれをやるのか」を考える上での一つの標語として、掲げられたものです。

僕はJTの投資や事業づくりの考え方に強く共感しています。JTの考え方は、リターンを出さなきゃいけないけど、リターンを出せば何でも投資すればいいわけじゃなくて「自分なりに会社が提供すべきだと思っている価値」をちゃんと言語化・明文化できることが大事だ、というもので、それが僕のなかでは「心の豊かさ」なのです。

──阿戸さんは、なぜ「心の豊かさ」を実現したいのでしょうか?

僕は入社時から今までずっとJTの掲げる「心の豊かさ」に共感していて、これからも人の心を豊かにして幸せにするモノやサービスを提供したいと思っています。学生時代に研究していた「幸せ」とJTは、僕のなかでは紐づいているんですが、当時から「人がもっと幸せになるにはどうしたらいいんだろう」ということにすごく興味があって、就活でも「嗜好品」を一つの軸としていました。

嗜好品というのは、なくてもいいけど、あることによって、使う人からすると少し心が豊かになるものです。例えばたばこを吸うことでリフレッシュできたり、コミュニケーションツールになったり、嗜好品ならではの「情緒的な価値」があると思っています。

このように、僕なりに捉えている「心の豊かさ」や「情緒的な価値」といった、会社の事業づくりの考え方に共感できるのは幸せなことです。僕の場合は投資ファンドに出向したことで、自分は「事業会社そしてJTが好きだな」と再認識しました。

──投資ファンドで感じられた、事業会社との違いはどんなことでしょうか?

ファンドというのは預かった資金を最大化することが目的で、ファンドにとっては会社の成長は手段です。でも僕にとっては「投資先である事業会社がよくなっているか。従業員が楽しく働いてるか」といったことがどちらかというと大事なんです。そしてJTにも買収先の人を大切にするポリシーがあります。

ファンドも事業会社も大きな目的は一緒ですが、ポリシーや優先順位が違うことで、人や会社に対する対峙の仕方が違うんです。例えばファンドの人は、取引先や買収先を買い叩いて半分の値段になるくらいギリギリまで交渉することがあります。

一方で、僕を含めて事業会社の人の多くは、取引先に対して大幅な値下げ交渉よりも、ビジネスパートナーとして長期的な関係構築を大事にしようと考えます。このような考え方をする人が多いことや、「会社がひとつのコミュニティでみんなが楽しく働いてる」という点で、僕は事業会社であるJTが好きです。これは飲料事業で撤退を経験したことも影響していると思います。

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自分の信念を持って会社を選ぼう

──学生の皆さんは、どのようにキャリアを選んだらいいのでしょうか?

まずは「自分なりの問題意識を持つこと」と、「企業の考え方やポリシーに自分が共感できるか」を大事にしてほしいですね。あとは、僕が大企業を選択した理由でもありますが、就活において、明確にドメインとしてやりたいことを見つけるのは、なかなか難しいことだと個人的には思っています。

ですから、もしやりたいことが見つからない人は、「自分の成長の初速が速い会社を選ぶ」「自分の可能性を狭めない会社を選ぶ」という会社選択の軸を持つのも、選択肢の一つとしてあっていいのではないかと、僕は思っています。

──成長の初速を上げるポイントは何でしょうか?

僕の場合は、1年目に「飲料事業の撤退を振り返りたい」と手を挙げて、ヒアリングをまとめて提言をした経験が、大きな学びの機会になっています。トライをして、それが正解か否かはどちらでもいいんです。成功しようと失敗しようと、それでクビになるわけじゃないですし、会社の中でも外でも、行動を起こしてみる。成長するにはトライすることの繰り返しに尽きると思います。

──トライのなかでも、事業投資や事業づくりの機会は、どうすれば自らつくれるでしょうか?

トライするためには、自分なりの問題意識が必要です。おかしなことや問題は、社内にも世の中にもたくさんありますが「なんでおかしくなったんだろう? 」というところに、トライの機会はあります。

それは学生時代にもできるし、社会人になってからでもしなきゃいけないんですが、例えば僕であれば「喫煙者の不満」というテーマがあります。「どういう人が、どういうふうに、世の中に不満をもってるか」ということを知ろうとする考え方やモチベーションを持つ。問題意識を持つために、いろんな人と会って話をするということを、日々続けてみてほしいですね。

僕自身、これだけ大きな組織の考え方を変えるアジェンダや、数千億という大きなリソースを活用することに携わっているのは本当に面白くて、それが大企業で事業づくりをする醍醐味の一つだと思います。

革新が求められる大きな組織で働きたい人で、「心の豊かさ」に共感する人には、JTを入社先の一つとして見てもらえたら嬉しいです。実際に社員と話して、一人ひとりの多様な考えに触れながら「自分の問題意識やポリシーと合うか」を感じとってもらいたいですね。 

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阿戸 彰史

阿戸 彰史

日本たばこ産業株式会社
事業企画室 課長代理
2014年新卒でJTへ入社。飲料事業(当時)の営業の後、飲料事業の撤退に伴い、撤退業務に広く携わる。その後、経営企画部に異動し、海外たばこ会社のM&A案件や、たばこ事業の全体戦略や他事業の成長戦略の立案等に参画。投資ファンドへの出向を経て、現在は国内たばこ事業における、デジタルマーケティングの企画立案業務を行う。

執筆/編集

原田 奈津子

原田 奈津子

Goodfind College 編集部
慶應義塾大学経済学部卒。音楽業界、外資生命保険会社、事業開発専門のスタートアップを経てスローガン入社。学生向けキャリアアドバイザー、企業の採用支援担当を経て現職。国家資格キャリアコンサルタント。