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EVENT REPORT

成長企業3社の人事トップが明かす「理想の組織とその裏側」

公開日:

Spoken by 山田 芳久, 法田 貴之, 崔 大宇

Edited by 原田 奈津子

Sponsored by パーソルキャリア株式会社

未来を「かたちつくる」トップビジネスパーソンが集結するイベント「Goodfind Shapers Tokyo2019」。本記事では、アカツキ、DeNA、パーソルキャリア の人事責任者による対談の様子をご紹介します。

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【登壇者紹介】~事業を経験して人事になった3人のキャリア~

――はじめに、登壇者の皆様の自己紹介をお願いします。

アカツキ法田:人の感情を動かすエンターテインメントを展開しているアカツキという会社でCHRO(人事最高責任者)をしています。これまで大企業、外資コンサル、メガベンチャーで事業企画や経営企画などを経験してきました。アカツキは初めて「人」で選んだ会社です。事業リーダーとして入社しましたが、CEOからの「事業目線での人事を」という期待を受けてCHROになり、現在に至ります。

DeNA崔:DeNAは、ソーシャルゲームを中心に、2011年に球界に参入するなど、ゲーム以外にも新規事業を手がけている会社です。私自身はエンジニアとして入社してゲームの開発・運営を経験した後、社長室、韓国のモバゲー立ち上げ、中国でのローカライズチームの立ち上げ、メディア事業、新規事業を経て、人事本部長をしています。

パーソルキャリア山田:パーソルキャリアは「HR・はたらく」に関するサービスを提供している会社です。2017年にインテリジェンスから社名変更しました。私は2007年にインテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、法人営業を7年間経験した後、新卒採用、戦略人事を経て、現在は組織・人材開発部のゼネラルマネジャーをしています。また個人事業主として、大学でキャリアの授業もおこなっています。

左からアカツキ法田氏、DeNA崔氏、パーソルキャリア山田氏

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【理想の組織とは】事業やミッションを成すためにつくられている

――人事責任者として、「理想の組織」とはどのようなものだと考えていますか?

アカツキ法田:人と組織ってなんだろうと考えた時に、地球に喩えてみるとわかりやすいかなと思います。地盤があって、土壌があって、木花が咲いていて、そこに広がっている世界。

これを会社に置き換えてみると、地盤となるのは「会社の社会的な信頼」で、その上に広がっている土壌が「人や組織」です。さらにその土壌に適した木花、つまり「事業」が咲いていて、そこに広がっている世界が「会社の目指すビジョン」です。

人と組織はまさにこの土壌であり、その中で「どんな土壌を作っていくのか?」「どのように土壌を耕していくのか?」を考えるのが人事の役割だと考えています。

DeNA崔:前提としてDeNAでは、高いプロフェッショナリズムが求められます。そして、全社員に求める行動指針であるDeNA Qualityでも掲げているように、「こと」に向かうということを大事にしている会社です。

組織として「こと」を成していこうとする時に、会社のビジョンに対して自分がどのように力を発揮しようとするかは非常に重要です。たとえ個のスキルは未熟でも、「こと」に向かって一人ひとりが自分の能力を最大限発揮すれば、企業の枠組みはどんどん大きくなっていきます。社内ではこれを「球の表面積を広げる」と言っています。

一人ひとりがプロであるという前提で、個人が苦労している部分や苦手な分野を、いかに組織で補い合えるか。そうして支え合ったときに、「個人では成し遂げられない組織力が発揮される」と考えているので、この点を重視しながら人事施策を考えています。

パーソルキャリア山田:ビジョンに加えて会社のミッション、つまり何のために・何の目的で会社が存在しているのかというのは、組織を考える上でとても大事なテーマだと思います。

皆さんはこれから会社という「場」を選んでいくわけですが、「いま、その会社が何をしているのか」は、Howの話に過ぎません。それよりも、会社が「成そうとしていること」に共感し、熱意を持つことができるか。組織全体としてもそこに対する熱意を持っているか、あるいは一貫性を持って取り組んでいるかは重要なポイントです。

スキルや戦略といった手段を起点にするのではなく、「何を成し遂げたいのか」を中心に考え、「成し遂げたいこと」に対して、事業やサービス、制度や文化作りが行われているか、経営の意思決定や社員一人一人の判断が行われているか、が大切だと思います。

アカツキ法田:確かにビジョンやミッションを大きく掲げている会社はたくさんありますが、学生の皆さんが端的にそこだけを切り取ってしまうと、少し誤解が生じる気がします。その会社がどういう事業をしていて、その事業をしているからこそ、それに沿う文化やミッションがあるという風に、繋げて捉えてみてもらいたいと思います。事業やミッションを成すために人や文化、組織が作られている。そういう部分に注目してもらいたいですね。

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【理想の人事とは】経営戦略の要として、組織のパフォーマンスを最大化する

――では、その中でどのような役割を果たすのが理想的な人事なのでしょうか?

アカツキ法田:理想的な人事って、会社の「考える筋力を鍛える」パーソナルトレーナーのような役割なのではないかと思います。易きやり方はないので、人事が組織づくりを完全に預かるのではなく、事業サイドの意向を織り交ぜながら、いかにディスカッションしていく場を作れるのか、考えるための材料を提供していくことができるのか。そうして組織として心・技・体をいかに培っていけるのか、というのを大切にしていきたいと考えています。

DeNA崔:甲子園を目指す高校野球チームで喩えるなら、以前は、自分がキャプテンとしてチームを引っ張り、打席に立ってホームランを打てば勝てるという感覚でした。でも自分でマネジメントを担ってみると、「絶対このチームで甲子園に行きたい」という想いを強くもったマネージャーみたいな考えに変わっていったんです。

チームには、バントや盗塁、守備が上手い選手やホームランバッターまで様々なタレントがいます。そこで一人ひとりが持つ強みを発揮できる状態を作ってあげる、それぞれが得意なものに集中できる環境を整えてあげる。場合によっては掃除や洗濯まで、自分が出来るサポートを徹底的にやって、100%『こと』に向かえる状況をつくってあげる。

そういうことを戦略的に仕掛け、組織を強く育てていき、チームとして勝利していく。これを成し遂げられるのが理想の人事ですね。

パーソルキャリア山田:ドラマなどで取り上げられる人事って、割と悪役が多いですよね(笑)。もしかしするとそんな印象が強いかもしれませんが、社内の誰とでも話すことができるポジションですし、人事の仕事にはとても面白味を感じています。

人事は、色々な人と話をして会社のベースを作るのが大事な仕事だと考えているので、社長や役員はもちろん、入社一年目の社員まで幅広く話をします。事業が多角化して成長していくと、組織のどこで何が起きているのかが見えづらくなっていくんです。そうすると、気づかないうちに組織の中に歪みや、意思疎通が取れない状況が出てきます。

中長期戦略や日常的な判断、制度やコミュニケーションスタイルなど、色々な物事において一貫性をもって取り組むことが会社の文化形成上非常に大切になってくるわけです。そうした経営戦略において重要な要素を作っていくことを、人事として一番重視すべきと思っています。

人事の役割は「人を育成する」、「組織の文化を作る」ことだと思われがちですが、社員一人ひとりが主体的に頑張った先に人が育ち、日常の何気ないコミュニケーションや細かい意思決定の積み重ねで文化は築き上げられるもの。

人は育てようとして育つものではないし、文化は作ろうとして簡単に作れるものではありません。だからこそ戦略やシステムは模倣できても、組織や人は簡単には真似することができないんです。

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【特徴的な人事制度】制度からわかる、会社の「人と組織」への考え方

――各社の色がわかるような、特徴的な人事制度があれば教えてください。

アカツキ法田:アカツキでは「Whyから始める」文化があり、それを具現化する形で「カラフルキャンバス」という制度があります。プロジェクトごとに「なぜそれをやるのかを考える」ための仕組みです。「自分のプロジェクトは世界に何をもたらすのか?」「自分のチームは何を目指すのか?」など、リーダーがまず答える問いが用意されています。

全社のビジョンやミッションは抽象的なので、プロジェクトは自ずとそれを包含したものになるんですが、全社ビジョンからリーダー自身の考えを取り入れ、それをプロジェクトのWhyとしてビジョンへ戻していくことを具現化する。プロジェクトが始まる時に必ずそれを書くということになっています。

DeNA崔:昨今だと個々人の能力次第では、企業に属さなくても良い世の中になっていて、自分のパッションやWILLがどこにあるのかが重要になってきていると思います。

そういう事情も踏まえて、DeNAでは、「他部署の事業に共感した社員が、人事を通さずに異動先の本部長と握手をすれば異動成立」という「シェイクハンズ制度」があります。あそこでやってみたい、このスキルをあの部署で磨きたい、というような、本人のWILLが部署と合致すれば交渉成立です。

「だったら頑張れ」という環境を作り上げていく、「打席に立つのはもちろん、打席すらも自分が作る文化」を重要視しているからこそ存在する制度の一つですね。

パーソルキャリア山田:「チャレンジしてみる」という観点で挙げると、一つ目は「キャリアチャレンジ制度」です。自分で手を挙げて他部署に異動できる制度ですが、「異動希望制度」だけであればやっている企業は多くありますよね。

「キャリアチャレンジ制度」のポイントは、実際にグループ内の求人サイトを設けているという点です。異動時期は4月と10月の年二回と決まっていますが、社員がより主体的に考えられるように、全てのポジションについて記事化し、どういうポジションでどういう仕事が行われているかを公表しています。

二つ目は「社内ダブルジョブ」という制度で、自分の働く時間の何割かを別の部署で働いても良いという「社内副業制度」です。当初は、社員が独自で始めた取り組みなのですが、結果的に制度になったという経緯があります。

もう一つグループ内に「Drit(ドリット)」という新規事業立案制度があります。これまではグループ内限定の制度だったのですが、実施するなかで「ミッションやビジョンを実現するための制度なのに、社内限定である必要があるのか?」という疑問が持ち上り、2019年から社外からでもエントリーが可能となったのが特徴です。なので、転職した同期と一緒に起案してもOKだったりします(笑)。

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【各社の特色】人事責任者が自社を一言で表現すると…

――自社を一言で表すとしたら、どんな言葉になるでしょうか?

DeNA崔:DeNAを一言で表すと「フラット」ですね。僕も新卒で入社して中国へ行きマネージャーになって、帰国して平社員に。そこから部長になって、平社員になって、執行役員になったという経歴の持ち主です。それほどフラットで、役職は年功序列ではありません。

一年目でも何かと意見を求められますし、「何かをやりたい時は手を挙げてやる」ということが奨励されています。スキルがあろうとなかろうといきなりフラットさを求められる。逆に言えば、それが苦手な人にとっては息苦しい会社かもしれないですね。

アカツキ法田:一言で表すなら「分かち合う」という言葉です。アカツキのロゴはカラフルな色使いですが、色んな色の光が重なって分かち合っていくと色は白になるというのをロゴでも表現しています。

例えばみんなでミーティングをやる時に、必ず最後にその場で3人ぐらいのグループになってもらい、「今日聞いたことをみんなで分かち合ってください」ということをやるんです。何を話しても良いし、誰が正解でもなく話してもらう。さまざまな場で、社員が「感情を出す」ことを大切にしています。違いがあっても「分かち合う」ということを重要視していますね。

パーソルキャリア山田:「チャレンジ」という言葉が挙げられます。パーソルグループは、ビジョンに「はたらいて、笑おう。」を掲げ、ビジョンを実現するために、パーソルキャリアでは、“人々に「はたらく」を自分のものにする力を”をミッションに掲げています。ビジョン・ミッションの実現に向けてバリューを育んでいくことを大切にしている組織体であり、「人」の可能性を信じている会社です。

だからこそ、当社の競争力の根源も「人」だと思っています。そのため、社員に対する期待は非常に大きく、どんどんチャレンジしよう、失敗を恐れず挑戦しよう、社員一人ひとりが創造力・感性などを最大限沸き立たせながら働くことを楽しもう、同時に組織として目的意識を持ち、大切になる価値観の共有を濃く行っていく、そういう組織文化が、ミッション遂行の根幹になると思っています。

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【企業・組織選択のポイント】自らの選択を正解にするために、より深い自己の探索を

――現役人事として学生の皆さんに伝えたい、企業・組織選択のポイントがあれば教えてください。

DeNA崔:予想外のところに自分の適性があるかもしれないので、初めから自分の個性がどこで発露するかを自分で決める必要はないと思います。

僕は就活で大手企業中心に30社以上の選考に落ちるという経験をしています。ただ、当時DeNAの面接官には、「何で30社以上に落ちたと思う?DeNAと出会うためなんじゃない?」と言われました(笑)。ですから、最後にはきちんと自分を見てくれる会社があるはずなので、落ちることにめげる必要はありません。

おそらく人事の方も「うちの会社じゃなくて、もっと合う会社がある」という気持ちで落選を伝えているはずです。むしろ、人を見るプロがそう判断しているのだと捉えてみてください。

自分の体質に合っている会社に出会わないといけないので、とにかく「自分は何者か」と「自分に合いそうなところ」を考える。自分が合うところに行けば活躍できると考えています。もし、希望とは違う会社に入社したとしても真剣に仕事をして何かを成し遂げる気概でやれば、その先にはまた違う景色が見えてきて、転職などで、自分の人生が何なのか考える機会や選択肢も増えていくはずです。

アカツキ法田: 先ほど社内制度の話もありましたが、社内外に色んなチャンスが広がっているからこそ、自分でキャリアのストーリーを組み立てることが大切になってきます。

出会った会社の中で「何を得るために入り、次のキャリアにどう繋がるのか」というストーリー(筋書き)を考えて、その会社がどのように自分に合うかをイメージしてみる。事業だけではなくて、人事や文化など「人の面」も見てイメージしてほしいですね。そのストーリーを持って面接で話をしていくと直感的に感じるものがあると思います。自分の組み立てたストーリーと面接で感じた直感を照らし合わせることで、さらにイメージが膨らむのか、膨らまないのか自分のなかで強く反応するんじゃないかなと思います。

皆さんはこれから就職活動で色々な事象に出会うと思います。面接でうまく話せずに落ち込んだり、志望する企業の選考に落ちてしまったりするかもしれません。そういう時にも、自分が輝いていくストーリーを選択して作っていくことに、取り組んでみて欲しいと思います。

パーソルキャリア山田:結局、何が正解かは分からない中で、それを正解にしていくことが大事なんだと思います。後から振り返って「あの時、ああすれば良かった」と思うことがあったとしても、未来を創れるのは過去ではなく今でしかありません。今に起点を置いて正解につなげていくことができれば、どの企業を選択しても良いのではないかと思います。

ただ、敢えて一つ挙げるとすれば、自分の中で「何をもって『場』を選ぶのか」という軸を一つに絞ることです。複数あったとしても一つに絞り、自分が本当に譲れないものは何なのかという軸だけはブラさずに持っておく。そして、多角的な視点で「それはどうしたら実現できるんだろう?」ということを考えてみてもらいたいですね。

就活のタイミングで自分の人生を考えて、自分や周りのこと、これまでの人生を振り返るのは素敵なことだし、意味を探索するのは人生そのものですよね。何より就活をしている今を楽しんでほしいですし、自らの選択で未来を創っていってほしいと思います。

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Speaker

山田 芳久

山田 芳久

パーソルキャリア株式会社 人事本部 組織・人材開発部 ゼネラルマネジャー 中央大学 客員講師 米国CCE,Inc.認定 GCDF-Japan キャリアカウンセラー
2007年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)入社。メディア事業部の人事企画として採用から研修までを一貫して担い、法人営業時代には社内表彰にてグランプリを獲得。その後、新卒採用部門を立ち上げ、東日本エリアマネジャーとして、採用計画・実行までをけん引。現在は、人材開発部門のゼネラルマネジャーとして、人材と組織文化を育むことを目的とした様々な取り組みに従事。
法田 貴之

法田 貴之

株式会社アカツキ CHRO(Chief Human Relations Officer)
米国テキサス大学卒業。NEC、アクセンチュア、グリーを経て2017年にアカツキ入社。ライブエクスペリエンス事業リーダーを経て、人事責任者に就任。アカツキの「A Heart Driven World」のビジョン実現を目指し、自らのミッションとして「人生が輝く働き方を創造する」ことに力を注いでいる。
画像出典:スマートワーク総研(https://swri.jp)
崔 大宇

崔 大宇

株式会社ディー・エヌ・エー 執行役員 ヒューマンリソース本部長 兼 コンプライアンス・リスク管理本部長
東京大学 大学院 工学系研究科航空宇宙工学卒、2010年DeNAに新卒入社。 エンジニアとしてソーシャルゲームの開発に携わった後、中国など海外拠点での事業開発を担当。その後エンタメやメディア、AI領域での新規事業立ち上げを経て、ヒューマンリソース本部長に就任。2019年4月からコンプライアンス・リスク管理本部長を兼任。

Editor

原田 奈津子

原田 奈津子

Goodfind College 編集部
慶應義塾大学経済学部卒。音楽業界、外資生命保険会社、事業開発専門のスタートアップを経てスローガン入社。学生向けキャリアアドバイザー、企業の採用支援担当を経て現職。国家資格キャリアコンサルタント。