INTERVIEW
Hondaの採用担当が語る、 大企業での成長とは
大企業か、ベンチャーか? このような比較は本質的ではないと言われていますが、「ベンチャーは早くから成長できる」「大企業は仕組みの中で言われたことをやるだけ」というイメージを抱いている学生の方も多いのではないでしょうか。 今回は、社員の個の力を尊重する文化を持ち、「偉大なる中小企業」とも言われているHondaにて、採用を担当する瀬之口氏にインタビューを行いました。大企業での成長や、自分が成長できる環境を選ぶための、企業の見方に迫ります。
SPONSORED BY 本田技研工業株式会社
話し手
瀬之口 真理子
本田技研工業株式会社 (Honda)
人事部採用グループ
SECTION 1/3
キャリアウーマンに憧れていた私が、Hondaを選んだ理由
──瀬之口さんがHondaに入社した経緯を紐解いていきたいのですが、就活はどのように進めていたのでしょうか?
瀬之口:私は「グローバルに働くキャリアウーマン」への漠然とした憧れを持っていましたが、これといってやりたいことがある学生ではありませんでした。
1年半ほどのカナダ留学中に行った全土を横断する一人旅や、フィリピンの児童養護施設でのボランティア活動の経験から、語学力を活かすチャンスがある場に行きたいと考えていました。また、大きく成長したいという想いもあったので、「成長」「グローバル」の2つを軸に、初めは航空会社やメーカーなどさまざまな会社を受けていました。
しかし、就活を進めていくうちにその軸だけでは企業を選びきれないことに気づきました。「グローバル展開を推し進めている」という企業は多くありますが、自分がどの程度海外との交渉や商談に携わることができるのかは、選考時には判断しにくいものです。また、「成長」という観点では、どのような企業であっても真面目に働いていれば、自分次第で成長できるはずだと考えていました。
──では、なぜ最終的にHondaを選んだのでしょうか?
瀬之口:Hondaの価値観と自分の価値観がマッチしていると感じたことが決め手です。当社には「差ではなく、違いを活かせ」という言葉がありますが、これは「各個人の能力に差はなく、違いだけが存在するのだから、それを活かせ」という考え方です。選考の過程で、Hondaの社員が一人ひとりと向き合い、個を尊重する姿勢を持っていることを感じ、とても魅力的だと思いました。
他の会社には「その会社らしい人」が集まっていると感じたのですが、Hondaの選考で出会った学生や社員には、良い意味で統一感がありませんでした。何かにエネルギッシュにチャレンジすることができるという共通項はありつつ、キャラクターも経験も個性的な人が集まっていました。私が4年間過ごした大学には世界各国から学生が集まっており、多様性を大事にする文化がありましたが、Hondaにも同じような空気感を感じ、それがとても心地良かったのです。
SECTION 2/3
やりたいことがなかった私が見つけた、成長できる働き方
──「多様性や人を重視する」という価値観に共感して、Hondaを選んだのですね。入社されてからはどのような業務に携わっていたのでしょうか。
瀬之口:最初に配属されたカスタマーサービス本部では、整備士が用いるカタログを制作する仕事に携わりました。当時この部署に文系で配属されたのは私が初めてだったこともあり、正直、最初は業務内容に対して大きな戸惑いがありました。
──入社前に想定していなかった仕事を任されることを、大企業に入社するリスクとして懸念する学生の方もいると思いますが、実際に取り組んでみてどうだったのでしょうか。
瀬之口:Hondaには、仕事の意義をしっかりと定義して進める仕組みがあります。何かプロジェクトや新しい取り組みを開始するときは、「A00」と呼ばれる企画の大義を提示しなければなりません。世の中のために、なぜその企画を実施すべきであるのかという「本質的な目標」や「夢」のようなものを、「A00」として上司を始めとしたメンバーに示すのです。私も仕事のビジョンを明確に持つことで、最初は興味のなかったカタログの仕事に対しても自分なりのモチベーションを持つことができました。
また、進めているうちに仕事が面白くなり、周囲も努力や成果を認めてくれるようになりました。すると海外でカタログを作成する新プロジェクトにアサインされ、入社3年目にして単独で2か月もの長期間、タイに趣くことになりました。現地のアソシエイトに業務を教え、プロジェクトを推進する取り組みの中で、自分がフロントに立って海外と仕事を進めるという、まさに学生時代思い描いていたことを実現することができたのです。
その後は自らの希望で創業者・本田宗一郎が立ち上げた財団法人に出向し、東南アジアの若手優秀層に向けたリーダーシップ研修の企画運営を担いました。出向帰任後は一貫して採用活動に携わっています。
──プロジェクト毎にビジョンを明確にして仕事を進める仕組みには、貴社らしいこだわりを感じますね。大きな組織を活かして自らを成長させていくには何が大切だと考えられていますか?
瀬之口:あえて受動的な表現をしますが、会社は大きなアセットやリソースをたくさん持っていて、さまざまな経験をするチャンスを与えてくれます。そのチャンスを自身の成長につなげるべく、ひたむきに取り組んでいると、不思議と経験の点と点が繫がって、実を結ぶ瞬間がいくつもあります。例えば私は出向先で日英両言語でのサイト制作を推進しましたが、現在の業務でも当社の情報をお伝えするサイト制作に携わっており、その経験が活きています。
最初はあまり興味がなかった仕事でも、関心を持って取り組んでいるとどんどん面白くなってきますし、「こうしたい」という欲が出てくるものです。それを実行するには大きな組織を動かすエネルギーが必要ですが、だからこそ世の中にも影響を与えることができるはずです。
与えられたチャンスに熱心に取り組み、ビジョンが見えた時にはエネルギーを持ってそれを実行する。このような経験を繰り返すことで、自ずと自分の強みを磨くことができ、その強みを活かす形でキャリアが構築されていくのではないでしょうか。
SECTION 3/3
100年に一度の大変革期。大きなチャレンジをしたい人に来てほしい
──「自動車産業=日本の伝統的な製造業」というイメージもあり、若手が新たな挑戦に取り組めるイメージがない学生もいると思います。Hondaには、ビジョンある若手にチャンスを与えて任せる風土があるのでしょうか。
瀬之口:当社には「Hondaイズム」と呼ばれる脈々と受け継がれている信念や言葉があり、若手に挑戦を促すカルチャーが根付いています。
当社でよく言われる「技術の前では人は平等」という言葉は、その信念を象徴するものの一つです。「誰が言うかではなく、言ったアイデアの中身が重要である」という価値観の元、社歴も学歴も関係なしにディスカッションすることができます。また、「2階に上げてはしごを外す」は少々過激な表現ですが、あえて後戻りできない状況に身を置かせて知恵を絞らせることを例えたもので、ストレッチアサインを推奨する言葉として社内に浸透しています。
2015年に発売された「S660」という軽自動車スポーツカーの開発は、社内コンペで評価された企画を元に、当時26歳のエンジニアをリーダーとして進められました。また他の分野では、わずか入社2,3年目で電動車両用モーター事業の合弁会社立ち上げに携わったメンバーもいます。
今、自動車業界は100年に一度の大変革期にあります。Hondaも従来以上の革新を起こし、価値提供をしていかなければならないタイミングです。現場主義とボトムアップの姿勢を強く持っているからこそ、特に若手にはこれまで以上に大きなチャンスがあると考えています。
私はHondaの挑戦と、挑戦する人についてより多くの人に知ってもらいたいと考え、2020年8月に「 Me&Honda,Career」というメディアを立ち上げました。若手からベテラン、また製造、開発、営業、企画職まで、多様な職種の社員のチャレンジを、一人ひとりのストーリーを軸に紹介しています。
入社3年目でマレーシア駐在を経験した若手社員のストーリーでは、成長するためにはどのように行動すべきなのかを考える参考になるのではないでしょうか。また、新規事業に関する記事では、既存事業の仕組みを活かしながら試行錯誤する大企業ならではの事業づくりの面白さを知ることができると思います。
Hondaの原動力は人にあると思っています。熱い想いを持ったHonda社員の、世の中を変えるようなチャレンジに、是非興味を持ってもらえれば嬉しいです。
──最後に、学生の皆さんにメッセージをお願いします。
瀬之口:私自身はHondaの人が好きだという想いや、誰かの役に立つことへの喜びが仕事へのモチベーションに繫がっている実感があります。今の時点では特にやりたいことがないが、仕事には本気で取り組んで成長したいという人は、「大手」「ベンチャー」といった単純なカテゴライズだけではなく、自分の価値観や人としての相性といった側面も考えながら、企業選びをしてみてください。
就職活動は迷いの連続かもしれませんが、正解がない問いに対する解は自分で作り上げていくしかありません。その時その時でできることに一生懸命取り組み、自分のした選択を正解にできるように行動することが、自分の将来につながっていくのではないでしょうか。
Hondaは本田宗一郎が作り上げた、まだ町工場だった頃のカルチャーを継承し、チャレンジを焚きつけるような会社です。そのような環境の中で、豊富なアセットや魅力的な人を活かして大きな価値を生み出すことにワクワクできる方には、是非Hondaに飛び込んでもらえればと思います。
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