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【Goodfind創業者厳選】やりたいことがない人向けブックリスト

「将来やりたいことはありますか?」あなたはこの問いになんと答えますか? やりたいことなんてわからない。そんな人はきっと、まだその種になる知識が足りていないのかもしれません。今回は、そもそもなぜ「やりたいこと」がなければいけないのか? どんな知識を身につければ良いのか? という点についてGoodfind創業者・伊藤が解説し、その知識に準じたおすすめの書籍を紹介します。

話し手

伊藤 豊

伊藤 豊

スローガン株式会社
創業者

SECTION 1/6

なぜ「やりたいこと」がなければいけないのか

なぜやりたいことがなければいけないのか──「やりたいことは何か」と悩み、こう考えたことのある学生は多いのではないでしょうか。

結論から言うと、“学生のうちは” なくても構いません。「まだわからない」というのが健全な答えだと思います。むしろ学生のうちに「自分にはこの道しかない」と決めきっている方が、視野が狭まっているのではないかと心配してしまいます。

しかし、逆に「やりたいことなんてなくていい」と開き直ることは、将来の可能性を狭めてしまう危険性があります。ヒトが何かを成し遂げるには「周りのヒトを惹きつけ、巻き込む力」が必要になりますが、そこには周囲の共感を生む外向きの欲求=「やりたいこと」が必要不可欠となるからです。

今やりたいことがないという人は悲観する必要はありませんが、常に探し続けるという意思は持っておくことをおすすめします。

SECTION 2/6

やりたいことは知識量に比例する

やりたいことを探すうえで、なぜやりたいことが見つからないのか、その原因を考えてみましょう。私が思うに、答えはシンプルで「その人に社会知識が足りていないから」です。

やりたいことは興味・関心に、興味・関心は知識量に比例します。そのため、やりたいことがないという人は今ある興味・関心の中から見つけ出せていないか、興味・関心の元になる知識量が十分でないと考えられます。そしてどちらのパターンにも欠かせないのが「社会知識」なのです。

「やりたいこと」発見のプロセス。
興味・関心を広げ、やりたいことを発見するためにも、「社会知識」が重要となる。

前提として、「やりたいこと」発見のプロセスを考えてみましょう。やりたいことは自分の興味・関心を元に「トップダウン型」か「ボトムアップ型」どちらか一方のアプローチから生まれます。

前者は興味・関心の軸が「社会に対する問題意識」であり、「それを自分なりにどう解決するか」をやりたいことにする、課題ファーストなアプローチです。後者は興味・関心の軸が「自分の武器」に向いており、「それを社会でどうカタチにするか」でやりたいことを探す、武器ファーストなアプローチになります。

社会に対する問題意識が起点のトップダウン型のアプローチ
自分の武器が起点のボトムアップ型のアプローチ

トップダウン型のアプローチであれば、そもそもどんな社会問題があるのか、そしてそれを解決するためにはどうすればいいのかという「社会知識」が必要になります。ボトムアップ型のアプローチでも、自分の武器の社会的な価値は何なのか、どんな問題にどう活かせるのかを探るには「社会知識」が必要となるのです。

つまり興味・関心を広げるためにも、そして広げた興味・関心からやりたいことを探すためにも、「社会知識」が必須となります。それでは、社会知識の幅を広げるためには何から手をつければいいのでしょうか。今回はそんなテーマでおすすめの書籍を3冊紹介します。

SECTION 3/6

テクノロジーの概観を学ぼう

ミチオ・カク,斉藤 隆央(訳)『2100年の科学ライフ』(NHK出版,2012)

こちらの記事でもお伝えしたように、社会について考えるときには、静的なスナップショットに基づいて捉えるのではなく、時間軸思考で「社会を動的にみる」ことが重要になります。特に、社会を変化させる大きな要因である「テクノロジーの与える影響」の視点で知識を集めることは、あなたの視野を広げ、やりたいことを見つける手助けになるでしょう。

『2100年の科学ライフ』はテクノロジーの未来予想を幅広く網羅的に取り扱った本です。情報・バイオ・ナノ・宇宙などの多分野を、現代から近未来・世紀半ば・世紀末の3つの時間軸で、科学的にわかりやすく考察しています。

テクノロジーの技術的な仕組みを理解するための本ではなく、技術進化の概観について扱った本であるため、「テクノロジー=理系の話」と苦手意識をもってしまう “自称文系” の方にこそ、ぜひ読んで欲しい1冊です。

また、2100年までとロングスパンで書かれているので、世紀末での医療分野では「老化が制御可能になる」など、本当にそうなるかわからないけど、実現したら面白いという話もいくつか載っています。多くの分野を扱っているため、意気込んで全部読むも良し、目次をみて気になったところだけという読み方も良いでしょう。

テクノロジーが普及している現代で生活していると、今の世界がある程度完成されつつあると錯覚してしまいます。しかしこの本を読むと、現代はまだまだ変化の途上にあり、テクノロジーによっていくらでも発展していく可能性があることを実感できると思います。ぜひその感覚を、他の技術は未来でどうなるのか、という動的な分析に活かしてみてください。

社会知識の構成要素のイメージ
『2100年の科学ライフ』は主にテクノロジーの概観と社会変化について書かれている

SECTION 4/6

テクノロジーが社会をどう変えるのかを考えよう

望月 智之『2025年、人は「買い物」をしなくなる』(クロスメディア・パブリッシング,2019)

「どんなテクノロジーがあるのか」という概観がつかめたら、次にそのテクノロジーがどのように社会を変えるのかということを、身近な例で学んでみてはいかがでしょうか。

『2025年、人は「買い物」をしなくなる』は、私たちには身近な「買い物」の今までとこれからの変化を、テクノロジー視点で描いた本です。

これからは商品を自分で選ばなくなる? あらゆるデバイスが商品棚になる? など、テクノロジーが与える身近かつ短期間の変化を理解できる本になっています。近年話題にあがるVRや5Gの技術がどう活かされるのかも分かりやすくまとめてあり、ハードルが低く読みやすい本と言えます。

また、買い物の変化で製造業や運輸業はもちろん、ヘルスケアまでもが大きく変わるという、テクノロジーがもたらす影響範囲の広さを知ることができます。読み終わったら、単に「面白かった」で終わるのではなく、他の業界ではどうなっているか? 自分の興味のある分野のテクノロジーはどんな影響力があるか? など、興味・関心を横展開して知識を深めてみて下さい。

『2025年、人は「買い物」をしなくなる』は買い物における具体的な施策と、それに伴う社会変化が書かれている

SECTION 5/6

課題に対する上段の視点を手に入れよう

ユヴァル・ノア・ハラリ,柴田 裕之(訳)『21 Lessons』(河出書房新社,2019)

ここまで、社会知識をテクノロジーという切り口で捉えるための書籍を紹介しました。最後に、現実の諸問題と向き合うために、「社会課題」という別の切り口で本を紹介します。

今回紹介する『21 Lessons』は、テクノロジーが人間に及ぼす主導権の侵食など、「人類の課題」を21の項目に分けて紹介している本です。サピエンス全史やホモ・デウスの著者であるハラリ氏の最新作で、地域・国を超えて「世界の課題・社会テーマ」を知りたいという方はぜひ読んでみて欲しい一冊です。

テーマが「人類の課題」なので抽象度・難易度は高めです。しかし、このテーマについて学ぶことで、人類や世界への貢献に対するキーワードが見つかったり、自分が仕事をする社会的な意味を考えたりする視点が養われます。

人に関わる課題の最上段となるこの視点は、みなさんが今後、知識を集めて多くの選択肢を得た後に「今の人類に一番必要なことは何だろう」という優先順位の基準になるため、身につければ多くの場面で役に立つでしょう。

『21 Lessons』は社会に対する問題提起に重きが置かれている

SECTION 6/6

社会の今と未来を知り、やりたいことを探索しよう

前半でやりたいことの見つけ方としてトップダウン型、ボトムアップ型の二つのアプローチを紹介しました。学生ならまだしも、30代、40代になっても「やりたいことはなくていい」という態度は、社会の課題や自分の武器の活かし方が見えていないということ。これは知識不足の状態で開き直っているともとれるので、「知的に怠惰」であると言われても仕方がありません。

知識を求め、アップデートし続ける。この姿勢はやりたいことを探すことにも繋がりますが、そもそも情報が溢れる現代では欠かせないものです。現実的な処方箋として書籍を3冊紹介しましたが、他にも社会のトレンドにまつわる書籍を2、3冊読んでみてはいかがでしょうか。

トレンドの知識が頭にあるだけでも、普段の情報から課題が見えてくることがあります。例えば、デジタルトランスフォーメーション(DX)の知識。紙・判子のアナログな文化がコロナ禍でニュースになりましたが、対処できている企業とそうでない企業から、「今の日本の伝統的大企業は、システム的な転換が難しいのではないか」と分析出来るようになり、DXの課題を発見することもできるかもしれません。

自分で知識を集め、興味・関心を広げ、さらに新しい知識を探す。知れば知るほどもっと勉強したくなるときが来るはずです。みなさんにとって、今回のブックリストがそのキッカケになれば幸いです。

編集:

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