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INTERVIEW

「みんな違っていい」。社会を変えるために進み続ける社長の究極のゴール

リクルートが運営するオンライン学習サービス「スタディサプリ」の生みの親である山口文洋氏は、「障害のない社会をつくる」をビジョンに掲げるLITALICOの代表取締役社長に就任しました。45歳にして、新たな人生を歩み始めた山口氏に社会課題を解決しながら成長する企業の要件を伺いました。


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話し手

山口 文洋

山口 文洋

株式会社LITALICO
代表取締役社長

SECTION 1/4

モヤモヤを感じていた学生時代

⸺リクルート時代に「スタディサプリ」を新規事業として立ち上げた時の思いを教えてください。

山口:スタディサプリで個別最適な学習が進めば、そのぶん子どもたちが放課後好きなことをできる時間が増え、また違った個性を育むことができるのではないかと考えました。オンラインなので場所にとらわれずに学ぶことができ、教育環境の格差の解消にもつながればという思いもありました。

学校での集団学習をないがしろにしているわけではありません。多様性のある人が集まった学校というコミュニティでは、共創や協働、協調を通して非認知能力を育み、社会の中で自分がどのような立ち位置なら生きやすいのか、自分らしさにつながるような原体験を積む場であるべきだと思っています。学校の役割や時間をギュッと絞りたかったんです。

⸺山口さん自身も学生時代、学校に対して何か感じていたことはありますか?

山口:学校での「みんな同じ」という前提に違和感を覚えていました。それぞれの得意や苦手に関係なく、同じ内容を同じ時間に学び、相対的に成績で評価されることにモヤモヤしていたのです。

私の場合、教科では社会が大好きで、どの授業を受けていても、ずっと地図帳を眺めていました。教科ごとに得意や苦手意識は誰にでもありますよね。個人のペースや能力に合わせた学びの仕組みがあれば違和感は持たなかったかもしれません。

だから、過去の自分に贈りたいサービスとして作ったのがスタディサプリです。自分と同じように苦しんでいる人や、学びづらい、生きづらいと思っている人に広げるべく、10年ほど取り組んできました。

スタディサプリの挑戦は、現在は一緒に作ってきた後輩たちに託しています。私は、このスタディサプリを提供する中で、見つけてしまったことがあり、1年程前にまた違った人生を歩み始めました。ゴールに対して、ちょっと別のルートを歩みたくなったんです。

SECTION 2/4

「みんな違っていい」が当たり前の社会に

⸺「ゴール」と「別のルート」とは何でしょうか。

山口:最初は、教育環境の格差を解消したいという思いがあったのですが、これは突き詰めていくと、「みんな同じ」という日本にありがちな観念を「みんな違ってていいじゃん」という方向に変えることだと気付きました。これが人生をかけてやりたいことで、私のゴールです。

これまでは、「スタディサプリ」で教育環境の格差を解消することで「みんな違っていい社会」をつくろうと考えていました。

本当に興味のあることを自分らしく学べばいいし、嫌いなものがあれば、自分のペースでコツコツ進めればいい。そんな世界をさらに広げていきたいと思ったときに、生きづらさ、学びづらさ、働きづらさといったモヤモヤを抱えた人に向き合う機会があり、その人が少しでも自分らしく快適に生きていけるような社会インフラをつくりたいと思うようになりました。

それが、「障害のない社会をつくる」というビジョンを掲げるLITALICOへの共感につながりました。一人ひとりの感覚や意識、常識を変えることが、本当の意味で日本が個々の違いを受け入れて認め合い多様性を尊重する「障害のない社会」になることだと思っています。

社名のLITALICOは「利他」と「利己」を組み合わせた造語で、1回きりの人生ならば、社会に貢献しながら、自分らしい人生を生きようというメッセージにも共感しました。

私にとってLITALICOが、「別のルート」です。

⸺これまでとは別のアプローチで「みんな違っていい社会」をつくるということですね。 具体的にどのような領域に携わっていますか。

山口:生きづらさや学びづらさ、働きづらさを感じる方に対して、子どもから高齢者まで社会参加できるような支援を、リアル(BtoC)とオンライン(BtoB)の両面でしています。

リアルでは、就職準備や企業インターンの就労支援をはじめ、子どもの個性に合わせてプログラミングやロボットなどのものづくりを通して創造力を育む学びの場や、専門的な観点から子どもたちの興味関心に合ったプログラムを提供する学習教室を展開しています。

オンラインでは、働くことに障害のある方の就職情報サイトや、発達が気になる子どもを育てる家族が情報共有するポータルサイトを運営しています。また、障害福祉業界をDXするために、福祉従事者・福祉事業者向けのプラットフォームサービスも展開しています。LITALICOのように障害福祉サービスを展開する企業で、エンジニア約150人を含む約300人でインターネットプロダクトを作っているところは他にないのではないかと思います。

⸺山口さんのように「障害のない社会をつくる」というビジョンに共感した人が集まっているのでしょうか。

山口:ビジョンへの共感はもちろんですが、私と同じように社会にモヤモヤしている人がたくさん集まっています。そのため、社会課題についての議論の中で事業が生まれたり、普通なら諦めるような事業アイデアも、「逆に私たちにしかできないんじゃないか」という議論の流れになったりという場面が多々あります。

それに、人の多様性を重視する当社だからこそ、社員も「LITALICOらしい」人材を定義できないくらい多様な人が集まっています。人事面では年次によらず純粋なアウトプットの質や志の高さを見て評価しているので、十数個ある事業部のトップリーダーは、ベテランもいれば新卒出身の若手社員もいる、様々な視点からの意見が飛び交う環境です。

SECTION 3/4

本当に社会課題を解決できる企業をどう選ぶか

⸺さまざまな企業が「社会課題の解決」を掲げています。言うのは簡単ですが、社会課題を解決しきるのは難しいとも感じます。

山口:そうですね。社会の課題はずっと生まれ続けるものだと思います。しかし、今私たちが顕在化した課題を放置していたら、さらにいろんな課題が積み重なってしまいますよね。今ある課題をできるだけ早く、影響力を持って解決していくからこそ、次の世代に社会を残していけると思っていて、難しいですが、ずっと向き合わなければいけないと感じています。

⸺社会課題を解決しながら、成長し続ける企業の要件を教えてください。

山口:入社年次に関係なく「これをやりたい」と提言する社員があふれていて、上司や経営者もそれを受け入れる土台がある企業だと思います。

また、そのような社員は、「社会課題を解決したい」という大きな志というよりも、自分の過去や半径5m以内にいる誰かの困りごとや課題を解消したいという思いが一歩目となり、新しい事業を発案しているのではないかと感じています。

LITALICOは、全社員の半数近くが新規拠点や新規事業の立ち上げを経験していて、スタートアップフェーズの事業部も数多くあります。今ある事業も、ボトムアップで現場ごとに新しい課題を見つけた社員が提言して生まれたものが多くあります。

例えば、「LITALICOワンダー」というプログラミングやロボットづくりができるデジタル×ものづくり教室は、「LITALICOジュニア」という障害のある子どもたちを支援する教室において、子どもたちの発達支援に携わっていた社員の気付きがきっかけで立ち上がった事業です。

学校では退屈そうな男の子が、レゴなどのものづくりをしている時だけ自分らしくいられて楽しそうだということを保護者の方から聞いた社員が、子どもたちのサードプレイスとして、夢中になれる場を作ろうと提言した事業です。現在では、障害のあるなしに関係なく、子どもたちが集い、自分らしさをものづくりで表現できる場になっています。

このように課題や気付きから自ら行動する社員が多いため、LITALICOでは、私が想像し得ないようなサービスを今後も作り続けられるのではと考えています。

⸺なぜ「これをやりたい」と提言する社員があふれているのでしょうか。

山口:社員が集まった時に、売上や利益の話をしないことが一因かもしれません。

普通の会社は、全社総会でまずはじめに売上や利益の話をすると思いますが、LITALICOにはそれがありません。それよりも、社会の課題に対して、私たちの提供価値がこの1年でどのようにインパクトを与えたのか、その活動をどうやって広げていくのかに触れて話します。

⸺それでも、11期連続で過去最高益を更新し続けるという成長を遂げているのはなぜなのでしょうか?

山口:一番は、リアルの現場でもオンラインサービスでも本当に質にこだわっているからだと思います。障害のある方を魂を込めて支援していて、その総和が会社のサービスの品質やブランドに対する評価につながっているのだと感じますね。「LITALICOだったら丁寧に支援してくれる」という利用者の声でまた人が集まる、そのサイクルなのかなと思います。

SECTION 4/4

企業選びは「誰と切磋琢磨したいか」

⸺社会課題を解決したい学生は多いと思います。企業の選び方を教えてください。

山口:20代のうちは働く中で出会った人に影響されやすいので、できれば出会った人や出会った会社の空気で、自分自身が「なんかいいな」と思える場所に飛び込むのが一番だと思っています。企業名や業種というより、五感で身体的に感じる良さで決めてほしいですね。

誰と一緒に学ぶかというのと一緒で、誰と一緒に働くのかというのは重要だと思っています。「あなたは誰と切磋琢磨したいですか」だと思いますね。LITALICOでは、誰かが困っていることや課題に向き合い、助けたい一心で事業やサービスを考えています。「社会課題を解決したいけれど、まだ具体的にやりたいことはない」と思っている方が、本当に社会を変えていくための熱量や、事業、サービスづくりのステップを学べる環境があります。

⸺このほか、新卒でLITALICOに入社した際のメリットはありますか。

山口:圧倒的に成長の機会が多く、新卒社員が会社に貢献できる余地が大きい点です。

インターネットサービスに関わる多くの企業は、ここ数年の間で、急速に社会でDXが進んだことで成長し、会社の規模が大きくなり、成熟してきている印象を私は持っています。入社後に、自分の力で影響力の大きな事業を創出するのがより難しくなってきているんです。

一方、障害福祉領域は他の領域に比べてDXが遅れており、事業やサービスのあり方を、ITを活用して進化させる余地がたくさんあります。入社したら「やれることが多すぎる」と感じるはずです。

⸺山口さんのように新規事業で社会にインパクトを与えたり、活躍するためにはどうすればいいですか。

山口:仕事には正解がないので、自分の好きなことでバリューを出すことに集中すると良いと思います。

実は私は30歳ぐらいまで「やりたいことは何ですか」と聞かれても、はっきりと答えられませんでした。ただ、たまたま出会った人や与えられた仕事に、自分なりの興味や好奇心を持つことが得意だったんです。

そのため、やりたいことはないけれど、やってみた仕事や勉強の中に、「ここの部分だけは面白いな」と思うものを見つけることができました。そこで自分のバリューを出すと、「ユニークなことやるなあ」と、周りからすごく評価されたんですよね。

評価されることによってモチベーションが上がって、新しい仕事を任されるようになり、その中でまた新たに面白いことに出会い、さらに頑張れる。そういうサイクルをぜひ20代のうちにつくったら、30代、40代も周りの人と比較することなく、自分らしさの中から没入できる仕事に出会って、やりがいを感じることができるのではないでしょうか。その結果として、社会にインパクトを与える仕事ができるはずです。

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