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INTERVIEW

イノベーションの起点は自分。起業家ランキング1位の社長が語る真髄

社会に大きなインパクトを与えるイノベーションはどのようにして生まれるのか。今回は、Forbes JAPAN「日本の起業家ランキング2021」で1位に輝いた佐渡島隆平氏にインタビューしました。クラウド録画サービス事業で業界トップシェアを誇るセーフィーの創業者から、社会に変革を起こすための思考法を学びましょう。

※ テクノ・システム・リサーチ社「ネットワークカメラのクラウド録画サービス市場調査(2022)」より、エンジン別カメラ登録台数ベースのシェア(56.4%)


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SPONSORED BY セーフィー株式会社

話し手

佐渡島 隆平

佐渡島 隆平

セーフィー株式会社
代表取締役社長CEO

SECTION 1/4

1人目のお客様は自分。イノベーションの起点はここだ

⸺佐渡島さんは大学時代から学生起業家として活動していたとのことですが、イノベーションを起こすには、どのようにしてアイデアを生み出せばよいのでしょうか。

佐渡島:様々な手段があると思いますが、私は「徹底的に、自分が欲しいものをつくる」ことを起点にするのが良いと思います。

これは、私自身がサービスをつくるにあたって大切にしてきたことです。学生時代には、学生間で休講情報や講義のノートを共有できるコミュニティサイトを開発・運営していました。当時、「学校には絶対に行かないぞ」と思っていた私が一番欲しかったサービスだったのです(笑)。大手企業から広告の掲載依頼を受けるなどしながら、一時は買収の話も持ち上がるほどに大きくなりました。

革新的なアイデアを生み、形にするために、私はまず「1人目のお客様は自分」という心構えを持ち、自分は一体どのようなニーズを持っていて、どのようなサービスを欲しているのかを突き詰めて考えてきました。実は多くの人が自分と同じニーズを持っているものです。自分が魅力的に感じるものをつくりきった先に、大きなマーケットがあると思っています。

⸺セーフィーの事業立ち上げのきっかけも、佐渡島さん自身の困りごとだったのでしょうか?

佐渡島:はい、自宅に防犯カメラの設置を検討したことが、創業のきっかけになりました。当時の防犯カメラは高価な割に解像度が低かったのに加え、アナログカメラだったので、映像を見たいときにはわざわざケーブルでモニタに繋ぐか、HDDレコーダーに録画する必要がありました。テクノロジーの進化に取り残されているように感じ、正直「イケてないな」と思いました。

そこでひらめいたのが、置くだけで簡単に設置できて、インターネットにも接続できるクラウドカメラです。インターネットに繋げれば、いつでも、どこでも映像をチェックできるようになりますし、カメラ自体のシステムを自動でアップデートしたり、新しい機能を簡単に追加したりすることも可能になります。

⸺自分自身のニーズから、クラウドカメラを構想したのですね。

佐渡島:そうですね。また、防犯カメラが録画した大量の映像データを機械学習に利用することで、顔認識などの便利なアプリケーションが開発でき、防犯以外の用途にもクラウドカメラを活用できる可能性があると考えました。

当時、ソニーの木原研究所からカーブアウトしたモーションポートレート株式会社で、画像処理技術の開発に関わっていたことも事業のアイデアに影響がありました。これからの時代は、データを大量に持っている企業がそのデータをAIに学習させることで、どんどん革新的なアプリケーションを開発し、大きく成長していくだろうと肌で感じていたのです。そこで2014年に、あらゆる映像データが集まるプラットフォームをつくることを目指してセーフィーを創業しました。

SECTION 2/4

協業の秘訣は、大きなビジョンを掲げること

⸺自分の「欲しいもの」を突き詰めるだけで、本当にアイデアを形にすることはできるのかという点に疑問を持つ人もいると思います。

佐渡島:確かに、自分が欲しいものをつくりたいだけなら、「勝手にやれ」で話が終わってしまいますよね。他者と協働しながらイノベーションを起こすために重要なのは、まず「一つの大きなビジョンを掲げる」ことだと考えています。私たちは「映像で色々なものをデータ化すれば、面白い未来がつくれる」という未来像を掲げ、様々な企業と業務面・資金面での提携を進めてきました。

一例をあげると、セーフィーは関西電力株式会社と資本業務提携を結び、より便利で安心できる街づくりに挑戦しています。当社のクラウドカメラを関西電力が保有する電柱や鉄塔に設置し、交通量や人の動きなどをデータ化する。そうすることで例えば、ある地域に新しく店舗を構えたい人が、データを活用して最も効果的な出店計画を立てられるようになる可能性が開けますよね。防犯や防災にも活用でき、様々な社会課題を解決する有効な手段になります。

⸺お互いが持つ資産や技術の強みを活かしあって、ビジョンの達成に向けて協業しているということでしょうか。

佐渡島:その通りです。ただ資金を提供してもらうだけではなく、お互いが培ってきた技術やノウハウを積極的に共有しあい、共にビジネスを活性化する協働関係を築いてきました。

他のパートナー企業には、キヤノンマーケティングジャパンがいらっしゃいます。キヤノンは大手カメラメーカーとしてハードウェアの製造などに強みがあり、カメラに搭載するファームウェアやクラウドサービスの開発を一層強化する必要を感じていました。一方で当時の私たちは技術力には自信を持っていましたが、まだ20名前後のスタートアップで、さらなる事業拡大のため大手の力を借りたいと感じていたところでした。

そこで、キヤノンが製造するネットワークカメラに当社の技術力を活かしたファームウェアを組み込み販売してもらうという形での提携を結びました。お互いの強みを生かし、弱点を補完しあうWin-Winな関係が築けただけでなく、大手パートナー経由での販売を行うことで自社だけでは実現できなかった販路拡大も達成できました。他にもNTT東日本、USEN、SECOMなど様々な業界のリーディングカンパニーと業務提携を結び、現在、セーフィーのファームウェアを搭載したクラウドカメラの業界シェアは5割を超えます。

これは「映像から未来をつくる」という大きなビジョンに共感してもらい、その上でWin-Winな関係構築を目指してきたからこそ実現できたことだと思います。

SECTION 3/4

「賢い目」であらゆる産業の課題を解決する

⸺大きなビジョンを掲げることで、他社とのシナジーを生みながらビジョンの達成に近づいていけるのですね。それでは、クラウドカメラを用いることでどのような課題を解決できるのでしょうか?

佐渡島:クラウドカメラで現場の課題や現状を「見える化」することで、あらゆる産業の業務効率化やDX推進に取り組んでいます。導入例としては、オフィスでの入退室管理、建設工事現場での進捗チェック、医療現場での遠隔診療、地域の防犯・防災などがありますが、これらはほんの一例。いつでも、どこでも映像がチェックできるという特性を生かして、様々な産業の「不」の解決に有効なDXソリューションを提供しています。

しかし、私たちのゴールは「クラウドカメラを売る」ことではありません。「世の中に賢い目を配る」ことが、究極的な目標です。

⸺「賢い目」とはどのようなものですか?

佐渡島:映像データをAIで解析することで、簡単に現場の「不」を解決する手助けをするカメラです。

例えば、人員不足に悩まされていたある飲食店にセーフィーのクラウドカメラを設置する実証実験を行ったところ、責任者が料理の提供状況をリアルタイムで確認し指示を出すことができるようになり、大幅な効率化を達成できました。

クラウドカメラを導入していただくきっかけは防犯が多いですが、映像で現場の課題を「見える化」し、解決できる便利さを体感していただいた後、AI解析技術を多様な業界のさらなるDX推進に役立てていただいています。

さらにカメラが収集したデータをAIが分析することで、カメラはより「賢く」なります。

⸺どういうことでしょうか?

佐渡島:AIが大量の映像を分析し、データ化することで、アルゴリズムやプロダクトを改良し、一層効果的なソリューションを提供できるようになるということです。こうして「賢く」なったカメラをより多くのユーザーに活用していただくことで、さらに映像データを収集できるようになります。このサイクルで、誰もが映像データに基づいて最適な意思決定ができる未来をつくることに取り組んでいます。

またセーフィーでは、ユーザーが自社のソリューションを他社も活用できるよう解放し、収益化できるマーケットプレイスを構想しています。自社の困りごとを解決したソリューションは、業界全体の悩みを解決しうるものです。業界・産業の課題を解決することが、ひいては社会課題の解決にも繋がります。映像データとAI解析技術を組み合わせたセーフィーのDXソリューションが社会に与えうるインパクトの大きさは、無限大だと思っています。

SECTION 4/4

「抜け道力」でイノベーションを加速しよう

⸺セーフィーが取り組んでいるのは、映像データとAIの力であらゆる産業や社会の課題を解決するイノベーションなのですね。それでは、イノベーションを起こせる人材になるためにはどのような力が必要でしょうか?

佐渡島:私は「抜け道」を見つける力が大切だと思います。一見実現が難しそうなことでも、よく観察し考えれば必ず達成へのルートがあります。それを見つけ出す観察眼を身に着けることが、イノベーションを起こすためには必要だと考えています。

セーフィーを創業した当時、まず突き当たった壁がインターネット回線の安定性でした。大量の映像データをアップロードするため、Wi-Fi回線への負担が大きくなっていました。ここで着目したのが、上りの通信回線。データをダウンロードする下りの回線はいつも混んでいるのに対して、上りはガラ空きだということに気づいたのです。そこで通信業者に掛け合い、上り回線専用のSIMカードを発行してもらいました。こうしてクラウドカメラのプロジェクトを本格的にスタートすることができたのです。

このように、鋭い観察眼を持つことが、理想を実現する過程で問題に直面したときにもブレークスルーのきっかけを生むと考えています。

⸺最後に、イノベーション人材を目指す学生へのメッセージを聞かせてください。

佐渡島:日本社会が大きく変わろうとしている今、若い世代の皆さんには「大人たちが今まで起こせなかったイノベーションを、自分たちが起こすんだ」という気概が求められていると思っています。

労働人口が減少し続ける一方で、過去20年の平均給与はそれ以前と比べてほとんど上がっていません。これまでと同じやり方ではこれ以上の経済成長は望めないということを、政府や企業が自覚しはじめたからこそ、ここ数年の間に働き方改革やスタートアップ支援などの変革の波がどんどん押し寄せてきています。時代の大きなターニングポイントで社会から求められているのは、若い世代の発想力や実行力です。皆さんはイノベーションを起こすことで社会を変えられる世代だと、私は思っています。

私たちは、あらゆる産業の課題を可視化できる映像データを、社会のインフラとして活用することでワクワクする未来をつくることに取り組んでいます。ぜひ、一緒にイノベーションの担い手となり、新しい時代をつくりましょう。

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