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INTERVIEW

三井物産の採用チームリーダー・内定者と考える。「真に価値ある就職活動とは何か?」

人生100年時代と言われ、生涯働き続けることになるかもしれない世の中。「果たして就職活動は今までのままで良いのだろうか?」。そんな疑問を抱くのは、何も学生だけではありません。希少価値の高い企業を選択するという「問題を先送りにする選択」ではなく、「この先の人生をどういう風に生きていきたいのか」を考え抜いてほしいと語るのは、三井物産の新卒採用チームリーダーの和田氏です。同氏の就職活動に対する考え方や22卒内定者である若林氏のリアルな話を元に、本当に価値ある就職活動とは何かを考えていきましょう。

SPONSORED BY 三井物産株式会社

話し手

和田 佑介

和田 佑介

三井物産株式会社
人事総務部 採用企画室 マネージャー

若林 洸希

若林 洸希

一橋大学 社会学部4年
三井物産株式会社 内定者

SECTION 1/6

重視すべきは、会社・人・仕事とのマッチング

──10年間事業に携わった後、採用チームリーダーとして多くの学生と向き合ってきた和田さんは、学生が就職活動を進める上で最も重要なことは何だと考えていますか。

和田:私が採用活動に携わってまず感じたのは、就職活動のゲーム化です。内定を獲ることがゴールとなり、How to?ばかりが議論され、どれだけ希少価値の高い企業の内定を獲得するかを一生懸命競っている。

これは学生だけに限った話ではなく、企業の採用担当も同じです。採用することがゴールとなり、いわゆるオワハラをして自社の内定受諾を迫る。就職活動よりこの先仕事をする時間の方がずっと長いにも関わらず、両者ともこのようなやり方をしていて本当に良いのかと、大きな違和感を覚えました。

多くの学生の選考を通じて改めて、「日本の学生は長い間、偏差値という一軸で評価される環境で過ごしているのだ」と感じています。言うまでもありませんが、働くことで得られる喜びや成長、社会に対する貢献は受験勉強とは異なり、偏差値という一つの軸で測ることはできません。

それまでの人生で、「自分は本当は何をしたいのか」に真剣に向き合って何かを選択することをしてこなかったのであれば、就職活動においては希少価値の高い企業を選ぶという「問題を先送りにする選択」をするのではなく、「この先の自分の人生をどういう風に生きていきたいのか」を考え抜いてほしいと思っています。

──就職活動で学生が持ち合わせておくべき視点はありますか?

和田:入社を検討している企業が、「自分自身がどう生きたいのか」とマッチしているかを考える際は、会社・人・仕事の3つの視点が重要だと考えています。その3つの視点から、少なくともこれから5年、10年働くに値する会社なのかを見極めてもらいたいです。

会社や人とのマッチングは、採用関連のイベントやOB・OG訪問など様々な機会を通して感じることが出来ると思います。一方、仕事とのマッチングは短い時間で行うことは難しいのですが、ファーストキャリアを通じて身に付けることのできる機能にも直結するため、近年はより重視される傾向にあります。

ただ、この見極めのために、必ずしもその会社で実務を経験する必要はありません。一定期間、実際に働く環境の中で社員と真剣に思考を重ね合わせることで、「どのようなレイヤーで課題形成を行っているのか」「どういうアセットやネットワークを活用し、どういう仲間と一緒にその課題解決に奮闘しているのか」を解像度高く体感できます。

仕事を通じて「どういう風に思考し、行動していくのか」というイメージを持つことは、納得感を得る上で大切だと考えているため、当社は100人規模の採用を行う会社としては恐らく前代未聞ですが、一定のプロセスの後全員に対して職場体験をしていただけるインターンシップの機会を設けています。

SECTION 2/6

早期内定を機に再考した、会社選びの軸

──三井物産を選ぶまでの過程や、若林さんの自分軸について聞かせてください。

若林:就職活動を始めた当初は業界を絞り込まずに、戦略コンサル・商社・銀行・デベロッパーなど幅広く企業をみていました。早期に実施されている戦略コンサルのジョブにも参加しました。

3年生の夏、戦略コンサルからオファーを頂いたタイミングで、「一つの事業やプロダクトを提供している会社よりも、様々な業界や領域に携わる仕事が合っている」と考え、業界を戦略コンサルと商社に絞りました。結果的にそれぞれの業界の第一志望の企業からオファーを頂いたのですが、私の本当の就職活動はここから始まりました。

2つの業界の3つの企業の間で悩む中で、一番初めに気が付いたのは、自分の意思の弱さでした。「海外で異文化交流をしながら経験を積んで成長したい」という考えと、「描いた戦略を試行錯誤しながら自分で動かしていける人材になりたい」という明確な想いがあるにも関わらず、周囲の「その3社なら戦略コンサル以外あり得ない」という声に引きずられ、その通りに進路を決めようとしていたのです。

今までの人生をよくよく考えてみると、受験も就職活動も他人の評価軸の中で決めており、何一つ自分の意思で決めてこなかったということに気が付きました。これまでの人生で染みついた「他者評価至上主義」に逆行する判断は容易ではありませんでしたが、三井物産のインターンシップでの経験や社員の方との交流が、「自分がやりたいことは商社で実現できる」という確信を持たせてくれ、半ば進路として確定させていた戦略コンサルの辞退を決意しました。やはり、就職活動の一歩目は、自分自身としっかり向き合うことだと感じています。

そして、商社の2つの会社に絞ってからも、簡単に違いを見出すことは難しく、とても悩みました。両社共に多くの社員の方々と面談をさせて頂き、会社や人、仕事についての理解を深めることが出来たのですが、最終的に三井物産を選んだ理由は「やりたいことをやれる環境がある」と感じられたためです。

迷いに迷った末に、今まで面談をさせて頂いた両社の社員の方々に、ある質問をメールで送ったのですが、それぞれから驚くほど異なる返答があり、それが決め手になりました。質問と返答の内容は秘密です(笑)。

このような就職活動を通じて、「自分は何のために生きているのか?」という問いを自分自身にぶつけて向き合ったことで、改めて「海外の現地で働く人たちと関わり合いながら、本当の意味で世の中を動かすことが出来るような人間になりたい」、そして「自分軸での生き方は素晴らしいものになる」という、心の底から自信を持って伝えられる想いに辿り着きました。多くの方にお世話になった分、必ず目標とする人材になるという強い覚悟を持って、入社を楽しみにしています。

SECTION 3/6

配属はリスク?商社でも個のチャレンジが尊重される風土

──確かに商社では幅広い分野を扱っていますが、最初の配属によって個人のキャリアが大きく左右されるという懸念はありませんでしたか?

若林:個人的には配属をリスクと捉えたことはありません。むしろ自分の思考にとらわれることなく三井物産が機会を与えてくれると考えると、可能性を広げるきっかけになると感じています。

実際に、配属面談に関する一連のプロセスの中でも、対話を重ねながらとても丁寧に自分が実現したいことを深掘りしてくれている安心感がありました。また、他の商社とは異なる独自の組織体制や人事制度があることも意思決定の後押しになりました。

和田:一般的には、縦割りのカンパニーの中で特定分野のプロフェッショナルとしてキャリアを歩んでいく、というのが商社のイメージだと思います。事業の成長だけを考えればその方が効率的かもしれませんが、三井物産では以前から従来の商社とは異なる組織体制や人事制度を設けています。

例えば、人事ブリテンボード制度がその一つです。この制度は個人のチャレンジや多様なキャリア形成の後押しを目的としており、実際に延べ人数で社員全体の1割強がこの制度を活用し、部門を超えて異動しています。自分自身のキャリアや可能性にキャップを設けず挑戦が出来るこの制度は、「Challenge & Innovation」を標榜する三井物産ととても親和性の高いものであると感じています。

働く期間は決して短くありません。キャリアや仕事を通じて、やりたいことがシフトするのはごく自然なことです。この制度は、自らの意思で多様な点を打つことが出来る、まさに「Connecting the dots」によるInnovationの創出を後押しするものでもあります。

一つの会社の中で特定分野にだけ携わり続けるというキャリア観はますます時代にフィットしなくなっています。当社では20年以上前からこうした制度を設け、機動的な人材配置に取り組んできました。

※ 人事ブリテンボード制度:社員のキャリア自律と各事業領域における人材ニーズのマッチングにより、適材適所での人材配置を実現していくために、社員自らが希望して部門を越えて新しい職務に挑戦することを後押しする制度。社内求人制度と社内求職制度があり、社員が所属部門以外で能力やスキル、専門性を発揮することを希望し、異動が社員および会社双方にとってプラスになり、人材と組織の競争力を高めることができると判断した場合は異動を実施する。

SECTION 4/6

一人ひとりの可能性を最大限引き出す。本質的かつ学びある採用の取り組み

──採用においても三井物産らしい特徴的な取り組みはありますか?

和田:三井物産はエントリシートに自分史を導入し、面接においても活用しています。自分史を導入した理由は3つあります。ひとつめは、「就職活動を頑張っている人」ではなく、「人生を頑張ってきた人」にスポットライトを当てやすいからです。

従来のガクチカと志望動機を問う面接では、面接対策を沢山した人が良く見えてしまいます。自分史を用いた面接を実施する中で、「この選考では嘘が付けない」という声を多くもらいました。自身が今まで取り組んできたことを話すしかない場で、就職活動ではなく人生を頑張ってきた人に安心して当社を受けてもらいたいと考えています。

ふたつめは、多様性の実現のためです。三井物産は採用活動を通じ、多様な仲間を招き入れたいと考えています。ただ、面接官も人間なので、初対面の相手に対してガクチカという一つのエピソードを問うのみだと、自分とバックグラウンドが似た候補者の方が良さを引き出しやすくなってしまいます。

そこで自分史に散りばめられた、これまでの面接では引き出しきれなかった多くの情報を見ていくことで、同属性の拡大再生産ではなく、多様性を実現する仕掛けを組み込んでいます。

最後は、自分自身と向き合ってもらうきっかけ作りのためです。自分史は三井物産の為ではなく、自分自身の為に作成してほしいと思っています。多くの経験や判断、当時の感情を再発見し、今までの人生の棚卸に活用してほしいのです。過去の中には、きっと未来をどう生きたいか、を考えるヒントが沢山あるはずです。

一定のプロセスを踏んだ全員にインターンシップの機会があることもそうですが、そもそも当社の採用チームが挑戦と創造をしなければ、会社として挑戦と創造を掲げて実践しているなんてとても信じてもらえないと考え、こうした取り組みを実現させました。

──若林さんは自分史に取り組んでみて、どのような気づきを得られましたか。

若林:自分がこれまでどういう人生を送ってきたのか、どのような意思決定を重ねてきたのかという整理ができました。あらためて振り返ってみると、小・中学生の頃は特に深く思考せずにコーチの指示通りにバスケットボールの練習に明け暮れ、自分が上達しないのは才能がないからだと思っていました。

そんな時、友人がゲームを熱心に研究して腕を磨き全国上位にランクインしているのをみて、自分の行動一つひとつに意味を持たせ、それを理解することが重要なのだと気が付きました。

その出来事は自分の考え方や行動に大きな影響を及ぼしたのですが、自分史に取り組まなければ、それを思い出さないままに自分軸ではない意思決定をしていたかもしれません。

──三井物産のインターンシップも特色ある取り組みだと思います。

若林:そうですね。私が参加したインターンシップは、社員の方たちが普段仕事をしているワークスペースの一角でおこなわれたので、そこで働く皆さんのリアルな姿を垣間見ることができました。オフィスにいる様々な人と交流しながら自分の考えを深めることができ、まさに先程の和田さんの話にもあった仕事とのマッチングを肌で感じる機会だったと思います。

大手広告代理店から出向してきた方にマーケティングの基礎を教わったり、オンラインで繋いでもらい海外に駐在している方とディスカッションをしたりして、実際に働く環境下で1週間のインターンシップに取り組めたことは貴重な経験でした。

年次に関わらず和気藹々とした雰囲気で1on1をしていたり、会議中に笑い声が聞こえたり、英語が飛び交ったりする光景を見ることができ、自分がそこで働く姿をイメージしやすかったです。

インターンシップや面接、OBOG訪問を通じて、三井物産の社員の方々は本当に人間力が高いと感じました。私はそうしたソフトスキルをもっと磨きたいと感じていたので、ヒューマンスキルが高そうな人が多い環境に飛び込んでみようと思いました。

SECTION 5/6

新卒1年目から求められる、「挑戦と創造」のための考え方

──就職活動を通じて、特に印象に残ったことはありますか?

若林:「何か難しいことを実現するために、いま日本で足りていない力は何だと感じているか?」という和田さんとの会話はとても印象に残っています。「何をしたら良いか?」はわかっていても、それを実現しようとした際に、どこがボトルネックになるのかが分からず実行できない人が大半だと思います。だからこそ構想から実行までを担える人材が求められており、私はそうなりたいと強く感じました。

和田:仕事には、コンセプトを構想し、戦略を立て、仕組みを作り、仲間と共に実現するという4つのレイヤーがあると考えており、三井物産のその4つのレイヤーに対する関わり方を伝えました。若手の内からこの全てに触れることが出来るのは、当社の特徴だと思っています。

アドバイザリーという立ち位置であれば、構想・戦略に役割が限定されますし、よりトップダウン型の企業であれば、若手・中堅のうちは戦略実行の為の仕組みづくりや、その実行に多くの時間を費やします。三井物産では、若手社員にも常に「あなたはどう思うか?」を問いかけ続け、現場で見てきたことをベースとしながら、自由に構想する機会を設け続けています。

若林:インターンシップの期間だけでも、多くの若手社員の方々がアイディアを発信し、その実現に向けて奔走している姿を多く見かけたこともあり、こういう仕事の仕方を通じて、本当に何かを動かすことが出来る人になれるイメージが沸きました。

──社会人経験を積んでも、「あなたはどう思うか?」という問いにすぐ答えられる人は多くないかもしれません。若いうちからその問いに向き合い続けることで、かなり思考力が鍛えられそうですね。

和田:決して楽な環境ではないと思います。自分史の面接でもしっかりと自分の過去を振り返り、「自分はどうしていきたいのか」を深く考えて、相手を納得させる必要があります。入社後も1年目から常に、「あなたはどう考えますか?」という問いかけがなされる環境です。

そして、自ら発信した構想は誰のせいにも出来ません。ただ、タフな環境や試行錯誤できる現場は人を大きく成長させるので、多くの社員は自ら構想し実現する機会があることを、粋に感じていると思っています。

SECTION 6/6

商社でやりたいことを実現する。それぞれの10年後のありたい姿

──お二人はこれから先の10年間、三井物産でどのようなことを成し遂げたいと考えていますか?

若林:先程も触れましたが、誰もがやればいいと思っているのに実現できていないことが、世の中にはたくさんあります。商社でそれを形にすることができれば、社会に対して生み出すことのできるインパクトは計り知れません。

10年後は責任あるポジションで事業を動かし、「できない」を「できる」に変えながら世の中の課題解決に貢献していたいと考えています。大きなことを実現できる土壌があるのが商社の良いところだと思いますし、自分が描いた戦略を自らの手で実行するところまで携わっていきたいです。

和田:入社後10年目くらいまでは、仕事を通じて得られる自分自身の成長実感が、モチベーションの源泉になっていました。より高いレベルのビジネスパーソン、よりよいリーダーになりたいと願い、仕事に向き合っていました。採用の仕事もそうですが、現在は世の中にどのように、どれだけ価値を還元しているかがモチベーションのドライバーになっています。

不動産事業を通じて得られた経験や、採用活動の中で形成した課題意識、三井物産で得た様々な仲間やパートナーとの関わりの中で気が付かされた、私自身が本当に挑戦したいと思える教育という領域、その点を繋ぎ合わせて、三井物産のリソースを最大限活用しながら、世の中へ価値を還元していきたいです。

── 最後に、読者の皆さんに伝えたいことはありますか?

若林:自分自身のやりたいことに信念を持つ。これが大事にすべき考え方だと思います。私もそうでしたが、ただ就職活動を頑張るだけではどうしても偏差値主義の延長線上での思考にとらわれがちです。

誰に何を言われたとしても自分の一度きりの人生の中で、本当にやりたいことの延長線上に素晴らしい未来を実現できれば、結果的にはその選択が最良だと思います。特に、新卒就職活動を行う時期は平均寿命からみて4分の1を少し過ぎたところにあり、人生の前半戦をどう過ごすか考えるうえでとても良いタイミングである気がします。

周りに流されることなく自分の軸は何なのかをあらためて捉えなおし、思いきってそれを実現できる環境に飛び込んでみるのも一つの選択肢ではないでしょうか。

和田:就職活動のゴールは内定や就職ではないので、一瞬の喜びに惑わされることなく自分はここで働いて幸せなのかを見極めて欲しいです。ぜひ「自分はどう生きていきたいのか」、「どんな人間になりたいのか」を見つける場として三井物産を活用してもらえたら嬉しく思います。

── 自分自身の課題を正しく自己認識した上で、本当にやりたいことを成し遂げるために何を身につければ良いのか。それがどういう環境であれば身につき、将来に向けた土台作りができるのか。お二人の話から就職活動に取り組む際にあらためて考えておきたい大事なポイントを窺い知ることができました。

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