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EVENT REPORT

Shapers―新産業をつくる思考法―書籍出版記念イベントレポート

2021年2月下旬に、Goodfind代表の伊藤による著書「Shapers 新産業をつくる思考法」の出版を記念した特別講演イベントが行われました。登壇したのは、株式会社ディー・エヌ・エー、Sansan株式会社、株式会社サンブリッジ、株式会社LIFULL、レバレジーズ株式会社、株式会社ネットプロテクションズの経営陣の皆さん(登壇順)。

書籍で提唱している「Shaper」という新しいキャリアのあり方について、実際に社会を変革してきたShaperである皆さんが、数百名の学生に向けて熱い持論を展開してくれました。本記事では、イベントの模様をダイジェストでお届けします。

SECTION 1/7

「Shaper」という新しいキャリアのあり方

まずはGoodfind代表・伊藤のオープニングトークからイベントがスタート。書籍のテーマでもである「Shaper」という言葉の定義や、Shaperとしてのキャリアを歩むことの重要性など、書籍の内容の一部について言及しました。

伊藤:Shaperとは、「創造性を発揮して新しい価値を“かたちつくろうとする人”」のことを指します。創造性はイノベーターや起業家の専売特許ではなく、あらゆる人の中に眠っているものです。一人ひとりが創造性を発揮し、新たな価値をかたちつくる社会になれば、日本社会は常に時代の要求に応じて革新され続けていきます。そのように主体性を発揮して自分の人生をつくり出していく生き方は、人生を豊かにもするでしょう。


また、Shaperとして生きることは、安定したキャリアにも繋がります。安定とは自分の外にある安定した何かに依存することではなく、一見不安定に見えるかもしれなくとも、自分で常に新しい価値をつくり出し、自らつくった道の上を歩いていけるような力を身につけることなのです。

SECTION 2/7

Session1:沈む船の特等席を選びに行くな

ゲスト講演のトップバッターとして登場したのは、株式会社ディー・エヌ・エー 代表取締役会長の南場智子さん。マッキンゼーで日本人女性としては歴代3人目となるパートナー(共同経営者)を務めたのち、DeNAを創業した正真正銘のShaperである南場さんは、「これから自分の人生を脅かされないようにするには、自分に実力を身につけることが重要である」と語りました。

南場:学生の皆さんに知ってほしい、いま社会で起きている不可逆的な変化は「会社と個人は切り離されていく」ということです。仕事はどんどん、会社単位ではなくプロジェクト単位で行われるようになっていきます。


プロジェクトに呼ばれる人材になるには、実力をつけることが重要です。実力とは何かというと、「こと」を為せる人材、つまり立てた目標や任された役割をなんとしてでも達成できる人材になること。より具体的に言えば、目標達成のために必要な作戦と資源がわかり、道のりを自分で描き、必要な人や資源を引っ張れるようになることです。


そのためには、今までの教育をアンラーニングする必要があります。誰かが決めた正解を言い当てるのではなく、目標の達成のためには何が必要なのか、状況から自分のキャラまであらゆるものを材料に、自分で正解を導いていくのです。そしてその力は今日から磨くことが出来ます。恋人を作りたいでも、お小遣いを稼ぎたいでもいい。意識的に目標を定め、達成するために試行錯誤する、ということを繰り返し行うことが非常に重要なんです。

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SECTION 3/7

Session2:世界基準で勝負する日本発スタートアップの流儀

続いて登場したのは、Sansan株式会社 取締役 CHROの大間祐太さん。Sansanは「名刺管理」というこれまでほぼ存在しなかった市場を創造し、8割超という圧倒的な市場シェアを誇る日本発SaaSの雄とも言える存在です。CHROとしてSansanの組織づくりを担う大間さんは、「イノベーションを起こすために何よりも重要なのは意志である」と語ってくれました。

大間:世の中の企業には二通りあります。それは「風を追いかける企業」と「風を起こす企業」です。「風を追いかける企業」は、マーケットの流れを捉え、風が吹いているところに事業を生み出します。一方の風を起こす企業は、iPhoneを生み出したアップルのように、元々は誰も必要としていなかったものを無くてはならないものに変え、常識を変える企業のことです。


世の中はそれぞれが支え合ってできているので、二者に優劣はありませんが、Sansanは風を起こす企業でありたいと考えています。風を起こすために何よりも大事なのは、「イノベーションを起こすのだ」という強い意志です。そのためSansanでは、「我々は何者で、何を成すためにここに集まっているのか」を社内で常に共有しています。意志なきところに偶然のイノベーションが起こることはほとんどなく、イノベーションの裏にはいつも、主体性を持ってチャレンジした人々がいるのです。

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SECTION 4/7

Session3:経営者目線で考える新卒キャリア

3つ目のセッションは、株式会社サンブリッジ 代表取締役社長の梶川拓也さんと株式会社LIFULL 執行役員 CPO 人事本部長の羽田幸広さんによる対談講演でした。現在経営人材として活躍するお二人が、自身の就職活動時~新卒数年目のことを振り返り、いま就活生に伝えたいキャリアの持論をそれぞれ語ってくれました。

梶川:私は就活時、「やりたいことや目標が明確にないと駄目だ」と考えていましたが、そんなことは決してないと今では思います。当時の私と同じことで悩んでいる方には、「何でもまずはやってみる」というスタイルをおすすめしたいですね。そして周囲から積極的にフィードバックを貰い、自分の得意なものを見つけていけばいいと思います。


前提として、私は仕事選びは「好き」以上に「得意」を軸にするのがいいと考えています。得意なものを仕事にすれば結果もついてきやすいので、気づいたら好きになっていることも多いし、その先の選択肢も広がりやすいからです。


得意なものを見つけるには、他者の目線で評価されているポイントを知ることが重要です。仕事の成果はお客様や上司が決めるものですから、そうした人たちからぜひ積極的にフィードバックをもらってみてください。


人は誰もが必ず強みや得意を持って生まれています。自分に期待して、自信を持って就活や学生生活を送ってもらえたらと思いますね。

羽田:先が見通せず、転職や副業が当たり前となった今の時代に安定を得る方法は、何よりも自分に力をつけることだと思います。安定した会社に入ろうとするのではなく、自分でキャリアを管理する意識を持つことが大切です。


そのためにも、「100年間の人生をどう充実させ、楽しくしていこうか?」と考えて、自分が長い間付き合っていく武器としてのスキルを確立してもらいたいですね。


「仕事が楽しい」と思える人の共通点は、「毎日、強みを使う機会がある」ことなんだそうです。強みを使っている人は、使っていない人に比べ、仕事に熱意を感じ、楽しんでいる割合は6倍、人生を心から楽しんでいる割合は3倍になるというデータもあります。


「自分はこの力で社会に貢献するのだ」というものを確立することが、世の中にも自分の人生にもプラスの影響を与えてくれます。そうした方向性を定めるためにも、学生のうちはあらゆるものを食い散らかすぐらいの勢いで、視野を狭めずに様々な経験をしてみてもらえたらと思いますね。

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SECTION 5/7

Session4:20代執行役員による、若くして役員になる人の考え方

4つ目のセッションには、レバレジーズ株式会社 執行役員の藤本直也さんが登場。社会人2年目で事業部長を経験したのちに同社最年少の25歳で執行役員に就任するなど、異例の若さで大役を担ってきた藤本さん。そうした抜擢の裏側にはどんな思考や行動があったのかを語ってくれた講演は、以下のようなメッセージで締めくくられました。

藤本:自分の周囲を見ていて、社会で活躍しているのは「一貫性のある思想を持っている人」だと感じます。私自身も就活時から現在に至るまで、ありたい姿として「自分が生きた世界と生きていなかった世界に差を生むこと」を掲げ続けてきました。だから事業を作ろうという強い思いを持つことができましたし、役員の誘いを受ける意思決定をしたのも、ありたい姿に繋がるイメージを持てたからです。


「自分は何のために生きているのか」という信念の方向性がはっきりしている人ほど、モチベーションがぶれにくいし、大きな力を出せると思います。だからこそ皆さんには、ありたい姿を見つけるのを先延ばしにしないでもらいたいです。就活時に諦めずに自分なりの思想を確立し、意思決定ができた人は強いと思います。

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SECTION 6/7

Session5:全員がリーダーの組織ができるまで

イベント最後のセッションは、株式会社ネットプロテクションズ 代表取締役社長の柴田紳さんと伊藤の対談講演でした。柴田さんは、今でこそ「BNPL(Buy Now Pay Later)」という単語と共に世界的な盛り上がりを見せる「後払い決済」がこの世に存在しない時から市場を作り上げた、紛うことなきShaperです。今回の講演では、ネットプロテクションズが実践する「ティール組織」という、日本ではまだ珍しい自律分散型の組織体制の実態と効用について語ってくださったうえで、学生に以下のようなメッセージを贈ってくれました。

柴田:現在は本当に社会が大きく変わりつつあるタイミングです。だからこそ意欲や能力がある方には、ぜひ自分を磨いて、社会をより良く変えていくことに挑戦してもらいたいと思います。


特に20代はゴールデンエイジです。その期間にどれだけチャレンジして自分を肉厚にできるかが勝負だと思います。この時期は失敗しても全然構わないんです。私も幾つもの失敗や苦労を重ねてきたからこそ、今があると思っています。


そのため環境選びの際には、「大きなチャレンジができそうか」を見るとよいのではないかと思いますね。そしてその一つの場として、ネットプロテクションズを加えてもらえたら嬉しいです。

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SECTION 7/7

「Shapers 新産業をつくる思考法」好評発売中!

世の中に新たな価値を創造してきた有数のShaperが次から次へと登場した今回のイベント。

当日はTwitterでも、「#Shapers」のハッシュタグと共に得られた学びについて多くのツイートが寄せられました。

ツイートでは「画面越しに大きなエネルギーをもらった」「学生生活の時間の使い方を考え直すきっかけになった」「今後も大切にしていきたいスタンスを学ぶことができた」といった声が挙がっており、参加学生にとってはShaperたちの声を直に聴くことで生き方のヒントや大きな刺激を得られる時間になったのではないかと思います。

書籍「Shapers 新産業をつくる思考法」では、今回ご登壇いただいた方々をはじめ、新産業やイノベーションの創造に挑む企業を多数取り上げながら、「事業創造のアプローチ」「事業を生み出す人と組織」「新産業領域におけるキャリア」といったテーマを紐解いています。気になった方はぜひ一度、お手に取ってみてください。

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