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COLUMN

人材のプロに聞いてみた。就職って、なんなのか

公開日:

Spoken by 糸井 重里, 河野 晴樹

Edited by 川村 直道

Sponsored by 株式会社ほぼ日

既に就活を進められている皆さんも、まだこれからだよという皆さんも、一度は立ち止まって考えてほしいこのテーマ、「就職するって、どういうことだろう?」。本記事では人材のプロフェッショナルにこの問を投げかけ、今後活動を進めるためのヒントをお伝えします。

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就職するって、どういうこと?

この記事のタイトルになぜかわからないけど惹かれてしまって、なんとなくこのページを読みかけているあなたもきっと、気になっていることでしょう。

「就職って、働くことって、なんなのか。」

Goodfindを運営する我々自身も、常日頃から思い、考え続けています。今回は、このテーマを皆さんと一緒に考えるべく、2人のプロフェッショナルに問いかける記事をご用意しました。

本記事では、リクルートエージェントにて取締役を務めるなど、若手からエグゼクティブまで幅広い人材・採用に精通している「人材オタク」こと河野晴樹氏に、「ほぼ日刊イトイ新聞」主宰・糸井重里氏が、働くとはなにか?就職するとはなにか?を問いかける対談をお送りします。2007年の対談ですが、今日まで10年以上色あせず、大切なこととして読まれ続けている内容です。

皆さんが目下迎えようとしている選考の対策に直結するかどうかはさておき、人材のプロが考える、「就活において本当に大切なこと」の中には、今後の就活をより有意義なものにするためのヒントがあるかもしれません。

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複雑なようでどの仕事もシンプル。人を「喜ばせること」

河野:糸井さん、就職活動、なさいました?

糸井:してない、ですね。

河野:やっぱり(笑)。いや、僕もほとんどしてないんであまり偉そうなことも言えないんですが、かすかな記憶をたどると「会社」というものに、これだけたくさん仕事の種類があるってこと、ご存知でした?

糸井:知らないですよね。

河野:僕も「会社」には「営業」があって、「経理」があって、こうして面接されてるんだから、「人事」もまあ、あるんだなと。

あとは、メーカーだったら「開発」という部署もあるだろう。

あ、そうそう「工場」もあるはずだな。

‥‥それくらいの知識ですよね。

糸井:学生のときなんてそれ以上、考えようもないですよね。

河野:そればかりか、そもそも「この会社は、何をして お客さんを喜ばせているんだろう」ということについて、深くは分かっていなかったと思うんです。

糸井:ええ、分かってませんでしたね。

河野:でもそこで、いま僕がやりとりをしているエグゼクティブの人たちを見てみると考えかたが、みなさんとっても「シンプル」なんです。

つまり、自分の会社は何をやってお客さまを喜ばせているのか、ということが考えかたの基軸になっているんですね。

河野:逆に言うと、とっても大勢の人が、自分の会社は何をしてお客さんを喜ばせているか、ということを考えずに仕事をしている、ということですよね。

河野:目の前に与えられた役割に一生懸命になるがあまり、そういうことについてぜんぜん分かっていない、ということが普通に起きているわけです。

「そういえばウチの会社、何してるんだっけ」って。

糸井:たとえば、取引先のえらい人の機嫌を損なっちゃったりしてそればっかりに汲々としてたら、自分たちが何でお客さんを喜ばせてるか、なんて、そっちのけになっちゃいますよね。

河野:でも、エグゼクティブになるにつれて、どんどんシンプルになっていく。

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聞きたいのは、大切にしてきたこと

糸井:以前は、河野さんも新卒の面接をやっていたわけですよね。

河野:ええ、主に最終面接ですね。

糸井:いま、実際に働いている社会人でさえそうなんだから働いたことのない学生さんにそんなことを聞いても、分からないでしょ。

河野:ええ、もちろんわかっていて欲しいのですが、そういう人ばかりではありませんね。 ですから、本当のことを言っちゃうと新卒の面接をやる場合、「君がさ、これまで大切にしてきたことって何?」という、ものすごい概念的な質問で十分なんですよ。

糸井:ほぉー‥‥。

河野:「本当に大切にしてきたことは何?」「あるの? ないの?」って。

糸井:うん、うん。

河野:「それは、言葉になってるの?」。そういうことですね、聞きたいのは。

糸井:その話を聞いているだけで、わくわくしますね。

河野:ははは(笑)。

糸井:いや、つまり面接官がそう思ってるんだって知ったとき、「聞いてもらえた!」という嬉しさと、「やばい、聞かれた!」というあせりとどっちかの反応しか、ないですよね。

河野:はい。その場面では、すごい答えなんて期待してないんです。

でも「やばい、聞かれた!」と悲しそうな顔をした人は採用できない。

だけど、そこで、嬉しそうに話をしてくれる人は、あ、仲間になれそうかな、と思える。

糸井:うん、うん。

河野:嬉しそうに目をぐるぐるさせながら考えてくれる人も、すっと答えられる人もいるんだけど、本当のことを言ってるかどうかは、きちんと伝わりますからね。

糸井:そこは、わかるもんなんでしょうね。バッターボックスに立ってる数が違うわけですから。

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たいしたことでなくていい。一緒に仕事をやりたいと思えるか

河野:だから、お辞儀の角度がどうだとかそういうことは、ほんっとに、心の底から、どうでもいい。

そんなことで落とす会社があったらむしろ入らなくてホント良かったね、と。

何をどれだけ大切にしてきたか、ということをこちらに伝えてくれるかどうか、なんです。

糸井:つまり、この人と一緒に仕事をやりたいと思えるかどうか。

河野:それにたいする答えだって、ぜんぜんたいしたことじゃなくていい。

サークル活動なんかでも俺、主将じゃなかったからなぁなんて考える必要はない。

たとえば、サークルを辞めそうになった人を、引き止めた。これ、素晴らしいことじゃないですか。

糸井:ええ、素晴らしいですね。

河野:あるいは、高校生までウソつきだったけど、大学生になってからはとにかく愚直に、目立ちはしなかったけど、ウソをつかずにやってきた。

できるだけ、誤魔化さないようにしてきた。

これって、答えとして全然OKですよね?

糸井:はい、全然OKです。

河野:結局、採用面接って人間が人間を見るわけですから、今でも絶対的な自信なんてないんです。

とくに学生さんって、企業側から見るといちばん、自信が持てない。

エグゼクティブの面接がいちばん分かりやすくて、学生の面接が、いちばん難しいんです。

糸井:ほう‥‥。

河野:最終的にジャッジする人間が3人いたとして全員の意見がビシッと合うのって、最終面接に10人来てくれたとすると、せいぜい、1人か2人ですね。

2対1の多数決で決まったり、誰か1人でも「オレが絶対責任持つから」とつよく言ったら、採用される。

糸井:それほど、新卒に関しては企業側も分からないということですね。

河野:ですから、企業と学生、お互いに「見込みちがいだった」というような問題は、常に起こるんですよ。

だけど、その「見込みちがい」が比較的起こりにくいのは、自分が大切にしてきたことを話して、面接官が、それにたいしてなんとなく共感してくれていて、その上で「ぜひ来てくれ」と言われた会社だったら、その会社が大きかろうが小さかろうが、まず楽しいでしょうね。

糸井:お辞儀の角度だとか、挨拶のしかただとか、そういうレベルの話じゃなく。

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テクニックと礼儀は大違い

河野:でもやっぱり、その会社が何をやってお客さんに喜んでもらっているのか、ということは、最低限、事前にきちんと調べていくべきです。

これは、テクニックでもなんでもなくて最低限の「礼儀」ですよね。

糸井:野球の試合にサッカーの格好していったらまずいだろ、と。

河野:あのさぁ、って話になりますよね。

それは「礼儀」の範疇であって、テクニックでもなんでもない。言ってしまえば、その程度のことです。

糸井:面接のテクニック的な事柄については、学生のやることだから間違っちゃっても構わないんですよね。

河野:全然、構わないです。

糸井:じゃ、どこまでいっても、基本は「何を大切にしているか」「何を大切にしてきたか」という問題になっていきますよね。

河野:はい、そのとおりです。

糸井:すっごく態度の悪い面接官にカチンときた。でも、そういう人がいてもいいんじゃない?と思ったら、入ろうと努力すればいい。

河野:そうです。

糸井:こういう態度は許せないと思ったら、大切にしてるものから外れるんだから、そんな会社には内定もらってどんなに嬉しくても、入っちゃダメですよね。

河野:ダメです。

糸井:面接でセクハラされました、みたいな話って聞くじゃないですか。

河野:そんなのはもう、問題外ですよね。

糸井:そんな会社、どうしようもないと思っても受かったからよしとするか、なんていうのは完全に間違ってますよね。

河野:ええ。媚びる、媚びないという議論とは別の次元の問題でしょう。

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採用って、家族を迎え入れること

糸井:とっても簡単にいうと人を採用することって家族を迎え入れるようなことだと思うんです。

河野:まさに、その通りですね。

糸井:お話を聞いていると、会社という名前がついているけど、家族を迎え入れるようなことに極めて似ていますよね。

河野:でも、それをややこしくさせるのが、景気がいいときの企業の「大量採用」だったりするんです。

採用する側からしても、面接の場では「大切にしているもの」を基軸にしたコミュニケーションを図ろうと思っていて、そのこと自体は絶対に間違っていないのに、大量な採用計画のおかげで大切にしてるものは何か、なんて一人ひとりに、きちんと聞いてるヒマがない。

糸井:工業製品化しちゃうんですね。

河野:コミュニケーションなんか生まれない。

糸井:うん。

河野:学生さんのほうだって、隣の席のだれだれ君が、その隣のなになにちゃんがどこどこの有名な会社からもう内定もらったんだよ、なんて聞くとすごく慌てちゃうわけです。

糸井:はぁ‥‥そこで基準がブレるんだ。

河野:ええ、ブレちゃうんです。

はじめは自分が大切にしているものに共感してもらえるなら入社して頑張りたいと思っていてもあの企業に、あいつ入ったんだ、あらららっーて、揺らいじゃうんですよね。

河野:いや、本当にそういうもんなんです。それが都市伝説のように広まっていく。

そして、みんなが面接の必勝テクニック本なんかを読んでるから自分もあわてて、読んだりしちゃう。

糸井:逆に言うと、そういう状況でいかにインディペンデントでいられるかどうかという点が、重要なところなんでしょうね。

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正解はない。インディペンデントでいられるかどうか

以上、河野氏と糸井氏の対談をお送りしました。共感できるところ、ちがうなと理解できないところ、それぞれあるのではと思います。大切なことは、彼らの言う通り、「インディペンデントでいること」──自分にとっては何が大切か、自らの基準を持ち、語れることなのでしょう。

就活の波にさらわれ、自分の大切にしているものを見失ってしまう前に、あらためて「就職って、働くことって、なんなのか」という問いと向き合い、自分なりの基準と答えを持って、就活に臨んでみてはいかがでしょうか。

ほぼ日刊イトイ新聞では、糸井重里さんがゲストを迎え、『仕事って、なんだろう?』を、いま社会へ出る人たちといっしょに考えるトークライブを行います。今回登場した河野氏も登壇し、最新の想いを共有していただけることでしょう。

この記事の続きをもっと聞いてみたいという方、こんなことを言っている人たち興味があるという方は、ぜひ下記リンクからチェックしてみてください。

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Speaker

糸井 重里

糸井 重里

株式会社ほぼ日 代表取締役社長
「ほぼ日刊イトイ新聞」主宰。 コピーライターとして一世を風靡し、作詞や文筆、 ゲーム制作など多岐に渡る分野で活躍。 1998年にウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」を立ち上げる。 サイトでは、さまざまな方へのインタビューやコラムなど あらゆるコンテンツがすべて無料で楽しめるほか、 「ほぼ日手帳」「カレーの恩返し」といった生活関連商品の開発販売、 犬や猫とひとが親しくなるSNSアプリ「ドコノコ」、 買い物を中心としたイベント「生活のたのしみ展」の開催、 古典をテーマとする「ほぼ日の学校」開校などさまざまに展開。 2019年11月開業した新生渋谷PARCOに2つのスペースを出店する。
河野 晴樹

河野 晴樹

KIZUNAパートナーズ株式会社代表取締役社長
1962年生まれ。 慶應義塾大学卒業後、株式会社リクルートに入社。 若手からエグゼクティブまで幅広く 人材紹介事業の運営を推進してきた。 一方新卒学生の採用面接をはじめ、 数多くの人事をこなしてきた「人材オタク」。 2005年、人材紹介事業をおこなう KIZUNAパートナーズ株式会社の 代表取締役社長に就任。 主としてエグゼクティブの人材紹介を手がけている。 ほぼ日の就職論特集の際に、 「面接試験の本当の対策」に登場いただいた。

Editor

川村 直道

川村 直道

Goodfind College 編集長
早稲田大学創造理工学部出身、新卒でスローガンに入社。学生向けセミナー講師/キャリアアドバイザー、京都支社長、Goodfindのメディア・イベント責任者を経て現職。