INTERVIEW
自分のストーリーをどう生きる?PEファンド出身起業家とリクルート出身経営者に聞く
社会に良い影響を与えたいと考えたとき、市場の成長性があり大きな金額を動かせる環境と、社会貢献性の高いビジョンに共感するメンバーが集まる環境のどちらを選ぶべきでしょうか。今回は、「一人ひとりが『自分のストーリー』を生きていく世の中をつくる」をビジョンに掲げるココナラから、銀行、PEファンド、NPOと幅広い経験を持つ南氏と、リクルートで事業企画・経営企画として活躍してきた鈴木氏のお二人に、キャリアの意思決定について聞きました。自分らしいキャリアを歩むためのヒントを見つけましょう。
SPONSORED BY 株式会社ココナラ
話し手
南 章行
株式会社ココナラ
代表取締役会長
鈴木 歩
株式会社ココナラ
代表取締役社長CEO
SECTION 1/5
商社志望者が一日で銀行志望に変わった理由
⸺まず、ココナラの創業者である南さん自身はどのようなキャリアを歩んできたのですか。
南:私は住友銀行(現 三井住友銀行)に新卒入社しまして、その後アドバンテッジパートナーズに転職し、並行してNPO法人の立ち上げを経験した後にココナラを創業しています。
実はもともと商社に行きたくて、そのために大学を選んだほど、2歩先、3歩先を予測してキャリアプランを立てていました。大学在学中には英語力をつけるために海外留学もしていたくらいです。
しかし、大学3年の秋である1997年11月、山一證券の自主廃業というニュースにより、キャリアプランを変える決意をしました。当時はバブル崩壊の影響を受けて様々な企業が倒産し、失業者や自殺者が急増するなど、社会が荒れていました。日本の人々が自分らしく生きられる社会にするためには、企業再生をして経済を立て直さなければならないという使命感に駆られ、多くの企業を救ってきた住友銀行への入行を決めたのです。
ところが、企業再生のための知見を得るために希望した調査部に配属されてみて、銀行自体が疲弊しているということがわかりました。他社を救うどころか、自社の生き残りにも必死な状況で、やりたいことができる環境ではなかったのです。そう感じたことがきっかけで、2004年に日本初の企業買収ファンド※1であるアドバンテッジパートナーズへの転職を決意しました。
※1 企業買収ファンド:機関投資家や個人投資家から集めた資金で、未公開会社や業績不振に陥った上場企業を買収し、企業価値を高めたうえで、株式公開や売却によって利益を回収することを目的とする投資ファンド。
⸺計画を持ってはいたものの、その時々の状況に合わせて柔軟に軌道修正をしてきたのですね。
南:「これが良い」と思ったら、自分の意志で決断して進むことは、いつも大切にしてきました。ファンドへの転職では、子供が生まれた直後に安定を手放しても良いのだろうかと迷う気持ちもありました。しかし、自分に対して正直に生きたい、子供にも自分のビジョンを貫き通す親の背中を見せたいと思い、勇気を持って決断しました。
今でこそ企業買収ファンドは日本に何十社もありますが、当時はまだ馴染みのない存在で、アドバンテッジパートナーズも社員20人ほどの無名のベンチャー企業でした。そこにあえて野心を持って飛び込み、もがきながら産業を創り上げた人たちは、驚くほど優秀な方ばかりでした。私自身も7年間に関わった案件で数百億円規模の利益を出すことに貢献できたと思うのですが、その一方で、社会全体が良くなった実感が持てない物足りなさを感じていました。
その後、再度日本を襲った金融危機、リーマン・ショックをきっかけに、就活生向けの社会教育プログラムNPOを立ち上げました。活動によって、学生のみならず、ボランティアの大人たちも元気になっていく様子を見て、自分の得意なことで誰かの役に立てるという実感は、人の幸せに直結するのだと実感しました。活動への手応えがあった一方で、利益を出せないため規模の拡大が難しく、長く活動を続けることが難しいという現実にも直面しました。
SECTION 2/5
真に社会を変えうる企業の条件
⸺銀行、ファンド、NPOと、幅広い経験を積まれていますが、起業を決意したのはどのような経緯だったのでしょうか。
南:ファンドとNPOという両極端の環境で得た学びは、経済活動と社会貢献の両方を同時に達成できるような強い企業を作らなければ、世の中は変えられないということでした。経済活動への影響力とソーシャルインパクトの大きさ、どちらが欠けてもうまく行かないわけです。
さらに、社会の価値観の変化を感じていました。経済成長が鈍化していく中、社会の価値観が、モノを買い消費して得る幸せよりも、人の役に立てるという貢献実感によって得る幸せを重視する時代になってきています。
そんな中で、人がいきいきと生きる力を持てる社会、自分らしくあれる社会を作らないといけないという気持ちが高まっていきました。そう考えて転職先を探している間に東日本大震災があり、生きてるだけで丸儲けなんだから自分らしいことをやろうと、起業への踏ん切りが付いたのです。
私が今までキャリアにおいて行ってきた決断は、一貫して、人が自分の力で自分らしく生きるためのサポートをしたいという気持ちによるものです。私は、ココナラを通じて、「人の役に立つ」という喜びが循環する社会、どんな人にもチャンスがあり、自分らしくあれる社会を作ることを目指しています。個人の知識・経験・スキルをサービスとして売り買いすることで、売り手は誰もが人の役に立てて、貢献実感も経済的な自由も得られる、買い手は自分一人ではできないことを誰かの手を借りて実現していく、そんなプラットフォームとして運営しています。
SECTION 3/5
ココナラが秘める成長ポテンシャル
⸺南さんから思いを引き継ぎ社長となった鈴木さんは、なぜココナラに参画したのですか。
鈴木:私は新卒でリクルートに入社して、2016年にココナラに入社しています。前職では、営業、新規事業、経営企画など、様々な職種・事業部の経験を積んできました。入社から10年経ったタイミングで、これまでの経験を活かして自分の力を試したい、スタートアップでしかできない経験があるのではと考えて転職を決意し、ココナラにたどり着きました。
入社を決めたのは、ココナラが掲げるミッションに対して心地良いと感じたからです。事業として持続性のあるビジネスモデルで、かつ、その先にあるビジョンの社会貢献性が高い点に惹かれました。経済活動と社会活動、どちらにもインパクトを持つ企業にするべきという考え方にも共感しています。
まず、ビジネス面での魅力は、潜在市場の大きさです。ココナラはオンラインのサービス提供市場に展開している事業で、日本のサービス提供市場全体の数十兆円のうち、オンラインに置き換えられる部分が潜在市場にあたります。例えば、サービス提供市場のうち10%がオンライン化すると数兆円が対象マーケットとなり、その中でシェアが10%取れただけでも、流通高にして数千億円規模を獲得できるほど事業のポテンシャルがあると言えます。
⸺かなり大規模な市場ですが、競合他社とはどのような差別化をされているのでしょうか。多様なCtoCサービスが増えてきていますよね。
鈴木:ココナラの特徴はサービスのECサイトであるということです。企業や個人からの依頼を元にマッチングを生むのではなく、何十万というサービスが出品されている中からニーズに合ったものを購入する形式となっています。自分の欲しいものを選んで買うだけなので、モノを買うのと同じように、簡単にサービスを購入できます。また、プラットフォーム上には常にサービスが数十万件あり、蓄積されたレビューは数百万件に上ります。この数は、ココナラに類似するサービスの10倍以上に相当するものです。
Amazonや楽天といったモノのECサイトは既に普及していますが、我々が携わるサービス・役務提供領域のECには、全ての分野を包含する会社はまだありません。今後は、ココナラで取引できるサービスのカテゴリを増やしていくことで、全てが揃うマーケットプレイスになることを目指しています。
⸺では、ソーシャル面ではどのような意義を持っているのでしょうか。
南:ココナラは、少子高齢化による労働人口の減少という課題を解決できるインフラになりうると考えています。
労働人口の減少に伴って、労働者側が働く環境を選びやすくなった影響もあり、副業・複業をしたり、フリーランスになったりする人が徐々に増えています。これに加えて、インターネットとテクノロジーの活用により、人のスキル・経験の可視化と流通ができるようになったため、さらに雇用の流動性が高まっていくでしょう。
今までは、企業という形を取ることで成果が最大化されるという雇用の仕組みになっていましたが、ココナラのような人材の流通インフラが整えば、今まで以上に人材とプロジェクトのマッチングを最適化し、高品質のアウトプットを出しやすくなります。
加えて、CtoCのマッチングだからこそ、自分の得意なことで人の役に立つ喜びを実感してもらいやすく、個々が自分らしく働くことを良しとする社会的な流れも生み出せると考えています。
SECTION 4/5
人気企業に入るべきでない理由
⸺南さんも鈴木さんも、キャリアは大企業からのスタートでしたが、これをそのまま真似したら良いのかというと、必ずしもそうとは言えないですよね。
鈴木:私が就活をした15年前は、大企業を目指して就職活動をすることが一般的でしたし、ベンチャー企業の存在を知る機会もほとんどありませんでした。しかし、今はベンチャー企業でも大企業と遜色ないような価値提供をする会社も数多くありますし、優秀な人材が集まってきています。事業がまだしっかりと出来上がっていない環境で何かを成し遂げた人が評価されるようになってきたので、ベンチャー企業も十分新卒就活における選択肢になってきました。
南:なんとなく人材輩出で人気の企業に入るという考え方は、やめたほうがいいと思います。そういった企業出身で活躍されている方は、これまで企業の基盤を作ることに関わっていた方なので、人気が出てから入社しても同じ経験を積むことは難しいからです。
鈴木:学生から人気の高いコンサル業界も、同じことが言えますね。黎明期を支えた40代~50代の方々は、まだ認知度が低く、事業としての価値を創り上げている頃にコンサルを選び、今でも活躍されている方が多くいます。
⸺では、どのように企業を選べるとよいのでしょうか。
南:私が入社した頃のアドバンテッジパートナーズでも、一緒に働いていたのは優秀な方ばかりで、その後も産業のトップに立って活躍されている方が多いです。彼らのような一流のビジネスパーソンを目指すなら、いち早く新しい場所に飛び込み、企業の基盤をつくる経験を積むことが近道だと思います。
鈴木:初期に企業の地盤を作り上げた経験のある人は、どこでも生きていける力を身につけられると思います。実際私も、南に誘われて10名規模の頃にココナラにジョインし、今のフェーズだからできる経験を多く積んだからこそ、力をつけられたという自負があります。単純に成功事例を真似するのではなく、時間軸の観点を持って、キャリアを分析した上で企業を選ぶようにしたいですね。
南:社会情勢の変化に伴って、企業規模の大小や業界だけで企業を選ぶのが難しくなってきていますよね。こうした状況だからこそ、自分がワクワクできそうか、企業理念に共感できるかを大切にしてほしいと思います。気持ちが乗れば、必然的に経験が積めてスキルも上がり、自分のやりたいこと・なりたい姿に近づいていけます。自分がピンとくる領域をひとつ見定められると良いのではないでしょうか。
SECTION 5/5
自分のストーリーを生きる
⸺ここまで、お二人が生きてきた「自分のストーリー」を伺ってきましたが、就活生が自分のストーリーを生きていくためのアドバイスをお願いします。
南:他人の尺度で生きないこと、内発的な動機の比率を高めることが大事だと思います。例えば、大学で言えば偏差値、就職で言えば人気ランキングというような基準は、自分の外の価値観ですよね。自分の価値観に沿って生きるには、未来のことはわからなくとも、少なくとも現時点で「これが、自分が幸せになれる道に近そうだ」と、直感でもよいので思える道を選ぶことです。周囲がどう思うかや、序列の上下から解き放たれて、今この瞬間に自分の中から湧き出てくる気持ちに従って生きることが大切です。
鈴木:いきなり自分のストーリーを生きようと考えても、なかなか難しいと思います。難しく考えすぎず、行動と軌道修正を繰り返していくことで自分らしいストーリーをつくっていけるのではないでしょうか。大学生のうちに見えている世の中や会社はほんの一部でしかないので、興味がわく方向に行動してみて分かることのほうが多いと思いますよ。
南:ここに行けば正しい道があるんじゃないかという考えを捨てて、自分が鼓舞されるような一歩を踏み出してほしいですね、その中で、ココナラのミッションにわくわくしたという方がいらっしゃれば、ぜひ選考を受けてほしいと思います。
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