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COLUMN

「女性だから」を超える。挑戦し続けるキャリアを築く20代の過ごし方

「新卒入社先では早期にマネージャーになりたい」「20代で自分の会社を持ちたい」。そんな気持ちを持ちながらも、結婚や出産など自分だけではコントロールできないライフイベントを考えると、「女性だから」どこかでキャリアを諦めなければいけないのかも。そう考えていませんか? 早稲田大学在学中、Goodfindのインターン生だった臼井も同じような悩みを抱えながら就活をしていました。そこで、東京大学を卒業し、現在は2人の子どもを育てながらGoodfindでキャリアアドバイザーとして活躍する伊藤里沙子さんにキャリアアップの思考法や、仕事とプライベート両立のリアルを聞きました。

話し手

臼井まどか

臼井まどか

早稲田大学 文化構想学部4年(25卒)
Goodfindインターン生(~2025年3月)

伊藤 里沙子

伊藤 里沙子

スローガン株式会社
Goodfindセミナー講師・キャリアアドバイザー

SECTION 1/5

ワークもライフも充実させるために20代のうちに意識したいこと

臼井:新卒でヤフー株式会社(現LINEヤフー株式会社)入社後、ベンチャーへ転職し、子育てをしながら働く伊藤さんに、ワークとライフ、どちらも大切にしながらキャリアを築くリアルなロールモデルとしてお話を伺いたいです。ずばり「プライベートもキャリアも充実させたい」と考える就職前の学生に最も伝えたいことは何ですか?

伊藤:「20代のうちに挑戦的な環境に身を置き、職能を身につける」ということをぜひ意識してほしいです。若いうちに様々な経験をして成長しておくことで、ライフとキャリア、いずれのプランも組み立てやすくなるからです。

もし、20代でキャリアのビジョンが明確でないまま与えられた仕事をただこなしてしまったら、戦略的に自身の求める職能を身につけることはできません。結果として、産休復帰後に簡単な業務ばかり任されたり、育児をきっかけに退職後、落ち着いてから転職活動をしても、市場価値の高いスキルがないと良い条件が見つからなかったりします。

臼井:20代を過ごす新卒入社先や転職先で、戦略的に職能を身につけることが重要なのですね。ちなみに伊藤さんはどのような20代を過ごしましたか? 学生時代や就職活動、新卒入社先での経験をお話しいただけますか。

伊藤:東大の教育学部に進み、教育心理学を専攻していました。人と対面し、人間理解を深める領域のため面白く、非常に興味を持てたんです。一方で、社会への影響の範囲の広さや移り行く社会の変化に対応する観点で物足りなさを感じ、卒業後は、幅広い人に影響を与えられる仕事をしたいと考えました。そのため、就活ではユーザー数が多く、私たちの生活に根差している様々なサービスを展開する、安定した基盤があるIT企業を中心に受け、ヤフー株式会社(現LINEヤフー株式会社)に入社しました。

ヤフーでは法人営業を担当し、「女性だから」という理由で不都合を感じることはなかったものの、早期にマネジメントや0→1の事業立ち上げを経験したかったことから、入社2年目に教育系のベンチャー企業へ転職しました。そこでも営業として入社し、1年後には新規事業のエリア立ち上げの責任者を任されたんです。

事業企画や採用活動、新入社員の育成やエリア全体の社員のマネジメントなど、社会人3年目にして意思決定を重ね、組織や事業を動かす経験を積みました。この経験はその後のキャリアに大きく役立ったと思います。

臼井:具体的にその後のキャリアにどう活きましたか?

伊藤:現在、キャリアアドバイザー(CA)をやりながら、チームのKPI(重要業績評価指標)マネジメントや、目標達成に向けた戦略立案を担っており、過去の責任者の経験が大きく活きていると実感しています。また、前職での経験があったからこそ、産休育休後にKPIの責任を担う今のポジションを任せていただけたのではないかとも感じています。

SECTION 2/5

就活で子育てがしやすい企業を探すには?

臼井:伊藤さんはスローガンへ入社後にご結婚。お二人のお子さんを出産され、産休・育休を取得されています。一般的には大手企業の方が、子育てしやすいというイメージが強いのですが、スローガンのようなベンチャー企業において、産休・育休を取得することに対して不安や懸念はありませんでしたか?

伊藤:普段、私も学生の方と面談をしている中でそのように聞かれることが多くあります。結論から言うと、福利厚生については企業の規模感よりも、会社ごとに個別具体を調べることが重要です。

大手企業の方が福利厚生がよく整備され、ベンチャーだから整備されていないということは一概には言えません。それに加え、産休・育休などの制度は法律で定められているため、どの会社でも最低限は必ず整備されているはずです。むしろ、規模の小さい会社だからこそ個人に配慮しやすかったり、社員一人ひとりの必要性が重いがゆえに、柔軟に話し合いの場を設けてくれたりすることもあるでしょう。

出典:厚生労働省 育児休業制度特設サイト をもとに作成

臼井:大手、ベンチャーという企業規模やフェーズで安易に分けるのではなく、個別具体的に調べることが大切なんですね。ライフもキャリアも両立できそうな企業をどのように探せばいいのでしょうか?

伊藤:例えば、面接において、男性の育休取得率を聞いてみることをお勧めします。育休を経験したことのある社員が職場に多いと、産休育休制度に対する周囲の理解もあり、職場において取得する人への接し方にも、理解と協力の姿勢があることがわかります。

産休や育休を取ることは当たり前であり、そのような社員が男女問わず当たり前にいるような職場環境を選ぶことが重要です。

SECTION 3/5

育児の時間ができたことで格段に上がった力

臼井:産休、育休を経て、周囲の社員とキャリアの差が開いてしまう、復帰後に周りになじめなくなってしまうのではないかという不安や焦りはありましたか?

伊藤:正直、全くありませんでした。そもそも年齢が30歳に近くなってくると、私の場合、周囲との比較ではなく「自分自身が今後どうキャリアを歩むか」という観点しか考えなくなっていました。

よって、周囲と比べて自分がどうかということは一切気にすることはありませんでした。その時点で築いていた20代のキャリアを基に、復帰後もいまの延長線上でキャリアを継続し、活躍できると確信していたので、不安はなく妊活・産育休に臨めました。

臼井:お二人のお子さんを育てながら、産休育休前と同じGoodfind面談講師のお仕事を継続されているんですね。育児をしながら、仕事に復帰するのは大変ではなかったですか? ライフとワークを両立される中で工夫されていることがあれば教えてください。

キャリア面談講師としてご活躍される伊藤さん

伊藤:前提として、やはり一日の中で子どもを育てる時間があることで、可処分時間が減ってしまうのは事実です。私は現在、子どものお迎えなどのため勤務が17時までに終わるように仕事をしています。

時間が少ない中で、産休育休前と同じ仕事に取り組むのは大変だと想像するかもしれませんが、時間が限られているからこそ、私のセルフマネジメント能力が飛躍的に上がったとも言えます。具体的には、限られた時間をどのように使って業務を行うのか考え、実行する力です。

また、同じくフルタイムで仕事をするパートナーと分担を決め、お互いが担当する家事、育児をこなしながら子どもと向き合う時間を作るようにしています。先に担当を決めておくことで「やった・やらない」の揉め事はなくなり、日々の生活が格段にスムーズになりました。子どもの成長に合わせて、定期的に分担内容を見直し、アップデートもしています。

臼井:一度決めて終わりではなく、子どもの成長に合わせて定期的にパートナーの方と話し合う姿勢が大切なんですね。

SECTION 4/5

賃金格差から考える女性のキャリア

臼井:一方、社会に目を向けてみると、結婚や出産などのライフイベントが女性のキャリアに大きな影響を及ぼすことがわかるデータも見つかりました。

厚生労働省の令和6年「賃金構造基本統計調査」の男女別の賃金カーブをみると、産休や育休に入る社員が増え始める20代中盤から少しずつ男女の差が開きはじめており、最終的に大きな賃金差が生まれています。

出典:厚生労働省令和6年「賃金構造基本統計調査」をもとに作成

また、日本経済新聞によると、男女の賃金格差は過去最少ですが、以前として大きく、管理職に占める女性の比率も主要7カ国(G7)でも最低水準です。厚生労働省の調査によると、2023年度の男性の育休取得率は30.1%、女性の取得率は84.1%と依然として男女差は大きいですよね。

伊藤:結婚や育児などのライフイベントによるキャリアの中断や働き方の一時的な変化は女性に多く見受けられます。女性が家庭と両立しながらキャリアを築くハードルは残念ながら多いのが事実です。

SECTION 5/5

キャリアの挑戦は性別に関わらず応援されるべきこと

臼井:ここまで伊藤さんのお話を聞いて、伊藤さんのCAという職種は、比較的両立しやすい職種なのではないかと感じました。未来を見据えて、仕事と家庭が比較的両立しやすい職種に変更するなど、自分が望むキャリアプランを変更したほうが良いのでしょうか?

伊藤:新卒時からキャリアプランを変更すべきかというと、それは十分な検討が必要だと思います。ライフプランを優先して自分が本当はやりたくはない仕事に就いてしまうと、人生の中で一定の割合を占める仕事の時間がただ不幸せな時間になってしまい、ライフプランも立ち行かないということになりかねません。まずは興味のある仕事を起点に考えましょう。

併せて、特定の仕事は子育てと両立ができないということでは決してなく、パートナーとの役割分担ができ家庭を回すことができれば問題ないと思います。現代は、自分一人で家庭内労働や子育てを頑張らなくても、ベビーシッターや家事代行のサービスを利用することもできます。自分のキャリアを守るために積極的に他者の力を借りることはわがままな選択肢ではありません。

ただ、時間や場所に縛られずリモートワークやフレックス勤務ができる会社はとても働きやすいと言えます。現に今私はフルフレックス・フルリモートで働けていて、非常に育児との両立がしやすいです。ライフステージに合わせて働き方を変えたり、両立できる環境を選んだりするためにも、選べる職能を身につけておけると安心かと思います。

また、ここまで結婚・出産を経て子育てをしながらキャリアプランを実現させるにはどうすれば良いのかという観点でお話してきましたが、結婚や子どもを持つことを望んでいない方もいるでしょう。結婚したいか、子どもを持ちたいかどうかもまだ分からず、将来設計が不透明で不安だという方もいると思います。

どのようなライフプランを描くにしろ、挑戦し続けるキャリアを築きたいと思うことは応援されるべきことです。20代は、自身の適性職種や社内の異動、転職などで迷うことが多いと思います。もしキャリアに迷ったら、自分とは異なる視点やキャリア観を持っている一回り年上の方に相談してみることをお勧めします。また、キャリアを考えるヒントになるような記事がGoodfind Collegeにはたくさんあるので、ぜひチェックしてみてください。

臼井:少しずつ社会も変わり、このようにライフイベントの影響が女性にだけ大きな負担がかかる現状も少しずつ改善していっていると信じたいです。理想のキャリア・ライフプラン実現のために一人だけで頑張る必要もなく、今回の記事のように先人の知恵を活かしたり、周りに協力を求めたりして、私も自分らしい人生を歩みたいと思います。

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