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INTERVIEW

これから活躍するコンサルタントに求められる複数の専門性

「一つの分野だけで専門家として立ち振舞うのではなく、常に自分の能力を高め続けられる知的好奇心の強いコンサルタントを目指してほしい」。そう語るのは、NTTデータ経営研究所でパートナーを務める松岡氏です。未だ成長を続けるコンサルティング業界において、選ばれるコンサルタントになるためにはどのような価値提供が求められるのでしょうか。外資戦略系や会計事務所系ファームを経験し、長くコンサルティング業界を見てきた松岡氏に話を伺いました。


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SPONSORED BY 株式会社NTTデータ経営研究所

話し手

松岡 良和

松岡 良和

株式会社NTTデータ経営研究所
ビジネストランスフォーメーションユニット ユニット長/パートナー

SECTION 1/6

新卒2年目で気付いた、経営視点の面白さ

⸺初めに、松岡さんのこれまでのキャリアについて教えてください。

松岡:新卒ではNTTデータに入社し、その後外資会計事務所系ファーム、外資戦略系ファームを経て、NTTデータ経営研究所に入社し今に至ります。

私が学生の頃、戦略系のコンサルティングファームは新卒をほとんど採用していませんでした。憧れはあったものの手が届かないと感じたため、都市銀行やゼネコン、食品関連といった主要な業界の中でも最も存在感がある企業に的を絞って選考を受けていました。中でも特にIT・通信の領域に関心が高く、今後の成長性も見込めると考えたため、NTTデータへの入社を決めました。

具体的にコンサルタントを目指そうと考えたのは、新卒2年目の時に労働組合の仕事に携わったことがきっかけです。大企業が新しい制度や経営計画を策定する際には、労働組合に対してそれらの情報をいち早く開示します。そのため、労働組合の活動の中でまだ社内外に公表されていない中期経営計画に目を通す機会があり、20代のうちから会社や組織について、経営視点からの理解を深めることができました。

NTTデータには優秀な人材が多く働きやすい環境があり、良い会社であると感じていましたが、大きな組織の中で働く入社1〜2年目の社員として目の前のプロジェクトや事業は意識しても、企業全体の経営を意識することはほとんどありませんでした。労働組合の仕事に携わり経営への理解を深めることができたのは、私にとって非常に価値のある経験でした。その頃からコンサルティング業界への挑戦を考えるようになり、数年後に実際に転職するに至りました。

コンサルタントとしてIT・通信領域の案件を手がけたり、通信・メディア業界向けのコンサルティングチームの立ち上げに関わったりした後、通信や技術分野のイノベーションに強い外資戦略系ファームに移り、そこで現在提供しているコンサルティングメニューの土台となる知識や経験を身につけました。

SECTION 2/6

お客様に寄り添うオーダーメイドのコンサルティング

⸺松岡さんは複数のファームを経験されていますが、ファームごとにコンサルティングの違いはあるのでしょうか?

松岡:基本的には日系であろうと外資系であろうと、また戦略系や会計事務所系においても、コンサルティングサービスの内容にほとんど違いはありません。かつては戦略のみに特化していたファームが、実行支援まで手がける事例も増えてきています。もちろんファームごとに得意とする領域や、どこまで実行支援に携わるかという部分で多少の濃淡はありますが、それほど大きな差はない認識です。

⸺その中で、NTTデータ経営研究所の強みについて教えてください。

松岡:業界全体ではグローバルのナレッジやアセットを活用して、効率的にコンサルティングを売っていくというトレンドがありますが、私たちが得意としているのは手間暇をかけたオーダーメイドのコンサルティングです。

当社ではコンサルティングを通して生み出せる社会的な価値やインパクトの大きさを重視しています。日本で初めてのことにチャレンジしたり、通信における5G、6Gといった重要なインフラに関わる技術開発を支援したりと、私たちにしかできない役割を担い価値提供しているという自負があります。お客様の多くは、そうしたパッケージではないオーダーメイドの提案に価値を感じてくださっています。

当然、新しいことに取り組むわけですから前例を踏襲して進めることはできないので、難易度が高く相応の思考力や創造性が求められ、一見非効率なやり方と捉えられることもあります。しかし、社内に豊富にある事例や知見を活用し、オーダーメイドで問題解決ができるコンサルタントが増えれば組織全体の能力も高まり、ユニークさと効率性を高度にバランスさせることができるようになると考えています。

⸺オーダーメイドのコンサルティングは、お客様にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。

松岡:オーダーメイドのコンサルティングは、お客様が背負うリスクを小さくできると考えています。

通常のコンサルティングはお客様からの依頼に対して、調査や検討を重ねて答えを出すのが一般的です。そのため、ほとんどは案件を引き受けてから仮説を考え始めます。仮に新規事業のアイデアについて提案したとしても、最終的にその事業が上手くいくかどうかはわかりませんし、もし仮説の筋がよくなければそのリスクを背負うのはお客様です。

お客様に過剰なリスクを背負わせることのないように、当社ではすでに有している仮説をお客様に評価していただいた上で、実現可能性を探りながらプロジェクトを立ち上げていきます。「今後はこのようなビジネスが流行るのでは」、「アライアンス先としてこの会社との相性が良いのではないか」という仮説を先に示し、実現までのある程度の筋道を立てた上でご提案をすることで、お客様のリスクを減らし、安心して取り組んでいただけると考えています。

SECTION 3/6

コンサルタントとしての専門性、独自性をどう身につけるべきか?

⸺組織やチームという観点では、どのような特徴がありますか?

松岡:他社では一般的にインダストリーやソリューションごとに部門が分かれており、専門性に合わせてプロジェクトを分担していることが多いですが、当社はユニット毎に明確な事業ドメインを定めていません。ユニット長の数だけ組織があるので、それぞれの専門性を活かしてプロジェクトに取り組んだり、異なる専門性を掛け合わせて新しい案件を獲得したりしています。

私が責任者を務めるビジネストランスフォーメーションユニットも、「将来を考えた時にこれから起こり得るであろう複雑で難解な経営上の課題に対して、戦略論と組織論の観点で取り組む」ということ以外、取り組むプロジェクトの定義を定めず、柔軟な提案ができるようにしています。

また、私のユニットでは、実はコンサル経験者をあまり採用していません。産業や業界それぞれに難しさや面白さがあるので、業界特有の商習慣やコアコンピタンスを肌で知っている人材に来てもらいたいと考えているからです。組織に様々な産業や業界への知見を持つ多様な人材が集まれば、それぞれの領域における企業としてのあるべき論や、戦略、組織、技術論を駆使して課題を解いていくことができますし、それらを掛け合わせた提案も可能です。

⸺松岡さんのユニットには、実際にどのようなプロジェクトに携わっているコンサルタントが所属されているのでしょうか?

松岡:例えば、不動産業界がDXを進めていく大きな潮流がある中で、長く不動産の案件に携わっているコンサルタントがいます。不動産業界は重要な日本のインフラですが、複雑な商慣習や課題も多い業界です。業界全体の収益性を向上させるために大手企業と一緒にコンソーシアムを立ち上げたり、DX推進やサービスの多様化や高度化を図ったりと、奮闘しています。

他にも、スポーツ業界の案件を多く手がけているアソシエイトパートナーは、業界横断でスポーツテックのコンソーシアムの立ち上げに携わっています。

当社では若いうちから対外的な情報発信や案件獲得を意識したコンサルティングに取り組んでいるので、幅広い領域に触れながら、自身の専門領域を探すことができます。

⸺多様なコンサルタントが集まっているということは、個性や独自性が求められるのでしょうか?

松岡:例えば、右脳的な思考で物事を考えながらも、定石を外すことなく新鮮な着眼点でアウトプットすることが得意であれば、強みになるでしょう。コンサルティングには論理性が必要とされていますが、全員が論理的に考えるとアウトプットが似通ってしまう場合もあるためです。それぞれの個性や感性を武器に、論理と紐付けて考えられるコンサルタントがいるのは好ましいことです。

ただ、コンサルタントとしての個性はそう簡単に築けるものではありません。目の前の仕事に一生懸命取り組み、空いた時間で趣味や勉強に打ち込んでいるうちに徐々に個性が磨かれていくでしょう。どのように専門性を確立していくかは偶発的な要素もあります。先程紹介した不動産業界を専門としているコンサルタントも、専門性を高めるきっかけは、たまたま不動産のプロジェクトにアサインされたことでした。

自分はどの領域に専門性を持ちたいかを考えながら、アンテナを高く伸ばして問題意識を持ち続け、将来の自分にとってどんな経験を積んでいくべきかを見極められると良いですね。

SECTION 4/6

自律分散協調型組織に適したキャリア形成

⸺長く活躍するコンサルタントになるためには、どのようなキャリアを築いていくと良いのでしょうか?

松岡:個人的には一つの分野だけで専門家として立ち振舞うのではなく、常に自分の能力を高め続けていける知的好奇心の強いコンサルタントを目指して欲しいと考えています。

ひと昔前は、一つの技術や知識に長けている人材の方がマネジメントしやすく、組織で戦力として重宝するという理由から、I型・T型人材が良いとされていました。それが時代とともに変化し、最近は自分の専門性と異なる価値を組み合わせて価値の最大化や新たな価値創出ができるπ型人材や、複数の高い専門性を有するH型人材が求められる傾向があります。

特に、近年広がりを見せている自律分散協調型組織では、一人が様々なプロジェクトに関わり、臨機応変で柔軟な対応を求められる場面が増えています。特に新しい技術を用いたプロジェクトを推進していく上では、一つの役割に固執して仕事を進めていては、最大限の価値提供を行うことが難しくなるでしょう。今後は状況に応じて複数のことに柔軟に対応できる器用さを持ちつつも、特定の分野について高い習熟度のある人材の価値が高まっていくと考えています。

コンサルタントの仕事の醍醐味は正解のない未来について考え、最先端のテクノロジーや新しい物事に触れながら、実現可能性を高めていくことです。「20年後の通信インフラはどうあるべきか」、「30年後に現在のAIやロボットはどのくらい進化するのか」といった問いに答えるためには、特定の分野について深く精通しているだけではなく、自分が理解できていないことに対して興味の範囲を広げて探求する力が有利に働きます。知的好奇心や論理性、創造力など自分の持てる能力を全て注ぎ込むことのできるコンサルタントが長く活躍していくでしょう。

SECTION 5/6

若手のうちから情報発信や案件獲得に取り組める環境

⸺NTTデータ経営研究所の、若手コンサルタントの育成についても教えてください。

松岡:コンサルタントは、組織や事業に責任を持つ立場のお客様と一緒に物事を考えていく必要があるので、新卒で入社する方には、ビジネスパーソンとしての普遍的な能力を早期に身につけてもらいたいと考えています。

専門性はもちろん重要ですが、それ以上に重要なのは、コンサルティングの本分である「問題解決能力」です。コンサルティングの基本動作である、仮説を立て、検証し、結論を出すという一連の流れの中でも、最初は仮説をつくるために必要な情報収集能力を養っていきます。筋の良い仮説を構築するための着眼点を養い、いかにスピーディーに、精度の高い仮説を立てられるかといったトレーニングも必要です。

具体的な流れとしては、入社1年目のメンバーにコーチがつき、年間の育成計画に基づいて、四半期ごとに状況を分析、評価しながら、パートナーや人事との面談で到達度をみていきます。1〜2年目でテーマを掲げてプレゼンをするOJT形式のケーススタディにも取り組み、3年目にはコンサルタントとして独り立ちします。

その頃から対外的な情報発信に取り組むコンサルタントもいますし、共同執筆者として1年目の社員が執筆に関わった事例もあります。若手社員が自分たちの活動を社外に発信できる機会は多いですし、社内にはそうした取り組みを大事にする文化があります。

プロジェクトアサインも、一人ひとりの状況に合わせながら、問題解決能力を高め、技術的な課題を解き、様々な知見を蓄積していけるように調整しています。先輩社員やリーダー、プロジェクト責任者のフォローを受けながら学べる環境です。

SECTION 6/6

創造性と自由度の高い環境で、果敢な挑戦を

⸺最後にコンサルタントを目指す学生に伝えたいことはありますか。

松岡:NTTデータ経営研究所は三つの毛色の異なる性質を持つファームだと考えています。一つは、独立した戦略コンサル+シンクタンクであること。もう一つは、NTTのグループ企業であり、グループにおける戦略参謀としての機能を果たしていること。そして最後は、NTTグループ企業の一員として世の中に影響を与える大きなサービスや新たな投資に関わっていけることです。コンサルティングにおいても多様な案件に関われますし、コンサルタントとクライアントという関係性だけではなく、ビジネスを一緒に創りあげていくための当事者意識や一体感を持ちながら仕事をすることができます。

コンサルティングは誰が取り組んでも難しく正解がない仕事なので、自分で未来をデザインして果敢に挑戦していくことができる方に、ぜひ挑戦してほしいと思います。

編集:

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