INTERVIEW
新卒でベンチャーはリスク?大手は安定?Goodfind講師×人事責任者に聞いてみた

ベンチャーは「大手に比べて不安定なのでは」「年収が低く残業が多いのでは」「転職しにくいのでは」……こうした不安を持つ人もいるでしょう。本記事では、2社のベンチャーを経験してきたGoodfindセミナー講師の岡井と、L&E Groupで新卒5年目ながら執行役員 人事本部長を務める釘宮氏が「新卒でベンチャーに入るのはリスクか?」について議論。学生の皆さんの疑問にお答えしながら、これからの時代に真に安定したキャリアを築くためのヒントをお届けします。
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SPONSORED BY 株式会社L&E Group
話し手

釘宮 悠太
株式会社L&E Group
執行役員 人事本部長

岡井 宏太
スローガン株式会社
Goodfindセミナー講師 兼 メディア責任者
SECTION 1/5
黒字の上場企業でも大型リストラ。日本で何が起きている?
⸺ベンチャーに興味はあるものの「大手に比べて不安定なんじゃないか」と不安を抱く学生もいますが、お二人はどのように考えますか?
釘宮:近年、学生の面接をしていると、「大手と比べてベンチャーは〇〇ですか?」というような、ベンチャーをやや不安視した質問をよくいただきます。そもそも大手・ベンチャーという対比ではなく、企業単位でフラットに比較するのがよいと思いますが、学生の立場だと「どの企業でどんなキャリアが歩めるか」の解像度を上げるのが難しいですよね。
以前はベンチャー志望の学生がもっと多くいた気がしますが、政治・経済・自然災害など、日本全体が不安定な現状で、「安定」を求めて大手を志望する学生の割合は高くなっていると感じます。しかし多くの学生が考える「安定」とは、言ってしまえば 「有名企業ブランドの傘に入ること」。この考え方は、終身雇用が前提だった数十年前までは正しかったかもしれませんが、現在では通用しなくなってきているのではないでしょうか。
岡井:事業状況がめまぐるしく変化するため、企業が必要とする人材像も採用した数年後には変化するのも当然でしょう。そのため、企業として終身雇用を保つことが難しくなってきています。だからこそリストラも起こるので、 企業にぶら下がらず自分の実力を高め、生き抜いていくチカラを付けることが大事になってくるのです。

例えば日産自動車では業績不振によって国内外で全従業員数の15%にあたる約2万人の人員削減を行う方針を固めていますし、パナソニックホールディングスは黒字にも関わらず国内5,000人・海外5,000人の計1万人を削減する計画を明らかにしています。東京商工リサーチの調査によると、2025年1月から5月に判明した上場企業の「早期・希望退職」募集人数は前年同期の約2倍に急増し、1社あたりの募集規模が拡大しています※1。
学生から人気のあるコンサルティングファームも例外ではありません。アクセンチュアは需要低迷によって世界で約5万人の昇進を半年間延期していましたし、IGPIの冨山会長は社会人向けメディアの取材に、コンサル業界において「パートナー未満は潜在的なリストラ対象と考えておいた方が良い」と答えています※2。
※1 参照:東京商工リサーチ「TSRデータインサイト」2025.5.18公開
※2 参考:ONE CAREER PLUS【IGPI会長・冨山和彦】これからのコンサル、20代の新たなキャリア戦略
⸺黒字の大手企業でも大型リストラが起きているとのことですが、どのような要因が考えられますか?
釘宮:要因は様々あると思いますが、1人当たりの労働生産性の低さが原因の1つだと考えています。主要先進国でみても日本は最も生産性が低く、この背景としてDX化の遅れや、日本特有の終身雇用制度で人材を大量に抱えていることがあると思います。世界でみても日本企業の国際競争力は相対的に低下しており、今後は大手を含めた多くの企業が淘汰されていく流れになるでしょう。

今後、企業が生き残っていくためには、継続的に高収益をあげられるような、強い事業構造や柔軟でスリムな組織構造に変革していく必要があります。そうなってくると、業績が低迷している企業はもちろん、黒字企業でも収益性の低い事業の見直しや競争力の強化、将来を見据えて固定費削減の手段としてリストラを計画するという話になってくるのは当然だと思います。AIやテクノロジーの進化などもそれに拍車をかけるでしょう。
⸺AIの進化に伴うリストラは米国企業など世界では既に起きつつありますよね。国際競争力が低下している日本企業や産業は、今後どうなっていくと思いますか?
岡井:世界に比べて日本では産業構造の転換があまり起こっていないのが特徴的ですよね。日本ではいまだ金融業や製造業などの古くからある企業が時価総額ランキングのトップに君臨していますが、世界ランキングをみると、上位に並ぶのはGAFAMを始めとした巨大IT企業ばかりです。今後日本の産業転換が世界レベルに進めば、今国内トップの業界や企業も大きく変動し、いっそう大手のリストラが進むことも考えられます。
釘宮:日本の産業転換の遅れについて、人材の流れという角度からみると、日本特有の就活市場に起因している部分もあるように感じています。アメリカでは「起業したい」「スタートアップに入りたい」という優秀学生が結構いると聞きますが※3、日本では「有名企業に入りたい」という学生が大半を占めます。多くの優秀人材が、外資系企業や古くからある老舗企業に流入してしまうので、日本で産業転換が起きづらくなっている、と捉えることもできるのではないでしょうか。
※3 参考:HR NOTE「日本とアメリカの異なる就職観を徹底調査」
Accenture Newsroom

世界の順位の出典:STARTUPS JOURNAL ランキングレポート2024.02.21公開
日本の時価総額ランキング:2024年11月8日時点
SECTION 2/5
企業ブランドに依存できない時代の「真の安定」とは
⸺日本の産業転換の現状と予想される今後の変化を踏まえ、これからの時代の「真の安定」とは、どう定義できますか?
釘宮:企業ブランドの傘に入るのではなく、自分個人にブランドをつけることが真の安定につながると考えます。個人のブランド価値を高められれば、万が一会社が潰れたとしても、引く手あまたで食いっぱぐれることはないでしょう。
皆さんに理解しておいてほしいのは、この「就活」というタイミングで、ゲームのルールが真逆と言って良いほど変わるということです。学生時代は「人気や偏差値が高い学校に行くのが正解だ」という価値観の下で育ってきた方が大半だと思います。しかし社会人として自分自身の市場価値を上げるためには、需給バランスの観点から希少性を意識してキャリアを考えることが大切です。
皆が行きたいところに行くこと、特に「同期が100人以上いるなど採用数の多い会社に行くこと」は、すなわち皆と同じ経験をしにいくのと同義と私は捉えています。また、そうした採用規模の企業では、良い仕事やプロジェクトを任される確率が相対的に低く、20代で「どんな仕事をしたか」という経験やスキルの希少性の観点では、価値が下がってしまうこともあります。皆が選ばない方を選んだり、複数のスキルをかけ算するなりして、周りと自分の差別化を図る選択をしなければ、容易に埋もれてしまうリスクがあるのです。

岡井:個人のブランド価値を高めるという観点では、L&E Groupでは若手の成長機会の多さから、それがしやすいイメージがあります。例えば「役員層と一緒に仕事ができる」と謳うベンチャーは複数社ありますが、実際には時々役員と新卒が話す程度の企業も多いのが実情だと思います。でもL&E Groupでは本当に役員と新卒が一緒に仕事をしていますよね?
釘宮:実は当社では新卒1年目の大半が、役員直下の配属になります。なので役員と共に資料作成をしますし、送付メールのチェックをしてもらいますし、朝礼で昨日の業務の振り返りから、その日のタスク確認までをも一緒に行います。
岡井:新卒1年目を役員が日々直接教育するというのは、他社では聞いたことがありません。役員と仕事できる多くのケースは、成果を出したり仕事できるようになってきた2~3年後からが多い印象です。それほどL&E Groupでは1年目の成長を重視されているのですね。
釘宮:ビジネスパーソンの成長曲線は「最初の上司」の影響を大きく受けるとも言われていますからね。1年目から役員レベルの視座の高さに触れられるわけです。誰をどの役員のもとに配属するかも、一人ひとりの強みや弱みを見ながら慎重に決めています。

SECTION 3/5
20代でポータブルスキルを身につけて「何でもできる人材」に
⸺では「個人のブランド価値が高い人材」とは、具体的にどんな人なのでしょうか?
岡井:これからの時代にブランド価値が高いのは、特定分野の専門家というよりも「何でもできる人」ではないかと思います。もちろん専門性を持つに越したことはありませんが、産業構造の変化が速い時代に、たった一つの専門性だけで生き抜くことは困難でしょう。だからこそ、業界や職種が変わっても活かせるポータブルスキルを身につけておくことが大切です。

釘宮:「何でもできる人」は、言い換えれば変化対応力が高い人ですよね。新たな状況やトラブルに直面したときに、何とか突破できる人。そうなるためには、自分ができないこと・苦手なことを極力減らして、できることの幅を広げておく必要があると考えています。L&E Groupでは20代で5つの異なるスキルを獲得できるような育成を行っているので、まさにこれからの時代に市場価値の高い人材を目指せる環境があります。
岡井:大手でも、総合職としてジョブローテーションなどを行う場合はポータブルスキルを身につけられそうですね。ただし教育システムとして、最終的に事業や会社の意思決定に関われるのが40〜50代という場合が多いので、市場価値を高めるのに相対的に時間がかかってしまいます。
釘宮:海外比で日本のビジネスパーソンの市場価値は30代以降、一気に下がるそうです※4。これは年功序列型の人事システムによってマネジメント層に昇進するのが遅くなり、若いうちから意思決定できる機会が少なくなるから。20代のうちに真の安定を手に入れたいと思う人は、若手のうちに意思決定機会と、それに伴う成功・失敗双方の経験をなるべく多く積む必要があります。
※4 参考:小野壮彦「世界標準の採用」(日経BP,2025年)
SECTION 4/5
年収は?残業は?転職は?…ベンチャーに対する不安の正体
⸺「真の安定とは企業ブランドではない」と理解しました。一方で、ベンチャーにまつわる不安や疑問も多く挙がるので、岡井さんにはその実態を、釘宮さんにはL&E Groupの事例を伺います。
Q1:ベンチャーで新卒は活躍できるのか?
岡井:確かに優秀な中途社員の割合が多かったり、大手ほどしっかりした育成制度がなかったりする環境で、本当に早期に活躍できるのかという不安の声をよく聞きます。

「中途社員ばかりが活躍して、新卒に活躍の機会がないのでは?」という点については、正直そうしたベンチャーも存在するため、一社一社確かめなければなりません。Goodfindでは「新卒に活躍機会がある」と判断した企業のみを学生の皆さんにご紹介・掲載しているので、安心していただいて良いと思います。
教育制度については、私自身がSpeeeで新規事業責任者などをしてきた経験上、成長するには教育よりも実体験、特に挑戦をした上での挫折や失敗をなるべく早く経験することの方が圧倒的に重要だと考えています。
釘宮:大手では10年単位で下積みをした後、係長や課長を10年務め、その後部長などに昇進するというように、失敗しないよう安全に役職を全うするキャリアを歩む場合が多いと思います ※5 。対して、ベンチャーでは基本的に、新卒2〜3年目でマネージャーや責任者になるなど、能力が若干足りていない状態で役職にアサインされるので、アサイン後の半年〜1年間で必死に成長して役職にアジャストしていかなければなりません。
※5 参考:JINJICLUB「管理職の平均年齢は何歳?昇進までの期間や求められるスキル」
L&E Groupも、私自身が新卒2年目に新卒採用責任者、3年目に人事本部長、5年目に執行役員を任されたようにストレッチアサインを行う会社です。 ゆえに若手の挫折や失敗の受容度が高く、むしろ挫折や失敗を重ねることで、どんどん成長してほしいとすら考えています。

加えて言えば、当社は成果報酬型のビジネスモデルをとっているため、仮に失敗しても広告主に損害を与えることがありません。失敗を恐れることなく、新たな施策にチャレンジできるのは、若手の成長にとって利点だと思います。
Q2:ベンチャーの年収って実際どうなの?
岡井:ベンチャー・大手と一括りにできるわけではありませんが、平均年収で見ると大手の方が高い場合が多いですよね。ただし大手は社員の平均年齢も高い傾向にあることに注意が必要です。
給料の上がり方で見ると、大手に多いのは年功序列で給料が上がることが確約される「一筋タイプ」です。一方、ベンチャーに多いのは自分の市場価値や役職の高まり次第で上がり具合が変動しうる「転換タイプ」。良し悪しはないので、どちらが自分のお金やキャリアに対する考え方に近いかを考えてみると良いと思います。

釘宮:ちなみにL&E Groupは転換タイプで、昇進が早い人はその分、給料も早く上げることができます。初任給は500〜550万円くらいなので、ベンチャーの中ではかなり高い水準だと思います。日本全体で賃上げの流れもあるので、その後の昇給スピードもこれからさらに上げていきたいと考えています。
Q3:残業が多い?ワークライフバランスは?
岡井:私はベンチャーを2社経験してきましたが、プライベートを犠牲にして働いている人は周りにはいませんでした。趣味にしっかり時間を使う人もいれば、私のように子育てと仕事を両立している人もいて、普通に幸せに生きている人が大半の印象です。ベンチャーというとプライベートを犠牲にして働く、といった印象を持たれる人もいますが、実際はプライベート含め、いたって普通の充実した人生を送っています。
釘宮:L&E Groupでは、残業は個人の裁量に任せています。成長意欲の高い人が多いので、自ら目標達成に向けて残業する人もいますが、残業せずに成果を出せるように働く人もいます。ツール導入など業務効率化は全社的に徹底していますし、睡眠時間は削らないように健康第一を全員で大切にしています。
当社には朝食制度があるので、私自身は少し早めの8時半頃に出社して朝ご飯を食べ、18〜19時頃に退勤しています。もちろん時期によっては忙しいときもあります。マネジメント層になると、自分で自分の仕事量を決めることができるので、その分ストレスも少ないですね。
Q4:「大手→ベンチャー」は転職できるが、「ベンチャー→大手」は転職しにくい?
岡井:人数としては「大手→ベンチャー」のほうが多いですが、その理由は転職しやすいからではなく、単純に「大手→ベンチャー」は裁量やスキル、経験を求めて転職を望む人が多く、反対に「ベンチャー→大手」は望む人が少ないからだと思います。
そもそも転職で重視されるのは「どの規模の会社にいたか」ではなく「何をしたか」なので、個人の市場価値が高まっていれば企業規模に関わらず転職は可能です。私自身、教育に関心があったので、Speeeからの転職時には教育業界の大手複数社や戦略コンサルからオファーをもらいました。

釘宮:L&E Groupには総合商社やメガバンク、戦略コンサルの出身者も受けに来て、中途入社もしています。ただし大手で得たスキルがそのまますべて当社で活きることはあまりないので、ポテンシャルを評価して採用しており、入社後は新卒1年目と同じ研修や業務を行うことになります。 新卒で大手に入社後、数年してベンチャーに転職する際に、特に未経験の職種や業務を担う場合は、このようにキャリアを一からやり直すことになるケースが多いように思います。
L&E Groupの社員は、直近はかなり定着率が良くなっていますが、辞める社員は起業する場合が多いです。おそらく当社は他のベンチャーと比べても裁量権の大きな環境なので、より大きな裁量権を求める場合は起業が選択肢に挙がりやすいのではないかと思います。また少数派ですが、より専門性を磨きたいと、外資系ITや大手に転職した人もいます。
SECTION 5/5
個人のブランド価値を高めるために、企業は挑戦機会数で見るべし
⸺最後に、就活ではどう入社先を選べば良いのか、アドバイスをお願いします。
岡井:自分でとことん考えて自分で選ぶことが大切です。将来どんな社会人になりたいのか、何がやりがいなのかは、人によって大きく異なります。自分にとって何が大切かを考え抜いて意思決定した人は、どんな決断をしたとしても、将来幸せなキャリアを歩める可能性が高まるでしょう。
反対に自分で深く考えず「なんとなく」や「親や周りの目」「有名だから」など、無思考に入社先を選んでしまうと、会社に入ってもコミットしきれず、転職を繰り返すような人生を送るリスクが高まると思います。

本当は二項対立的に考えず個社ごとの特徴を見ていくべきですが、意思決定の参考として、あえて大手とベンチャーを切り分けて考えるならば、 大手に合うのは、与えられることを確実に実行していくことに、やりがいを持てる人。ベンチャーに合うのは、正解や成功法がない中で、自ら新しいものを作ったり、高い目標を追いかけたりすることにモチベーションを感じる人だと思います。
ベンチャーの中でもL&E Groupは、新卒1年目から経営陣と近い距離で働きながら、早期に意思決定機会を得ることができるので、自己成長して個人のブランド価値を高めたいと思う方にとって良い選択肢なのではないかと思います。
釘宮:私個人の想いとしては、優秀な人ほどベンチャーに行ってほしいと思っています。決められたことを確実にやる大手と、正解がない中で新しいものを生み出すベンチャーで比べたときに、ミッションの難易度という観点では「優秀な人だからこそ」ベンチャーに行くべきです。皆さんの中からそういう人が増えなければ、日本はどんどん世界に遅れをとってしまいます。実際に、先に産業構造の変化が起きている米国では、優秀な人ほど起業し、次点でベンチャー、最後が大手志望で、日本の学生とは志向性が真逆です。
そしてベンチャーを選ぶ際は、分母=同期や同僚の人数、分子=ポジションの数、の計算式で導かれる挑戦機会数を思い浮かべてみてほしいですね。

いくら事業数が多い企業でも、新卒を100人単位で採用している会社では挑戦機会が限られ、大手と変わらない環境になってしまう可能性があります。一方で採用人数が少ない上に、会社や事業自体が成長していれば、現在進行形で分子が増えているので、挑戦機会も豊富にあると予想できます。
L&E Groupは現在の正社員数は約40人、直近2年の売上成長率は140%と、まさに後者のような会社です。自分のブランド価値を上げたい、産業構造の転換に関わりたいという方の挑戦をお待ちしています。

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