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INTERVIEW

社会的価値や公益性を考え、横断的に課題解決を主導する。DBJの役割と独自性

マクロ経済の変動や地政学的リスク、少子高齢化といった課題によって、一層高まる経済的不確実性。こうした日本の課題に対して、官公庁と民間企業の橋渡し役を担い、中立的な立場で課題解決を主導するユニークな存在が日本政策投資銀行(DBJ)です。そんなDBJで、ファイナンス面での支援、国際交渉業務、さらには関係者を繋ぐことによる地域活性化など、多様な経験を重ねてきた稲葉響平氏に、DBJの使命や独自性がもたらす若手の成長機会などについて伺いました。

※本記事は2025年春発行『Goodfind Magazine #39』の特集企画「Goodfindが選んだ 日本を変える企業」に掲載予定です。


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SPONSORED BY 株式会社日本政策投資銀行(DBJ)

話し手

稲葉 響平

稲葉 響平

株式会社日本政策投資銀行(DBJ)
人事部 人事課 調査役

SECTION 1/5

官民両方を経験し、DBJに期待されている役割を実感

⸺はじめに、稲葉さんの就職活動での軸や見ていた業界、最終的にDBJを選んだ理由についてお聞かせください。

稲葉:2つの軸で就職活動を進めており、1つは、財政や公共政策のゼミ活動を通じて感じていた「日本社会や経済、産業に対して貢献すること」でした。もう1つは、100人規模の学生団体でのリーダー経験から「多様な利害関係者の間をつなぐ潤滑油の役割を担いながら、組織を束ねて働くこと」を掲げていました。

その2つの軸に沿って、ディベロッパーや商社、官公庁など幅広い業界を見ましたが、様々な方々との対話を経て、最も自分の軸に合っていたのがDBJでした。DBJの複数の先輩とお会いする中で、日本を良くしたいという想いを持つ人の集団だと感じたのを覚えています。また、官公庁と民間の間の立場にあるDBJだからこそ、国家レベルの大規模なプロジェクトやグローバルな機会でリーダーシップを磨き、日本を良くしながら経営人材を目指せる環境だと確信しました。

⸺DBJに入行してから、どのような経験をされてきましたか。

稲葉:最初の3年間は、太陽光、陸上風力、洋上風力といった再生可能エネルギー分野を中心に、国内外のプロジェクトでファイナンス面での支援を担当し、新規プロジェクトの立ち上げや、前任者から引き継いだ案件、さらには既に資金提供が完了しているプロジェクトのモニタリングにも関わりました。1年目から投資先の事業会社の経営判断や意思決定に関わる機会もあり、エネルギー業界の専門知識を深めるとともに、英語を用いた海外案件の対応や、経営に関与する機会にも恵まれ、非常に充実した期間でした。

また、この時期にDBJの公益性と収益性を両立させる役割についても理解を深めました。DBJでは、プロジェクト開始前に社会的インパクトや誰にどのようなメリットがあるのかを徹底的に検討します。そして、旗振り役としてプロジェクトを推進するだけでなく、関係者を繋いだり、こぼれ落ちそうな課題をフォローしたりするなど、中立的な立場で調整する役割も求められます。特に最初の3年間は、実践を通じてこうしたDBJの役割や振る舞い方を学ぶ期間でもありました。

その後、希望が叶い経済産業省に出向し、G7やG20といった国際会議に交渉団の一員として参加し、日本の国益を守りつつ、国際協調を重視した提言の取りまとめを担いました。この経験を通じて、政府や官公庁の動き方を理解し、政策立案や国際交渉業務における知識やスキルが身につきました。また、交渉の司令塔として、相手の関心事や優先事項を的確に掴み、協力を得るための工夫を重ねる中で、ネットワーク構築力やリーダーシップ、人を動かす力を鍛えることができたと思います。

⸺官公庁に出向して、国際交渉業務も経験されたのですね。DBJに戻ってからはどのような分野に携わったのですか?

稲葉:DBJの関西支店に異動し、鉄道、不動産、観光、ホテルといった全く異なる分野を担当しました。それぞれの業界には特有の複雑な課題があり、それに対応するために専門知識を深めるとともに、BtoCビジネスの視点も学ぶ貴重な機会となりました。

特に印象的だったのは、デジタル技術を活用して公共交通の利便性を向上させる「MaaS(Mobility as a Service)」プロジェクトに関わったことです。多くの企業が参加する中、各企業の置かれている状況や立場は異なるため、足並みを揃えて協調・協力を進める難しさがありましたが、それを乗り越え、関西全体の交通インフラの利便性向上を目指し、インバウンド観光客の増加やリピーターの育成に繋げるべく、俯瞰的な視点で価値提供を行いました。地域全体の長期的な価値向上を目指すこの取り組みは、DBJらしいアプローチだったと感じています。

また、当時は6年目で、チーム内でマネージャーに次ぐ立場を任されていたため、戦略立案や業界全体へのアプローチ、課題への対応方針の検討だけではなく、後輩たちの指導や育成にも力を注ぐなど、リーダーシップを発揮する機会が多くあり、成長を実感した期間です。

SECTION 2/5

幅広い分野への多角的な知見が、業界横断的な課題解決に結びつく

⸺想像以上に幅広い分野で、多様な経験をすることができるんですね。

稲葉:そうですね。私は、エネルギー分野でのファイナンス面での支援、経済産業省でのエネルギー安全保障や気候変動に関する国際交渉業務、さらには観光や運輸といった異なる分野の経験を通じて、多角的な知見を培うことができました。これらの経験や知見は、一見関連性がないように見えますが、領域を超えた横断的な課題解決につながることがあります。

例えば、関西支店に配属された際、鉄道会社の経営層が、政府が主導して進める脱炭素化の方針にどのように向き合うべきか悩んでいる状況を知りました。そこで私は、エネルギー分野での経験、海外事例の知見、さらに官公庁での政策立案の経験などを活かし、再生可能エネルギーや脱炭素化についての具体的な対応策を提言しました。これはまさに、DBJでローテーションをしながら得た多角的な知見が、具体的な提案に直結することを実感した経験の一つです。

⸺稲葉さんは、DBJの独自性はどのようなところにあると考えていますか?

稲葉:政府や官公庁、自治体、民間企業など、多様なステークホルダーの間に立ち、直接的な対話が難しい両者を繋ぎ、最善の方向に導く役割はDBJの独自性の一つです。例えば、企業が抱える政策に対する課題意識を政府や官公庁にフィードバックしたり、DBJのマネージャーが官公庁の会議に参加して現場の声を政策に反映させたりする取り組みは、DBJならではの価値だといえます。

多様な関係者を繋いだ例として、私は3年目に、他の金融機関や地域の事業者、自治体など、多くのステークホルダーが関わる大規模なインフラ整備のプロジェクトマネージャーを務めました。最年少の私が関係者の間を繋ぎ、全体をまとめ上げていく経験は非常にタフなものでしたが、政府系金融機関としての振る舞いや、異なる立場のステークホルダーをどのように繋いでいくべきかなど、多くのことを学ぶ貴重な経験となりました。

また、私はエネルギー・気候変動分野の経験が長い立場でありますが、トランジションに対する向き合い方についても、DBJの独自性が表れています。一足飛びの変革を一律に実施するのではなく、急激な変化により人々や産業が取り残されることがないよう、地理的特性や多様な事情も考慮しながら、公正な移行を支援するというのは、DBJのマテリアリティ(経営上の重要課題)としても明確に示されていて、DBJ独自の使命だと考えています。

SECTION 3/5

変化に対応した多様なソリューションで、日本の企業と産業を支える

⸺日本の企業や産業を取り巻く環境が大きく変化する中、DBJはどのような支援を行っているのでしょうか?

稲葉:2020年代に入り、マクロ経済の変動や地政学的リスク、さらに人口減少や高齢化といった課題により、経済的不確実性は一層高まっています。一方で、脱炭素化への取り組みやスタートアップの台頭など、社会課題の解決に繋がる新たな機会も広がっています。

特に近年では、企業が「社会的価値をどのように創出し、社会にどう貢献するか」を真剣に考え、その役割を果たそうとする動きが加速している印象です。お客様からもサステナビリティ関連の知見や、それをどのようにビジネスに結びつけるかについて、アドバイスを求められる機会が増えています。 これは社会全体として非常に良い傾向であり、DBJが長年重視してきた方向性とも一致しています。

こうした社会の変化に対応するため、DBJではサステナビリティに関連する多様なソリューションを用意し、欧米で先行する事例や知見を日本企業に積極的に提供するなどしています。

また、コロナ禍や自然災害などを経て、企業における危機管理の重要性も一段と高まっており、環境への対応に留まらず、事業継続計画(BCP)や防災対策など、リスクを事前に想定し、危機発生時の影響を最小限に抑えるための備えも求められるようになっています。さらには、人的資本経営や健康経営といった、従業員の健康や働きがいに焦点を当てた取り組みの重要性も増しており、DBJではこれらの企業の取り組みを適切に評価し、それに基づくファイナンス面での支援やコンサルティングなども行っています。

このように、経営環境の変化に応じて企業が直面する幅広い課題に対応できるようにするため、DBJは多様なソリューションで企業を支援しており、こうした取り組みもDBJの重要な使命であり、存在意義の一つです。

SECTION 4/5

総合力と専門性を兼ね備え、業界横断的な課題解決を主導できる「経営人材」の育成

⸺DBJの人材育成の特徴やキャリア形成についても教えてください。

稲葉:DBJは人材を最大の財産と位置づけ、経営人材の育成に惜しみない投資をおこなっています。入行直後から、ファイナンスの基礎、リーダーシップ、グローバルな視点を磨くプログラムなど、体系的な研修を設けており、制度と文化の両面で若手社員を育てる姿勢が根付いた組織です。

最近は社会課題がより複雑化しており、単一の専門性だけでは対応が難しくなっていることから、DBJでは広い視野と高い視座を持ち、領域を超えて横断的な課題解決を主導できる、総合力と専門性を兼ね備えた経営人材の育成を重視しています。

入行後7~8年は、原則2年ごとにローテーションしながら、産業分野の知識だけでなく、地域・海外経験や融資、投資といった金融の多様な手法に触れることができ、専門性に加え総合力が養われます。以降は、自身の関心分野への知見や専門性を深め、それを軸としたキャリアを形成していくことが可能です。つまりローテーションを通じて中長期で自分らしいキャリアを築ける点が、DBJの人材育成の特徴だといえます。

また、人事部との年1回の面談や、上司との1on1ミーティングを通じて、自分のやりたいことや目指す方向性を発信する機会も多くあり、個々の事情や希望を反映しやすい環境です。

さらに、海外留学制度を活用し、語学力や国際案件への対応力だけでなく、多様な文化的背景や価値観を持つ人々と対話や協働をしながら物事を前に進める力も養うこともでき、その先には日本や国際社会が直面する課題解決に貢献するキャリアも描けます。DBJには「キャリアは自分でつくるもの」という考え方が浸透しており、社員一人ひとりにキャリア形成の自由と可能性が広がっています。

SECTION 5/5

社会的価値と公益性を考える、時代の羅針盤としての役割

⸺常に日本の産業や経済、社会のことを最優先に考えながら仕事ができる環境は稀有ですね。最後に、稲葉さんの今後の目標をお聞かせください。

稲葉:「日本の経済や社会を支えたい」という想いは学生時代から一貫しており、これからも自分の強みを活かして、多様な立場の人々や組織を繋ぐ存在であり続けたいと考えています。また、現状に満足することなく、新たな部署での経験や将来的な海外留学等を通じて視野を広げ、能力を高めながら、日本の産業のさらなる国際競争力強化のために貢献していきたいです。

そのために、政府や官公庁、民間企業の間に立ち、関係者同士の円滑な連携を支える潤滑油のような役割を果たし、三位一体となってビジョンを描きながら、課題解決とより良い未来の創出に取り組むことが私の目標です。

私の上司はよく「DBJは時代の羅針盤のような組織だ」と話しています。その言葉の通り、 DBJは社会的価値や公益性を考え、その時々で最も難しい課題に挑む非常にチャレンジングでエキサイティングな環境です。社会全体を見渡し、高い視座で課題解決に取り組むことが求められますが、長期的な視点を持ちながら日本や社会全体の課題解決に取り組める場は限られている中、そうした意義ある仕事に携われることは大きなやりがいです。

決して簡単な仕事ではありませんが、若手の頃から国内外の企業の経営層と議論を交わし、プロフェッショナルな経営人材と深く交流する機会が多いことは、大きな財産になりますし、こうした経験を通じて、社会への想いが膨らみ、それがさらに深まっていく実感があります。

日本や社会に対する強い想いが自然と育まれる環境が整っていることも、DBJの大きな魅力です。様々な分野で培った知見や経験を活かし、DBJだからこそ提供できる独自の指針や価値を示しながら、社会的価値の創出と課題解決に取り組むことに、あらためて大きな意義があると考えています。

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