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COLUMN

【30年間就活をみてきた採用のプロが語る】就活生が意外と知らない会社選びの5つの事実・後編

公開日:

Spoken by 米田 靖之/

Edited by 長嶺 匡晃

「社風に偏差値は存在しない」「Webのデータを見るより社員に会うべき」──人事・採用の経験を通じて多くの学生を見てきた元JT人事部長 米田 靖之氏が「正しい会社の選び方」について語るインタビューの前編に引き続き、後編です。

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事実(4) 「良い会社」と「自分に合う会社」は違う

5年間、120%のマインドで仕事に取り組み続けるためには「一生懸命になれる環境」にいることが大切である、と前回お話ししました。では、「一生懸命になれる環境」とはどのような環境でしょうか。それは、「社風が合う会社」であることです。いくら興味のある業界でも、社風の合わない会社で頑張り続けるのは難しいのです。合わない会社に入って頑張り続けられなくなるリスクが、チカラをつけるための最も大きな障害要因になってしまいます。では、社風を知る方法や、注意点を皆さんに伝授していきたいと思います。

1. 判断材料はデータより「そこで働く人々」

会社選びの際、学生は福利厚生や研修体制など、明確なスペックを判断材料として「頼る」傾向にあります。ただしデータは過去のものであったり、10年後はどうなっているか分からなかったりと、不確かなもの。そこで唯一ずっと変わらず信用できるのが、そこで働いている人たちが生み出す雰囲気(=社風)というわけです。

2. ポイントは社風が「自分に合っているか」

社風には偏差値は存在しません。というのも、現代の日本には「良い会社」は沢山存在しますが、企業選びのキモは「良い会社かどうか」ではなく、「社風が自分に合っているか」という点だからです。また、社風が同じ会社は存在しないということも覚えておいてください。業態が同じでも、社風は全く違うもの。例えばですが、皆さんもご存知の広告代理店のトップ2社は、全く社風が異なります。

3. 社風=企業の考え方ではない

そこで注意したいのが、社風というのは会社の考え方ではなく、環境を指すということ。例えば、大学で寮を選ぶ時、居心地が良いところを選ぶことができれば、大学4年間の精神状態やモチベーションが変わってきますね。これと同様に、企業の環境が、一生懸命にやり続けられるかを左右してくるというわけです。そういった環境を、社員の雰囲気から知ることが大切になってきます。

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事実(5) 3人の社員に会えば「社風」がわかる

社風というものは、規模や業界からは判断することができません。皆さんが「感じ取る」しかないものです。ただ、社風を知るために、何かの媒体を通して判断しようとするのは、とても危険です。かといって、10人20人の社員に直接会うというのも、なかなか難しいでしょう。では、現実的に可能な最も有効な方法とは一体なんでしょうか。

1. 社員3人と会えば、社風は感じ取れる

ずばり、社風というものは実際にその会社の社員に会わないと感じ取れないものです。Webでデータを見るよりも、どんどん人に会いに行きましょう。では、社員1人と会って判断してしまってもいいのでしょうか。答えはノーです。「最低3人」に会うということを覚えておいてください。ただそうは言っても、就職活動の時間は限られているため、戦略は必要となってきます。会うべき3人と会うということを心がけておくことが大切です。

2. 会うべき3人には条件がある

どんな3人に会えば良いかというと、「社風に染まっている人に会う」ということに尽きます。会う相手が社風に染まっているかを判断する指標は、入社5年目以上であるかどうか、ということ。ただし、1Wayである面接の場で面接官と話しても、社風を感じとれるだけのコミュニケーションに至らない場合があるため、注意が必要です。

3. 労力がかかる社風調査。業界は絞らずに行うべし

1社あたり3人の社員に会うのは、非常に労力がかかります。でも、たとえ現時点で興味がない業界であっても、そこが自分に合う可能性もあるで、最初から業界を絞ってしまわないようにしましょう。結婚相手を探す時に、「憧れの○○大学の人としか会わない!」などと絞っているうちは出会えなかったりするものですが、何の気なしにふと出会った人と結婚したりするものですよね(現代の就活は結婚相手ではなく恋人探しに近くなっているとも言えますが……)。全く業界を絞らないというのは現実的に難しいかもしれませんが、自分の志望する業界だけに絞るのではなく、興味の持てる業界をいくつか選び、そこから絞っていくということを心がけてみましょう。

これまで、この社風の大切さの話は、様々な場所で多くの学生に伝えてきましたが、中でもよくされる質問がいくつかあります。そこで今回は、先んじてそれらの質問にも回答しておきます。

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Q&A「とはいえ、職種や業界も大事なのでは?」

Q. 自分に合った会社えらびをするためには「社風」を知ることが大切である、というお話を伺いました。とはいえ、「職種」や「業界」も、会社えらびの際に重視した方がいいのではないかと思うのですが……。

A. スポーツだと種目によって使う筋肉が違いますが、ビジネスの場合、使う重要な筋肉は皆同じです。それは「何をやるかを考える力」「どうやるとうまくいくか、考える力」「決めた戦術を実行する力」の3つです。ある種、ビジネスというものは、ベースとなる筋力は共通なスポーツなんです。マーケティングの仕事と、経営戦略の仕事と、営業の仕事は全然違う、と言う人もいるかもしれません。でも大きく異なるのは、知識の部分だけです。これは僕の経験談ですが、仕事のできる専門家が社内異動で、これまでと全く異なる仕事をすることになっても、やはりその人は仕事ができる、というケースが多いのです。皆さんには、「職種」や「業界」で会社選びをするのではなく、職種や業界を卓越して活躍できる筋肉(=チカラ)を身につけることができる会社を選んでほしいと思います。

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Q&A「志望企業の社員にだけ、会いに行けばいい?」

Q. 社風を知るためには、「社風に染まっている社員=実際にその会社で働いている社員に会うことが必要」とのことでしたが、自分の志望している会社の社員にだけ、会いに行けばいいのでしょうか?

A. 自分の行きたい会社だけではなくて、会えるチャンスがある会社の社員に会いに行く、というスタンスでいてください。ただし、時間は限られているので、「戦略と偶然の組み合わせ」を重要視しましょう。例えば、10社受けるとしたら、5社は行きたい業界、残りの5社はそれぞれ異なった業界にしてみるのです。つまり、偶然の入る余地を残しておくわけです。他業界の企業を選ぶ時は、合同説明会などで様々な企業の話を聞いて、直感でいいなと思った企業を選ぶなど、自分の生の感覚も大切にしてください。これで、「自分の志望する業界における一番合う会社」と、「業界を超越して自分と合う会社」の二種類に、自ずと出会えるはずです。

これまで、2回にわたって「自分に合った企業の選び方」についてお話ししてきました。「社風」を知ることが大切であるということが、わかっていただけたでしょうか。皆さんが自分に合う企業を選び、本来持っている能力を最大限に発揮して活躍されることを願っています。

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Speaker

米田 靖之

米田 靖之

元JT執行役員R&D責任者
1982年日本専売公社(現JT)入社。人事部長、製品開発部長、たばこ中央研究所長を経て、執行役員R&D責任者となる。2015年末退任し、現在は複数社のアドバイザーを務める。

Writer/Editor

長嶺 匡晃

長嶺 匡晃

Goodfind College 編集部
都立戸山高校出身、慶應義塾大学経済学部4年生。Goodfindのミッションに共感し、2020年入社予定、Goodfind College編集部のインターン生として奮闘中。趣味は写真撮影。