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COLUMN

キャリアプランはもはや無意味? キャリア形成の「これまで」と「これから」

公開日:

Spoken by 大浦 征也

Written/Edited by 長嶺 匡晃

Sponsored by パーソルキャリア株式会社

「キャリアプランはこの先、無意味になる」──コロナ禍においてますます変化の激しい世の中になったことで、これまでのキャリア形成の常識が変わりつつあります。そこで今回は、新卒から約20年間、一貫して人のキャリアに寄り添い続けてきた、パーソルキャリア執行役員の大浦氏のインタビューをお届けします。同氏が語る、激動の社会を生き抜くための、新時代のキャリア形成のポイントとは?

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「企業名」から「自分のWill」でキャリアを考える時代へ

大浦 征也

パーソルキャリア株式会社
執行役員/dodaエージェント事業部 事業部長

2002年、株式会社インテリジェンス(現社名:パーソルキャリア株式会社)入社。人材紹介事業に従事。その後、複数の部門の総責任者、営業本部長、事業部長などを歴任。2017年より約3年間、転職サービス「doda」の編集長を務める。2019年10月より現職。社外にてJHR(一般社団法人人材サービス産業協議会)キャリアチェンジプロジェクト、ワーキンググループメンバー、SHC(公益財団法人スポーツヒューマンキャピタル)理事にも名を連ねる。

──今のような激動の社会において、就活生のキャリア観は今後どのように変化していくのでしょう。

これまで就活生のキャリア観がどのように変化してきたのかも含めて、私なりの見解をお話しします。

ITバブルが崩壊する2000年以前は、多くの学生が「会社の過去」を見て就職先を決める時代でした。同じ業界内では、初任給がほとんど変わらなかったこともあり、安定している業界や企業名で選べば、安心だったわけです。

それが2000年以降になると、今も第一線で活躍している、大手IT企業やベンチャー企業の経営者たちが、社外に向けて壮大なビジョンを語るようになり、次第に学生のキャリア観もビジョナリーなものへと変化していきます。そうして「会社の未来」に共感した学生たちが、のちにメガベンチャーと呼ばれる企業を就職先として選ぶようになりました。

その後、リーマンショックや東日本大震災が起きた2010年前後を境に、再び学生のキャリア観が変化しはじめます。社会課題を意識して企業を選ぶ傾向が強まると同時に、「どんな人と一緒に働くのか」「1年目の配属先はどこで、どんな仕事をするのか」といった、「会社の今」を重視する就活生が増えました。

就活生のキャリア観の変遷

このように、就活生のキャリア観はだいたい10年スパンで変化しています。ただ、これまでは「自分の人生を会社の人生に置き換えて、会社の過去・未来・現在をもとにキャリアを考えてきた」という共通点があります。

では、今後キャリア観はどのように変化していくのでしょうか。現在、米国では20代の3人に1人が、ギグワーカーと呼ばれるプロジェクト単位で働く人たちだと言われており、「会社への就職」を前提としない、多様な働き方が広がっています。米国ほどではないものの、日本でもこの1〜2年で「会社への就職」を選択しない学生が増えてきたと感じています。

その背景には、これまで当たり前だった「大学を卒業したら会社へ就職する」という前提さえも取り払い、「働くことにどんな意味があるのか」「そもそも就職する必要があるのか」という本質的な問いと向き合い、キャリアを考える傾向が顕著になったことが挙げられます。

つまり今後は、自分が成し遂げたいことや、社会に果たしたいことといった「自分のWill」を中心に、キャリアを考える時代となるのです。

「自分のWill」を中心に据え、キャリアを考える時代へ

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成熟産業から成長産業へ、新しい人の流れを生み出す人材企業

──では、キャリア観が変化する中で、人材企業はどのような役割を果たしてきたのでしょうか。

私は仕事柄よく「これからは転職が当たり前になる」という話をするのですが、自分自身は20年間で1度も転職をしたことがありません。しかし、それもまたキャリアの在り方の一つだと考えています。つまり、転職はあくまで手段であって、重要なのは「自分のWill」をもとにキャリアを築いているかどうかです。

ただ、自分のキャリアを語るときに、Willではなく最初に社名を伝えたり、キャリア選択を損得だけで考えたりする慣習は、いまも存在します。「はたらいて、笑おう。」というグループビジョンの実現を目指す私たちは、「人々に『はたらく』を自分のものにする力を」というミッションの遂行を通して、そうした慣習を変えたいと考え、事業に取り組んできました。

人材企業であるパーソルキャリアが、これまで社会に果たしてきた役割としては「成熟産業から成長産業への新しい人の流れをつくった」ということが挙げられます。

2000年前後、ITベンチャーが相次いで誕生し脚光を浴びましたが、当時の採用マーケットでは「ITベンチャーへの転職は、本当に大丈夫なのか?」と、懐疑的な見方をする方もいました。そんな中私たちは、「これからは企業名ではなく、スキルで個人の市場価値が決まる時代になる」と、一人ひとりにお伝えすることで、新しい人の流れを生み出してきました。

今後の社会動向を予測できる職業は、金融機関の市場分析の仕事をはじめいろいろあるでしょう。ただ人材領域ほど、ビジネスパーソンの人生や企業の中枢の根本的な悩みと日々向き合う仕事はないと思います。だからこそ、世の中に対して、次の社会の在り方についていち早く、そして確信を持って伝えることができるのです。

人材企業と聞くと「転職する人と企業をマッチングする会社」というイメージを思い浮かべる方が多いかもしれません。もちろん、事業内容として間違いはありませんが、その一つひとつのマッチングの先には、社会に対して新しい人の流れを生み出す役割を担っているのです。

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キャリアの「地図」ではなく、「コンパス」を持とう

──不確実な時代における、キャリア形成のポイントについて教えてください。

今から30年くらい前、「夢や目標を定めたら、それを実現する日付を決めて、逆算思考で毎日を生きる」という内容の書籍がベストセラーになりました。当時は社会全体の変化が緩やかな時代だったので、実際にそれで夢が叶ったのかもしれません。でも今は、そのようなキャリアプランを描くこと自体、意味が無くなってきていると思います。

例えば、「40歳でF1カーのエンジン開発責任者になる」ことを夢みて一流大学を卒業したとします。その夢を実現するために業界トップの自動車メーカーに就職し、先輩のキャリアを参考に「その人が通ってきた道だから」「一番の出世コースだから」と、20代、30代は興味がない分野の開発に携わりながら経験を積む。そうして、ようやくエンジンの開発に携われるようになった時には、もう車のエンジンは必要なくなり、全ての車が電気で動く時代になっているかもしれません。

不確実な時代では、キャリアプランを設計してもゴール自体が無くなってしまう

では、綿密なキャリアプランを立てて、やっとの思いで目標に辿り着いたとしても、その目標自体が無くなってしまうような時代に、キャリアをどう考えれば良いのでしょうか。

そのヒントとなる「Compasses over Maps」という言葉があります。これはMITメディアラボでよく語られるフレーズの一つですが、日本語に訳すと「地図よりもコンパス」という意味です。この言葉をキャリアの話に置き換えると「ゴールに至るまでのルートが記された地図ではなく、自分の進むべき方向性が分かるコンパスを持つべきだ」と捉えることができます。

──「コンパスを持つ」とは、具体的にどのようなことなのでしょうか。

「自分が何に引き寄せられて、どこに向かっていくのか」が分かっている状態のことです。

今から約20年前、私が社会に出た2002年は、携帯電話がようやく普及したタイミングでした。もちろんスマートフォンなんてありません。そう考えれば、みなさんが40歳になる頃には、今の世の中からは全く想像のつかない世界になっているはずです。

将来が全く予測できない世の中では、キャリアのゴールとなる目的地を明確に設定し、逆算してルートを描いたとしても、目的地自体が無くなったり、途中でルートが絶たれたりすることが往々にして起こります。

だからこそ「何を社会に果たしたいのか、どんなスタンスで働きたいのか」という、『自分が人生をかけても取り組みたいと思えるテーマ』を目指して進む、「コンパス型」のキャリア設計が大きな意味を持つのです。

「地図型」と「コンパス型」のキャリアの考え方の違い

また、「コンパス型」のキャリア設計をするうえで、大切なことがあります。それは「自分の現在地」を客観的に把握することです。自分が進みたい方向に対して、どのくらい進んでいるのかを振り返り、刻々と変化する状況の中で客観的な立ち位置を常に正しく認識しておく必要があります。

そのための目印となるのが、社内だけではなく、社外にも拡がるネットワークです。人とのつながりが極めて限定的だったり偏りがあったりすると、自分の現在地を客観的に把握することが難しいため、自分が本当に進みたい方向に向かえているのか、判断ができません。常に現在地を把握しておくことで、進むべき方向とずれてしまった時でも、素早く軌道修正することができます。

「自分の目指す方向」と「現在地」、この二つを手に入れることが、今の時代を生き抜く一つのポイントだと、私は思っています。

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ビジョン実現を目指し、未開の「はたらく」領域へ挑戦する

──これからの不確実な時代、パーソルキャリアは人々の「はたらく」に対して、どのようなアプローチで事業を展開しようと考えているか、教えてください。

これまでパーソルキャリアの事業領域は、転職支援や採用支援がメインでした。しかし転職支援や採用支援は、人材と企業のマッチングに限ったものなので、「はたらく」という領域全体から考えれば、ごく一部に過ぎません。

日本の労働人口が6,000万人以上いるのに対し、転職する人はあらゆる雇用形態を含めて年間約300万人。仮に転職者全員にサービスを提供したとしても、日本の労働人口のうち約5%ほどです。約5%の非日常的な「はたらく」にしか携わることができないのであれば、「はたらいて、笑おう。」というビジョン実現には程遠いでしょう。ですから今後は、残りの約95%の日常的な領域でどれだけ事業を拡張させ、パーソルグループが「転職とは関係なく相談したいと思える存在」になれるかが重要だと考えています。

そして、私たちが「はたらく」という大きな領域で事業を展開する強みは、二つあります。

一つ目は、パーソルグループの中に、人材紹介事業や派遣事業、教育研修事業など、「はたらく」にまつわる複数領域が既に存在していることです。「正社員領域のみ」「中途採用タイミングのみ」のように特定の働き方や領域に限定することなく、グループ全体で「はたらく」に柔軟にアプローチできるのは、私たちならではだと考えています。

二つ目は、グループを構成する各社が長年培ってきた、企業とのネットワークや信頼関係です。いくらグループ内に複数の領域を抱えていると言っても、本気で「はたらいて、笑おう。」というビジョンの実現を目指すことを考えると、パーソルグループの中だけで完結することは絶対に不可能です。

場合によっては、私たちが持ち合わせていないデータを保有する企業と協力することが必要かもしれません。もしくは、社内にまだ知見がないサービスを提供する会社と連携することもあるでしょう。その際、私たちのビジョンに共感し、連携を快く引き受けてくれるパートナー企業がたくさんいるということは、私たちの強みだと感じています。

パーソルキャリアが「はたらく」領域で事業を展開する二つの強み

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物事の積み重ねが、「自分のWill」を見つけることに繋がる

──最後に、「『はたらく』を自分のものにする」ために必要なことを教えてください。

前提としてお伝えしたいことは、社会に出るタイミングまでに「自分のWill」を見つけるのは非常に難しいということです。私自身も、自分の中で「日本における雇用の課題を解決する」というWillが定まったのは、30歳を過ぎてからでした。

その前提に立った上で、大事なことは「目の前のことに全力投球で取り組む」ということに尽きると思います。これからの時代では、キャリアプランを緻密に設計するのではなく、必死で取り組んだ経験の一つひとつが将来の何かと組み合わさることで、後々その意味に気づいたり、価値となったりすることでしょう。

そのため、たとえ今は意味がないと感じるものについても全力で取り組み、その経験の一つひとつを自分の引き出しにストックしていくように、日々を過ごして欲しいと思います。

過去の経験が将来の何かと組み合わさることで新しい価値となる

加えて、何かに全力で取り組み没頭した経験こそが、「自分のWill」が見つかる一番の近道だと私は捉えています。それらの経験を通して、挫折や達成感を味わったことが無ければ、自分が人生をかけて成し遂げたいと思えるWillを持つことは難しいからです。

まずは目の前のことを積み重ねていく。そうすることで、周りから何か言われても揺らぐことのない、「自分のWill」が少しずつ見えてくるはずです。ぜひ皆さんには、自分が根本的に好きなものを見つけられるような学生生活を送って欲しいと思います。

注目企業

話し手

大浦 征也

大浦 征也

パーソルキャリア株式会社
執行役員/dodaエージェント事業部 事業部長
2002年、株式会社インテリジェンス(現社名:パーソルキャリア株式会社)入社。人材紹介事業に従事。その後、複数の部門の総責任者、営業本部長、事業部長などを歴任。2017年より約3年間、転職サービス「doda」の編集長を務める。2019年10月より現職。社外にてJHR(一般社団法人人材サービス産業協議会)キャリアチェンジプロジェクト、ワーキンググループメンバー、SHC(公益財団法人スポーツヒューマンキャピタル)理事にも名を連ねる。

執筆/編集

長嶺 匡晃

長嶺 匡晃

Goodfind College 編集部
中学・高校と試験管の振り方が校内随一の理系少年だったが、浪人を経て慶應義塾大学経済学部に入学。大学時代は大小様々なインターンを経験し、10社目のスローガンでのインターンを経て新卒で入社。趣味は写真撮影、愛用機はPENTAX K-3とSigma fp。