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COLUMN

「企業研究、楽しめてますか?」入社後も役立つ情報収集との向き合い方

いよいよサマーインターン本格化! 学生のみなさんはインターンで活躍するため、また続く採用選考を通過するために、業界・企業研究をしっかり行っている頃かと思います。しかし、もしその研究の目的が就活のためだけになっているとしたら、貴重な成長機会を逃しているかもしれません。今回はGoodfindで5,000人を超える学生を支援し、トップ学生のコミュニティマネージャーを歴任した北村より、就活にとどまらない、入社後の活躍に繋がる企業研究との向き合い方をお届けします。

話し手

北村 貴寛

北村 貴寛

スローガン株式会社
コーポレート部 経営企画担当 兼 Goodfind講師

SECTION 1/5

企業研究って、正直面倒

「企業研究って、どこまでやればいいんですか?」──多くの学生から頻繁に聞かれる質問の一つです。この「やればいい」という言葉に表れている通り「面倒だけど必要だからやっている」という人が多いのではないでしょうか。

思い返してみれば、就活をはじめた頃の私も、みなさんと同じように感じていました。企業研究は調べても調べても分からないことが出てくるばかりで、辛くて面倒くさいものである、と。

しかし、企業研究の方法と捉え方を工夫することで、就活中盤からは「楽しいもの」に変えることができました。それだけでなく、その工夫から得たノウハウは、商社時代から今の仕事に至るまで、私のキャリアの中で大きな武器となっています。

面倒だと感じる企業研究も、工夫次第で楽しくなる。

今回は私の経験を元に、みなさんの企業研究のヒントになるノウハウをお伝えします。どうせやるなら楽しみながら、今後のキャリアで活かせる武器を磨いていく時間にしてしまいましょう。

SECTION 2/5

企業研究って、どこまでやればいいんですか?

まず、みなさんが知りたいことは企業研究の中身かと思いますので、私なりの考えを共有します。企業研究のポイントは次の2つです。

  • 目標を明確に設定する
  • 3つの視点を意識して情報を集める

1つ目のポイントは目標設定。なんとなく調べ始めてしまう人も多いかもしれませんが、明確な目標設定はどこまで調べるかの指標となり、過不足なく効率良い情報収集に繋がります。

目標はみなさんの状況に応じて変えて欲しいのですが、今回は「企業研究して得た情報をどう活かすか」に着目した目標を例として進めていきます。

企業研究の目標の例:面接官に「質の高い質問」ができるようになること
質の高い質問とは、自分の意思決定に必要な情報を集めることができる質問のこと

2つ目のポイントは情報収集の視点です。「主体」「客体」「俯瞰」の3つの視点を意識的に分けて考えてみましょう。それぞれの視点から企業研究をすることで、目標に必要な情報(今回は質の高い質問のための仮説)を多面的に集めることができます。

  • 「主体」:対象の企業が発信している情報
    収集例)企業HP、企業名検索で時事ネタ・インタビューなど
  • 「客体」:対象企業に対し、別視点での評価情報や、競合の情報
    収集例)転職サイトの口コミ、同サービスの競合や業界内での立ち位置など
  • 「俯瞰」:業界・社会のトレンドなど、主体・客体に影響を与える事実情報
    収集例)その企業の業界/カテゴリに関する書籍。ビジネス系メディアで企業と関連するトピックの連載記事など
企業研究における情報収集の3つの視点。
それぞれの視点で調べることで、多面的な情報を集めることができる。

実際に、目標設定と3つの視点の情報収集を併せた「事業についての質問」を、楽天を例に考えてみると次のようになります。

質問する学生:モバイル開発の企画に興味がある

質問相手:楽天株式会社の社員

「主体」

収集した情報

新サービスとして楽天モバイルを立ち上げている

情報から考えられる仮説

新卒でもモバイル事業に関わるチャンスがあるのでは

考えられる質問項目

直近で力を入れている楽天モバイルの部署に、配属される可能性はどのくらいあるか

「客体」

収集した情報

楽天モバイルはドコモ・auなどのMNO(移動体通信事業者)と競合している

情報から考えられる仮説

入社後に差別化に伴う業務を任される可能性があるのでは

考えられる質問項目

既存MNOとの差別化要因と、それに伴う業務特性はどのようなものか

「俯瞰」

収集した情報

  • 社会的に消費者のニーズが多様化
  • MNO各社を中心にプラットフォームを活用した独自の経済圏が成り立ちつつある

情報から考えられる仮説

サービス独自の付加価値を出すために、既存プラットフォーム事業との連携が増えていき、自分がそこに関わる可能性があるのでは

考えられる質問項目

ECや決済などのプラットフォームサービスと連携した付加価値創出の取り組み事例と、今後の展望はどのようなものか

客体・俯瞰の視点で得た仮説が、より入社後の働き方をイメージを引き出す質問となり、意思決定の材料になる。また、多面的な情報収集から生まれる仮説思考が、面接官から評価される場合もある。

このように、視点を組み合わせて研究することで、進路選択をより納得のいくものにする「深い情報を引き出す質問」を作り出すことができます。

視点を増やすほど情報収集は大変になっていきます。特に俯瞰情報に関しては、社会全体の流れや土台に関する知識のため、一定量の勉強は覚悟しなければなりません。しかし、一度身につけば多くの業界・業種で役立つ知識でもあるため、採用選考が本格化する前に時間を割く価値は十分にあります。

多面的な視点で大量の情報収集を進めていくには、焦りすぎず、企業研究自体を楽しめるようになることが重要となります。そこで今度は、企業研究を楽しむコツをお伝えしていきます。

SECTION 3/5

企業研究を楽しむには?

企業研究を楽しむ1つのコツは「情報のシャワー」を作ることです。

「情報のシャワー」とは、必要な情報を浴び続けられる仕組みのこと。GoogleアラートやTwitter、Facebookなどを活用し、検索ワードやフォローを調整することで、必要な情報を日常的に確認できる仕組みを作るのです。

なぜ情報のシャワーが楽しむために有効なのか、それはみなさんの企業・業界に対する「興味・関心」を引き出すことに繋がるからです。趣味にまつわる情報収集が楽しく行えるように、企業研究も対象への「興味・関心」が強くなれば、面倒だと感じる情報収集も楽しくなるのではないでしょうか。

しかし言うは易しで、企業・業界に対する興味・関心はなかなか湧いてくるものではありません。なぜなら、興味・関心は知識量に比例するものですが、興味・関心が強くなるだけの知識量を得る前に、知識を得ること自体を面倒に感じてしまうからです。

興味・関心は知識量に比例する。一定の知識量を得ることがまず最初のハードルとなる。 ※【Goodfind代表】情報収集の極意と自分の意見の磨き方を参照

ということは「頑張らなくても知識が一定量を超えるような仕組み」を作ることが出来れば、この問題は解決できます。そこで有効になるのが冒頭で紹介した「情報のシャワー」というわけです。

頑張らなくても情報が入ってくる仕組みを作る。 この仕組みを活用することで最初のハードルである一定量の知識が蓄えられる。

企業研究では、まず事前に志望先として気になっている企業や業界のトレンドを設定して、情報のシャワーを作り、浴びておく。その結果、次第に知識量が一定値を超え、興味・関心が育っていくので、個社の企業研究をする時にも効率的にすすめることができるようになります。

このような流れを都度意図的に作り出すことが、企業研究を楽しむコツとなるのです。

SECTION 4/5

企業研究は「情報収集のセンス」を磨くチャンスである

企業研究を楽しんでしまう方法として情報のシャワーを紹介しました。最後にもう一つ、入社後の成長に繋がるような、企業研究の「捉え方」をお伝えします。

突然ですが、質問です。あなたにとって企業研究の意義は何ですか? おそらく、多くの学生がこのように答えるのではないでしょうか。

  • 内定を得るための選考対策
  • 自分に最適な企業を選択するための情報収集

たしかに「内定」や「企業選択」も大事ですが、これらはあくまで「就活」のため。私は企業研究を短期的な「就活に必要な手段」と捉えるだけではなく、将来的な成長に繋がる「情報収集のセンスを磨く機会」として使ってほしいと考えています。

企業研究の意義を「短期的な就活のため」から、「長期的に社会で活躍するため」に捉えなおす。

ここでいうセンスとは「はじめてやること・関わることを仕組みに落とし込み、スピードと質を上げる工夫ができること」です。

例えば情報のシャワーのように、頑張らなくても情報が入ってくる仕組みを作れること。他にも目標の例にあげた、企業研究をインプットから考えるのではなく、「アウトプット(質問を作る)」起点で考えて効率を上げることも、1つのセンスと言えるでしょう。

そんなセンスを磨くために、未知の情報に対して、多角的な視点で何度も調べる機会がある企業研究は、まさに絶好の機会というわけです。

SECTION 5/5

就活で培ったセンスは一生ものの武器になる

就職活動は、学生がたくさんのインプット・アウトプットを繰り返して、人として大きく成長するイベントです。そんな就活を利用して身につけた力は、入社後でも使える大きな武器になります。

特に、今回紹介したような「情報収集のセンス」は、どんな仕事にも生産性高く取り組める、魅力的な力になります。情報収集はあらゆる業務における第一歩で、このスピードと質の高さが、業務全体のスピードと質につながると言っても過言ではないからです。

加えて、VUCAと呼ばれる今の時代。みなさんが社会で活躍していくには、今まで以上に「最新の情報から学び続ける」ことが必要になるでしょう。

であれば、就活のためだけの企業研究なんてもったいない。目先の内定獲得のためだけでなく、その先の社会人生活で活躍できるセンスを磨くために、みなさんなりの工夫を遊び心を持って探求してみてください。

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