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COLUMN

なぜ人類は宇宙を目指すのか?日本発「宇宙ビジネス」の挑戦者たち

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Written by 川村 直道

Edited by 長嶺 匡晃

イーロン・マスク氏率いる「SpaceX」、ホリエモンが出資するスタートアップ「インターステラテクノロジズ(IST)」など、宇宙開発に乗り出す経営者やベンチャー企業が今、熱い注目を浴びています。「NewSpace」という言葉が誕生し、いよいよ本格化しつつある宇宙ビジネスに挑む、日本発のベンチャー企業に迫ります。

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なぜ人類は宇宙を目指すのか?

人類が初めて月面着陸を成功させたのはいつのことか、皆さんご存知でしょうか。正解は1969年で今からちょうど50年前のことです。1960年代当時は東西冷戦の真っ最中。世界に核の脅威をもたらした米ソの争いは宇宙へと舞台を変え、地球の支配権を象徴しうる大気圏外への到達を競っていた時代です。以来国家の一大プロジェクトとして積極的に投資がなされ、人類は宇宙の探索範囲を着実に拡げてきました。

50年経過した今でも世界中が熱い眼差しを注いでいる宇宙ですが、最近ではそれにまつわるニュースをより身近に聞くようになりました。

「ホリエモンこと堀江貴文氏が出資するスタートアップ企業『インターステラテクノロジズ(IST)』が、小型の観測ロケット3号機の打ち上げに成功」「ZOZO創業者の前澤友作氏が、宇宙旅行の準備に時間をかけたいという理由で同社の社長を退任」……など。

これはいまや宇宙開発が民間のビジネスの対象として発展を遂げている表れと言えます。半導体の高性能化やハードウェアの小型化などを通じて、ロケットや衛星の開発や打ち上げなどの低コスト化が進み、参入障壁が格段に下がっているためです。
50年前には国家の威信の象徴であった宇宙開発は、今やベンチャーやスタートアップが主導する時代になっているのです。「NewSpace」と呼ばれるこの潮流の中で、果敢に挑む日本発のベンチャー企業を今回ご紹介します。

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史上初! 民間企業の月面探査プログラム始動/株式会社ispace

人類が初めて月に降り立った「アポロ計画」。それから50年の時を経て、民間企業として世界で初めて月面探査を実現しようとしている日本発のベンチャーがいます。2010年に創業し、2017年には宇宙開発分野において100億円超という過去最高額の資金調達を達成したispace。「SORATO(ソラト)」と名付けられた同社の小型探査機は、日本では次世代宇宙開発の象徴と捉えられています。優勝賞金2,000万ドルをかけた、民間による最初の無人月面探査を競うコンテスト「Google Lunar XPRIZE」で、最終レースに残った5チームのうちのひとつであることからも、高い技術力が窺えるでしょう。日本企業ですが、欧州の組織にルーツを持ち、グローバルなチーム構成が特色のispace。同社は探査機を月に送るだけでなく、最終的には月面に入植用の基地を建設することを目指しています。

株式会社ispaceのサイト
ispace

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宇宙のAppleへ。超小型人工衛星で新たなインフラを作る/株式会社アクセルスペース

「超小型衛星を民間ビジネスにする」という挑戦を、まだ宇宙ベンチャーという言葉もなかった2008年から続けているアクセルスペース。2015年にスタートした「AxelGlobe計画」では2022年までに、50機の超小型衛星の打ち上げを予定。地表の画像をはじめとする地球の観測データを提供する衛星データプラットフォームをつくり、最終的には地球上の全陸地の約半分をカバーする目標を掲げています。衛星というハードウェアとOSを全世界に提供するというビジョンは、さながら「宇宙のApple」。この地球観測インフラが普及すれば、これまで一週間かかっていた台風の倒木被害調査が画像を一見するだけで終わり、これまでは人海戦術だった駐車場用地の調査が、候補地のビル解体が始まった時点で発見できるなど、あらゆる産業を変える可能性を秘めているのです。

株式会社アクセルスペース
株式会社アクセルスペース

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宇宙ゴミ除去サービスの開発に取り組む初の民間企業/株式会社アストロスケール

国際的に喫緊の課題とされている宇宙ゴミ(スペースデブリ)問題。この60年間に数千トンもの衛星やロケットが宇宙空間に投入された結果、地球から観測できる10センチ以上の宇宙ゴミは2万3千個以上にも及びます。これらの宇宙ゴミの衝突によって人工衛星が破壊されれば、インターネットやGSPなどが世界中で使えなくなる可能性も。技術開発や国際ルールの確立が遅れているため、収益化が難しくほとんどプレイヤーのいないこの分野に、世界唯一の民間企業として挑んでいるのが、宇宙ゴミ除去サービスの開発に取り組むアストロスケール。同社は何十社もの国内中小企業の技術力を結集させ、ハエ取り紙のような粘着剤で宇宙ゴミをくっつけるという方法を編み出し、過酷な宇宙環境にも耐えうる捕捉衛星を作り上げました(※現在は磁力で吸い付ける方式を採用している)。この活動と独自技術に世界中から賛同が集まり、現在100社を優に超える企業と協業しています。彼らが人類の宇宙への道を切り拓く救世主となる日も近いかもしれません。

株式会社アストロスケール
株式会社アストロスケール

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【世界初】人工流れ星事業を手がける/株式会社ALE

「流れ星を人工的に作り出す」という前人未到の壮大な計画を進めるALE。衛星通信技術やロケットの部品開発など従来からあるテクノロジーの発展に取り組む宇宙ベンチャーが多い中、宇宙×エンターテイメントという新たなジャンルを開拓すると同時に、社会を根本から変えうる基礎科学への貢献を目指している企業です。人工衛星から物質を放出して流れ星にし、地上約200km圏の広範囲なエリアから、数百万人以上に同時に流れ星を楽しんでもらうというプロジェクトは、実現までもう一息というところまで来ています(2020年春に第一回を予定)。この人工流れ星プロジェクトにおける研究成果は、近年現実味を帯びてきた宇宙旅行への活用など、様々な科学発展への寄与も期待されています。

株式会社ALE
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一人一人の好奇心が全てのきっかけとなる

従来、国と大企業が中心となって行われてきた宇宙開発。しかし、2017年に政府が公表した「宇宙産業ビジョン2030」で、ベンチャー企業の新規参入の課題と支援が明記されるなど、ベンチャー企業が宇宙産業のイノベーションに貢献できるよう政府が支援する方向へ舵が切られました。「この10年で風向きが変わった」と多くの宇宙ベンチャーの起業家たちが言います。

今回紹介した宇宙ベンチャー企業の事例が示しているように、今後ますます宇宙が身近な存在になることは間違いないでしょう。数年後、コンサルティングファームの最大の顧客が宇宙開発企業になっているかもしれません。就活生に一番人気の会社が宇宙産業の企業になっているかもしれません。人がなぜここまで宇宙にこだわるのか。未知との遭遇を求めて?旧約聖書のノアよろしく、沈む地球からの脱出?はたまた、神の存在をどこかに信じて?
理由は何であれ、宇宙を目指した人類の好奇心が、宇宙産業を発展させ世界を変えてきました。これから社会にでる皆さんの好奇心もまた、皆さん自身、ひいては社会の可能性を広げる大きなきっかけになり得るのです。そんなことをちょっとだけ感じながら、冬の美しい星空を見上げてみてはいかがでしょうか?

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Writer

川村 直道

川村 直道

Goodfind College 編集長
早稲田大学創造理工学部出身、新卒でスローガンに入社。学生向けセミナー講師/キャリアアドバイザー、京都支社長、Goodfindのメディア・イベント責任者を経て現職。

Editor

長嶺 匡晃

長嶺 匡晃

Goodfind College 編集部
都立戸山高校出身、慶應義塾大学経済学部4年生。Goodfindのミッションに共感し、2020年入社予定、Goodfind College編集部のインターン生として奮闘中。趣味は写真撮影。