EVENT REPORT

ペットベンチャーに転職した戦略コンサルタントが教える、不況時も揺らがないキャリアの要諦

未曽有の変化を逞しく生き抜くための本質的なキャリア論を展開する「緊急討論ライブ」。第六回は、大手外資系IT企業に新卒入社直後にITバブルの崩壊という厄災を経験し、その後戦略ファームを経てペットベンチャーに参画した中川氏が登壇。コロナと同等の環境変化を乗り越え、外資系企業、コンサルファーム、ベンチャー企業と様々なフィールドを経験した同氏に、激動の時代におけるキャリア形成のポイントについて伺いました。

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話し手

中川 裕之

中川 裕之

アイペットホールディングス株式会社
人財開発部長

SECTION 1/6

人生の舵取りは自分の手ですると決めた新卒1年目

中川 裕之 氏

アイペットホールディングス株式会社

人財開発部長

東京大学卒業後、2001年に日本ヒューレットパッカード(システムコンサルティング部門)入社。 2005年、ドリームインキュベータに入社し、約10年間、大企業向けの経営コンサルティング(戦略策定、営業改革、技術の事業化等)、デューデリジェンス、ベンチャー投資・育成、新規事業立ち上げなどに従事。 2015年、アイペットに入社。人事総務部長・営業企画部長を経て、現在人財開発部長。

──まずは中川さんのキャリアの変遷について伺います。新卒で日本ヒューレッドパッカード(以後、HP)に入社されたのち、ドリームインキュベータ(以後、DI)に転職されたのはどうしてですか?

私が就職活動をした2000年頃は就職氷河期真っ只中でしたが、IT業界は業績が好調だったため、当時IT業界においてIBMに次いで世界第二位だったHPに入社しました。しかし私の入社時には既にITバブルが崩壊しており、業界全体が絶不調。入社半年後には別の大手IT企業との合併が発表され、大型のリストラが始まりました。

そこで多くの先輩方が遠くアメリカでの意思決定をもとに突然首を切られ、人生が狂わされる姿を目の当たりにし、「自分の人生を他人に委ねては駄目だ、自分に実力をつけなければ」という強い思いを持つようになったんです。

アイペットホールディングス 人財開発部長 中川 裕之 氏

そしてHPで仕事をするなかで、自分はITよりも人や組織への興味関心が強いことに気がつきました。
クライアントに「IT部門の抱える課題」を聞くと、技術やシステムのことよりも人材育成やチーム運営など組織に関することが挙がる機会が圧倒的に多く、より本質的な課題解決のためにはそうした領域にこそ取り組まねばならないと実感したんです。また、自分は学生の頃から行事や部活動の際に誰に頼まれるでもなく組織の改善に熱心に取り組んでいたことを思い出しました。

そこで、個の力がつき、様々な組織の課題解決にも関われる経営コンサルティングファームへの転職を決意しました。当時のDIは創業5年、社員数は50人程度の“どベンチャー”でしたが、修行のために飛び込みましたね。

──ITバブル崩壊という劇的な環境変化を経験され、個の力を身につける重要性を感じられたのですね。その後、DIから現在のアイペットに転職をされたのはどうしてですか?

どこまでいっても当事者にはなれない点にコンサルティングファームの限界を感じ、事業会社にジョインしたいという気持ちが芽生えていた際に、DIの投資先の一つとしてアイペットに出会いました。マーケットの成長性に強い魅力を感じましたし、まだ規模の小さい成長企業で人や組織をドライブする立場を担いたいという思いもあったので、転職をしました。

──就活生でもコンサルティングファームと事業会社のどちらを選ぶかを悩んでいる人は多いと思いますが、実際に転職されてみていかがでしたか?

DIでは、優秀な人たちと机を並べて大小様々な企業のプロジェクトに携わることができ、非常に濃密で刺激的な時間を過ごすことができました。一方で転職後は、コンサルティングファームのカルチャーに染まりすぎたが故の苦労も多々ありましたね。

DIのようなプロフェッショナルファームと呼ばれる組織は、全員がハードに働くことに対して意欲的であり、事業会社と比べると良い意味で異常な集団なんです。
「アップ・オア・アウト」という言葉でも表されるように、成長に向けて業務に励むか、それが嫌なら辞めるという世界なので、仕事に対するスタンスの同質性が高いと言えます。年齢関係なくストレートに意見を言い合う、厳しい納期でも仕事を仕上げる、といったコンサルタントの働き方が常識だと思ってしまうと、他の組織では生きづらいと思いますね。

特にマネジメントに関しては、コンサルタントを束ねることと事業会社の多様な社員を束ねることの難易度は全く異なります。コンサルティングファームで働く際は、自分は異質な集団の中に属しているのだと自覚することが大切だと思います。

SECTION 2/6

周囲と差別化を図るための、意思決定のコツ

──自らのキャリア形成に真剣に向き合い、実際に多様な企業で働かれてきた経験を踏まえて、中川さんが導かれたキャリア形成のポイントを教えてください。

万人に当てはまる絶対解は存在しませんが、私なりの意見をお伝えすると、まず大前提として「自分は何に興味が持てるのか」をとことん深堀りすることが大切です。
その上で強く意識するべきなのが、「人と違う経験をすること」だと思います。長いスパンでキャリアを捉え、他の人と差別化を図るための自分なりの勝ち方を考えることが重要です。

──人と異なる経験を重ねることで、替えのきかない希少性の高い人材、つまり市場価値の高い人材になれるということでしょうか。人とは違う経験を積むために意識するべきことは何かありますか?

他の人よりも一段深く思考し、表層ではなく本質を捉えた選択をすることですね。例えば、私のように人や組織に興味がある学生の多くは就職先として人材業界を選ぶと思いますが、私ならば、業界ではなく「組織力がビジネスの成果に直結しやすいビジネスモデルか否か」に注目して会社選びをします。

具体的には、コンサルティングファームや会計事務所のようなスペシャリスト集団ではなく、事業会社として戦っている企業を選びますね。事業会社のなかでも、中長期の成長を見据えて組織開発への投資ができるフェーズの会社だとより良いです。
スペシャリスト集団では、個々のスペシャリスト自体が商品であり、組織力以上に個の力が重要である一方、事業会社では、様々な役割の人が携わって一つのサービスを作り上げているため、組織力がビジネスの成果に直結します。それゆえ、組織開発に携わりやすい環境があるだろうと考えるのです。

このように、自分の興味を単純に業界や商材と結びつけるのではなく、「この興味を他の業界で満たすとしたら、どんな選択肢があるか?」といった、他の人が持っていない視点で思考し、選択を行うことが差別化に繋がり、自らの付加価値となります。

──自分の興味に紐づく環境をビジネスモデルの切り口から考えられている学生は、確かに非常に少ないと思います。そうしたビジネスの構造を捉える力は、実際に働く際や転職の際など、中長期で見ても重要になりそうですね。

そうですね。学生の立場で各企業のビジネスモデルを見極めるのは難しいと思いますが、社会人の立場から言えばビジネスモデルがわからない会社には絶対に行きません。「事業やお金がどう動き、社員はどこに付加価値をつけているのか」が掴めないと、自分の成長イメージも持てないですから。難易度は高いですが、ビジネスモデルの勉強は是非してみてほしいと思います。

SECTION 3/6

新規参入が増えているマーケットの会社を選んだ理由

──他に、中川さんが自らに付加価値をつけるうえで意識されてきたことはありますか?

自分の在籍中に大きな変化が予測される企業に入ることです。組織が1万人から1万1000人になる際にはそこまで大きな変化はない一方で、50人から100人、100人から200人に拡大する際には企業が生まれ変わるような変化があります。そうした劇的な変化の前後では戦略や組織体制、業務内容も大きく変わる場合が多く、その分多様な経験を積むことができます。

さらに言えば、若くて規模の小さい企業では0→1を行う創業期、1→10を行う拡大期、10→100を行う安定期といった組織のフェーズが切り替わるスピードが早いため、課題に直面する頻度も高く、様々な企業課題を体験しやすいという特徴があります。
私の場合は人や組織に興味があったので、アイペットに入社したことで規模感ごとの組織の特徴や、変化の過程で起こる課題を多数体験できたことは大きかったですね。こうした、物事のbeforeとafterの両方を経験できることは大きな財産になると思います。

──そうした変化に適応する力そのものも、これからの社会で活躍するうえでは大きな武器になりますよね。変化の大きい優良企業を見つけるためには、どんなところに注目したらいいですか?

「参入企業が増えている業界に属しているか」は一つの指標になると思います。DIの投資担当者が投資先として、また私が入社先としてアイペットを選んだのは、アイペットという企業そのもの以上にペット保険業界に注目をしたからに他なりません。ペット保険業界は新規参入企業が増えており、海外と比較した際の伸びしろも大きかったため、成長を確信したんです。
企業の成長は属するマーケットの成長に大きく依拠するため、マーケットの成長性には注目すべきだと思います。

SECTION 4/6

ビッグプレイヤー不在の成長領域こそ、圧倒的ブルーオーシャン

──成長市場と言われる複数のマーケットから一つを選ぶ際は、何に注目したらいいのでしょう?

過当競争に陥っていないことも重要なポイントです。その点でもペット保険業界は魅力的でした。例えば皆さんのなかでも、ペット業界と聞くと「もっと格好良い業界で働きたい」と考える方は多いでしょう。そこが狙い目で、実際ペット保険業界は現在ビッグプレイヤーのいない、圧倒的なブルーオーシャンです。
多くの人がいわゆる格好良い業界に流れていくなかで、その流れに飲まれず、「他の人が選ばないからこそより大きなチャンスがあるはずだ」と考えられる人は強いと思います。

──そもそも、なぜペット保険業界はそんなにも成長しているのでしょうか?

ご存知ない方も多いと思いますが、現在、日本での犬と猫の飼育数は1800万頭を超え、15歳以下の子どもの数を上回っています。さらに、地縁・血縁の希薄化や核家族・独居高齢者の増加により、ペットを愛玩の対象としてだけではなく、家族の一員として捉える人々が増えており、ペットにかける金額も年々増加しているのです。

そんな背景から、日本のペット保険の市場規模は毎年20%近くの高い成長率で拡大していますし、ペット先進国と言われる諸外国と比べるとまだまだ伸びしろは大きく、今後も安定した成長が見込まれています。

「2020年版 ペットビジネスマーケティング総覧(㈱矢野経済研究所)」「令和元年 全国犬猫飼育実態調査(一般社団法人ペットフード協会)」「2020年ペット関連市場マーケティング総覧(㈱富士経済)」「Statista, BBC, Svenska, Dagbladet, Timetric 『Pet Insurance in the UK』」をもとに作成

また、ペット保険に限らず、ペット産業自体が非常に有望視されているマーケットです。ペット産業の現在の市場規模は約1.5兆円。成長産業として著名なソーシャルゲームの市場規模が約1.3兆円であることと比較すると、その大きさや可能性がわかっていただけると思います。

アイペットでも、今後は保険に限らず様々な事業を手掛けるべく、今年の10月にホールディングス化を実施しました。実際に先日リクルート社からペット関連事業の買収を行っており、今後入社する方には、そうした買収後事業の責任者や、新規事業の立ち上げ担当者、将来の経営幹部としての活躍を期待しています。

SECTION 5/6

ニッチな場所に飛び込める「健全な天の邪鬼」であれ

──ペット業界の可能性は理解できたものの、そうした非常にニッチな領域で働くと専門性が尖りすぎてしまい、市場価値が高まりづらいリスクもあるのではないでしょうか?

商材は確かに特殊ですが、行う業務は他の事業にも転用できることばかりであるため、そのようなリスクはないです。
例えばペット保険では、契約を更新し続けてもらうべく、継続率向上のための打ち手を考え、実行していくことが重要ですが、これはSaaSなどのサブスクリプションモデルの会社がやっていることと全く同じです。他にも、いかに代理店の方々に我々のペット保険を売っていただくかを考えることは、メーカーの営業が小売店に対して行う営業と同じであり、異なるのは商材だけなんですね。

アイペットに限らずどの会社でも、その商材独特のノウハウはもちろんあるなかで、その仕事の本質は何か、他の仕事にはどう役に立つのか、を考えながら取り組むことが重要だと思います。

──多くの学生にとってニッチな領域に飛び込むのには勇気がいると思いますが、「業界や商材に関する知識」と「業務におけるスキル」は別物であると理解できれば安心してチャレンジできそうですね。

私はこれまで採用担当として数多くの中途社員を採用してきましたが、その際に重視するのは「何に取り組んできたか」以上に「何を考え、どんな工夫をしたのか」です。VUCA※1の時代では、事業も仕事内容も目まぐるしく変化します。そのため、直近やっていた仕事ではパフォーマンスするが別の仕事だとそうもいかない、という人はあまり採用したいとは思えないですよね。

もちろん業界特有の知識や経験はプラスにはなりますが、それ以上に仕事に取り組むスタンスが重要だと思いますし、そこにビジネスパーソンとしての真の成長があると思います。

なので皆さんにはぜひ、業界や商材の普遍性には囚われず、「他の人が選んでいないからこそ飛び込む価値がありそうだ」という健全な天の邪鬼さを持って、付加価値の高いキャリアを歩んでほしいですね。

※1 VUCAとは:Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った造語で、社会やビジネスにおいて将来の予測が極めて困難になっている状態を示す。

SECTION 6/6

社会変容に終わりはない。キャリアを自ら築く覚悟を持とう

ITバブル崩壊をきっかけに、キャリアの主導権を自ら握ることの大切さを実感した中川さん。そこから一貫して自らを差別化する戦略を取ってきたことにより、リーマンショックやコロナショックなど、ITバブル崩壊と同等の経済危機の中でも揺らがないキャリアを築かれたことが伺えます。ここから得られる示唆は、「自らを周囲と差別化する重要性」に加え、「大きな社会変容は自分の一生のうちに何度も発生するということ」でしょう。

皆さんもまさに今、コロナによる社会変容の渦中にいると思いますが、その変化が完全に落ち着く時を待っていても、残念ながらそんな日はやってきません。大切なのは、大きな社会変容は必ず再びやってくるという現実と向き合い、キャリアのハンドルを自ら握る覚悟を持つことです。

この記事を通じて、中川さんのように攻めの姿勢でキャリア選択をしようと考える方の背中を押せていたら幸いです。

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