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DeNAグループエグゼクティブが語る。事業づくりで結果を出す人の20代キャリアとは

「将来、事業をつくってみたい」と思っているものの、そもそも事業づくりとは具体的に何をするのかわからないし、 どんな環境を選べば良いのだろうか……? そんな疑問に答えるべく、今回はDeNA執行役員の住吉氏が登場。若手事業家を輩出する同社に新卒入社し、成長事業のリーダーに至るまでの10年間を紐解きながら、「事業づくりで結果を出すための環境選びと20代のキャリア」を探ります。

SPONSORED BY 株式会社ディー・エヌ・エー

話し手

住吉 政一郎

住吉 政一郎

株式会社ディー・エヌ・エー グループエグゼクティブ
ライブストリーミング事業本部 本部長 

SECTION 1/6

事業をつくりたくて、社名も知らなかったDeNAへ

⸺ 20代では紆余曲折のキャリアを歩まれたそうですが、事業家を目指したきっかけは何でしたか?

住吉:学生時代を振り返ると、最初はぼんやりと自分で何かビジネスをやりたいなと思っていました。ただ2010年当時はVCやスタートアップもほぼなく、DeNAもまだ球界に参入しておらず、会社の名前すら知らないような時代でした。

その後、事業づくりに興味を持ったのは、Facebookの創業者マーク・ザッカーバーグを描いた映画『ソーシャルネットワーク』を観たことがきっかけでした。大学に入った2006年当時、SNSのミクシィが爆発的に流行っており、インターネットの力に魅了され毎日触っていましたが、大学院に進む頃にはミクシィがFacebookに飲み込まれていくのを目の当たりにしました。

そんな時にこの映画を観て、Facebookのようなサービスをつくる世界があると知ったことで、ビジネスをやりたいという漠然とした考えから一歩具体的なイメージが湧き、「自分がやりたいのはサービスやプロダクトをつくるといった事業づくりだ」と認識したのです。

⸺事業づくりを意識してから、DeNAに入社された理由を教えてください。

住吉:就活自体は修士1年の秋から始め、当初は自分らしいキャリアを深くは考えておらず……。今この記事を読んでいる学生の皆さんと同じ気持ちかもしれないですが、そこそこ年収はほしいし、バリバリ楽しく働きたいけどあまりにしんどいのは嫌だし、ひとまず難関企業に受かって周りから凄いと思われたい、といった気持ちで動いていました。

しかし事業をつくりたいと気づいてからは、他の企業も幅広く見て悩んだ末に3つの軸で絞りました。1つめは、事業家がたくさんいるところ。それまで事業の知見や経験がなかったので、事業づくりで結果を出している先人に学べる環境を求めていました。

2つめは、できるだけ手を動かせるところ。今振り返れば、必ずしもエンジニアではなくビジネス職からキャリアを始めてもよかったのですが、当時は「ザッカーバーグのように自分でつくれるとかっこいいから、プログラミングをやりたい」と考えていました。

3つめは、裁量が持てそうなところ。自分が決めたことで事業がどう動くのかという「ハンドルを握る感覚」は、最初からあった方が面白そうだと思い、これらの軸に一番あてはまるDeNAに入社を決めました。

SECTION 2/6

事業づくりとは、アイデアを具体的な形にして世に問うこと

⸺ 実際に事業をつくる経験をしてみて、いかがでしたか?

住吉:既にあるサービスにユーザーとして意見を持つことと、実際に自分がつくることは似ていると思っていましたが、本質は大きく異なりました。1年目にはエンジニアとしてサービスづくりの基礎を学び、2年目にはあるゲームの責任者として事業づくりの打席に立ちましたが、なかなか結果は出ませんでした。

原因の一つは、自分はそれなりに未来を予想できるから面白いものを作れるはずだ、というバイアスがかかっていたことです。また、そもそも事業をつくるとはどういうことなのかを、しばらく理解できていなかったことも大きな要因でした。

⸺ 事業をつくるとは、どういうことなのでしょうか?

住吉:事業をつくるとは、アイデアをサービスやプロダクトといった具体的な形に落とし込んで世の中に出して、「これ、どうですか?」とユーザーに問いかけるアクションのことです。そして形にする過程で、事業家はボタンのデザインから価格まで、大小様々な多数の意思決定を素早く行う必要があり、決めることが役割の大部分とも言えます。

一方でユーザーの立場では、例えば「こんなアプリがあるといいなと妄想していたら、2年程経つとそれが世に出てきて、俺は2年前にこれを思いついてたんだよなぁ」と得意げになったりします。同じような経験、皆さんもありませんか?

このような捉え方はユーザーの感覚としては間違っていないのですが、事業家になるなら良いスタンスとは言えません。僕は事業をつくる立場になってからも「あのサービスはここがいけてないよね、こうやれば上手くいくのに」とか「これからは絶対VRが来る」といったユーザー目線のままでいて、今振り返るとかなり痛々しかったですね……。案の定、ゲームやPocochaといった事業をつくっていくなかで、何度も壁にぶつかりました。

⸺ユーザー感覚のままでいると、なぜ事業づくりで結果が出ないのでしょうか?

住吉:ユーザーの視点や立場では、誰にでも言える漠然とした粒度で意見を言ったり、自分が関心のある一部分を見ていたりするのに対して、事業をつくる立場では細部から全体にまで向き合う必要があるからです。事業づくりは極めて細かい意思決定の連続で、その優先順位も日々判断していく必要があり、それらの精度を上げていくことで結果が出ます。

それに対して、例えば「これからVRが来る」という話はスコープが広すぎて事業のアイデアですらありません。いつかはVRの時代が来るにせよ、もしVRで挑戦したいのなら具体的に形にして提供して「このVRサービスどうですか?」と問いかける必要があります。つまり「VRが来ますよ」という粒度では、特に何も言っていないに等しいのです。

また「こうやれば上手くいくのに」といった話も同様です。例えばFacebookのある部分に文句を言っていたら、3年後くらいにその仕様になって「3年前からそうなるべきだと考えていたんだよなぁ」なんて思うことがあったとします。

その時に考えていたこと自体はおそらく正しいのですが、事業家の深い意図があるのは「なぜ3年間ザッカーバーグはその仕様を変更しなかったのか?」という部分なのです。そういった細部の意思決定が、なぜ、どのように起こっているのか?というのは、事業をやっている人ならではのリアルな学びだと日々感じています。

SECTION 3/6

事業づくりの葛藤と醍醐味とは?

⸺実際に事業をつくるなかで、どのような壁や葛藤がありましたか?

住吉:具体的に形にして世に問いかける行為は、今でもすごく不安で怖いですね。意思決定一つ一つや最終的なサービスの形に正解はないのですが、必ず人から何かを言われます。サービスローンチ直後にOBから「このサービス触ったよ。これ全然ダメじゃない?」と言われ、鬼のようにインプットをされたこともあります。

社内やチーム内でも「こうした方がよかったんじゃないか?」といった話がたくさん挙がります。いちいち気にしてもきりがないと今なら思えますが、最初の頃は気になるし自信はなくなるし、不安で仕方がありませんでした。

そうした葛藤が日々ありますが、それらを一つ一つ乗り越えることこそが事業をつくることであり、多くの事業家が向き合い続ける壁なのかもしれません。

⸺人の意見に対する不安や怖さと向き合う。自分を見つめて精神を鍛える修行のようですね。

住吉:おっしゃる通りで、事業と向き合っていくなかで、自分の癖や自分の輪郭に向き合っていくことになります。

なかなか気が付かないことですが、誰しも自分のなかに意思決定の癖やバイアスがあるんです。例えば自分で考え抜いておらず周りから言われて決めているとしたら、そのバイアスを認知して向き合っていくことが、事業づくりでは欠かせません。

最終的には事業にとって「ユーザーがどう考えているのか?」がほぼ全てであり、それ以外の要素を踏まえた意思決定というのは、事業にとってほとんど無意味なのです。事業をつくってきた10年間では、チームや社内に左右されるバイアスが削ぎ落とされ、ユーザーに向き合う感覚が研ぎ澄まされてきました。それが事業づくりの難しさであり醍醐味でもあります。

SECTION 4/6

車輪の再発明をしないための環境選びを

⸺ 住吉さんは2012年にDeNAに飛び込まれたわけですが、ぼんやりとでも将来自分で事業をつくってみたいと考えている学生は、どのような環境を選ぶといいのでしょうか?

住吉:今インターネット産業で挑戦するのであれば、

  1. 失敗と成功の知見が積み上がっていて、
  2. 早く最先端の多様な情報に触れられて、
  3. 速く多くの意思決定をして事業をつくり、世の中にアウトプットとして出していける。

このような環境を選ぶと良いと思いますし、DeNAはこれらを最も備えた企業の一つです。

背景としてはインターネット産業自体の歴史や経験が、日本に限らず世界でかなり積み上がってきていることがあります。

この10年で「事業は、こういうチームでこういうやり方で作ると、こういうふうになるよ」といったいろんな失敗や成功のパターンが、知見としてかなり蓄積されてきており、事業環境が大きく変化してきています。

例えば、10年前には日本語に翻訳されているインキュベーション系の本はほとんどありませんでしたが、今は書店に行くと事業創造の本が平積みされていますよね。

つまり10年前の僕は知見がほぼない状態で事業をつくっていたのに対し、今就活している皆さんの世代は、知見を踏まえて「いかに次の事業を企画立案し、そのための組織をつくり、それらを組み立てにいくのか?」を考えていく必要があるわけです。

言い換えると、組織としても個人としても、いわゆる「車輪の再発明」みたいなことはやらない方がいいと思っています。すでに確立されている技術や解決法を知らぬまま、再び一から作るようなことがないようにしましょう。

実際にインターネット業界に入っても、「今そのやり方でやる?」と思うようなことをやっているチームの事業はあまりうまくいきません。それは「このやり方でこの条件だとこういう失敗をしたよ」という過去の知見を踏まえられていないからです。

また良いマーケットで一方の事業は伸びているのに、もう一方の事業は伸びていないという場合は、後者にはチームビルディングや組織づくりの知見が足りないパターンでしょう。

このように事業が伸びる・伸びないにも色々なパターンがあり、少なくとも「こういうケースはこうなっていたよね」という事例について、事業リーダーはある程度は知っておく必要がありますし、自分に知見がない場合は知っている人をチームに入れる必要性はかなり高まってきています。

⸺ 意思決定できる環境が大事なら、スタートアップに行く方がいいのではないですか?

住吉:学生起業をした人や既にスタートアップにジョインしている人だったら、そのままやり続けてほしいと思います。

一方で、まだ事業をつくったことはない優秀な学生が、いかに世界の最先端と向き合っていくのかを考えると、特にインターネット産業であれば知見が積み上がったまさにDeNAのような環境をおすすめします。

⸺裁量があればいいわけではなく、知見を踏まえた意思決定ができることが重要ということでしょうか?

住吉:そうですね。そういう環境で自分なりにきちんと意思決定をして、なぜこれが正しかった・正しくなかったとか、実際にやってみた結果ユーザーにこう思われた・思われなかった、という試行錯誤をしていくことが大事です。

早いうちにこうした経験を積むことが重要ですし、いわゆるGAFAのようなシリコンバレーの人たちやBATH※1をはじめとする中国勢など世界の最先端では、事業づくりの知見がかなり蓄積されてきています。

日本においても、各企業や産業がさらに成長するためには、事業づくりの失敗と成功のパターンを知見として蓄積していく必要があります。そして、蓄積された知見を踏まえながら、自ら仮説を立て検証し、トライアンドエラーにチャレンジできる環境に行くことが今はすごく重要です。DeNAではそれを体現できるので、今皆さんが入る意味がある環境だと考えています。

※1 BATH:中国で台頭する4つの巨大テック企業(Baidu、Alibaba、Tencent、Huawei)の頭文字をとってBATH(バスもしくはバース)と呼ばれ、しばしば米国のGAFAと対比されている。

SECTION 5/6

事業を通して世界を知り、インターネット産業を盛り上げていく

⸺知見が積み上がり事業家がたくさんいるDeNAでは、どんなことを大切にしていますか?

住吉:DeNAでは「Delight(デライト)」という言い方をしていますが、ユーザーに驚きや喜びを届けることをすごく大切にしています。

入社当時の僕は「サービスをつくる上でDelightを届けるのはあたりまえだろ」と思っていましたが(笑)、なぜDeNAがこれを掲げているかと言うと、驚きや喜びを届けることにピュアに向き合い続けるのが、実は人間にとって難しいからです。

先程お話しした通り、事業をつくる上で様々なバイアスがかかりますし、ユーザーに真摯に向き合っていくことの重要性を10年経った今こそ痛感しています。

DeNAとしては、事業を通して世界を知ることを楽しめる仲間をずっと探しているので、これから事業づくりをしたい人にはすごく合っていると思います。

また、代表取締役会長の南場がよく発信していますが、「これからは会社という組織単位ではなく、プロジェクト単位で仕事をするようになる」と多くの社員が考えていて、若手から力をつけてプロジェクトに呼ばれる人材にいち早く成長するという、高いプロフェッショナリズムのマインドを持つ人が集まっています。

⸺DeNAでのキャリアパスは、どのようなものがあるのでしょうか?

住吉:やはり20代から事業リーダー経験を積みながら、事業と向き合っていく人が多いですね。最近では、デライトベンチャーズというファンドもあるので、そこから投資を受けて社内で起業してスピンアウトしていく人もいます。

あとは独立してもDeNAと関わる人もいますし、起業をしてDeNAから出資してもらう形をとっている人もいます。わりと色々な形態で事例をつくりながら、「日本のインターネット産業自体を盛り上げていくにはどうしたらいいか?」ということを考えている会社です。

SECTION 6/6

ルールが決まったものを追求するか?新たな価値を生み出すか?

⸺事業づくりに興味はあるものの、具体的なプランはない学生も多いです。就活の時点で「どんな事業をやりたいか」を明確に描いている必要はありますか?

住吉:何をやりたいかは、実際に働く経験のなかで変わり得るものなので、就活時点で決まっていることにあまり意味はないと思いますし、必ずしも「この事業をやりたい」と具体的に描く必要はないでしょう。

ただ、漠然とでもいいので「こういう方向性の事業は面白いと思う、逆にこっちは自分には全然刺さらない」というように、自分の興味のアンテナを大切にしてほしいです。頭で考えすぎずに感情を大事にして、溢れ出るエネルギーを活かしてくれる場所を見つけに行くのがポイントです。

実際の事業づくりは壁の連続で根気が要るので、自分がワクワクして面白いと思えて、「これをやりたい」と内発的にエネルギーが湧くものでないと、しんどい時に続けられません。

また他者からの評価や承認を求めている人は、評価されないと心が折れてしまいます。だから他者評価ではなく、自分自身が「こういうのが面白いんだ!」と思うものに突き進んでほしいですね。

⸺周囲から受けるバイアスによって、やりたいことがぶれたり、輪郭がぼやけてたりしてしまうことがあります。自分の興味関心からやりたいことを明確にするために、心掛けていることはありますか?

住吉:一般的には学生時代の所属コミュニティは多様性がない場合が多いので、コミュニティから受けるバイアスが強く、一定仕方のない状況です。社会人と比べると、多くの学生は信じがたいほどにバックグラウンドや価値観などが似た者同士で集っていることを念頭に置いておいてください。

その上でやりたいことを考えていくと、「既にルールと評価軸があるものを追求するのか?それとも、世の中に新たな価値を提供するのか?」という大きく二つの道に分かれていくと思いますが、僕は後者を選びました。

前者で高いスコアを取ることが得意な人もいるでしょう。どちらの道でもいいので、自分はどちらが好きか、得意か、やりたいかでまずは選んでみてください。そしてトライしていくうちに自分の適性や熱意が向くかどうかが、徐々に明確になっていくのではないでしょうか。

最後に、僕の話を通じて事業や事業づくりのイメージが沸いてきて、事業家の道を歩んでみたいと思ってくれた人がいたら幸いです。さらには、事業をつくる環境としてほんの少しでもDeNAに興味をもってくれた人がいたら、応募してもらえると嬉しいです。

事業づくりでは色々な壁にぶつかりますが、一つ一つ乗り越えていくのはたまらなく楽しいものです。DeNAには失敗と成功の知見があり、1年目から事業リーダーに挑戦するチャンスがあり、共に事業に向かう仲間がいます。「世の中に新たな価値を提供するのが面白そうだ!」と思う方をお待ちしています。

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