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INTERVIEW

「就活ゲーム」離脱のすゝめ。幸せなキャリアを歩むための心得

内定がほしい。だから面接で何を聞かれても良いように、想定質問と回答を用意しておく。本命ではない企業でグループディスカッションや面接の練習をする。ガクチカのエピソード作りをする──。そんな就活に疲れを感じていませんか? 今回はこれまで就活生約3,000人と面談や面接をしてきた日本たばこ産業株式会社(JT)の人事部部長・藤内省吾(ふじうち・しょうご)氏に「就活のあるべき姿とは」をテーマに話を聞きました。


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話し手

藤内 省吾

藤内 省吾

日本たばこ産業株式会社(JT)
人事部 部長

SECTION 1/5

「鎧」を着込んでいませんか?

⸺就活生の多くは日々、選考対策に勤しんでは、伴わない結果に翻弄され疲れています。3,000人と面談や面接をしてきた採用のプロである藤内さんは、就活生がどのように選考に臨めば就活がうまくいくと考えますか?

藤内:ポイントは、「鎧」を脱ぎ去り、ありのままで臨むことにあると思っています。

就活生の皆さんは就活を一種のゲームのように捉えていないでしょうか? 「A社の面接では、こんなエピソードをこう答えたら受けが良い」「B社のインターンシップに参加できればC社の選考でも有利になる」というように、就活というゲームにどうやったら勝てるのか、という発想になっている方が多い印象です。

その就活ゲームの中で、私たち企業は攻略すべき「敵」。敵に打ち勝つためには、一片も隙を見せてはならないから、意地悪な質問攻撃にもそつなく返せるよう想定質問と回答を用意しておくし、企業受けが良いリーダー経験や実績をふんだんに盛り込んだガクチカも、詰まりなく話せるよう練習しておく。

そんな「鎧」をガチガチに着込んだ状態で面接に臨んでいませんか? 私はそれが、とてももったいないと思うのです。自然体でいれば、顔つきも良ければ、その人らしい魅力的なエピソードも話せるはずなのに、自分で勝手に「このエピソードは就活向きではない」と「正解」を決めつけてしまっている。そんな重たい鎧にがんじがらめになって、話の整合性が取れなくなったり、自分自身を見失ったりしている方が多いように感じます。

私たち企業がなぜ就活生と面接をするのかというと、シンプルに、その人の人間性を知り、自社にマッチするかを判断したいからです。ガクチカも挫折経験も「あなたを表す漢字一文字」も、結局は切り口でしかなく、突き詰めればすべて「あなたはどんな人ですか?」という質問に行き着きます。お互いを知るという意味でよく「就活はデートみたいなものだ」と言われますが、的を射ていると思いますね。

そのデートの場で鎧を着込んでしまうと、あなたという人間が企業から誤解されてしまうでしょう。結果内定がもらえ入社できたとしても、果たしてあなたはその企業で鎧を着込んだままでいられるのか、それで幸せになれるのかということは、一考したほうが良いと思います。

⸺「鎧を脱ぐ」「ありのまま」とは、いったいどのような状態なのでしょうか。準備をせず場当たり的に話せば良いということですか?

藤内:そうではありません。「ありのまま」と言われると、素っ裸やスッピン寝癖の状態を想像される方がいますが、皆さんもそんな格好でデートに行くわけではありませんよね。

要するに、自分の本心を相手に適切に伝えることが重要なのです。例えば、本当はそんなことを思っていないのに、選考で「仕事を通して社会貢献したい」と言うために、やりたくもないボランティアに参加するのは、鎧で身動きが取れなくなっている状態です。反対に、礼儀を欠いた態度をとったり、自己分析をしないまま面接に臨んだりするのも、「ありのまま」の意図するところではありません。大切なのは、自分自身をしっかりと理解した上で、それを伝える努力をすることだと思います。

SECTION 2/5

人間らしさを形作る「非合理なもの」

⸺鎧を脱ぐことの大切さはわかるものの、面接ではつい自分をよく見せようとしてしまうものです。ありのままで面接に臨むためのコツはありますか?

藤内:面接官を敵と思わずにコミュニケーションを楽しむことが一番だと思います。冗談を言ったり、突飛なエピソードを話したりするという意味ではなく、面接という場自体を、相手も自分も楽しく過ごせるようにする。合否はともかく、お互いが来てよかった、話せて良かったと思えるのが、面接の理想の形だと思います。

そのために注意したいのは、面接を一問一答形式の暗記試験と捉えないということです。ガクチカを聞かれたらこれ、強みや弱みを聞かれたらこれを答える、というふうに英単語の暗記と同様に「正解」があるものと捉えてしまうと、面接官とのコミュニケーションは成り立ちませんし、そもそも社会には「正解」が存在しないことがほとんどです。

私が面接でどんな会社で働きたいかと問いかけると、多くの方が、それが「正解」であるかのように「社会貢献できる会社で働きたい」とおっしゃいます。素晴らしい心意気だと思いますが、世の中に社会貢献していない会社は存在しません。何らかの形で社会に貢献し、利益が上がっているからこそ、会社は存続しています。そのため、どのように社会に貢献したいのか、どんな社会をつくりたいのか、ということがなければ、面接官には伝わらないと思います。

例えばJTはたばこに関わる会社であるため、一部の方からは「悪役」のように言われることがあります。しかし私たちは、著作家・山口周氏が言うところの「役に立たないけれど、意味があるもの」を提供することで、心を豊かにするという社会貢献をしているのです。

⸺「心を豊かにする」とは、どういうことでしょうか?

藤内:絶景を観るために旅行に行く、テーマパークでクオリティの高いパフォーマンスを観るといった、非日常の体験に感動することで、心が豊かになる方は多いと思います。一方で私たちが大切にしたいのは、日常にある、ふとした瞬間。ちょっと良いことや辛いことがあったときに「ああ今日もいい日だった」「明日から切り替えよう」と思えるような時間があるからこそ、人の心は豊かになり、毎日頑張ることができると思うのです。

そうした瞬間を作るものは人それぞれで、それはたばこかもしれないし、お酒やコーヒー、チョコレートや音楽かもしれない。これらはただ生きていく上では必須ではない嗜好品であり、好き嫌いといった情緒的で「非合理なもの」なんですよね。でもこうしたものがない世の中って無味乾燥でつまらないですし、人間は必需品や合理の中だけでは生きていけない生き物だと思うのです。

お酒を飲み過ぎたら二日酔いになることはわかっていても、場の盛り上がりでついつい飲み過ぎてしまう。靴下を買いに行ったはずなのに、一目ぼれしたTシャツを買ってしまう。人間とはそういうもので、そうした非合理を大切にするのは、すごく人間らしいことだと私は思います。

JTが社員のありのままを大切にしているのも、たばこという、合理性だけでは測れない人間らしさを形成するものに関わっているからだと言えるでしょう。

SECTION 3/5

自分がここにいる意味を、自分の言葉で紡ぎ出す

⸺お酒やコーヒーなどの嗜好品を扱う会社が、ありのままを大切にしているとは限らないと思います。なぜJTではそうなのでしょうか?

藤内:その理由の一つは、たばこという商材を扱う上で、他の会社よりも自分の芯を持つことが求められるからだと思います。

たばこの歴史は実は長く、紀元7〜8世紀に栄華を誇ったマヤ文明の彫刻品にも描かれているくらい、人の営みの中にずっと生き続けてきた一つの文化です。しかし時代の流れの中で、たばこはまるで「不正解」であるかのように扱われるようになってきた。そんな商材を扱うJTの社員は、「なぜ自分はJTにいるのか」「なぜたばこというものがあるのか」といった正解のない抽象的な問いを、他の会社よりも突きつけられる回数が多くなると思います。

合理的な正解のない「自分が今ここにいる意味」を、経営者や上司の言葉ではなく、自分自身の言葉で語ることが必要不可欠な会社だからこそ、他人に流されることなく、自分のありのままを大切にできることを重視しているのです。

⸺「自分がここにいる意味」を問うことは、先行きが絶好調の会社では生まれにくいものですよね。

藤内:その通りだと思います。私たちは、守りたい文化や、提供したい価値は決まっています。しかし、どこに向かっていくのか、どうすれば勝てるのかは、はっきり言って誰も確信できていない。これから見つけていかなければならないのです。

そのためには、同じような人ばかりが集まっても仕方がありません。多様な価値観を持つ「ありのまま」の人同士で議論し合い、シナジーを生むことで、新たな道を見つけ出そうとしています。

少しひねくれているかもしれませんが、こうした現状も含めて、私はJTは面白い会社だと思います。逆に言えば、安定志向で決まったレールの上を歩きたいという方には合わない会社かもしれませんね。

SECTION 4/5

日系大企業・外資系・ベンチャーの3つの輪の重なり

⸺そうは言うものの、JTが事業も収益も拡大しているのはなぜですか?

藤内:M&Aを含めた、積極的なグローバル化を進めているからです。現在、130以上の国と地域で製品を販売しています。

⸺ではグローバル企業となったJTは、働き方の面でも外資系企業のようになっていくのでしょうか?

藤内:一概にそうとは言えません。あくまで私の感覚ですが、日系大企業、外資系企業、ベンチャー企業の3つの輪があるとすれば、JTは下図のように日系大企業から外資系企業の輪の中に入ってきており、今後は3つの輪の重なりを目指そうとしています。

先程お話したように、JTは何もしなければいずれ成長が止まってしまうでしょう。そのため、部門を横断したプロジェクトの推進や、ベンチャー企業への社員の出向などを通して、ベンチャー企業の魅力である意思決定の速さや経営感覚を養い、取り入れようとしています。

そして外資系企業の魅力は何と言っても実力主義。実はJTでは現在のようにグローバル化を推進する以前から、意図的に若い人に何でもやらせてみる文化があり、早々に年功序列ではなくなっています。その流れがグローバル化によって加速しており、20代で管理職になる人もいれば、40代でなる人もいる。やる気と実力を有していれば、どんな人にも門戸が開かれている会社です。

最後に日系大企業の良さと言えば、長期的視点での人財育成です。今の就活生を見ていると、「早く一人前にならなければ」「20代のうちに独立しなければ」と、成長することに焦っている方が多いように感じます。もちろん、やりたいことがクリアになっている人はそれで良いと思いますが、それだけが「正解」というわけではないでしょう。

ありていに言えば、多くの人は、やりたいことや自分のミッションが明確になっていない状態で就職しています。それが見つかるタイミングは人それぞれで、3年後に見つかる人もいれば、10年後に見つかる人もいて、もしかすると一生見つからない人もいるかもしれません。一方で、働く中で会社のミッションと自分のミッションが擦り合ってくる人もたくさんいるわけで、それを「会社に染まる」と馬鹿にする人もいますが、私は何の問題もないと思います。ですから、皆さんにはやりたいことを見つける場としてJTを大いに活用してほしいですし、長期的視点で人財を育成する大企業の利点を、当社も残していきたいと考えています。

SECTION 5/5

就活ゲームから一抜けするために

⸺最後に、就活生が「就活ゲーム」に巻き込まれず、ありのままで働ける会社と出会うにはどうすれば良いと考えますか?

藤内:私は、就活は結局、縁と運だと思っています。縁がないところには行けませんし、運が良くなければ出会えません。そんな不確実なもので自分たちの人生が決まるのかと憤る方もいるかもしれませんが、わりと人生そんなもので、恋愛も、仕事も、買い物をするときも、すべての情報を得た上で選択できることなんてほとんどありませんよね。

ではどうすればそんな不確実な縁と運が巡ってくるのかと言えば、とにかく様々な人と話す機会を作ることです。もちろん日本にあるすべての会社を受けることはできませんが、特に就活初期には、業界や知名度、人気といったもので企業を絞らず、様々な人と実際に話し、どんな人や会社が自分に合うのかを学んでいくのが良いのではないでしょうか。

⸺様々な人に話を聞いたほうが良いというのはわかりますが、話をした人と必ずしも一緒に働けるわけではありませんよね?

藤内:その通りで、JTは単体で5,000人超、グループでは5万人超の社員がいるわけですから、たとえ「藤内さんと一緒に働きたい」と言われても、直接一緒に仕事をできる可能性は低いでしょう。だから誰か特定の1人の話だけで決めるのが良いことだとは思いません。しかし、1社につき5人に会えば、たいていその会社の人の雰囲気が見えてくるものだと思います。

会社の選び方には、業界や商材、給与など様々な観点がありますが、私は最も大切な要素は人だと思っています。日々の仕事というのは突き詰めればパソコンでメールを打つ、Excelで資料を作る、会議をするなど、どの会社でも大差ありません。その中で、仕事の基礎力をつける新卒の方にとって一番大切なのは、隣に誰がいるか、どんな人と一緒に働くかだと思うのです。ですから皆さんには、しっかりと目の前にいる人から見聞きした一次情報を大切にして、くれぐれもバイアスや世間的なステータスに振り回されないよう意識してほしいのです。

モテる人と幸せになれる人が同じとは限らない。これが重要なポイントです。何社に内定した、どこの内定を持っている、といったステータスには、何の意味もありません。それは何人に告白されたことがある、何人と付き合ったことがあるという話と同じで、現在のあなたの幸せとは関係のないことです。それよりも、あなたがどうすればこれから幸せになれるのかということに、真剣に向き合ってほしいと思います。

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