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EVENT REPORT

アフターコロナを生き抜くための本質的キャリア構築論

公開日:

Spoken by 高野 秀敏 , 伊藤 豊

Written by 石原 有紗

Edited by 島田 啓佑

新型コロナウイルスの影響により、社会・経済・生活など、あらゆる領域で地殻変動が起きています。Goodfindでは、この変化を好機に変え、逞しく生きるすべを考える場として、「緊急討論LIVE」を開催しています。今回はその第一弾である、キープレイヤーズ・高野秀敏氏とGoodfind代表・伊藤豊の徹底討論をお届け。転職と新卒、それぞれの領域で活躍する若手人材を多数サポートしてきた2人が語るキャリア論は、就活生必読です。

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不況をものともせず、成長を続けた新興ベンチャー

高野 秀敏

株式会社キープレイヤーズ 代表取締役

1999年東北大学経済学部卒業後、新卒で未上場のインテリジェンスに入社。2005年株式会社キープレイヤーズを設立。3000名以上の経営者の相談と、1万名以上の個人のキャリアカウンセリングを行う。30社以上の社外役員・アドバイザーを務める他、エンジェル投資を国内、シリコンバレー、バングラデシュで実行。学校や学生団体での講演回数は100回を超える。

伊藤 豊

スローガン株式会社 代表取締役社長/Goodfind代表

2000年東京大学文学部卒業後、日本IBMに入社。システムエンジニア、関連会社にて新規ビジネス企画・プロダクトマネージャーを経て、本社のマーケティング部門にてプランニングワークに従事する。2005年にGoodfindを運営する、スローガン株式会社を設立。協力した著書に、『大手を蹴った若者が集まる知る人ぞ知る会社』(朝日新聞出版)がある。

──ここ数ヶ月の社会環境の変化により、人材市場にはどのような変化が起きるのでしょうか?

キープレイヤーズ 高野:今の経済状況を考慮すると、企業は儲かっていても「当社は調子が良いです」とは発信しにくいです。そのため就活生の皆さんはどのような企業や業界が上り調子なのか掴みづらいかもしれません。でも、すべての企業が等しく悪い状況にあるわけではないことを認識し、前向きに情報収集することをお勧めします。

足もとの転職市場では、直接コロナの影響を受けている業界の求人数は少し減っていますが、変わらず積極採用している企業も多くあります。例えばECを始めとするインターネットビジネス領域や、メディカル領域では業績への影響もなく、求人数を減らしていない企業が多いです。

スローガン 伊藤:転職市場では、景気が悪化すると活動を控える人が多くなり、市場全体が鈍化します。しかし、学生の皆さんが社会情勢によって就職活動を控えることはないので、就活生の絶対数は変わりません。

一方、今回のコロナショックによって、大企業でも新卒採用枠を減らす動きは少なからず起きると思います。それに伴い優秀な学生の中にも、ベンチャーや中堅・中小企業まで選択肢を広げて就職活動をする人が増えるでしょう。もちろん設立10年程度の伸び盛りのベンチャーと、何十年も前からあるレガシーな中小企業とでは、将来性や環境が全く異なるのでそこの見極めは必要です。

大手企業の採用数減少と就活生の動向

過去を振り返ると、2008年のリーマンショックの時も同様に、優秀層がベンチャーに流れるという動きがありました。当時はまだメガベンチャーという単語がなかったのですが、新興ベンチャーだったサイバーエージェント、DeNA、エムスリーといった新たな成長領域の企業に若い才能が集まり、メガベンチャーと呼ばれるカテゴリーの企業が生まれる流れが生まれました。

今回も社会的に危機的状況ではありますが、これから伸びる新領域へ優秀な人材が集まり、結果として次のメガベンチャーが生まれる可能性があるということは、マクロ的にはポジティブに捉えられる側面もあると思います。

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企業の軸足がデジタルにあるのか否かを見定める

──では、これから伸びる企業や業界は具体的にどこなのでしょうか?

スローガン 伊藤:原油価格の落ち込みとコロナでの経済活動低下を起点に、大手の株価や業績にも影響が出ていますよね。今後も連鎖的に影響範囲が広がっていくことを懸念しています。遅れて影響が波及する業界もあるので、ここから1年から1年半ぐらいのスパンで観察する必要があるでしょう。

緊急事態宣言が出たことでリモートワークやデジタル化に注目が集まっていますが、これは一時的なものではなく、働き方や価値提供のあり方におけるパラダイム・シフトです。アフターコロナの世界においてビジネスの商流を大きく変えるものとなるでしょう。そう考えると今後も比較的良い状況が見込めるのは、デジタル領域でビジネスを仕掛けている企業、もしくはデジタルへの対応やオンラインへの適応をきちんと進めている企業でしょう。

これからは「デジタルか、否か」が重要です。よくある「大企業がいいか、ベンチャーがいいか」という議論は実に不毛で、より無意味になるかもしれません。しかし日本の伝統的大企業はベンチャーと比較して、デジタルへの対応の遅れが懸念されます。いまだに旧態依然の企業体質のままの大企業が多いので、デジタル推進度と企業規模には一定の相関があるでしょう。ベンチャーやメガベンチャー、大手の中でもデジタルに適応している企業や業界を中心に見ていくのが良いと思います。

キープレイヤーズ 高野:そうですね。当然デジタルに強い企業は伸びるでしょう。社会変化に迅速に適応できる企業は強いです。

他に挙げるとすればメディカル領域も伸びていくと思います。景気の影響を受けにくいので、実際にリーマンショックが起きた後も目立って伸びた企業が多くありました。代表的なところだとエムスリーやレバレジーズ、私が社外取締役をしていたメドレーという企業も、リーマンショックの影響を受けずに成長を続けた企業ですね。

そういう企業がどこかという情報を得るためにも、学生の皆さんには企業の株価を眺めてみることをおすすめします。今の状況下でどこの株価が上がっていて、どこの株価が下がっているのか。取引をしなくても株の値動きを見て、その理由を調べてみるだけでも勉強になります。

アフターコロナにおいて伸びる企業の特徴

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社会の流れを読み、自分のものさしで企業を見つめる

──学生に人気のコンサルティング業界はどうなると思いますか?

キープレイヤーズ 高野:過去のリーマンショックは金融不況だったので、コンサルティング業界は直接影響を受けました。今回は状況が異なるのでいきなりプロジェクトがなくなるという可能性は少ないと思います。ただ、次回の契約更新がされないなど、案件数が縮小していく事は想定されますね。そもそもコンサルティング自体の単価が高く、それをクライアントが支払えなくなってしまうためです。

そうして縮小傾向が続くと、業界用語でいう「アベっている(availableの略)」人が増えていきます。つまりプロジェクトにアサインされず、自宅待機や休業状態のコンサルタントが増えるということです。リーマンショックの後も「アベっている」人が増え、経験の浅い若手中心に戦力外通告が出され、最終的には多くのコンサルタントが辞めざるを得なかったと聞いています。

リーマン・ショック時のコンサルティング業界に起きた若手の早期辞職

──あらためて、企業を選ぶ上で重要な観点を教えてください。

スローガン 伊藤:どれだけのスピードで時代の変化に順応できているかどうかです。今回のコロナウイルスへの対応一つとっても、全面的にオンラインでの業務に移行し、来年7月までオフラインイベントを禁止している企業もあれば、社員を「在宅勤務」ではなく「自宅待機」にして様子をみている企業もあります。

デジタル適応ができているかどうか、影響の長期化を見通せているかどうかを測る意味でも、リモートワークへの移行度合いは重視すべき点だと思いますね。もしリモートワークが進んでいない企業だとすれば、業界の法規制や企業のセキュリティ統制が厳しすぎる。もしくは組織体質が古くて意思決定が遅すぎる、といった何かしらの原因があるはずです。

また、企業のIT対応力の高さとその企業に勤める人のITリテラシーは、おおむね比例すると考えています。少なくとも社員の1~2割程度エンジニアがいて、システムの内製化が進んでいるかどうかもチェックすると良いのではないでしょうか。

伸びる企業を見極めるポイント

キープレイヤーズ 高野:大前提として、その企業の社員と実際に話をしてみて一緒に働きたいか、事業に共感できるかが、企業を選ぶ上では非常に重要だと考えています。

よく財務状況や企業体力を気にされる方がいますが、資金力や上場しているか否かと、雇用が守られるかどうかは一切関係ありません。「人件費は固定費ではなく、実は変動費である」という話をよくするのですが、資金力があるということは、経営の守りが堅くリストラも厭わない企業であるという見方もできます。ですから、周囲の言葉に惑わされずに自分のものさしで企業を見る目を養ってください。

企業の資金力があるからと言って雇用維持力が高いとは限らない

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成長産業で結果を出すために、必須のスキルとマインド

──この状況下でも企業から必要とされるのは、どのような人材なのでしょうか?

スローガン 伊藤:実はつい最近、弊社の採用基準の中でより重視しようというポイントをアップデートしました。これから必要とされる人材の参考になると思うので、その観点をお伝えします。

まず1つ目は、「デジタルリテラシーの高さ」です。リモートワークではチャットやオンラインミーティング等で多くのツールを扱うことになります。そうしたデジタルツールを自ら使いこなし、効率的に業務を推進する必要があります。

2つ目は、「セルフディシプリン」──具体的には自制力と孤独耐性です。どちらも生産性高く在宅勤務を行うために必要な資質だと考えています。多くの誘惑に負けず、自制して業務に集中する必要がありますし、一人になりがちな状況でも耐えうるメンタルの強さも重要です。

そして3つ目は、「チャンスメンタリティ」です。これはポジティブに何事もチャンスと捉えて、明るく前向きに取り組むことのできる姿勢を表します。就活であれば、オンラインで就活を進める初めての世代であり、むしろ前例がなく縛られずに取り組むことができる状況をチャンスと考え、積極的に行動できるようなマインドですね。このようなご時世だからこそ、チャンスメンタリティがある方は頼もしく感じられるので、高く評価されやすいと思います。

キープレイヤーズ 高野:コロナの影響でリモートワークを実施する企業が増え、「誰がアウトプットして、結果を出しているのか」「誰が仕事をしていないのか」がわかりやすくなったという話を、最近よく耳にします。これまで会社に居て仕事をしている風だった人が、急激な外部環境の変化によって図らずもあぶり出されたというわけですね。

一方で、どのような状況でも結果を出せる人の評価はさらに上がっていきます。特にオンライン上でのコミュニケーション能力や、チームプレーの適性が高いかどうかは、今後より一層重視されるでしょう。

リモートワークが当たり前の社会では、当然ITリテラシーが高いことが重要な評価ポイントになります。デジタルネイティブ世代の皆さんは得意な領域だと思うので、ぜひ強みにしてアピールしてほしいですし、シニア層に教えてあげるくらいの気概を持ってもらいたいです。

昨今の状況下で企業から求められるスキル・マインド

──デジタルリテラシーが高いことが就活のアピールポイントになるのでしょうか。

スローガン 伊藤:面白い観点ですよね。充分アピールポイントになると思います。実は企業側からすると、こうした状況で中途人材を受け入れることには一定のリスクがあります。なぜかというと、採用したらいきなりリモートの環境下で仕事をすることになるので、いくら優秀な人でもうまく適応できるかどうか判断できないからです。

一方で学生のみなさんには、オンラインでのコミュニケーションや仕事の進め方、リモートワークの経験を積むことができる機会として、長期インターンがあります。今からでもぜひ積極的に企業活動に参加して、デジタルリテラシーを高めるチャレンジをしてもらいたいですね。

キープレイヤーズ 高野:皆さんがTwitterやYouTube、オンラインチャットなど様々なコミュニケーションツールを使いこなせるというのは、ビジネスシーンにおいても大きなバリューです。私たちの世代よりも、日常的に慣れ親しんできた皆さんのほうが絶対に得意なはずです。さらに、情報発信やマーケティングという視点を意識して活用すると、より実用的なビジネススキルを身につけることができると思います。

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過去の価値観に縛られず、パラダイム・シフトを仕掛ける側になる

──個人としてキャリア構築を考える上でのアドバイスはありますか。

キープレイヤーズ 高野:成長産業・業界にチャレンジして結果を出すことが大切だと考えています。伸びている業界の知見を身につけることができれば、勤めている企業に万が一のことがあったとしても、そのスキルやノウハウを買ってすぐに採用してくれる企業があるでしょう。

先日、決済サービスのOrigamiがメルペイに買収され、人員数削減の動きもあったとのことですが、他の企業から中途採用でOrigamiの社員を採用したいという話を多く聞きました。企業の業績とは関係なく、伸びている業界で働くということは、すなわち個人の市場価値を上げることだとあらためて感じましたね。

スローガン 伊藤:一つ確実に言えるのは、何かに頼ったり依存したりする考え方はやめた方が良いということです。現在のように変化が激しい時代には、企業や誰かに依存することが一番不安定です。リストラに怯えるくらいであれば、始めから自立することを目指し、自分が雇用を作る側になれるように努力するほうがずっと良いと思います。

そしてそのような方向性でキャリアを描くのであれば、起業家や事業家といった新しい仕事を生み出すような人たちと一緒に働く経験が非常に役立つものになるでしょう。何かをクリエイトするような人の市場価値は、今後も右肩上がりで上がっていくはずです。ですから、就活においてもそのような人たちの近くで働ける環境を目指すのが良いと考えています。

変化が激しい時代のキャリアの築き方

──最後に学生の皆さんにメッセージをお願いします。

キープレイヤーズ 高野:このような状況下でもとにかく行動して、様々な企業を知ってください。社会人の場合、仕事をしながら転職活動を進めることがほとんどです。そのためあまり多くの企業を見知る時間がありません。就活では100社くらい企業を見る方も多いと思いますが、転職活動では多くても10社程です。そう考えると日本の就活は、多くの企業と出会える一生に一度しかないとても恵まれた機会です。この機会を目一杯活用して、良い企業を見つけてもらえればと思います。ぜひ前向きに就活に取り組んでください。

スローガン 伊藤:どんな企業を選ぶにせよ「自分の力で何とかする」という気持ちを持って生きていくことが大切です。それは独力でやるということではなく、たくさんの行動を積み重ねた結果、得られるチャンスやつながりを、前のめりになって活用し物事を進めていくということです。

いま世界では多くのパラダイム・シフトが起こっています。長らく続いてきた「大企業が絶対に安定している」という価値観は過去のものとなり、デジタルに上手く適応した企業だけが急激に伸びていくという変化が起きてます。過去の価値観はできる限りアンラーニングし、時代に合った変化を続けられる人になることが安泰へとつながるはずです。

※本記事は、2020年4月にオンライン配信したイベント『緊急討論LIVE vol.1』 の内容をもとに作成しています。

話し手

高野 秀敏

高野 秀敏

株式会社キープレイヤーズ CEO/代表取締役
1976年宮城県生まれ。1999年東北大学経済学部卒業後、新卒で未上場のインテリジェンスに入社。2005年株式会社キープレイヤーズを設立し、人材エージェントとして、30社以上の社外役員・アドバイザー・エンジェル投資を国内、シリコンバレー、バングラデシュで実行。
伊藤 豊

伊藤 豊

スローガン株式会社 代表取締役社長
1977年栃木県生まれ。2000年に東京大学文学部行動文化学科心理学専修課程卒業。日本アイ・ビー・エムを経て、2005年にスローガン株式会社を設立し、2006年よりGoodfindの運営を開始。その後、キャリア分野のサービス以外にも、FastGrowやTeamUpなどメディア・SaaS分野での事業を展開。

執筆

石原 有紗

石原 有紗

Goodfind College 編集部
横浜国立大学理工学部卒。情報工学を学ぶもビジネスの面白さに取り憑かれ、4年の夏に院進を取りやめ就活。スローガンに入社後、エンジニア向け新サービスの立ち上げを経て現職。

編集

島田 啓佑

島田 啓佑

Goodfind College 編集部 / Goodfind Magazine 編集長
BtoB、BtoC、BtoBtoCと、これまで全く異なる領域のビジネスを経験。 様々な業界や企業と関わってきた知見を活かし、ベンチャー、コンサルティングファーム、大企業の経営層を始め、優良成長企業で活躍するビジネスパーソンのインタビューなどを多数手がける。