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【Goodfind代表が語る】これからの時代にキャリアを築くすべての人に贈る、「時間軸思考」のススメ

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Written by 伊藤 豊/

Edited by はざまはとり

キャリアと聞いて、何を思い浮かべますか。まだよくイメージができないという方や、今まさに自身のキャリアにおいて不安や焦燥にかられているという方もいるでしょう。本記事では、これから就職という新たなスタートラインに立つ皆さんが期待を胸に走り出せるよう、13年間にわたり学生のキャリア支援をおこなってきたGoodfind代表の伊藤からアドバイスを贈ります。

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自分が今知っている答えは、自分にとっての正解ではないかもしれない

今みなさんが興味をもっている業界・企業の中で、就活を通して初めて知ったものはどれくらいありますか。また、10年後の自分の姿を想像したとき、それらの企業や日本社会がどう変わっているかイメージできるでしょうか。

みなさんがこれからスタートする長いキャリアの意思決定者は、ほかでもない自分自身です。自らの未来を左右するこの重要な局面で、自らの可能性と選択肢を最大限まで増やすべきではないでしょうか。

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今を正しく捉える「時間軸思考」とは

自身のキャリアの可能性を広げるために、ぜひ知っておいてほしい2つの考え方があります。1つ目は「時間軸思考」。世の中の事象を論理的、網羅的に把握するための考え方としてMECE(もれなくダブりなく)などが普及していますが、そこに「時間」という軸を加えて、立体的かつ動的に捉えようとする思考のことを「時間軸思考」といいます。

時間軸には、歴史を振り返るヒストリカルビューと、未来に対して展望するパースペクティブビューがあります。過去を構造的に捉えるには、情報の収集や解釈など一定の思考が必要であり、一方未来への展望については不確実な変数が多いため、考えること自体が難度が高いのです。

そのため、多くの人は静的なスナップショットをもとに考えたり、ある時点のスナップショットに基づいた結論や通説を所与のものとしてしまう傾向にあります。時間軸を含めた動的な奥行きを捨象せずに、一定の複雑性と向き合う知性・思考体力を磨くことにチャレンジすべきでしょう。

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時間軸思考がキャリアを考える上で必要な理由

キャリアを考える際に必要なのは、自己分析であるとよく言われます。確かに自己分析による自己理解はとても大事です。しかし、自身といういわば内部要因と、自身を取り巻く企業、産業、社会、経済、技術、政治、文化といった外部要因を切り離して考えてしまう傾向にあるように思います。

本来は内部要因と外部要因を統合し、さまざまな要素を取り入れて思考すべきところです。しかし、外部要因については、せいぜい業界研究という形で、何となく知っている会社や興味のある業界の研究をしてみる程度しか、思考できていない人が多いのではないでしょうか。

そして、企業、産業、社会、技術といった要素は、時間とともにかなりダイナミックに変化するという特徴があります。変化が大きいものである以上、時間軸の取り込みは必須。ゆえに、自身のキャリアを考える上でも「時間軸思考」が必要になるのです。

◆時間軸思考を鍛えるための推薦図書リスト◆
  1. 小熊 英二『日本社会のしくみ』(講談社現代新書,2019)
  2. マイケル・E. ポーター,竹内 弘高『日本の競争戦略』(ダイヤモンド社,2000)
  3. 野口 悠紀雄『戦後経済史』(東洋経済新報社,2015)

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時間軸思考の重要性に気づいたきっかけ

私自身が時間軸思考の重要性に気づいたきっかけをお話しします。99年に就職活動をしていた私は、これから情報技術が重要になると考えてIT業界に興味を持ちました。そして、当時経営人材を多く輩出していた某外資系IT企業に入社しました。

これは、今振り返れば、時間軸思考が欠如している典型例です。企業の出身者が活躍している、出世しているというのは、本来静的に捉えられるものではなく、人材輩出というもの自体がサイクルである以上、動的な捉え方をすべきものです。

先述のとおり過去の私は、出身者が多く活躍しているという事象を見て、自分にも短絡的に当てはめてしまっているため、時間軸を正しく取り込めていないと言えます。経営者として活躍している人材は40~50代であり、20~30年前の同社に就職している。その頃の同社はどんな会社だったのだろうか。当時の会社の規模、仕事の中身、業界や市場などを考えてみて、後に経営人材を輩出するような要因があったのではないか?そして、今もこれからも、その要因は相違ないだろうか?という検証をすべきでした。

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未来を正しく捉える「テクノロジー社会学」

2つ目の考え方は、テクノロジー×社会知識です。ここでは「テクノロジー社会学」とでも呼びましょう。テクノロジーが社会をどう変えて行くのか?について学ぶことは重要です。文系、理系を問わず、テクノロジーの概念を理解して社会の動向がどうなるかを考察し、概念的に理解する必要があります。AIや拡張現実、ブロックチェーン、3Dプリンティング、ゲノム編集などの技術によって、どんなことが社会に起こりそうかということを学ぶのは、産業や社会を動的に見る訓練になり、興味・関心を広げることにもつながるのでおすすめです。

興味・関心を広げることは、キャリアの選択肢を増やすことに直結します。そしてその前提として興味・関心は知識量に比例するので、社会の潮流に合わせて自分自身の興味・関心をチューニングしていく意識も大事です。その意味でも、テクノロジー×社会をテーマにした未来予測系の書籍などを通して、できるだけ知識をインプットすることが有効でしょう。

たとえばAmazonという巨大企業が企んでいることを研究してみたり、AIやブロックチェーンでできることを勉強したりすると、バンキングをはじめとする既存の金融の仕組みがずっと続くのだろうか、という疑問を持つようになるかもしれません。

◆テクノロジー社会学に該当する推薦図書リスト◆
  1. 田中 道昭『GAFA×BATH 米中メガテックの競争戦略』(日本経済新聞出版社,2019)
  2. ケリー・ケヴィン,服部 桂『〈インターネット〉の次に来るもの』(NHK出版,2016)
  3. スコット・ギャロウェイ,渡会 圭子(訳)『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』(東洋経済新報社,2018)
  4. ジェフリー・G・パーカー,マーシャル・W・ヴァン・アルスタイン,サンジート・ポール・チョーダリー,『プラットフォーム・レボリューション』(ダイヤモンド社,2018)
  5. 藤井 保文,尾原 和啓『アフターデジタル』(日経BP,2019)
  6. 蛯原 健『テクノロジー思考』(ダイヤモンド社,2019)

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時間軸思考とテクノロジー社会学でより良いキャリアに近づく

最後に一つ、時間軸思考とテクノロジー社会学の有用性の例を挙げます。例えば、日常的に人々が消費するものづくりに関わりたいと思っている人の多くは、大手メーカーを志望するでしょう。しかし大企業がメーカーとして圧倒的に有利だったのは、大規模な店舗の棚に商品を並べてCM広告を大々的に打たなければ、消費者に届かなかった過去の話です。また、インターネットの普及とともに日用品マーケットは激変し、ECプラットフォームやSNSマーケティングは当たり前、実店舗や巨額の広告費は必ずしも必要ではなくなります。これらを踏まえると、大手メーカーだけでなく近年海外ベンチャーが次々と成功を収めているDtoCモデル(消費者直結型の販売モデル)を取り入れているベンチャー企業も有力な選択肢になるでしょう。これが、時間軸思考とテクノロジー社会学を持ち合わせているか否かの違いです。

このように、テクノロジーが及ぼす社会変化を知ることで興味・関心の対象が時代に即して広がっていき、その領域を時間軸で見られるようになれば、より多くの事象をより多面的に捉えられるようになります。そうすることで、最大限に広がった選択肢の中から、筋の良いキャリアにつながる道筋を選ぶことができるでしょう。

キャリアに正解はありません。自身にとってより良いキャリアを築くために、その時最善だとおもう選択をするだけです。また、選択して終わりではなく、それを自身にとっての正解にする努力を怠らないことが大切です。もっと良い選択肢があったかもしれないと安易に逃げようとするのではなく、自分と向き合いなにか一つでもやりとげてみてください。Goodfind Collegeではこれからも、皆さんがより良いキャリアを築けるように、社会にでてから本当に必要な知識や知恵、もつべき視点を伝えていきます。

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Writer

伊藤 豊

伊藤 豊

スローガン株式会社 代表取締役社長
1977年栃木県生まれ。2000年に東京大学文学部行動文化学科心理学専修課程卒業。日本アイ・ビー・エムを経て、2005年にスローガン株式会社を設立し、2006年よりGoodfindの運営を開始。その後、キャリア分野のサービス以外にも、FastGrowやTeamUpなどメディア・SaaS分野での事業を展開。

Editor

はざまはとり

はざまはとり

Goodfind College 編集部
北海道大学工学部卒。周りに進学をすすめられるも自由を求めて渡仏。1年弱のゆるやかな留学を終え帰国後、就活を始める。早々にスローガンと出会い入社。Goodfindメディア編集長を経験して今に至る。