INTERVIEW
インターネットビジネスを知り尽くした経営者に学ぶ「これから20年活躍するための選択」
インターネットが世の中に広く普及するようになってから約四半世紀。インターネットビジネスの成長はいまだ止まる所を知りません。しかし、伸びている領域に飛び込み、高い専門性を身につけたとしても、変化の激しい業界で長く生き抜くことができるとは限りません。では、時代の先行く課題解決で着実にお客様の経営課題に切り込み、成長を続けるためにはどの様な環境を選ぶべきなのでしょうか?本記事を通して探っていきましょう。
SPONSORED BY オンサイト株式会社
話し手
岸 謙一
オンサイト株式会社
代表取締役社長
安藤 進ノ介
オンサイト株式会社
コンサルタント
SECTION 1/6
成長市場で、圧倒的に求められる人材になるために
世界が大きな混乱の中にあった、2020年4月。各国のロックダウンによる経済への影響が懸念される一方で、EC需要が高まりAmazonの株価が当時の最高値を更新したことは記憶に新しいでしょう。
また、ECには欠かせないインターネット広告市場も成長を続けています。国内の広告市場で長らく業界トップに君臨していた電通の時価総額を、一時サイバーエージェントが上回ったというのも、インターネットビジネスの好調さを物語る、2020年の象徴的なニュースでした。
では、一段と成長スピードが加速するインターネットビジネスの世界において、これから10年後、20年後も顧客から求め続けられる人材になるためには、どんな環境を選び、どのような経験を積めば良いのでしょうか?
今回は、若くしてスタートアップに飛び込み上場を経験した後、複数の著名な企業で活躍したオンサイト代表の岸氏と、大企業からスタートアップに転職し、様々な企業の経営に直結する課題解決に取り組む安藤氏にインタビュー。お二人の経験から、成長市場の最前線で長く顧客に支持される人材になるために大事なことを探っていきます。
SECTION 2/6
20代前半で、不確実なスタートアップを選んだ背景
──インターネット業界の黎明期だった1999年。従業員十名程の、創業間もないサイバーエージェントに入社した岸氏は、その後20年以上にわたりインターネットビジネスの最前線で活躍し続けてきた。「若いからこそリスクをとる選択ができた」と、当時をこう振り返る。
岸:24歳の私はインターネットのイの字も知らないような人間でした。当時、すでに同い年で経営をされていたサイバーエージェントの藤田さんの存在を知り、人づてに会いに行ったことがきっかけで、そのまま入社しました。
そこでは20代の若いメンバーだけが働いていて、その活気ある光景に物凄く可能性を感じたのを覚えています。オフィスには音楽が流れていて、その音楽が自分好みだったのも、スタートアップに飛び込んでみようと思ったことに少なからず影響しています(笑)。
リスクに関してはそれほど深く考えていませんでした。もし事業がダメになったとしても、失敗するなら若いうちの方がいいと思っていましたし、それはそれで価値ある経験になるんじゃないかと。
入社後は、初めにクリック保証型のバナー広告の販売をしたのですが、Googleさえもないような時代だったので、図書館などで分からないことを必死に調べて、自分なりに考えてお客様に伝えるということの繰り返しでした。また、インターネットの世帯普及率はまだ20%程だったので、最初はだいぶ怪しまれましたね。それでも続けているうちに徐々にお客様から感謝されるようになり、それが嬉しくてどんどんのめり込んでいきました。成長マーケットに身を置き、お客様に育ててもらったという感じです。
──一方、新卒で入社した楽天を24歳で退職し、当時わずか従業員8名だったオンサイトに転職した安藤氏。それまではお客様の要望に120%応えることができない、もどかしさを感じていたという。
安藤:私は小学生の頃からインターネットに触れていました。友達とチャットをした体験に感動を覚えて、そこからHTMLに触れてホームページを作るようになりました。大学時代もキャンパスが筑波のかなり僻地にあったので、ECの利便性を感じない日はありませんでしたね。気づいた時には、「就職するなら子供の頃から身近に感じているインターネット業界がいい」と思うようになっていました。
楽天は、インターンシップをしていた時に一緒に働いていた人たちが魅力的で、その環境に惹かれて入社しました。入社後に、ECに出店しているお客様のコンサルティングをしていると、次第に「受注がパンクする」「人が足りない」「広告費をどう分配すべきか」「フェイスブックやインスタグラムの広告をどう活用したらいいか」といった、自社で提供するECプラットフォームの枠を越えた相談を受ける機会が増えていきました。だけど、当時はそうしたお客様の困り事をどう解決すればいいのか分からず、かなりモヤモヤしていましたね。
──その頃、安藤氏と同じ部署で働いていた先輩がオンサイトに転職。その先輩に誘われてオフィスを訪ねた際に、岸氏と話す機会があり、安藤氏はオンサイトへの入社を決意する。
安藤:岸と話をしているうちに、「経営という視点からインターネットを考えている会社で、インターネットに一番詳しい人になるのであれば、この会社がいいんじゃないか」と思うようになり、転職を決めました。
いま思えば、社会人になって1年半くらい経っても、自分が何をできるようになったのかをすぐに言語化できないことに危機感を持っていましたね。
SECTION 3/6
激動の環境の中で、着実に積み上げた経験値
──サイバーエージェントの創業期を支えていた岸氏も、インターネット業界全体が盛り上がりをみせる中で、安藤氏と同じような危機意識を持っていた。
岸:私もサイバーエージェント時代に大きな壁にぶつかりました。入社して1年くらい経つと世の中にITバブルの波が訪れ、会社は急成長していきました。メディアに取材されたり、上場を経験したり、周囲もかなり華やかでしたね。私も執行役員という立場になり、恵まれた環境で仕事をさせてもらいました。その反面、たまたま会社のビジネスが時流に乗っただけで、自分自身は成長していないんじゃないかという意識がありました。インターネットビジネスにおいて、成長実感を得られるようになったのは、人生の中で最も働いたライブドアにいた頃です。
──岸氏はサイバーエージェントの後、リクルートの経営企画を経て、ライブドアの副社長として迎え入れられる。20代で副社長となり、ポータルサイト事業全般を任され、全ての意思決定を担っていた。その裏にはかなりの苦労があったはずだが、インターネットビジネスの可能性と確かな手応えを感じ、カオスな状況を楽しんでいたようだ。
岸:大赤字の状態から、1年で5億円の利益を出してほしいというミッションだけがあり、採用から事業戦略、エンジニアの人に何かを作ってもらう、その内容も自分が決める、という感じで全てやっていました。100くらいのコンテンツがあり、100人くらいのエンジニアをマネジメントしながらサービスをたくさん創りあげて、当時のリーディングカンパニーが脅威に感じることを狙ってやっていました。
そこから、どのようにサイトやサービスを育てていくかという運営面に、さらなる成長の可能性を見出したんです。例えるなら、農業みたいな感じです。土を耕して、種をまいて、水をあげて、定期的に見回って剪定したり、天候から判断して水の量を調整したり。”あつまれ どうぶつの森”みたいなゲームにも似た感覚で、それがすごく楽しかった。センスではなくて、やるべきことを一つひとつ積み重ねていくと、確実に収穫できる。後発でもしっかり育てていけば、リーディングカンパニーをも射程圏内に収められるという感触がありました。
──事業は日に日に成長し、1年でアクセス数は10倍以上にまで跳ね上がった。唯一与えられたミッションだった5億円の黒字化も達成し、ビジネスマンとしてかなりの手応えを感じていた。そんなある日、ライブドア事件が起きる。
岸:一段とアクセルを踏んで事業を加速させていこうと思っていた矢先、突然無職になってしまったんです。起業なんて全く考えていませんでしたが、たまたま通信事業大手の社長の仕事を手伝うことになり、そのタイミングでオンサイトを創業しました。
最初はインターネットビジネスのコンサルティングだけをしていたのですが、「そこまで知見があるのなら、運営までやってもらいたい」という相談が増え、いろいろな方面からご相談いただくようになりました。それが徐々に大きくなり、今ではのべ1,200サイトの運営を手がけています。目の前の要望に一つひとつ応え続けていたら、現在に至ったという感じです。
SECTION 4/6
競争を勝ち抜く、インターネット企業が持つ優位性
──華やかなイメージが先行しがちなインターネット業界において、数々の困難や修羅場を乗り越え、インターネットビジネスの知見を着実に自分のものにしてきた岸氏。あらためて振り返ってみると、今のオンサイトにはライブドア時代の実体験が活かされているという。
岸:とにかく少ない人数でサイトやサービス立ち上げの数を経験しましたし、エンジニアと密な連携を図りながら、サービスを拡充、成長させていくことにこだわってやっていました。エンジニアリングを必死に勉強したおかげで、優秀なエンジニアチームをまとめることができたという自負があります。そして、どんなサイトやサービスでも運営次第で大きく育てていける確証に近いものを得ました。
安藤:確かにエンジニアと密に連携したり、エンジニアサイドから様々な意見をもらえたりする環境がオンサイトにはありますね。一つ相談すると、「こういうの面白いよ」といって、普段のコミュニケーションの中でもどんどん情報が上がってくるので、新しいものにいち早く触れることのできる機会が日常的にあるのは刺激的です。
岸:社員の数に対して、チャットルームの数はかなり多いでしょうね。例えるなら、常に渋谷のスクランブル交差点にいるみたいな感じです(笑)。運営の自動化に関するアイデアなどもエンジニア側から出てくるので、現在、社内ではシステム開発自体の自動化も積極的に進めています。
安藤:驚くほどエンジニアチームの技術力が高く、スピードも早いので、相談したことに対してシステムの力で的確に解決策を示してくれます。前職の時とは比べものにならいないほどエンジニアとの距離が近く、やり取りの数も多いです。さらに、自分自身が受注から出荷対応、顧客対応まで一通りの経験をしているので、確からしい仮説を元に、実際に事業として成り立つイメージを明確に持って提案できるようになりました。
──日進月歩で進化するインターネットビジネスにおいては、昨日まで正しいと思ってやっていたことが、急に過去のものになることがある。だからこそ豊富な知見とエンジニアの技術力、そして緊密な連携が何よりも大事であり、それらの総合力の高さが大きな強みになると岸氏は語る。
岸:例えば、数年前は何か商品を購入しようとすると、ユーザーはGoogleで検索することがほとんどでした。でも今は、Amazonで検索してそのまま注文することが多い。そうなるとGoogleでSEOを施して検索上位にいるよりも、Amazon内の検索に、どう適切な結果を返すのが良いかとか、SNSでどう人目に触れさせてビジネスインパクトをもたらすことができるか、ということの方が求められるようになってきています。
このような大きな変化は分かりやすい事例の一つですが、インターネットビジネスの裏側では、日常的に小さな変化が起こっているので、普通にキャッチアップして対応し続けるのは難しくなってきています。高度化、複雑化するインターネットビジネスの世界において、強力なエンジニアチームがそばにいて、これまで培ったノウハウが社内に蓄積されている。さらに1,200サイトの運営を担う中で新しい仕掛けを試す機会が数多くあるというのは、相当なアドバンテージです。
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運営を磨くことで、領域を越えた課題解決が可能に
──インターネットビジネスは立ち上げよりも運営を磨くことで、競争優位性を保つことができると話す岸氏は、運営を「ノウハウ」と「リソース」という二つの言葉で定義している。
岸:例えば、ECではどういう商品を売るかはもちろん大事ですが、商品数があると売れることも多々あります。商品の数を徹底的に揃えるとなると、そのために様々な「リソース」が必要になってきます。大手のEC事業会社が年に何度か行う大々的なセールの裏では、広告の入稿作業などにかなりの人的リソースが割かれていることはあまり知られていませんよね。
また「ノウハウ」とは、どういうタイミングで、どんな内容の記事を、どういうアライアンス先と組んで露出するか、というようなことです。当然ですが、この「ノウハウ」と「リソース」を最適化することでサイトのアクセス数が飛躍的に伸び、成果に結びつけることができるのです。
──これまで運営を徹底的に磨き込んできたオンサイトが、現在インターネットビジネスの中で特に注力している領域はECとHRだという。
岸:ECとHRは全く異なる領域ですが、どちらにも深く入り込んでいるからこそ、お客様への最適化のための提案が可能です。
例えば、HR領域には、ECのサブスクリプションモデルなどで培われる顧客との継続的なリレーションシップ構築、いわゆるカスタマーサクセスが応用できるんです。どういうことかというと、昨今は、ただ求人媒体に掲載すれば人材を採用できる時代は終わり、中長期的な戦略でいかないと人手不足を解消することができなくなってきました。そんな中、過去に辞めてしまった人に再び働いてもらいたい時などには、ECの休眠会員へのアプローチ手法が応用できるんです。反対に、HRはもともと広告費にかなりの金額を投じている領域なので、EC領域に比べてもWebマーケティングにおいては圧倒的に進んでいますから、最先端のものをECの領域に展開することもできます。
また、エンジニアの高い技術力、採用サイト制作や広告運用で培ってきたノウハウを結集し、自社開発商品の開発も進めています。まず、HR領域においてオンサイト独自の最先端のノウハウを詰め込んだ、採用サイト制作ツール”reccru”とリファラル採用ツール“リファ楽”をリリースしました。
──安藤氏もまた、以前は解決することができなかったお客様の課題を、網羅的に解決できるようになったことに手応えを感じていると話す。
安藤:モノが売れても倉庫側のリソースが足りない、期日通りにモノを送れない、といった相談をよく受けるのですが、前職の自分であれば解決できなかった領域です。今はそれを解決できるノウハウが社内にあり、お客様にも横断的な提案ができるので、そこに手応えを感じています。
岸:1,200サイトもあればお客様の業種業態も様々です。ECやHR領域に限らず、幅広いお客様の課題解決の中で、これまで培ってきた経験が他の領域にも応用できる機会がすごく増えているので、そこに新たな可能性を感じています。
SECTION 6/6
豊富な実践のフィールドと、良質なフィードバック環境が成長の鍵
──最後に、現在のオンサイトには若手が活躍するためにどのような成長環境があるのかを尋ねてみた。
安藤:入社後はいきなり打席に立って、お客様とやり取りをしながら進めていきます。打席に立てる機会は豊富にあるので、OJTに近いですね。少人数なのでいつまでも素振りだけをしているわけにはいきませんからね。ノウハウは相当蓄積されて、体系化されていますし、知識としてインプットできるものは充分あります。
岸:もちろん社内では徹底してマニュアル化を推し進めていますが、あくまでもマニュアルは今日までの蓄積であって、それをどう活用して、改善していくかが大事なので、打席に立ちながら経験していくという感じです。
安藤:経営陣との距離も近いですね。お客様への提案資料を作って岸に見てもらうのですが、いつも自分の視野の狭さを痛感させられます。圧倒的な打席の数を経験してきた経営陣が、壁打ち相手として隣にいてくれるので、「確かに社長はそう考えるかもしれない」という気づきが得られます。本番の提案前に経営者の目線でフィードバックをもらえるのは本当にありがたい環境です。
岸:ベンチャーだと、すでに社風が決まっていてそれに自分が合わせられるかどうかという感じがありますが、オンサイトの場合、ビジネスの規模は大きくなっても、まだ人数が少ないので、組織を作っていける面白みがあると思います。組織作りはこれから入ってくる皆さんも巻き込みながらやっていきたいですね。
安藤:私が入社した5年前は、まだ個人事業主の集まりという感じでしたが、この数年でようやくチーム・組織でやっていこうという雰囲気に変わってきました。
岸:20代、30代を通して多くの打席に立ち、インターネットビジネスの経験やスキルを磨いていけば、一人ひとりが様々な会社のCOOになれる環境が当社には整っていると思います。今は皆でそれを目標に掲げて、日々一つひとつの課題に向き合っています。
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