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本当に解決案になっている? ケース面接に必要な『問題解決力』とは

公開日:

Written by 織田 一彰

Edited by 長嶺 匡晃

ケース面接など、就職活動の選考で問われる「問題解決力」。今回お届けするのは、戦略コンサルタント出身・連続起業家でありながら、アジアのトップ校でキャリア論の講義を手がけるGoodfind講師、織田による問題解決力講座。ケース面接の解き方を通して、問題解決に必要な「頭の使い方」に迫っていきます。

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プロは0から課題を解決しているわけではない

ケース面接とは、与えられた課題(ケーススタディ)に対し、一定時間内で解決策を考え、発表と質疑応答を行う面接形式のことです。ほとんどのコンサルティングファームの選考で出題されています。

「『どうやってその解決策を実行するの?』と聞かれて答えに窮した」「『解決策がありきたりだ』と言われた」──このような経験をし、ケース面接に苦手意識を持っている方がいるかもしれません。しかし、ケースの解き方、より一般的に言えば問題解決には「方法論」が存在し、それを使いこなせば、効率的に問題を解決へと導くことができます。

実は、問題解決のプロフェッショナルであるコンサルタントも、0から独力でクライアントの問題を解決している訳ではありません。コンサルタントは、これまでの個別具体の案件を一般化し、「方法論」に落とし込んだものに沿って、効率的に問題解決を行っているのです。

コンサルティングファームや教える人によって多少の違いはありますが、問題解決の際には以下のような方法論を武器に、解決へと導くことが多いです。

問題解決の4ステップ

  • STEP1 場面の明確化
  • 問題を抱える主体と取り巻く現状を把握して、状況の理解を行う

  • STEP2 論点の構造化
  • 全体を見回して、情報を整理する

  • STEP3 論点の絞り込み
  • 問題点の特定と、その「原因」を突き止める

  • STEP4 解の提示
  • 解決策を考案し、その優先順位を決める

今回は、この4ステップの中で特に注意して欲しい、「3つのポイント」を紹介します。問題解決の方法論を詳しく知りたい方、はGoodfindが主催するケース面接対策講座への参加がおすすめです。

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問題解決のステップで注意すべき3つのポイント

問題解決の流れで注意すべき3つのポイント

  1. STEP1「場面の明確化」では、高い解像度で「問題の真実」を理解しよう
  2. STEP3「 論点の絞り込み」では、「問題の根源」の特定と因果関係を探ろう
  3. STEP1-STEP3「現状分析」とSTEP4「施策の検討」では、異なる種類の問題であることを理解しよう

STEP1「場面の明確化」では、「主体は誰なのか?」を意識しながら、その人が置かれている状況を整理します。その際、意識してほしいのが主体に対する解像度です。

「ポカリスエットの売上を拡大するには?」というケースを例に考えてみましょう。この問題における主体は、もちろん製造元である大塚製薬です。しかし、会社の中でもどの部門を主体とするのか、によって問題の性質が異なります。

既に知名度もあり強固な販路を持つ日本市場の担当者なのか、知名度もなくこれから市場シェアを取りに行く東南アジア市場の担当者なのかで、抱えている問題は全く違うからです。

また、例えば「日本市場」の担当者を主体として考えてみると、市場のシェアやブランド名は他社と比べて悪くはない状況にあると推測できます。では一体なぜ現状を問題視しているのか? という出発点を理解しなければ、課題解決の取り込みが甘くなります。

このように、あらゆる課題に対して、主体の所在と、その人の背景や利害を総合的に考えることで、「いったい何を問題と認識しているのか」ということを解像度高く理解することが重要なのです。

同じお題でも主体や状況が異なると、論点に違いが生じる

2つ目に意識したいのが、STEP3「論点の絞り込み」にて、「現象」と「原因」を区別して考えることです。STEP3は課題の中の問題点を具体的に特定するステップですが、その際には、「どのように」それを解消するかという「解決策を意識した視点」が必要です。「現象」と「原因」を区別して考えないと、解決案にたどりつくことは叶いません。

例えば、「ポカリスエットの売上が伸びないのは女性が飲んでいない」という現象が、このケースのボトルネックだとしましょう。それを踏まえれば、「女性にも飲まれる商品を開発しよう!」という解決策が浮かび上がり、これを提示する人も多いかもしれません。

「女性が飲まないから、女性にも飲まれる商品を作って問題を解消しよう」──確かにその通りですが、本当にそんなに簡単なことでしょうか?

大塚製薬くらいの大きな会社であれば、誰が・いつ・どれくらい飲んでいるか、くらいのデータは持ち合わせているはずです。男性に比べて女性の消費量は少なく、それが売り上げの伸びを抑えているところまでは既に分かっていることでしょう。

このケースにおける真の問題は、「女性が飲まないという現象そのもの」ではなく「この現象を解消できていない」状況にこそあります。現在の好ましくないこの現象をどう好ましい現象に変えていくのかを考えるのが、問題解決の心臓部なのです。このケースにおいては、女性が飲まないという現象の「原因」が分からないと解決策は見つかりません。

原因を特定する方法としてオススメなのが「なぜ?」を複数回繰り返すことです。トヨタ流の問題解決方式「5Why分析」としても有名で、因果関係を深ぼることで、何が理由でそうなったかを奥深くまで探ることができます。

実際のケース面接では時間の制約があるため、原因を細かく掘り下げるのが難しいのもまた事実です。しかしだからこそ、「現象の表面だけを考えても問題解決にならない」という意識が重要になります。内省的に因果関係を深ぼることを強く認識できていれば、面接官に「別の原因があるのでは?」と指摘されたときでも、意識せずとも、そこから修正し新しい原因を考えることができるはずです。

「5Why分析」によって問題の原因に迫る

最後に押さえて欲しいポイントが、「STEP1からSTEP3」と「STEP4『解の提示』」では、頭の使い方が全く異なるという点です。前者が「状況の分析」を中心とするロジカルシンキングを必要とするのに対し、後者は分析した結果をもとに「解決する方法」を想像する右脳的なクリエイティブシンキングを必要とします。

この2つのアプローチは全く異なります。状況を分析をする回路では解決策に必要な発想は出てきませんし、逆もまたしかりです。

分析型の思考、言い換えれば、論理によってアイデアを出そうとしてもななかな出てこないのは、勉強のできる優等生によく見られるパターンです。アイデアを出すには、頭のチャンネルを切り替え、「おふざけする」や楽しむ気持ちがなければ、柔軟な発想には至りません。3つ目のステップ「論点の絞り込み」まで終わったら、一息ついてから思考に入るのがいいでしょう。

「STEP1からSTEP3」と「STEP4」では、頭の使い方が異なる

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問題解決に必要なのは、アプリのインストールではなく、OSのバージョンアップ

さて、ここまで問題解決のステップで注意すべき点をお伝えしました。しかし、さっそくこの通りに実践してみても、具体的にどうやるのか分かりにくく、問題解決がすぐにできるようにはならないでしょう。

なぜなら、ここで紹介したのは、あくまで「問題解決のプロセス」であり、このステップは一般化された手順でしかないからです。問題解決力を身につけるには、この手順を使いこなし、個別具体の実情(問題)に対して、根本から理解する「頭の使い方」が必要になります。言い換えるのであれば、決まった機能を持つアプリをインストールして実行するのでなく、アプリの機能をフルに使いこなすOSのアップデートに近いでしょう。

「問題を根本から理解する力」は一朝一夕に身につくものではありません。日々の積み重ねがモノを言う世界です。ここでは、明日からできる、おすすめの頭の鍛え方を4つ伝授します。

  • 批判的に観察する
  • 目の前で起こっている事象や他者の意見を客観的に観察してください。しかし、人間は誰しもバイアスを持っているため、中々難しいのもまた事実。そのため、自分が抱いた感情や判断に対して、「本当にそうなのか?」という批判的な姿勢で立ち止まって振り返ることが重要です。
  • 多面的に捉える
  • 一つの面だけでなく、様々な視点から同じ現象を見直してください。今回のポカリスエットの問題に対しても、「ユーザーを広げる」という切り口で分解してみるのか、「競合からシェアを奪う」という切り口で見るのかで、同じ問題でも見え方が変わるはずです。
  • 積極的に取り入れる
  • 常にオープンマインドを持ち、未知のものや違和感のあるものも積極的に取り入れてみましょう。「自分はそんな考え方をしない」「自分は全く興味ない」と思ったモノにこそ、新しい出会いがあります。
  • 仮説的に答えを出す
  • 分かっている範囲でよいので「仮の答え」を出す習慣を持ちましょう。頭の中で考えるだけではなくアウトプットを作ることで、振り返りや検証の回数を増やすことができ、正解の精度も高めることができます。

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“受験生メンタリティ”から脱却しないと頭はよくならない

センター試験に代表されるように、これまでの試験や課題の多くは「答えのある問題」をいかに効率的に解くかが、重視されていました。そのため、自分の思考を停止し、塾や学校で教えられた公式や解き方を無条件で覚えることが正攻法でした。

しかし、社会で求められるのは、塾や学校の先生もいない世界で、いかに自ら回答を作り上げていくかということ。そのためには、「頭脳」という自分のOS自体をバージョンアップして、問題を根本から理解する力が求められるのです。

最後に、イノベーターと言えばこの人、スティーブ・ジョブズの言葉で締めくくりたいと思います。

執筆

織田 一彰

織田 一彰

スローガン株式会社 共同創業者・エグゼクティブフェロー ケイ・コンサルティング株式会社 代表取締役 名古屋大学 客員教授 バンドン工科大学 客員講師
名古屋大学博士課程(数学専攻)からアンダーセン・コンサルティング(現・アクセンチュア)にて戦略コンサルタントとして日本と米国で活動。帰国後独立し、シリアルアントレプレナーとなり多くの上場・M&Aを経験。Goodfind立ち上げ後はシンガポール国立大学、インド理科大学院、バンドン工科大学などアジア国のトップ校で多数の起業講座を開催。

編集

長嶺 匡晃

長嶺 匡晃

Goodfind College 編集部
中学・高校と試験管の振り方が校内随一の理系少年だったが、浪人を経て慶應義塾大学経済学部に入学。大学時代は大小様々なインターンを経験し、10社目のスローガンでのインターンを経て新卒で入社。趣味は写真撮影、愛用機はPENTAX K-3とSigma fp。