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COLUMN

スマニューに続け!「スタートアップ日本代表」徹底解剖

メルカリが上場し、日本唯一のユニコーン企業と言われたPreferred Networksや、2019年新たにユニコーン入りしたスマートニュース、リキッドグループ。今回は、あとに続けと立ち上がった「スタートアップ日本代表」の重要性と押さえておくべき社会背景を解説していきます。

SECTION 1/6

企業の将来性は、企業だけを調べてもわからない

企業研究やインターンシップなどで様々な企業・業界への理解を深めていく中、「どの企業もあまりピンとこない」あるいは「全ての企業が良く見えてしまう」と感じている人が多いのではないでしょうか。将来有望な企業を見極めるためには、業界や市場だけでなく、社会全体が今後どうなっていくかという、未来への認識を持つことが重要です。

SECTION 2/6

日本が掲げる、世界との戦い方

今、世界にはIoTやAIに代表されるデジタル革命という潮流が押し寄せています。その流れに対して日本は、技術力・開発力やリアルデータといった「豊富な資源」と、世界に先駆けて直面する人口減少の解決策として、AIやロボットなどの新技術を他国に先んじて社会に取り込むことができるなど「課題先進国であるがゆえの強み」を武器にして、国際競争に立ち向かう必要があります。そのために目指すべき姿として羅針盤的に政府が打ち出したのが、経済発展と社会的課題の解決が両立した社会「Society 5.0」です。

現実空間と仮想空間の境界線は徐々に薄くなっていく

この「Society 5.0」実現の原動力となるイノベーションの担い手として注目されているのがスタートアップ企業です。なぜスタートアップが重要な存在となるのでしょうか?それは、破壊的イノベーションというものが巨大で優良な組織ほど起こりづらく、新興企業から生まれるケースが多いからです。

この構造は、イノベーション研究の第一人者であるクレイトン・クリステンセン著「イノベーションのジレンマ」の中でも指摘されています。破壊的イノベーションや、それを生み出す起業家精神を育むために適しているのがスタートアップという環境なのです。

革新性を失った大手優良企業よりも、新たな技術によって新興市場を拡大してきたスタートアップの方が破壊的イノベーションを起こしやすい

そんな彼らを支援する経産省主導プロジェクト「J-Startup」が2018年7月に始動しました。世界で戦えるスタートアップを生み出し、革新的な技術やビジネスモデルで世界に新しい価値を提供することを目的としている「J-Startup」。トップベンチャーキャピタリストや大企業のイノベーション担当といった外部の委員が一押し企業を推薦し、厳正な審査を経てJ-Startup企業を選定しています。

現在143社あるJ-Startup選出企業には、Sansan、ビズリーチ、Fringe81といった有名ベンチャーも選ばれていますが、今回はあえて、時代の一歩先を見据えて事業を展開している、知る人ぞ知るユニークなスタートアップをご紹介します。

SECTION 3/6

AI導入への壁を打ち破る。最先端の研究で、AIを当たり前の技術にする『Cogent Labs』

近年、様々なAIサービスが開発されていますが、実際の業務で使えるサービスはまだ多くないのが現状です。その背景には、そもそもAIは能力を発揮するために学習せねばならず、そのために必要な大量のテキストデータがどこの業界にもないという課題がありました。

そんな中、企業が大量に保有している紙文書のデータ化に突破口を見出し、数少ない「現場で使えるAIサービス」として注目を浴びているのが、Cogent Labsが提供する日本語の手書き文字認識(OCR)サービス「Tegaki」です。

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通常7割程度と言われる他社OCRサービスの認識精度と比べ、Congent Labsの認識精度は99.22%。その要となったのは、かつてセールスフォースの13番目の社員として同社の急成長に貢献した代表のもとに、世界中から集った優秀かつ多様な分野の研究者たちです。

その後も、従来のコンピュータでは扱うことができなかった非構造化データを分析することができる文書検索システム「Kaidoku」を発表、2019年5月には12億円の資金調達を完了するなど、AIが当たり前となる時代に向けて、日々進化を続けています。

SECTION 4/6

資金調達61.5億円。海外ユニコーン企業*並みの成長率で、国内の人事業務を飲み込む『SmartHR』

SaaS(Software as a Service)という言葉をご存知でしょうか。必要な機能を必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェアもしくはその提供形態のことです。PhotoshopやIllustratorなどを提供するAdobeやセールスフォース・ドットコム、サイボウズなどが有名でしょう。特にBtoB向けのSaaS市場は多くの投資家が注目しており、今まさにゴールドラッシュさながらの活況を呈しています。

その中でも、2013年の創業以来海外ユニコーン企業並みの急成長で注目を浴びているスタートアップがSmartHRです。煩雑で分かりづらい人事労務の業務をシンプルに処理できるクラウド人事労務ソフト「SmartHR」は業界・企業規模を問わず瞬く間に広まり、サービス開始から約3年で2万6000社以上が利用するシェアNo.1サービスにまでなりました。

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またSaaSは、SaaS同士の連携の多さも特徴の一つ。事実、SmartHRは2019年に入ってからジョブカン勤怠管理や人事労務freeeをはじめ他サービスとの連携を次々と進めています。これによって、あらゆる業種・業態のあらゆるデータが大量に蓄積され、「現実」と「データ」の距離はますます縮まっていくでしょう。

ユニコーン企業*:設立から10年以内で時価総額10億ドル以上に達した非上場企業の呼称。幻獣ユニコーンになぞらえ、成功したベンチャー企業の統計上の希少性を表している。

SECTION 5/6

創業時から常に主眼は海外市場。日本の技術で世界に挑む『テラモーターズ』

2016年に国連が掲げた「持続可能な開発目標(SGDs)」によって、世界各国でより一層の環境・エネルギー問題への取り組みが求められるようになりました。一方、バイク文化が根づいているアジア諸国では、人口増加に伴い二輪車の需要が高まり続けています。

そんな社会背景の中、当時オートバイ市場を席巻していた大手企業に先んじてEVの潮流と電動バイク市場の大きな可能性に着目し、設立2年で国内シェアNo.1を獲得したのがテラモーターズです。同社は国内での成功を足がかりにインドやベトナムなどアジア市場に次々と進出。実際に、同社の売上の約8割が海外市場で生み出されています。

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また、2016年にはテラドローンを設立し、ドローン事業にもいち早く参入。現在、産業用ドローン市場で世界2位につけています。新しい市場を切り開いてきたテラグループが日本発のグローバルメガベンチャーとして「世界で勝つ」日は近いかもしれません。

SECTION 6/6

未来に備え、知識をアップデートせよ

ここまで、日本社会が目指すべき姿や、実現に向けた施策、そしてそれに応える人々・組織について解説してきました。もちろんこれらの事実が未来を決める要素の全てではありませんが、少なくとも彼らの存在が、今後の日本社会に大きな影響を与えることは間違いないでしょう。

スタートアップなんて自分には関係ない・興味がないと思う人がいるかも知れませんが、それはただ知らないだけかもしれません。自分が属する社会の変化に興味を持たないのは、自分の将来に興味がないも同然です。まずは少しでも知識を増やし、未来社会に向けた認識をアップデートしていくことから始めてみてはいかがでしょうか。

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