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INTERVIEW

マッキンゼー出身社長が語る、 地球規模の課題に立ち向かう事業家になる術

近年、社会的課題をビジネスで解決しようという潮流が高まっています。皆さんも、SDGsやCSVといった言葉を毎日のように耳にしているでしょう。またその流れを汲み、社会的課題に対する興味や、「大きな課題解決に寄与したい」という志を持っている人もいると思います。今回は、「大きな社会的課題の解決に取り組む事業家になる術」をテーマに、再生可能エネルギーを活用した発電事業を手掛けるレノバを創業し、東証1部上場に導いた木南氏にお話を伺いました。

SPONSORED BY 株式会社レノバ

話し手

木南 陽介

木南 陽介

株式会社レノバ
代表取締役社長CEO

SECTION 1/6

なぜ私は、マッキンゼーを2年で辞めて起業したのか

──木南さんは大学卒業後マッキンゼーを経て、レノバを創業されています。多くの学生の憧れでもあるコンサルティングファームを退職し、起業した経緯を教えてください。

大学卒業後、私がマッキンゼーに入社したのは、事業戦略や市場分析などのハウツーを身に付けたかったからです。学生時代に一度IT企業の起業を経験していた私は、自分にはそのようなスキルが足りないと考えていました。

コンサルの仕事はハードでしたが面白く、戦略立案のスキルや知識を身に付けることもできました。ただ、入社後1年半が過ぎると、もともと持っていた「自らの手で、手触り感をもって新しいものを生み出したい」というモチベーションがふつふつと湧いてきました。

そして、事業をやるならば、人生を賭けても惜しくない課題に取り組みたいと考え、学生時代に研究していた環境問題をビジネスで解決したいという思いを強くしました。日々コンサルの仕事を忙しくこなしながらも、終業後に環境領域の調査やビジネスモデルの考案を行い、リサイクル法が公布されたタイミングで、入社2年が経ったマッキンゼーを退職、2000年5月に当社を創業したのです。

──木南さんは、なぜ環境問題に取り組もうと考えるようになったのでしょうか。「社会課題」に興味があっても、何にフォーカスを当てるべきかわからないという学生の方も多くいます。

きっかけは幼少期の原体験にあります。私はとある地方の港湾都市で、自然環境と街の発展とのせめぎあいを目の当たりにしながら育ちました。地域住民は必ずしも開発を望んでいないにも関わらず、遊んでいた山がダムとなり、海が埋め立てられていきました。私も遊び場がなくなってしまうのが嫌で、「なぜこうなってしまうのか?もっとうまくできないのか?」と、幼心に疑問を抱いていたことを記憶しています。このような体験が動機に変わり、大学では環境問題を研究し、自分のミッション、理念として捉えるようになりました。

私は、人がミッションや理念を見つけるきっかけは、その人の心の中にあると思っています。就活は、これまでの人生を見つめ直しつつ、「自分が本当にやりたいことは何か」と深く問い、「何を用いて、誰の課題を解決して、どう世界を変えたいのか」を考える良い機会です。これらの問に対する自分なりの答えがクリアになっていくと、携わりたい領域や、想いを強く持てる場所が見えてくるのではないでしょうか。

SECTION 2/6

事業家にとって、最も重要なこととは

──取り組みたい問題が見つかったとしても、起業するには勇気が必要だと思います。なぜ木南さんは事業を起こす決断をし、今も挑戦し続けることができているのでしょうか。

2000年の創業当時、日本の環境問題への課題意識は、まだ十分ではありませんでした。リサイクル法がようやく施行され、太陽光発電が世に出始めたタイミングで、環境問題が今のような一大マーケットを形成する未来は想像もされていなかった時代です。

当時私が知る限りでは、事業を通じてダイナミックに環境問題を解決するような企業は存在しておらず、ならば自分で作ろうと思いました。決して楽な道のりではないと覚悟はしていましたが、それでも「環境問題を解決したい」という使命感と、「儲かるからやるのではなく、やるべきだからやるのだ」という強い想いから、会社を創業するに至ったのです。

私は、組織を運営する上で常に“理念”を大切にしています。特に事業家や経営者の立場にある人は、自分が組織で最も強い理念を持ち続けられているか、最も磨かれた想いを持ち続けられているかを、常に問うべきでしょう。事を成すには仲間が必要ですが、トップに立つ者の想いが、同じ理念、志を持った仲間が集まる旗印となるからです。

「どのように理念や志を持ち続けるのですか?」という質問をもらうことがありますが、私の場合は、事業を推進する中でますます強く育まれていきました。前例のない挑戦を繰り返し、やっとの思いで運転開始した発電所を見るたびに、世の中に新しい価値を創造できたこと、そして環境問題の解決に向けて前進したことを実感します。加えて開発の工程で関わる社内外の皆さまの想いを受け取ることが糧となり、創業してから20年以上経った今も心を燃やすことができています。

SECTION 3/6

社会的課題解決事業を一大成長させる戦術とは

──環境問題にコミットする理念は創業から変わらない一方で、事業は大きく方針転換しながらも一部上場を果たされています。なぜ貴社は事業の転換を成功させることができたのでしょうか。

当社が再生可能エネルギー事業に大きく舵を切ったのは、2011年の東日本大震災後のことです。それまでの国のエネルギー政策方針は、石炭や石油から、主に原子力発電への転換を期待するものでした。震災後にこの方針が根底から見直され、再生可能エネルギーは一躍脚光を浴びます。固定価格買取制度※1が導入され、市場が急速に開けました。当社はこのタイミングを見逃さず再エネ市場に参入し、一気にスタートダッシュをかけました。

実は当社は、震災のずっと前から再生可能エネルギー発電事業参入を検討しており、インドネシアやフィリピンにて太陽光発電所の開発にトライし、知見を蓄積していました。この準備期間があったからこそ、当時はまだビッグプレイヤーではなかった当社も、日本の市場が立ちあがった瞬間に参入し、先鋒となることができたと考えています。

難易度の高い社会的課題の解決に取り組む事業家や経営者にとって、世の中が動くチャンスを的確に掴むことは当然重要ですが、そのチャンスがいつか来ることを予見して、綿密な準備をすることも必須なのです。

また、「これまで世の中になかった新しい価値を創造する」という方針も、事業成長に大きく貢献していると考えています。同じことを繰り返していても巨大な課題の解決を加速させることはできません。したがって必然的に前例のない難易度の高い取り組みをすることになりますが、それには資本が必要なので、事業で収益を上げ続けなければなりません。

「社会貢献と収益をどう両立させるか」という命題をしばしば聞きますが、当社はxy軸に収益性と社会貢献性を置いたときに、その右上の象限にくる、両方を満たす事業だけをやることで、収益を得て投資し続けています。この連続によって、数億規模だった事業が、次は数十億、数百億と大きくなり続けていると考えています。

※1 固定価格買取制度:再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを、国が約束する制度。この制度によって、発電設備の建設コストの回収見通しが立ちやすくなり、再生可能エネルギーの導入・普及促進が進んだ。

SECTION 4/6

同じ志を持った仲間の見つけ方

──理念を実現する上で、戦術の他に重要だと考えられていることはありますか?

事業推進する上でも特に重要なのは、同じ志を持つ仲間を見つけること、そして仲間と信頼関係を築くため、常にインテグリティ(=誠実さ、真摯さ)を持ち合わせていることだと考えています。特に組織やチームのトップに立つ人は、強い理念を持ち続けることとインテグリティが求められます。

秋田県にある当社初のバイオマス発電所※2は、2014年頃、リサイクル事業でご縁のあった秋田の地元企業のトップより、事業のパートナーを探しているとお声掛けいただいたのをきっかけに始まりました。先方からは、「バイオマスの事業を共に遂行してくれるパートナーを探している。事業進捗上、1週間で一緒にできるかどうか答えてくれ」と提案されました。

これだけの大規模な事業投資には、数ヶ月単位で時間を掛けて検討するのが一般的です。それに対し“1週間”の期限で回答しなければいけない本案件は、丁重にお断りさせていただくことになるのが一般的な対応です。

しかし、私はこの案件を受けることに決めました。当時、当社もバイオマス発電事業の検討を進めていたところで、秋田県がバイオマス発電のポテンシャルを秘めていることを把握していました。それに何よりも、先方社長の信念とインテグリティに共感し感銘を受け、「この方と共に事業を作りたい」と本気で思ったことが、短期間で投資を決断させた理由です。

先方の社長は、再エネ先進国である欧州のバイオマス発電を熟知されていたり、ドイツの発電展覧会にまでわざわざ機械を見に行かれたりしていて、その熱量に自分と近いものを感じました。加えて、未来のあり方に関しての考え方や、ただ利益を出したいのではなく、秋田県を豊かにするためにやりたいという動機は、まさに我々のスタンスと同じものでした。

現在は、同じ地元企業様と、2つ目、3つ目の取り組みを進めています。このように、インテグリティの響き合う仲間を見つけることで、事業を大きくし、社会的課題の解決にまた一歩近づくことができるのです。

株式会社レノバ提供:秋田バイオマス発電所

※2 バイオマス発電:木質資源や植物残渣などの生物資源(バイオマス)を燃料とした火力発電。光合成により大気中の二酸化炭素を吸収して成長するバイオマス資源を燃料とした発電は、大気中の二酸化炭素濃度に影響を与えないカーボンニュートラルなものとされている。

SECTION 5/6

大転換期のエネルギー事業に携わる醍醐味とは

──貴社では想像以上にさまざまな人と関わり、スピード感を持って大きな事業を進められているのだと感じています。改めて、今再生可能エネルギー事業に携わる魅力はどのような点にあるのでしょうか?

現在の再生可能エネルギー業界は、「登っている山がどんどん高く、大きくなっている」という状況です。自らの理念を達成しようと山を登っているうちに、政府や国際機関でエネルギーに関する議論が行われる度に期待値が高まり、更に山が高く、大きくなります。

2012年からこの事業を手掛けていますが、特にここ数年の期待値の高まりはより一層強く感じるところで、いつまでも1合目にいるような感覚です。今まさにエネルギーは大転換期に入った、歴史が変わるタイミングと言えるでしょう。

現在、世界のエネルギー関連の投資金額のうち、7割が再生可能エネルギーに関するものです。また、世界の3分の2の国における一番安い発電方法は、再生可能エネルギーによるものです。日本の再エネによる発電量の割合はまだ全体の2割程度ですが、そう遠くない未来、全発電を再エネで賄う国が出てくるかもしれません。

出典:Bloomberg New Energy Finance“New Energy Outlook 2017”
金額は1$=114円で換算した参考値

世界中の国や地域がそうなれば、エネルギーを取り合う戦争や争いもなくなります。日本では毎年10兆円以上が石炭や石油の輸入に使われていますが、このコストがなくなれば、日本の借金が減るのではないかとさえ考えます。この大転換期に環境問題という大きな社会的課題の解決に貢献し、未来を変える可能性のある事業に携われることは、何より大きな魅力だと思います。

また当社では、未来の実現のため、スピード感をもって、日本ではまだ前例のない数々の大規模発電所を地域特性に応じて開発し、一気に再エネ電源の種類と事業規模を拡大してきました。プロジェクト実現のため、年単位の時間をかけて開発を行い、途中多くの困難やトラブルを乗り越えながら、社内外の多くの人を巻き込んで進めなければなりません。

プロジェクトに携わる人は、目の前の業務を遂行するのと同時に、先を見据える力やチームをまとめる力など、経営や事業運営にも通じる未来を創造する力を身に付けていくことができます。これもまた、再エネ事業に携わる大きな魅力だと言えるでしょう。

SECTION 6/6

未来をつくる仕事をしよう

──最後に、これから世の中を良くしていきたい、社会課題の解決に携わりたいと考えている学生にメッセージをお願いします。

社会人になれば、起きている時間の最も多くを仕事に費やすことになるでしょう。「やらなければならない」から働くのではなく、「世の中のため・人のためになること」とご自身の「やりたい」が一致する領域で仕事をすることで、充実した人生を送ってもらいたいです。

当社の会長は千本倖生という人です。KDDIの創業者で御年78歳の彼は、「早く風車は建たないのか。待ち遠しいぞ」なんて言いながら、経験を活かして経営にパワーを与えてくれています。彼は未来のために、自分の智慧やノウハウを残していきたいというエネルギーがとても強い人です。

私は8歳と5歳のこどもの父親ですが、「この子たちが大人になっているときに日本はどうなっているだろう? もっと温暖化が進行して大変なことになっているのかな? 」と考えることがあります。30年、40年先も、そのような不安のない社会を作って行きたいと強く思いますし、未来を作るためには、千本や私のミッションを皆さんの世代に引き繋ぎ、発展させていかなければなりません。

レノバは今後も事業創造を繰り返し、社会課題解決領域におけるアントレプレナー集団になっていきたいと考えています。未来をより良くしていく活動、地球規模の課題に取り組みたい意欲とミッションがある方は、是非当社の門戸を叩いてみてください。皆さんのミッションをお聞かせいただけることを、楽しみにしています。

編集:

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