INTERVIEW
ファインディ代表と海外事業責任者が語る。エンジニアの開発生産性を高める独自のプロダクトで世界を目指す戦略

日本をはじめ世界的に深刻な「エンジニア不足」という課題解決に向けて、「挑戦するエンジニアのプラットフォームをつくる。」というビジョンを掲げ、日本から世界で成功する企業を増やすことを使命に挑戦しているのがファインディです。世界屈指のIT人材が集まるインドにて海外事業を牽引する執行役員の河島氏と、代表取締役の山田氏に、海外展開の戦略やインドでの具体的な取り組み、今後の展望、領域特化のSaaSのグローバル展開を担うキャリアの醍醐味などについて話を伺いました。
※本記事は2025年春発行『Goodfind Magazine #39』の特集企画「Goodfindが選んだ 日本を変える企業」に掲載予定です。
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SPONSORED BY ファインディ株式会社
話し手

山田 裕一朗
ファインディ株式会社
代表取締役

河島 傑
ファインディ株式会社
執行役員 CFO 兼 海外事業担当
SECTION 1/5
伸びる領域×伸びるビジネスモデルへの期待感からファインディへ
⸺はじめに、インド拠点で海外事業を推進する、河島さんのご経歴についてお聞かせください。
河島:私はKPMGの監査法人で会計士として働き始め、その後、リクルートホールディングスに転職し、3年間はインディードのアメリカ拠点に駐在して、企業買収や買収した企業の統合(PMI)を担当しました。
アメリカでビジネスをする中で印象的だったのは、テクノロジーやプロダクト、エンジニアファーストの文化と、データドリブンな意思決定です。エンジニアがビジネス成長の鍵を握る存在であり、その価値がますます高まっていくのを目の当たりにしました。

一方で、企業買収は事業を成長させるための手段の1つに過ぎず、次第に「自分が本当に面白いと思える領域にコミットして事業を成長させたい」「経営そのものに携わりたい」という思いが芽生え始めました。そんな時に代表の山田と出会い、ソフトウェアエンジニアの採用支援だけでなく、業務支援にまで踏み込んだエンジニアプラットフォームを構築し、海外展開を進めるという構想に大きな可能性を感じました。
特に、エンジニアという伸びる領域に加え、伸びるビジネスモデルを組み合わせている点が魅力でした。リクルートが採用支援から入り、業務支援を手掛けることで成功を収めたように、医療・介護領域ではエムスリーやエス・エム・エス、メドレーといった企業が、バーティカルプラットフォームを構築して成長を遂げています。これをエンジニア領域で実現するという山田のビジョンと、私が思い描いていたことが合致したため入社を決めました。
入社後は、国内でシリーズCの資金調達や採用活動を推進するなど、事業の基盤づくりに取り組み、環境が整ったタイミングで本格的に海外展開に動き始めました。現在は、インドのバンガロールにある拠点で、海外事業の展開に取り組んでいます。
SECTION 2/5
開発生産性を高める独自のプロダクトで世界に
⸺創業期から視野に入れていた海外展開に、このタイミングで踏み切った理由を教えてください。
山田:グローバルでは新興プレイヤーが増えていて、海外展開を遅らせると市場参入が難しくなるという懸念があった中、国内事業が安定し、事業基盤が整い、事業を任せられる経営人材が育ったことから、海外への挑戦を決めました。

また、当社の投資家であるCarbide Venturesのトップに初めてピッチを行った際に、「なぜ世界市場を視野に入れて、TAM(Total Addressable Market)を20倍で考えないのか?」と問われ、視座が引き上げられたことも、海外を強く意識するようになった出来事の一つです。
彼らは、「日本のエンジニアは非常に優秀で、素晴らしいプロダクトを生み出しているのに、それが世界に知られていないのはもったいない」と語り、ファインディが優れたエンジニアやプロダクトを世界に広める役割を担うことに期待を寄せてくれました。それを機に「日本から世界で成功する企業を増やす」という私たちの使命についてあらためて深く考えるようになりました。
現在インドで展開を進めている、エンジニア組織の開発生産性を可視化・向上するSaaS 「Findy Team+(チームプラス)」は、当初は国内向けにスタートしたものですが、当社のお客様がベトナムやインドなど海外にもエンジニア拠点を持っており、英語版の開発を進めた結果、現地でも活用されるプロダクトへと成長しました。日本市場が未成熟な段階で、開発生産性の重要性に着目して築き上げてきたプラットフォームが、海外でも新しいものとして評価され、その価値が認められ始めています。
⸺最初に、インドというマーケットに挑戦することを決めたのはどうしてですか?
河島:「Findy Team+」は、CTOやヘッドオブエンジニアリングを対象としたプロダクトのため、当社のお客様の開発拠点が多いアジアのなかでも、エンジニアリング部門の意思決定層が多く集まる場所に拠点を置いて事業に取り組むことが最適だと考えました。

さらに、多くのアメリカ企業がインドにエンジニアリング拠点を構えていることから、この地を押さえることで世界中のテック企業と接点を持つ可能性が広がるという見立てもあり、インドのマーケットに挑戦することを決め、バンガロールに拠点を構えました。
SECTION 3/5
難易度の高いマーケットで勝ち抜くための、戦略の解像度があがった1年
⸺インドで挑戦を始めてから1年が経ちますが、実際に事業に取り組んでみていかがですか?
河島:インドにはスタートアップ企業が多く、競争が熾烈で、経営が逼迫しているケースも少なくありません。そのため、日本と比較して投資判断が非常にシビアで、最初から成果が目に見えなければ投資に踏み切らない傾向があります。
また、バンガロールだけでも200万人以上のエンジニアがいるとされ、大規模なエンジニアリングチームを抱える企業も多いことから、膨大なデータを処理できるプラットフォームが求められます。さらに、英語が公用語であるため、世界中のオープンソースや無料ツールを積極的に活用する文化が根付いており、英語圏のプロダクトとの差別化も大きな課題です。
こうした難易度の高いマーケットではありますが、この1年で得られた最大の成果は、アメリカに意思決定者を持つ、インドに開発拠点を置く企業の経営者たちと直接対話し、プロダクトに求められる水準や課題を具体的に把握できたことです。これにより、「Findy Team+」のグローバル展開に向けた重要な知見を得ることができ、戦略の解像度があがりました。

特に印象深かったのは、インドの技術トップ層が日本のハードウェアにリスペクトを抱き、「改善」という概念を深く理解していることです。タタ・グループなどインドを代表するような企業の関係者と対話をする中で、ソフトウェアエンジニアリングに「改善」を取り入れている当社の取り組みに関心を寄せていただくことが多く、そこから改善をテーマにした「KAIZEN X」というコミュニティ活動をスタートさせました。
将来的には、正式なコンセプトとして発表し、ソフトウェア開発に「改善」という文化を根付かせ、グローバルでも独自性と競争力のあるプロダクトに育てていきたいと考えています。
そのため、従来はマネージャー向けに設計していた「Findy Team+」を、メンバーでも活用できるようにしたり、セルフインプルーブメント(自己改善)を促進する機能を追加したりして、「Findy Team+」を個々の成長をサポートするプロダクトへと進化させ、より開発生産性を高められるようにしています。

山田:インドでは日本でメジャーなGitHubよりもBitbucket ※ が広く使われています。そのため、インド出身者が多く住む東アフリカでもBitbucketが主流です。そこに着目したオーストラリアのソフトウェア企業がインドから東アフリカにかけて強いコミュニティを形成するなど、世界的にはGitHubが一強ではなく、地域ごとに異なるコミュニティが存在しているのも興味深い点です。そうした地理的、文化的背景も踏まえて、どのマーケットでシェアを高めていくかというのも戦略を考えるうえで極めて重要になります。

インドの成長著しいテクノロジー企業やスタートアップは、海外展開時にインド国内のコミュニティを巧みに活用する独自の成功モデルを持っていることが多く、日本発のプロダクトを浸透させるためには、このコミュニティを活用した信頼構築が成功の鍵を握ると考えています。
そのため、少なくとも5年かけて継続的に活動し、徐々に市場に浸透させていく計画です。スズキやダイキンといった日本企業がインドで成功を収めているのも、長年にわたる粘り強い取り組みの結果です。当社も同様に、地道な努力を続けながら、日本発の価値を世界に届けていきたいと考えています。
※ GitHubとBitbucketは、いずれもソフトウェア開発のプラットフォーム。GitHubはプログラムのソースコードをオンラインで共有・管理するサービス、Bitbucketはエンジニアやデザイナーなどがチーム単位で開発するためのツールで、チームでのプロジェクト管理ができる。
SECTION 4/5
英語圏以外にも展開を進め、世界で存在感を示す足がかりに
⸺今後の海外での事業の展望についてお聞かせください。
河島:私の目標は、「Make Findy Global」を実現すること、そして非連続的な成長をもたらし、ファインディのメンバーにこれまで見たことのない新たな景色を見せることです。そのため、小さな成功を狙うのではなく、リスクを取ってでも未知の市場に挑むべきだと考えて、チャレンジングでありながらポテンシャルに溢れているインドで事業に取り組んでいます。ソフトウェア分野において日本企業がインドに本格的に進出している例は少なく、この分野にはまだ大きな可能性が広がっています。

その先には「From India to America」、すなわちインドを拠点にグローバル展開を実現することを目指しています。短期・中期的には東アジアを中心にマーケットを拡大し、中長期的にはシンガポールや香港、さらにはアメリカなどの英語圏への展開を進める予定です。そのためにも、まずはインドで優秀な人材を仲間に迎えて、英語対応のオペレーションチームを構築しながら、英語圏でのネットワークを広げるための基盤作りを進めていきます。
山田: 実は、すでに韓国や台湾など英語圏以外の国でも展開を進めようとしています。韓国と台湾には合わせて約120万人のエンジニアがいて、人口比で見ると日本を上回る比率です。また、これらの国では製造業オリエンテッドな文化が根付いており、開発生産性の概念やFindyのプロダクトとの親和性が非常に高いことが魅力です。さらに、ソフトウェア産業でも海外展開に成功している事例も多く、これからグローバルを目指す我々にとっても学びが多い市場です。
こうしたマーケット特性を踏まえ、韓国や台湾でもクライアントに使ってもらえるプロダクトに磨き込み、英語圏の国々とそれ以外の国々の両方で事業基盤を強化することで、グローバル展開を加速し、世界市場でのプレゼンスを確立していきたいと考えています。

SECTION 5/5
行動量と学習量、最後までやり抜く力が成長を支える土台に
⸺世界のマーケットを見据えた挑戦を加速させるために、これから新しく入るメンバーにはどのようなことを求めていますか?
河島:インドの20代の若手メンバーやインターン生と働く中で感じるのは、学歴社会や競争社会の厳しさです。良い大学に進むためには熾烈な競争を勝ち抜く必要があり、入学後も優秀な成績を収めないと良い企業への就職は難しく、インターンシップで実績を残し評価されなければフルタイムのポジションを得るのも難しい現実があります。彼らは、その環境下で必死に努力を続けています。
ビジネスで成果を出すための本質は、「どれだけコミットしてやり切れるか」に尽きると思います。努力し続ける姿勢は、どの地域でも通用する普遍的なソフトスキルであり、国境を超えて活躍するための一つの武器になります。

スタートアップの世界は、意思決定や挑戦のスピードが圧倒的に速く、私たちのような日本発の企業が世界で生き残るためには、圧倒的にハングリーな環境に身を置き、失敗を恐れず、それを学びに変えながら競争を勝ち抜く覚悟が求められます。その競争に真剣に向き合い、グローバルで確実にマーケットを取るまで挑戦し続けることができれば、その先には世界を股にかけて活躍するキャリアの可能性が広がるはずです。
山田:ファインディでは創業時の1人目の社員や、1人目のビジネスサイドの社員が、現在も開発リーダーや役員として活躍しています。若手メンバーが長く在籍し、成長して役員まで登りつめるケースも多く、早ければ入社3年目からマネジメントに携わる機会があります。その中で、大きな責任を任されることもありますし、キャリアの選択肢として海外も視野に入ってくるでしょう。 また日本を起点に、海外とのやりとりや出張の機会を自らつくり、グローバルに働く若手も複数人います。

どれほど優れた才能を持っていても、何かを成し遂げるためには行動量と学習量、そしてやると決めたことを最後までやり抜く力が求められますし、それが成長を支える土台になります。エンジニア不足という大きな課題に対して中長期で取り組み、深く入り込むからこそ業界を変革することができます。領域に特化した複数のプロダクトを次々立ち上げる当社では、事業責任者を目指しながら社会的意義の高い仕事をする醍醐味があるでしょう。
特に、まだ広く知られていない日本発のプロダクトを海外で浸透させるためには、不確実性の高い環境かで、5年10年と腰を据えて取り組む必要があるため、やり抜く覚悟を持ち、既存の枠にとらわれない発想や行動で、私たちが想像しないような新しい提案や挑戦をしてくれることを期待しています。挑戦を楽しみ、世界を舞台に活躍したいという意志を持った仲間を心から歓迎します。

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