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COLUMN

大学院生が後悔のない就活をするために、今やるべきこと

大学院生の就活は、先輩や同級生に就活をする人が少なく、情報が入ってこないため、不安に感じる人も多いでしょう。しかし院生での就活にはメリットも多くあります。今回は大学院から専門外就活をしたスローガンの石井沙知香さんと、24卒の大学院生として就活したのち同社でインターン中の篠原の実体験から、院生就活を成功させるためのポイントをまとめました。


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話し手

石井 沙知香

石井 沙知香

スローガン株式会社
ポテンシャルインキュベート部門 部門長

篠原 美夏

篠原 美夏

Goodfind College 編集部

SECTION 1/5

研究内容を伝えるときに意識したいポイント

篠原:今回は、東京大学大学院から専門とは異なる分野の企業に就職したスローガンの石井沙知香さんに、就活や就職後のお話を伺います。まず、石井さんの専門分野を教えていただけますか?

石井:専攻は都市工学で、その中でも防災まちづくりの分野が専門でした。学部生の頃は災害復興について研究していましたが、復興で何とかするよりもその前段階である防災に力を入れるべきだと思い、大学院では防災をメインに研究していました。

研究室にコアタイムはありませんでしたが、一日5時間くらいは研究室に行っていたと思います。土日にも、同じ分野の院生・研究者との交流会などに参加していました。

篠原:石井さんのように研究内容を一般の人でもわかるように話せると、院生就活が一歩有利になると思います。大学院で研究していると面接で話すと、必ず研究内容やテーマを聞かれますよね。その時に、大学院の先輩や教授に話すのと同じ感覚で説明しても、面接官には通じません。

石井:面接前に、自分の研究内容を簡単で一般的な言葉に言い換えて準備しておく必要があります。面接官と共通の経歴は高校までなので、高校生でもわかるように話すと基本的には通じるでしょう。その研究になぜ取り組んでいるのか、面白いポイントはどこかといった質問にも答えられるようにしておくと、熱量を持って研究に取り組んでいることをアピールできると思います。

SECTION 2/5

文系でも理系でもアピールできる院生の能力とは

篠原:大学院生が就活でアピールできる能力は「専門性」だけだと考えている方もいるかもしれません。むしろ、専門と直接関係のない企業を受ける際は、専門性ではなく院生の「基本スキル」をアピールした方が有効だと言えます。

院生の「基本スキル」とは、具体的に以下の4つが考えられます。

院生の基本スキル

・論理的思考力
・文章化能力
・新しいことを学ぶ貪欲さや知的好奇心
・一つのことをやり抜く力

大学院生は卒業論文・卒業研究や大学院での研究を通して、論理的に考える力や考えたことを適切に文章化する能力を鍛えられます。また、常に最新の研究や周辺領域について知識を得る必要があり、学び続ける姿勢を持っています。加えて、卒業論文や修士論文など、大きな目標に向かって研究を積み重ねてやり遂げる経験を得られます。

石井:研究を通して培った批判的思考や論理的思考力、また思考し続ける体力は院生の強みだと思いました。研究において先行研究を批判的に見る経験や、自分が立てた論を論理的に説明し文章化する一連の流れから得た能力は、卒論や院での研究を経験することで一層強化されます。

篠原:私は、実際の面接で自身の強みを聞かれた際に、「研究の一連の流れから得た経験に基づいた、論理的思考力や新しい知識を吸収する意欲が強みです。これは研究だけでなく仕事においても活かせると思います」といった内容を答えていました。院での研究という具体的な経験に基づいた説明ができるので、説得力を持たせられるのも良かったと思います。

石井:実際の仕事でも、論理的思考力は何にでも活きていると感じます。企画のときも、施策でPDCAを回すときも、ベースになっています。他に仕事に活きていると実感している、院生時代に得た能力やマインドとしては、以下の3つが挙げられます。

院生時代に得た能力やマインド

・新しい分野に飛び込む勇気
・リサーチ力
・状況を動かす・前例を覆す力

篠原:こういった能力は、大学院生からすると「当たり前のこと」かもしれませんが、実は大きなアピールポイントとなります。研究だけでなく就職後の仕事でも活きる重要な基礎スキルであるため、新卒に求める企業も多くあります。

株式会社アカリクによる大学院を修了した社会人への調査でも、約67%の人が「大学院での学びが研究領域とは異なる分野の仕事に活きている」と答えています。

他にも、大学院生は大学4年間を丸々就活で話せることも、隠れた有利な点です。学業でもサークル活動でも、最後までやり抜いた結果も含めて面接で話すことができ、成果をアピールしやすいでしょう。ゼミ活動など学部3・4年生から始まるものについても、深い内容まで話すことができます。

※参照:大学院を修了した社会人の仕事の満足度に関する実態調査
 出典元:大学院生のキャリアを支援する「アカリク」

SECTION 3/5

就活と研究を両立するには?

篠原:いつ就活をするか迷っている方もいるでしょう。大学院生の就活スケジュールの大枠は、基本的に学部生と変わりません。

▶就活の全体像を知りたい方は【保存版】最初に知るべき、就職活動の全体像もご覧ください。

ただし、大学院生の場合は、学部生よりも大学・研究室に時間を取られやすく、就活に割ける時間が少なくなってしまう点に注意しましょう。

例えば、学部1・2年生の間に十分な単位を取得していれば、学部3年生からは授業数を減らして就活に充てる時間を作りやすくなります。しかし大学院の場合は、修士2年を修士論文の執筆に充てるため、修士1年で授業を多く取らなければなりません。また、土日に学会や研究会が入ることもあります。

そのため、授業の空き時間の有効活用や、効率的に就活を進めることが大切になります。オンラインで受けられる面談・インターンシップやセミナーを活用して、短期集中ではなく長期的にコツコツと積み上げるように進めていくと良いでしょう。

就活に集中しすぎて授業や研究がおろそかになってしまうと、教授や先輩・同期から難色を示され、修士論文の作成や学校生活などに支障が出てしまう恐れがあります。人によっては就活を否定的に見ていることもあるため、研究と就活のどちらかに偏ることなく両立する必要があります。

石井:大学院生として就活することのメリットもありました。単純に学部生よりも学生の時間が長いおかげで、本を読んだり壁打ちをしたりして自己分析を進め、複数の社会人と話す機会も設けた上でキャリアを決められたことです。周りの“普通”に流されることなく、納得して自分の道を決められたと思います。

一方で、就活生の仲間が周りに少なく、放っておくと博士後期課程か不動産デベロッパーの情報しか入ってこない環境だったので、最初の一歩を自分で踏み出すことは必要でした。自分で就活コミュニティを作って仲間を増やしたことや、複数のメンターと繋がるなど、自分から動くことで解決できたのは良かったです。

SECTION 4/5

納得して進む道を選ぶために

篠原:修士修了後、大きくわけて博士後期課程の進学と就職の2つの道があります。石井さんは、なぜ博士後期課程に進学せずに就職する道を選んだのでしょうか?

石井:防災以外にもやりたいことがあったからです。小さい頃からいじめや発展途上国の問題など社会課題に興味があり、博士後期課程に進学して防災一本に絞るのではなく、もっと多くの人の役に立ちたいと思いました。

また、手触り感を持って変化を実感できる方がモチベーションが湧くタイプなので、世の中に活きるのが何年先かわからないアカデミックな場より、スピードの速いビジネスの場でやっていきたいと思ったのも理由の一つです。篠原さんはどうでしたか?

篠原:私は、人生を通して「可能性・選択肢をなるべく多く持っておきたい」と考えているので、研究者一本の道ではなく様々な選択肢を持てるビジネスの場を選び、就活をしました。私の研究分野は現実社会との接点があまりないので、社会の役に立っている実感がほしいという理由もありました。

面接では、自己紹介で大学院生であることを伝えると、「なぜ博士後期課程に進学しないのか」と聞かれることも多いです。就職を希望する理由を答えられるように整理しておきましょう。もし答えがすぐに出てこないのであれば、「なぜ?」の深掘りが足りていないのかもしれません。

ちなみに、石井さんが大学院生のときに「これやっておけば良かった……」と後悔していることはありますか?

石井:長期インターンをやっておけば良かったと思います。学生のうちから視座高く色々な経験を積めただろうし、大人と話す機会も多く持てたと思うので。
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逆に、就活に力を入れすぎたなと思います。初期は「この専攻ならデベロッパー」「院生ならコンサル」など思い込みが強く、本質的ではない就活をしている時間が長かったですね。憧れや周りに流されず、要点を絞ってやれていたら良かったです。

篠原:他の人よりも2年間長く学んだ分、その専門を活かさなければと思うかもしれませんが、自分の専門とぴったり合う仕事は想像よりかなり少ないと思った方が良いですね。長期インターンをすることで、具体的な働くイメージを掴めるのではないでしょうか。

アカリクの調査でも、80%を超える人が「仕事選びをする際に自身の研究領域にこだわる必要はない」と答えています。一度フラットな目で様々な業界・企業を見てみると、選択肢が広がるかもしれません。

参照:大学院を修了した社会人の仕事の満足度に関する実態調査
出典元:大学院生のキャリアを支援する「アカリク」

篠原:最後に、専門外の企業を見ている就活生に向けて、院卒の社会人として一言お願いできますか?

石井:周りに流されずに決めてほしいというのと、研究を言い訳に使ってほしくないですね。「この専門だからこの業界」「院生ならコンサル」など安易な決め方ではなく、自分で覚悟を持って頑張れるように、納得感を持って就活してほしいです。

そうであれば、就職した後も、それぐらい覚悟を決めた企業でなら頑張れると思うし、後悔もしないと思います。もし専門と同じ分野に進むとしても、「とりあえず今やってるのと同じことやろう」という決め方をしてしまうと、本当につらいときに頑張れなくなってしまうと思います。

SECTION 5/5

院生におすすめの就活サイト

篠原:専門外の就活をする場合でも、大学院生ならではの強みを活かすことができます。考える時間が多くある分、周りに流されることなく自分の将来を選び取ることが重要です。

ただ、時間の無い院生は効率的に就活を進める必要があります。Goodfindでは、短時間で就活のポイントや企業・業界を知れるセミナーを開催しています。18時以降に開催されることが多いため、授業後に参加することが可能です。また、招待制の面談ではキャリアアドバイザーに個別の悩みを相談できます。納得のいく選択をするために、Goodfindを活用してみてはいかがでしょうか。

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