COLUMN
秋に動いた者が本選考を制す。Goodfind直伝、秋にやること虎の巻
サマーインターンを終え、一息つける秋。手応えを得て本選考までひとやすみしようと考えている方も、悔しい思いをバネに秋冬インターンに挑もうという方も、秋の有意義な過ごし方を考えてみませんか。納得して就活を終えるために、秋に何をやるべきか。15年間学生と向き合い就活の本質を伝えてきたGoodfindが、秋の就活戦略をお伝えします。
話し手
堀本 麦
スローガン株式会社
Goodfindセミナー講師・キャリアアドバイザー
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秋の動き方が就活で大事な理由
──「サマーインターンを頑張ったから、秋はひと休みしたい」と思う人が多いようです。夏に手応えがあったら、年明けの本選考までは就活はお休みしてもいいでしょうか?
堀本:ひと休みしたい気持ちはわかりますが、 多くの就活生を見てきた立場から、秋も動くことをおすすめします。秋に何もしないと本選考で苦戦するからです。 そもそも就活生にとって「秋はどういう時期なのか」からお伝えしますね。
- サマー(9月まで):選考やジョブ本番で、ありのままの自分が評価される。
- 秋冬(10月~年末まで):夏の経験を振り返り、本選考に必要な土台を鍛える。
- 本選考(1月以降):内定に向けて対策をし、内定したら入社先を決める。
秋にインターンを実施する企業は夏に比べると少なく、年明けの本選考開始までは比較的時間の余裕があります。周りの動きも活発でないため、自らやることを決めないと何もせず過ごしてしまいがちですが、秋にやるべきことをやっておけば、本選考を効率的に進められます。
また、本選考では目の前の面接対策に忙しくなるため、秋は自分の知らない業界や企業と出会うラストチャンスとも言えます。
──知らない企業を知るチャンスなのはわかりますが、秋に動かないと本選考で苦戦するのはなぜですか?
堀本:秋に動かなければ意思決定の軸が深まらないためです。その結果、本選考で3つの事態に陥ってしまいます。
<秋に動かないと本選考で陥る3つの事態>
①受かる企業と行きたい企業がズレて就活が非効率になる。
②志望動機が浅いままで面接官に覚悟が伝わらず、最終選考で落選する。
③内定を獲得しても決め手に欠けて迷い、意思決定ができない。
これらを防ぐために秋にやるべきは「内定・承諾に必要な土台づくり」であり、自分自身をもっと知って軸を深めること。これをやっておくと内定に繋がり、最後に納得いく意思決定ができます。
──「意思決定の軸」とは何ですか?夏までの就活軸とは異なるものですか?
堀本:「就活軸」は選社軸に近く、ざっくりとあたりを付けて業界・企業を探していくための軸であり、膨大な企業の中からまず目を付ける領域を選んでいくための「網目の粗いザル」のようなものです。
これは言い換えると抽象度が高い軸なので、最終選考など、具体的な軸や深い動機が必要とされる場面では本気度が伝わらず、企業から「うちじゃなくても他でもいいんじゃない?」と言われてしまうのです。
一方で「意思決定軸」は就活軸のアップデート版とも言えるもので、就活軸よりも「網目の細かいザル」のようなものです。膨大な企業の中で、受けているその企業だけが残るような、もしくは第一志望群の数社だけが残るような軸になっていることが理想です。
意思決定軸は具体的かつ網羅的なものになるため、就活初期においては視野狭窄に繋がりますが、最終面接など就活後期においては、通過確度を高めていくために欠かせないものとなります。
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秋に動かなかったAさん、動いたBさん
──秋の動きが、具体的にどのような失敗や成功に至るのでしょうか?先輩方の事例を聞かせてください。
堀本:秋に動かず失敗したAさんの事例から考えてみましょう。Aさんは、サマーインターンに参加した企業の本選考で最終面接まで進んだものの、落選。理由は最終面接で入社後に何がしたいかを話せず、志望度の高さと覚悟が伝わらなかったためでした。
振り返ると、サマーでその企業から高い評価を得たことで自分におごりがあり、秋には特に対策をしなかったために、軸を深めきれていなかったことに原因がありました。
サマーでは、多くの企業は学生のポテンシャルを見ていますが、本選考では軸との整合性や入社後の覚悟が問われるため、夏の評価が高ければそのまま内定が獲得できるとは限りません。
一方で、秋に動いて成功したBさんは、視野を広げようと秋に様々な企業を見たところ、エンタメの事業会社と、新規事業コンサルという全く異なる2社に出会い、内定を獲得できました。
Bさんは一見異なる特徴を持つ企業も視野に入れたことで軸を深められ、どちらの企業にも説得力のある志望動機を伝えることができたのです。志望度の高い2社で最後に悩み抜き、最終的にはエンタメ企業への承諾を、納得感を持って決めることができました。
このように、秋に動くかどうかで、意思決定軸と志望動機の深み、意思決定における納得度が大きく異なってくるのです。もしサマーで手応えがなかったとしても、秋にやるべきことを実践すれば本選考で挽回できます。
次章から、秋にやるべき「土台のつくり方」を具体的に伝授していきます。これを実践して納得のいく内定・承諾をしましょう。
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秋トレで、意思決定の土台を鍛える
──秋に動くべきだとわかりましたが、何をしたらいいのでしょうか?秋にやるべき「土台づくり」とは何ですか?
堀本:秋にやるべき土台づくりとは、本選考で結果を出すための基礎体力を鍛えるトレーニングで、具体的には意思決定軸を磨いて志望動機を深めることです。筋トレのように後々効いてくるので、当記事では秋にやるべきこと全体を「秋トレ」と呼びますね。
まず秋トレをやる前提として、「就活で納得いく意思決定をするための4つのステップ」を押さえましょう。
秋トレとは:意思決定軸を磨き、志望動機を深めること
<就活の意思決定に必要な4ステップ>
Step1:自分の興味の範囲を知る。
Step2(=秋トレ):興味範囲以外の知らなかった世界、未知の企業を見に行く。
Step3(=秋トレ):自分の興味と「社会との接続点」を決める。
※社会との接続点とは、「自分が社会とどう関わり、どう役に立つのか」の言語化。
Step4:全てを知ることは不可能という前提で、わからないことがあっても決めるという意思・覚悟を持つ。
就活の意思決定に必要な4ステップのうち、Step4は本選考での内定承諾なので、Step1から3を秋までにやりきるのが理想的です。Step1では、サマーインターンを経て自分の興味がある・ない領域を言語化しておきましょう。興味が絞れてきた人も、むしろ広がったという人もいると思います。ここでのポイントは「サマーで興味が絞れて軸が定まった」という人も、必ずStep2をやるべきということです。
──なぜ、軸が定まってきた人も興味範囲外の情報収集をするべきなのでしょうか?
堀本:サマーでは狭い視野で興味の範囲内しか見ていないことが多く、社会とのつながりの観点が弱いからです。そのため、サマーで決めた軸や動機は自分中心で、企業から見ると浅いものになりがちです。
就活を経て社会に出るというのは、「仕事や入社先」を通じて社会とつながることですが、接続点を自分の言葉で伝えられないと、面接官からは「うちに入社しなくても趣味としてやるか、自分で起業したらいいんじゃない?」と言われてしまいます。
つまり、サマーの状態のままでは片思いのように「行きたいけど受からない」状態に陥ります。意外かもしれませんが、多くの面接官は「御社にしか興味がありません」と言われるよりも、他社や他業界もいろいろ知った上で「こういう理由で御社がいいです」と言われた方が納得します。
そのため、秋トレではまず、興味外の知らなかった企業を見ましょう。夏を経て「企業を見る目と自分を振り返る力」が向上しているはずなので、興味範囲が変わったり、企業側の目線を持てたり、世の中と自分を俯瞰して客観視できたりするため、憧れで行きたい企業だけでなく、自分が合う企業や受かる企業に目が向きやすくなります。
次にStep3で「興味をもとに自分が社会とどのように関わり、どう役に立ちそうか」を言語化しましょう。Step3が志望動機であり、後半で紹介する垂直軸でもあります。次章では秋トレの肝とも言える、垂直軸を伝授していきます。
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秋トレで垂直軸を深める
──志望動機づくりでもあるStep3では、「自分の興味と社会との接続点を決める」と伺いましたが、ポイントは何でしょうか?
堀本:Step3のポイントは、「垂直軸」です。垂直軸とは、軸の中でも意思決定に必要なもので、自分なりに磨いた縦の軸です。例えば私の垂直軸は「世の中をよくしたいと考えている人と一緒に、働き方の課題を解決するビジネスをつくる」というものです。
よく軸として「年収、裁量権、職種、配属ポジション」などを挙げる人がいますが、それは企業を探す際の条件面であり、ここでは「水平軸」と呼んで区別していきます。水平軸しかないと自分の言葉で軸を語れず、動機が浅いままで内定獲得しづらい上に、水平軸が同じような企業に数社内定した場合、決め手がなく意思決定ができません。
一方で、自分なりの垂直軸を深めていくと、レベルの高い会社や少数枠に内定しやすくなりますし、最後の承諾時に迷いにくくなります。新卒から大きな裁量を持てるようなレベルの高い会社ほど、あなたが入社後にやりたいことや意思の明確さを選考の最終段階で見て、入社後に活躍できるかどうかを判断しているからです。
──垂直軸の深め方を教えてください。
堀本:以下の5つのステップがあります。
よくあるだめな企業の受け方は「自分の合う業界を探そうと、なんとなくコンサル、メーカー、インフラも見ました」というもので、理由なくランダムに業界や企業を見ても垂直軸は深まりません。
必ず、自分の興味範囲を中心に「なぜその企業なのか、なぜその領域なのか」と芋づる式に見る範囲を広げていきましょう。単なる情報収集にとどまらず、自分なりに面白さがわかるまで広げる・深める動きを繰り返すことで、垂直軸が深まっていきます。
もし自分の興味範囲もまだ曖昧であれば、自己分析から始めてみましょう。
自己分析のやり方はこちら
【面接対策】納得できる内定獲得のための自己分析とはSECTION 5/6
事例で学ぶ、垂直軸の深め方
──水平軸だけでなく、垂直軸を深める重要性がわかりました。次は、具体的に垂直軸を深めるやり方と事例を知りたいです。
堀本:垂直軸の深め方としてCさんの事例をお話ししましょう。Cさんは、サマーインターンに参加した企業のうち、マーケティングに強みを持つ事業会社X社に興味を持っていました。X社はマーケティング業務をすべて自社で内製していることが特徴で、マーケティングのすべてのプロセスを経験できる点にCさんは惹かれています。ここまでが「①サマー振り返り」と「②自己分析」ですね。
「マーケティング、内製、X社」を軸とした時に、逆に内製ではなくマーケティングを外注するメリットは何だろう?と考え、外注しているY社を見つけました。さらには、Y社の外注先であるマーケティング会社を調べてZ社を見つけました。これが「③新たな企業を見る」です。
すると、内製のメリットデメリットはもちろん、X社が内製にこだわる理由や強み、X社に入社しないとできないであろうことが、1周まわってより具体的に見えてきました。こうして、Cさんは「マーケティングを自社で内製している企業でスピーディな改善業務を経験して事業を成長させる」という垂直軸ができました(④就活で「大事にしたいこと」を言語化)。
そして、X社に対する志望動機を深め、「X社に入ってこれをやりたい」と言えるようになり覚悟もできました(⑤接続点を決める)。
Cさんのように自分なりの軸を深めて、自分なりの理由を言語化できて覚悟が企業に伝わると、内定がぐっと近づきます。
──垂直軸を深めないと、内定できないのでしょうか?
堀本:軸の深さや動機の強さよりも、学生のポテンシャルを重視する企業では内定できる場合もあります。ただ、その状態で内定すると、最後に軸がぶれて1社に決められません。垂直軸が浅いまま内定したDさんの事例をお話ししましょう。
Dさんは、本選考初期の1月時点で、コンサルをはじめ異なる業界から計8社の内定を持っていました。ただ、Dさんの軸は「ビッグになりたい」と抽象度が高いまま深まっておらず、結果的に1社に決めきれずに卒業を1年遅らせました。本来なら「ビッグになるには何が必要か、ビッグになった先にどうするか」などと、秋に垂直軸を深堀りする必要がありました。
深掘りするための大まかな軸は「経営者になりたい」「ビジョン共感したい」「社会をよくする事業をやりたい」など何でも構いません。気になるポイントを起点にキリで穴を広げるように新たな企業を見ていき、比較してみましょう。秋にGoodfindがおすすめする企業特集もあるので、切り口の参考にしてはいかがでしょうか。
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秋トレ:記事を読み、早期選考を受ける
──秋トレをやってみようと思いますが、興味外の企業を開拓するのにオススメの方法はありますか?
堀本:手始めとして記事を読むのがおすすめです。準備もなく今すぐに着手できます。いろんな企業・人の話を読み、新しい軸のヒントを得ましょう。
<秋トレで記事を読むメリット>
①志望企業の記事を読んだ場合
- HPではわかりづらい社風や社員の価値観など、各社の定性面がわかる。
- 自分の垂直軸と志望企業の一致不一致を感じ取れる。
②知らなかった企業の記事を読んだ場合
- 話し手の価値観や考え方からその人の垂直軸がわかるので、垂直軸がまだ深まってない人にとって軸のヒントになる。
- 経営者の視点や若手のマインドなどから刺激や学びがあり、自分の軸が磨かれる。
<具体的な読み方>
2社以上読んで比較し、自分の共感ポイントや違和感を言語化する。
浮かんできた記事の感想や疑問をアウトプットすることで一気に軸が深まるので、記事を読んだら、直接いろんな社会人の経験談や考え方を聞いて、自分の疑問をぶつけて対話し、垂直軸を深めましょう。
そして社会人と真剣に話すには、秋のインターンや早期選考を受けてみてください。自分に合う企業との出会いがあるかもしれません。秋トレが本選考の結果につながり、納得いく意思決定ができますように。私もGoodfindも皆さんを全力で応援しています。
今やっておきたい3つのこと、内定へ一歩近づくための情報を掲載中。
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