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INTERVIEW

日本企業の“99.7%”を変革する。「多変数を扱える人材」が担う挑戦

日本企業における大企業の割合はわずか0.3%。残りの99.7%は中小企業が占めます。しかし、中小企業のDXには様々な壁があり、大企業に比べて解決が困難な状況にあります。そんな中小企業のDXを「Chatwork」という独自の基盤と、BPaaSという新たなアプローチで解決しているのが株式会社kubellです。今回はkubellでCOOを務める福田升二氏と、執行役員の桐谷豪氏に、kubellの「挑戦」について伺いました。


※本記事は2025年春発行『Goodfind Magazine #39』の特集企画「Goodfindが選んだ 日本を変える企業」に掲載予定です。


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SPONSORED BY 株式会社kubell(旧Chatwork)

話し手

福田 升二

福田 升二

株式会社kubell
取締役 兼 上級執行役員COO

桐谷 豪

桐谷 豪

株式会社kubell
執行役員 兼 インキュベーションディビジョン長

SECTION 1/4

日本企業の99.7%でDXが進まぬ理由

⸺kubellはビジネスチャット国内利用者数No.1 ※1 の「Chatwork」を提供しており、特に中小企業市場で大きなシェアを持っています。kubellは中小企業のDXを目指している会社なのでしょうか?

福田:kubellはコーポレートビジョンに「すべての人に、一歩先の働き方を」を掲げており、「すべての」には中小企業だけでなく、グローバルや大企業も含まれます。一方でkubellが初手の戦略として中小企業のDXを主なターゲットとしているのは、それが非常に大きなマーケットであり、かつ「Chatwork」という、そこを攻めるに最適な手段を有しているからです。

皆さんの就活や日常生活で存在感があるのは大企業かもしれませんが、中小企業は日本企業の99.7%、働き手の7割、GDPベースの半分以上を占めるマジョリティです ※2。これだけ大きなターゲットであるにも関わらず、世界で提供されるITサービスの多くは大企業向け、つまり0.3%の企業に向けたもので、それが起こる理由は、大企業向けと比較し、中小企業向けのサービスはあらゆる面でビジネス効率が悪いからです。

桐谷:DXに関する「課題認識の有無」と「解決能力の有無」という2軸で企業を見たとき、中小企業のほとんどは「課題認識はあるが解決能力が不足している企業」か「課題認識も解決能力も不足している企業」に分類されます。前者はDXの必要性を感じているものの、SaaSなどのITサービスを使える人材がおらず使いこなせない企業です。そして中小企業の多くを占める後者は、認識する課題として「人手不足の解消」はあるものの、DXへの知見がない場合がほとんどです。そうした企業が真っ先に注力するのは採用であって、DXを進めてそもそもの業務プロセスを効率化するという課題認識にならないのです。

※ 参照:総務省・経済産業省「平成28年経済センサス-活動調査」、独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業のDX推進に関する調査(令和4年5月)」

DXに課題認識がない企業にITサービスを提供しても必要性を感じてもらえないし、導入したところで使える人もいません。しかも1社あたりの社員数が少ないため単価が低く、利益にならない。そして中小企業向けのサービス提供が取り残された結果、中小企業と大企業のソフトウェア投資比率や投資額には倍以上の差が生まれてしまっているのです。

※1 参照:Nielsen NetView 及びNielsen Mobile NetView Customized Report 2024年4月度調べ月次利用者(MAU:Monthly Active User)調査。 調査対象はChatwork、Microsoft Teams、Slack、LINE WORKS、Skypeを含む41サービスを株式会社kubellにて選定。
※2 参照:中小企業庁「2023年版 中小企業白書 小規模企業白書」

SECTION 2/4

Chatworkを持つkubellだから立ち向かえる難題

⸺そうした状況では、中小企業のDXをビジネスとして成立させること自体が難しいように感じます。kubellはどのようにアプローチしているのでしょうか?

桐谷:今、解決手段の一つとして取り組んでいるのがBPaaS(Business Process as a Service)です。BPaaSとは型化されたプロセスと人材を含むオペレーションをクラウド上で購入できるビジネスモデルのことです。

DXを進められる人材の不足がボトルネックとなって中小企業に最適なツールの導入がされないならば、我々がその業務を丸ごと請け負って、kubellの中でDXしてしまえばいいんだという発想の転換をしました。つまり、中小企業にITやAIを勧めるのではなく、kubellが請け負った業務プロセスの処理にAIやLLMなどのテクノロジーを活用すれば、誰もが間接的にDXの恩恵を受けられるというわけです。

複数のクライアントに共通した課題を、kubellの中で同じシステム・オペレーションを用いて効率的に解決することができます。具体的には、Chatwork上で経理、労務、総務、採用、Web制作といった業務を代行する事業をおこなっています。

⸺確かに、すべてのDXプロセスをkubellが請け負ってしまえば、中小企業側に解決能力は不要ですね。しかし課題意識がない層に、いかに課題意識を持ってもらうのでしょうか?

福田:必ずしも全てのお客様に「DX」に対する課題意識を持ってもらう必要はないと考えています。BPaaSはお客様にとって「人手不足」という既に顕在化している課題に対してアプローチしているものです。このビジネスの重要なポイントは、「顧客が認識している価値(=人手不足を解決するソリューション)」と「我々が認識している価値(=業務を巻き取りDXする)」が良い意味でズレていることで、本来SaaS単体では成し得なかった領域にアプローチすることができていることです。「DX」に対して課題感を持つ必要はないが、結果として「DX」が進んでいるというアプローチですね。

⸺BPaaSによる中小企業のDXにおいて、kubellならではの強みは何ですか?

桐谷:Chatworkで既に中小企業を中心とした60万以上の企業と接点を持っている点です。一口に中小企業と言っても業界も業種も千差万別ですから、本来ならマーケティングや宣伝に莫大な費用がかかります。それをChatwork上で行うことで、費用をかけずにサービスを知ってもらえるのは大きいですね。

私はもともとスタートアップで大企業向けの事業に携わっていましたが、もっと大きな、日本を変えるチャレンジをするために、99.7%を占める中小企業にアプローチする必要性や意義も感じていました。そこで様々な企業の成長可能性を資料や目論見書で調べましたが、それができるのは唯一無二の顧客基盤とビジネスチャットを持つkubellしかないと確信したのがジョインの理由です。

SECTION 3/4

BPaaSも one of them。新規事業開発の“天国”

⸺中小企業のDXを進める上での面白さとは、どのようなものでしょうか?

福田:私は「大企業のDXは気合いの世界、中小企業のDXはサイエンス」だと捉えています。サイエンスとはつまり、データドリブンのビジネスがしやすいということです。

中小企業は社数が多い分、統計的に正しいレベルの営業やマーケティングに使えるデータが集められます。そのデータの捌き方やアプローチの仕方の自由度が高いうえに、フィードバックも多く来るので仮説検証を回しやすいのです。一方の大企業は、社数が少なく会社単体の規模が大きいため、個社ごとに適した営業方法やマーケティング方法を地道に探り、カスタマイズしていく必要がある場合がほとんどです。

桐谷:大企業と中小企業では、プロダクト内で同じ言葉を伝えた場合の受け止められ方が異なるのも特徴です。たとえばChatwork上での「その業務をkubellが引き受けましょうか」といったプロモーションに対しては、大企業よりも中小企業の方が反応率が高い傾向にあります。そのためkubellでは、Chatworkを通じて数百万ものユーザーにプロモーションを打つなど、マーケティングでもセールスでも幅広い設計の選択肢が取れます。BtoCとBtoBの中間のようなビジネスができるのも面白いところですね。

⸺今後の事業展開はどのように考えていますか?

福田:我々にはChatworkというプラットフォームがあるからこそ、BPaaS以外にもアプローチできる事業領域が広がっていると思っています。構造としては、Chatworkの上にテクノロジーの基盤があり、そこにBPaaSはもちろん、その他様々な事業が乗ってくるイメージですね。BPaaSも、多く存在する事業構想の中ではone of themです。

桐谷:たとえば最近ではIT人材育成のための教育事業を検討するなど、似たようなビジネスモデルの事業を横展開するのではなく、全くもって新しいビジネスモデルを創っていくチャレンジをしています。私は新規事業を推進していますが、強固な顧客基盤を使ってあらゆる事業を作れるため、事業開発の環境としてはまさに天国です。

福田:創っていく事業それぞれを誰に任せていくかが経営の最重要課題なので、新卒の皆さんには入社3〜5年ほどでその責任者を担ってもらうことを期待しています。

テクノロジーを基盤とした事業が育ってきた暁には、Chatworkだけに依存せず、様々なプラットフォーム上でもビジネスが成立するでしょう。その結果として、高齢化や人件費の高騰が進んでいる先進国への展開も視野に入っています。

SECTION 4/4

“多変数”を扱える人材でなければ成し得ない挑戦

⸺今後kubellの事業を担っていけるのは、どのような人だと考えますか?

福田:「多変数を扱える人」です。通常のビジネスであれば変数を極限まで絞ってからオペレーションを整えることで、効率的に仕事を回すことができます。ですが、kubellが向き合っているのは中小企業マーケットという、一般的には非効率で難易度が非常に高いもの。加えて、我々は日本を、世界を変えるために、事業やそこにいる人材に求めるスピードが非常に速い。そんな環境では、変数を絞りすぎず、多くの変数を扱う方がパフォーマンスを上げることができる人材でなければ務まりません。

たとえば「業界・職種・年齢・年収もばらばらな700万人のユーザーに対して、提案できる商材が数十個ある」という多変数のマーケティング・セールス活動を1人で行うのは、多変数が起因して通常は非効率になりがちです。しかし、それを自ら構造理解し自由にアプローチすることで、少ない変数を扱うよりも売り上げを伸ばすことができる人がいます。kubellは高い目標を実現するために、あえてそんな人がいないと事業が成功しない戦略にしているのです。

⸺どのようにして「多変数を扱える人」を育成しているのでしょうか?

福田:いわゆる育成プログラムや教育制度は設けず、kubellが持つ基盤やテクノロジーを使って自由な方法で目標を達成してもらうことが、最高の育成環境だと考えています。

日本の「型にはめて教える」教育制度は、高度成長期に画一的で真面目な人間を育成する上では有効だったと思います。でも、それでは多変数を扱える人材を生み出せません。なぜなら「教える」というのは、変数を極端に減らしている行為だからです。

では、どうすれば多変数を扱う力を磨けるかというと、「多変数を適度に扱える環境」を用意した上で「ゴールのみを共有」し、その中で「アプローチの自由度」を担保することが重要です。個別スキルはその過程で身に付きますが、重要なのは「多変数の環境下でも仮説検証を通じて成果の出る仕組みを作り上げる力」を再現性高く身につけることです。特に、変化が大きくなっていく今後の世の中では、この「仕組みを作る力」が非常に強力なポータブルスキルになると考えており、反対に、特定の環境下(変数が少ない環境下)のみで成立するスキルに依存するのは非常に危険だと思っています。

また、そういう「仕組みを作る力」を身につける為に大きな「掛け算」となるのが、周りに優秀な同期や先輩・後輩がいることです。アプローチの自由度が担保されている状況ならば、他人の仮説検証の一部を自身で取り込むことが可能となり、自身の成長にも大きな影響があります。そこでkubellでは、基本的には新卒1年目はセールスやマーケなど「何をするか」を問わず、多変数を扱える環境が最も整っている部署に全員を配属します。バラバラの配属だと得ることができない成長環境を意識して準備しています。

⸺最後に読者へのメッセージをお願いします。

桐谷:私が最も大切だと考えているのは、産業が変わる瞬間に、その変革点に立ち会うことです。その瞬間には、やらなければいけないことが一気に押し寄せ、変数が無限に降ってくるため、多変数を扱える人材に成長するには最適だと考えます。kubellはこれから起こる「AIによる産業革命」の当事者となれる、最高に面白い瞬間を迎えようとしている会社です。

福田:我々が社名を「Chatwork」から「kubell」に変えたのは、もはやビジネスチャットだけの会社ではないからです。kubellという社名には、働く人の心に宿る火に、薪を「くべる」存在でありたいという想いをこめています。kubellは今後、「働く」の歴史を変えるために、事業創造のみならず産業構造そのものを変えていくレベルのアプローチをしていきます。kubellでしか実現できないことを、皆さんと共にチャレンジしていければ幸いです。

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