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EVENT REPORT

【Goodfind代表】情報収集の極意と自分の意見の磨き方

情報化社会を生き抜くうえで必要不可欠なのは、正しい情報を見極め、自らの血肉にしていくこと。今回は、Goodfind代表の伊藤豊による講演から、価値ある情報にアクセスする手段と、それを自らの意見に落とし込み、磨き上げる方法論をお伝えします。

話し手

伊藤 豊

伊藤 豊

スローガン株式会社
創業者

SECTION 1/5

普段どのような情報収集をしていますか

Goodfindと、各界の有識者が注目のビジネスニュースを解説する、ソーシャル経済メディアNewsPicksがタッグを組んだ連続講演企画、「Futurist」。本記事は、Futurist講演「Goodfind代表が語る、情報収集の極意と自分の意見の磨き方」のイベントレポートです。

皆さんは、普段どんな情報収集をされているでしょうか。SNSやニュースサイト、新聞、テレビなど様々なメディアから情報収集をしている人が多いと思います。情報収集は、自分の意見のベースとなります。周りと同じ情報源・意見から脱却したい、情報収集をもっとうまくしたいという人に向けて、まずは情報収集のコツからお話ししていきます。その前に、皆さんの大好きなテストをしましょう。

問題『みなさんどれくらい知っていますか?』

  1. GAFAって何のこと?
  2. VUCAって何の略?
  3. SaaSって何の略?どんな意味?
  4. SDGsって何の略で、なぜ重要視されている?
  5. ESGって何の略?どういう文脈で使われる?
  6. サブスクリプションって何のこと?
  7. 2018年調査で日本で唯一のユニコーンと言われていた会社の名前は?
  8. Uber Chinaを買収した中国で最大のライドシェアの名前は?
  9. 2019年、日本参入も発表されたインド発のユニコーン企業・急成長ホテルベンチャーの名前は?
  10. 米国で電気自動車とロケットとグリーンエネルギーを同時に手掛ける起業家の名前は?

だいたい、4~5つは知っているけれど、全部は分からないという人が多いのではないでしょうか。ちなみにこれらはただの知識ですから、知っていたからどうというものではありません。皆さんがどのくらい情報収集をしているかということを聞くためのものでした。これらを知っていたら「まぁまぁ、ちゃんと情報収集していそうだね」というレベル感であると思います。答えはこちらです。

答え

  1. Google, Apple, Facebook, Amazon
  2. Volatility, Uncertainty, Complexity, Ambiguity
  3. Software as a Service 必要な機能を必要な分だけサービスとして提供する形態
  4. Sustainable Development Goals 国連が定めた持続可能な開発目標
  5. Environmental, Social, Governance 社会的責任投資の判断基準
  6. 継続課金型のビジネスのこと
  7. Preferred Networks(2019年9月、スマートニュースとリキッドグループが新たにユニコーン入り)
  8. DiDi
  9. OYO
  10. イーロン・マスク

以上、情報収集しているのであれば、最低限知っておきたいという知識でした。知らないものがあっても、落ち込む必要はありません。これからお伝えする情報収集の方法を学べば、一気にこれくらいクリアできるようになるはずです。

SECTION 2/5

正しく興味・関心を増やす情報収集のコツ

やみくもに情報収集しても、あまり意味はありません。ベースをつくることが必要です。もうひとつ大事な前提としては、「現時点の興味・関心は、現時点の知識量に比例する」ということ。自分が興味・関心を持っているものは、最低限、ベースの知識があるものに限られています。ですから、一定量の知識を増やしていかないと、正しく興味・関心を増やすことができません。だからこそ、情報収集をして、ベースとなる知識のインプットが必要なのです。

古い知識や、学校教育で得た知識、コマーシャリズムに基づいて発信された情報だけでは足りません。人は食べ物、旅行、ファッションなど、消費者に向けて発信される情報量が多いものに「自分はこれに興味がある」と勘違いしてしまいがちです。

言い過ぎかもしれませんが、「あなたは何に興味がある?」って聞いて「食べ物ですね」と答える人には、あまり知性を感じません。食べることに興味があるのは、生存本能でもあり、毎日のことですから当たり前の話です。趣味としてはいいと思いますが、仕事に活かすならばもっと様々な情報にアンテナを張っておくべきです。そうすれば、世の中にはいろいろな課題があることに気づくでしょう。

ベースとなる知識のインプットは、書籍からが効率がいいと思います。「どのような本を読んだらいいですか?」と聞かれると、その人の現段階の知識レベルによっても違いますし、一律に推薦するのは難しいのですが、今世界で起きている変化とその根底にある社会変化・技術動向などを知るために最大公約数的に読んだ方がよい本をこちらにセレクトしました。

8冊の書影
  1. ブレット・キング, NTTデータ オープンイノベーション事業創発室(解説), 上野 博(訳)『拡張の世紀』(東洋経済新報社,2018)
  2. スコット・ギャロウェイ, 渡会 圭子(訳)『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』(東洋経済新報社,2018)
  3. ジェフリー・G・パーカー, マーシャル・W・ヴァン・アルスタイン, サンジート・ポール・チョーダリー『プラットフォーム・レボリューション』(ダイヤモンド社,2018)
  4. ピーター・H・ディアマンディス, スティーヴン・コトラー『楽観主義者の未来予測(上/下)』(早川書房,2014)
  5. ケリー・ケヴィン, 服部 桂(訳)『〈インターネット〉の次に来るもの』(NHK出版,2016)
  6. ユヴァル・ノア・ハラリ, 柴田 裕之(訳)『ホモ・デウス(上/下)』(河出書房新社,2018)
  7. ナシーム・ニコラス・タレブ, 望月 衛(監修/訳), 千葉 敏生(訳)『反脆弱性(上/下)』(ダイヤモンド社,2017)
  8. ダニエル・カーネマン, 村井 章子(訳)『ファスト&スロー』(早川書房,2014)
  9. ハンス・ロスリング, オーラ・ロスリング, アンナ・ロスリング・ロンランド, 上杉 周作(訳), 関 美和(訳)『ファクトフルネス』(日経BP,2019)

それから、情報収集のためにおさえておきたいメディアもそれぞれコメントとともにまとめましたので、参考にしてみてください。

全方位的なビジネス情報
NewsPicks外部リンクアイコン
日経ビジネス外部リンクアイコン
イノベーション・起業など
FastGrow外部リンクアイコン
TechCrunch外部リンクアイコン
その他(おまけ)
市況かぶ全力2階建て外部リンクアイコン

SECTION 3/5

情報に踊らされない、「健全な懐疑」を持とう

ちなみに、本やネットの情報が全てではないということも、補足しておきたいと思います。実際の世の中で起きていることというのは、本には書けないことや、書いてしまうと泥臭すぎてつまらない話とか、そういうもので溢れています。ネットも便利ですが、あらゆることがネットに載っているとか、Twitterで検索すればほぼ真実が見えるとか、そんなことはありません。だから、本にもネットにも書いていないことは沢山あります。

そして、情報に踊らされないためには「健全な懐疑」を持つことも大切です。ただし、なんでもかんでも疑ってかかるのは面倒くさい人になってしまいますから、やめてくださいね。冷静で、客観的な見方ができる「健全な懐疑」という姿勢を持てるようにならないと、騙されたり、損をしたりする可能性もある、という話です。皆さんには、早めにそういう姿勢を持つことの重要性を理解していただきたいと思います。

SECTION 4/5

自分の意見の磨き方

ここからは、「自分の意見の磨き方」について事例に沿ってお話ししていきます。皆さんは、次のような話を聞いて、どう思いますか?

ベンチャーは就職する先として、やはり危険だと思っている。ベンチャーの生存率って10年で1割もないじゃないですか。ファーストキャリアは、ちゃんと経験を積める会社かつ、ネームバリューがあるところの方が転職もしやすいだろうし、新卒でベンチャーに行くなんて馬鹿だと思う。

自分の意見を磨くには、まず、批判的な問いを立ててみることです。例えばここでは、

  1. 「ベンチャーの生存率が10年で1割もないというのは、事実なのか?」
  2. 「ネームバリューがあるところの方が転職しやすいのか? そうとは限らないのではないか?」

という問いが立ちます。そして、この問いからインサイトを得て、違う意見に繋げます。

(1)の問いに対するインサイトとしては、「ベンチャーの生存/倒産確率のデータはどこかにないか?」「零細飲食業や資産管理会社なども含まれたデータを見ても意味がないのではないか?」というものがあるでしょう。経済産業省の中小企業白書によると、10年後の生存率は7割ありますので、1割もないというのは事実ではないことがわかります。

さらに、「全ての新設企業を対象にするよりも、東京で起業された、ある一定以上の基準で経営陣が優れていると判断される、外部投資家からの調達を行う企業などに絞れば、もっと生存確率が上がる可能性は高い」という意見に繋げることができるでしょう。

(2)の問いに対するインサイトは、大手からベンチャーに行く障壁(情報不足、周りの反対、カルチャーギャップ、地理的な問題)を想像してみること。そして、1社目ベンチャーから2社目大手企業という事例が増えている背景を考察します。すると、「転職活動で自分に合ったベンチャーを見つけるのは至難の業ではないか。

一方、新卒市場で一定の優秀層がベンチャーに流れているのは既成事実なので、採用市場を理解している企業であれば、大手でもベンチャーから人を採用するのは必然。実際に、1社目ベンチャーから2社目大手企業という事例は増えているはず」という意見に繋がります。

このように、自分の意見を磨くには、まず批判的な問いを立て、次に問いからのインサイトを得て、そこから違う意見に繋げることが必要なのです。

SECTION 5/5

周りと同じ情報源・意見から脱却せよ

今日お話ししたのは、私自身の経験によるものです。自分の意見を磨くためには、経験や知識量が重要です。では、自分の意見の源泉を確保するために、皆さんが明日からできることをお伝えします。まずは「一次情報を探す」こと。一次情報とは、自分の経験から語ることができるもののことです。ないという人は作りましょう。地方出身者であれば、自分の県にある上場優良企業を調べて語れるようになるとか。それから「ちょっと深い情報をまとめる」こと。

例えば、ある上場企業が増収増益というニュースを見たら、その企業の決算資料を見て、どの事業が伸びているのかなどを探る。調べれば誰でもわかることだけど、面倒で調べないようなことを、ちょっと手間をかけて調べると自分の独自の情報になります。そのためには、普段から経済情報にアクセスする習慣をつけることをおすすめします。

最後に、世界一の投資家として著名なウォーレン・バフェット氏の右腕、チャーリー・マンガー氏の言葉を紹介して、終わりにしたいと思います。

“Mimicking the herd 
invites regression to the mean.(群衆のまねをすれば、平均に回帰することになる
)”—Charlie Munger

周りの人と同じことをしてたら、当然同じ意見になりやすいです。今日ここにいる皆さんが、身の回りの情報や他人の意見に過剰に振り回されることなく、価値ある情報・知識に適切にアクセスし、世の中を自分の目で見極められるようになることを願っています。

編集:

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