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COLUMN

日本2位の急成長企業で学ぶ。伸びるビジネスモデル

Goodfind Collegeが成長企業の伸びている理由を紐解く「企業分析シリーズ」。第1弾は、昨年日本で2番目に成長した、X-Tech企業に注目します。同社は不動産×テクノロジーの領域で現在急成長中の企業です。ここで、「不動産業界」と聞いて「体育会出身の人が活躍する業界でしょ? 」と思った人こそ必読。同社を題材に「成長の理由」をビジネスモデルから読み解き、企業分析の視点を届けます。

SPONSORED BY 株式会社GA technologies

話し手

野口 真平

野口 真平

株式会社GA technologies 執行役員 CPO(Chief Product Officer)
イタンジ株式会社 代表取締役

山口 貴矢

山口 貴矢

株式会社GA technologies
経営戦略本部 経営戦略デザイン担当

SECTION 1/5

ビジネスモデルから「知る人ぞ知る、成長の理由」を読み解く

皆さんはGA technologies(以下、GA)を知っていますか? 昨年、日本で2番目に成長した企業 ※1 で、不動産×テクノロジー領域に早期に参入し、創業からわずか5年でマザーズ上場を果たしました。

GAは増収額で日本2位の実績を持ち、次のメガベンチャー有力候補でありながら、学生の間では 「知る人ぞ知る存在」です。また社名を知っていても、ここまで成長している理由を知っている人は少ないのではないでしょうか。

そこで今回は、43兆円の巨大産業「不動産」領域で急成長を遂げる同社に注目します。「知る人ぞ知る成長の理由」を探ることで、企業分析の手法を学び、企業選びの視点を研ぎ澄ませましょう。

GAは不動産業界のAmazonを目指しており、自社のみならず業界全体をDXする事業を展開しています。DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略で、端的に言うと「テクノロジーを活用した変革」です。ただDXの本質は、テクノロジーによる変革にとどまらず、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することです。

同社の急成長の理由は、ビジネスモデルの秀逸さ、市場規模、組織の強さなど複数ありますが、本記事では特に成長の肝となる「ビジネスモデルの秀逸さ」にフォーカスします。

※1  2018年以降に新規株式公開をした企業を対象とした増収額ランキングで2位。 出典:2019年11月23日 日本経済新聞 朝刊「決算ランキング(4)海外編、IPO銘柄の増収額」

SECTION 2/5

不動産業界のAmazonを目指すとは?

今回は主にGAの決算説明会資料より、編集部の視点で独自に分析をしました。まず、GAのビジネスモデル理解で欠かせないのが「不動産業界のAmazon」を目指している点です。どういうことか、両者の共通点を見ていきましょう。

一般的なECサイトは「販売する場」だけを提供しているのに対して、Amazonのビジネスモデルは、自社で仕入れて在庫を抱えながら、プラットフォーマーとして存在し、商品の配送も自社で行っています。

このように商品管理から配送まで全てを一貫して自社で行い、配送の速さや梱包の丁寧さを徹底できることにより、お客様の満足度が高いというのがAmazonの特徴です。

そんなビジネスモデルを、不動産業界にも取り入れようというのがGAです。GAは売買・投資など不動産に関わるあらゆる事業をおこなっていますが、ここでは賃貸取引を例にとって説明します。今までの不動産業界は物件を掲載するポータルサイトがあり、内見や窓口の仲介会社がありといった風に「分業制」をとっていました。

そこでGAではAmazon同様、一貫して事業を展開しようとしています。これにより、消費者の抱えていたおとり物件※2 への不安や取引プロセスでの負担を軽減することができ、最高の不動産体験ができるといった流れになっています。

不動産業界のAmazonを目指すとは、どういうことか

※2 おとり物件とは:「釣り物件」や「おとり広告」とも言う。広告や不動産情報サイト等に掲載されているものの、満室や実在しないといったワナのような物件のこと。不動産会社によっては、おとり物件で集客しており、業界全体の問題とされている。  

SECTION 3/5

テック企業が真似できない「リアル起点」のDX

GAが急成長している理由は、ビジネスモデルの中でも次の2つと、編集部では読み解きました。

  1. リアル起点かつ早期のテック参入によって、DXの基盤を確立したこと。
  2. 他社が追随できないスピードで、強固なプラットフォームを構築したこと。

これらによって、GAは業界変革を牽引し「不動産業界のAmazon」として、不動産業界をより良くできる可能性があると感じました。

上記2点について深掘りし、さらに今後の展開を知るために、GAの経営戦略本部にてIR資料作成等を担当する山口氏と、同社執行役員CPOでイタンジ代表・野口氏にお話を伺いました。

野口 真平

株式会社GA technologies 執行役員 CPO(Chief Product Officer)
イタンジ株式会社 代表取締役

早稲田大学教育学部卒。在学中に同大学主催のビジネスプランコンテストで優勝、学生向け SNS を企画開発し起業を経験。その後、IT企業に入社し、エンジニアとしてシステム設計を担当。2014年2月、イタンジ株式会社に入社。 同社でWEBマーケティング、不動産仲介業務、システム開発、管理会社向けシステムのコンサルティング業務、執行役員を経て、2018年11月代表取締役に就任。

山口 貴矢

株式会社GA technologies 経営戦略本部 経営戦略デザイン担当

1994年生まれ。東京大学法学部にて、第三類(政治コース)を専攻。就職活動ではスタートアップを中心に200社ほど調べた上で、GA technologiesに入社を決める。その後、内定者インターンではリサーチャー、人事などを経験。2019年4月に正社員として入社後は、経営管理本部での財務経理を経て、現在は経営戦略本部にてIR資料の作成等を担当している。


編集部:GAについて分析し、急成長の理由の1つ目は「リアル起点かつ早期のテック参入によって、DXの基盤を確立したこと」だと解釈しました。

──GAはどうしてDXを実現できたのでしょうか?

山口:DXできた理由は複数ありますが、第一に「リアル起点の強み」があったからです。すなわち不動産業界の課題を、GAが当事者として強く感じていたためです。

業界構造や特有の商慣習、法規制、非効率な業務プロセスといった根深い課題を、GAの社員は不動産業の現場で痛感していました。だからこそ「アナログな業界をテクノロジーで変革すべき」と早期に着眼し、テック側に先行して参入することができました。

日本の不動産業界では様々な課題が存在します。例えば情報の非対称性や、テクノロジー化の遅れです。「情報の非対称性」とは、物件データベースを閲覧できる不動産会社と、閲覧できない消費者との間の情報のギャップです。そのために、いわゆる「おとり物件」で集客する業者がいたり、不動産会社に利益が出やすい物件のみを紹介することで消費者の適切な判断が妨げられたりしています。

また「テクノロジー化の遅れ」については、業者間では未だにFAXや電話中心の情報連携がされていたり、分業された複数の業者に紙の書類を複数回提出したりするといった負が発生しています。これらは業界の中にいる人にしか気づけない課題です。GAは当事者として業界特有のルールや同業者を理解していることで、業界のDXを推進する土台があったと考えています。

──データ活用やAIなどに強いテック企業が、不動産業界のDXに参入するのは難しいのでしょうか?

山口:我々のアプローチは元々リアルに取り組んできたからこそ実現できるもので、テック企業が業界のリアルな領域に進出することは、不動産領域においては難易度が高いと考えています。なぜなら、この業界には宅建業法(宅地建物取引業法)が存在し、社員の5人に1人が宅建士という「不動産取引のプロ」でないと不動産の主要な取引業務を営めないからです。

他にも参入障壁として「商慣習の理解」が挙げられます。不動産取引における業務の煩雑さや慣習はかなり深く、その業界にいないと理解できない部分が多いです。テックから参入した企業では、この部分をカバーするのにかなりの時間を要します。これも我々のようなリアルから始まった企業の持つ強みだと思います。

このように、私たちが持つ「リアル起点の強み」を模倣することは、リアルなしにプロダクトを起点とする「テック企業」には難しいかと思います。

──GAは具体的にどのようにリアルからテックに参入し、自社のDXを実現したのでしょうか?

山口:GAでは早期からテックに舵を切ってエンジニア採用に投資し、セールスとエンジニアの相互理解を中心に、試行錯誤と学習を積み重ねてきました。この「セールスとエンジニアの垣根をなくす」という泥臭い課題に誰よりも先行して参入し、DXのPDCAを高速回転し続けてきたことで、現在のポジションに至っています。

山口:DXの具体的な進め方としては、リアルでの現場課題を起点に、従来の内覧や物件検索サイトなどのあり方を見直しました。そこから、データを活用して消費者向けの「おとり物件のないポータルサイト」を構築することができました。また仕入れや営業などの社内業務プロセスについても、エンジニアの技術で効率化することで、ユーザー体験の向上をはかっています。

こうした「現場にいるからこそ気づくことができる」DXのための課題を、テクノロジーによってプロダクトに落とし込むために、GAのエンジニアは宅建士の資格取得や現場での業務体験を行っています。それらの取り組みによって現場に入り込むことでしか見えてこない、本質的な課題に気づくことができています。

──DXの具体例としてはどんなものがありますか?

山口:セールスとエンジニアの融合が挙げられます。GAの営業社員比率は2割※3 と、業界他社より圧倒的に営業職が少ないです。それにも関わらず売上を伸ばせている理由は、高い成約率と生産性にあります。

自社サイトで集客した見込み顧客に対する反響営業がメインで、学生の皆さんがよくイメージするようなアウトバウンド※4 の営業や新規の開拓はほとんどやっていません。さらに、自社開発のセールステックツールも導入し、昨年は約80人のセールスで392億円※5 を売り上げています。

現在のセールスは、エンジニアの存在なしにはこれほどまでに高い生産性を発揮できません。逆にエンジニアはセールスがいないとサービスの良さをお客様に伝えられません。GAは創業当時からお互い理解しリスペクトしあってきました。

こういったお互いのリスペクトが、「リアル×テック」の融合を通じたDXを生み出すには必要不可欠です。GAにおいては、この文化がすでに醸成されていたため、テック色の強いイタンジを買収した時にもアレルギー反応を起こすことなく、GAからの社員出向などを通じて、スムーズに統合を進めることができました。

編集部:「リアルとテックの融合」というDXは、一朝一夕ではできず、お互いの役割を理解しリスペクトを忘れない文化を、時間をかけて育むといった現場の努力の積み重ねによって確立されたのですね。

※3 2020年4月末時点

※4 アウトバウンドとは いわゆる飛び込み営業やリストに一網打尽に掛けるテレアポなど、アポイントのない人や興味があるかわからない人に対してゼロからコンタクトする手法。

※5 出典:GA technologies社 2019年10月期決算説明資料

SECTION 4/5

業界の土壌づくりとM&Aで、強いプラットフォームをつくる

編集部:急成長の理由の2つ目は「他社が追随できないスピードで、強固なプラットフォームを構築していること」だと考えています。

──Amazonのような存在になるために、どんなことをしてきましたか? 積極的なM&A(買収)の目的は、プラットフォームの強化でしょうか?

山口:2019年に買収したモダンスタンダード社については、プラットフォーム強化の観点で大きなシナジーを見込んでいます。買収最大の目的は「メディアの集客力」でした。高所得者層に確実にリーチできる媒体は非常に限られているなかで、モダンスタンダードという高級賃貸サイトが抱えるアクティブユーザーは、賃貸に限らず売買仲介においても非常に魅力的です。

この集客力によって、GAの「RENOSY(リノシー)」の知名度が上がれば、これまでGAが単独ではリーチできなかったような、財閥系不動産会社も「RENOSY」に掲載するメリットがでてきます。このようにM&Aのシナジーで、強いプラットフォーム構築を急速に推進しています。

──GAのM&Aの中でも特に驚いたのはイタンジ社がGA Groupに入ったことです。2018年にイタンジ社を買収した最大の目的・シナジーは何だったのでしょうか?

山口:イタンジが持つ賃貸領域のサービスを通じて、若年層のタッチポイントを得ることです。

野口:GA Groupは、不動産の中でも売買領域・投資領域に関しては事業を広げてきましたが、賃貸領域は範囲外でした。一方でイタンジは賃貸領域においてBtoB・BtoC共に展開を進めていたので、イタンジがGA Groupと一緒になることで不動産領域において網羅的にサービス提供ができるようになりました。

そうすることで、お客様のライフイベントがあるたびにサービスを展開でき、お客様にとってもGA Groupにとっても長いお付き合いができるようになりました。

⸺一方で、業界をDXしてAmazonのような存在になるには、消費者(toC)だけでなく不動産会社(toB)における普及も必要です。そちらはどのように推進されているのですか?

野口:BtoBの普及において、我々が直面している課題は「不動産会社のマインドや文化的理解」と言えます。GA Groupのイタンジが提供するセルフ内見型賃貸サイト「OHEYAGO(オヘヤゴー)」に物件掲載をすると、不動産会社には大きなメリットがあります。店舗に依存しなくなるので固定費を削減、内見にかかる工数を削減、物件掲載料や成約報酬を削減・・・などの効果が生まれ収益性を改善することが可能だからです。

しかし、こうした目に見える経済合理性があるにも関わらず、店舗による集客という従来の手段にのみこだわってしまう不動産会社も存在します。企業により理由は様々ですが、その中には、まだ事例がなく、そこに飛び込む「文化的な理解」が醸成されていないからというケースも少なくありません。これは大変勿体ないことです。

野口:そういったケースの場合、マインドの変化や文化的理解を得るために、アーリーアダプターとなりうる不動産会社と共に実績を築き、セルフ内見型賃貸サービス「OHEYAGO」を利用することのメリットを可視化していくことが必要だと考えます。

今まさに成功体験が次々と生まれ拡散させていくような、土壌をつくるフェーズに差しかかっています。

──DXの鍵は「ヒューマン(人・組織)」と言われるように、革新的サービスの普及には、商慣習に対する根本的な価値観・考え方の変化が求められるのですね。

野口:実は、我々GAが不動産会社にサービスを提案することと、Amazonが卸売業者に対してプラットフォームへの参加を促してきたことには、近い構造があります。

AmazonはECから物流までワンストップな「プラットフォーム(マーケットプレイス)」を第三者に提供する側面と、倉庫を持つ卸売業者の側面、そして自分たちが商品を仕入れて販売する直販ECの「小売業者」の側面があります。卸売業者からすると、倉庫を持ち、小売りもやっていて卸を不要にしてしまうAmazonにはシェアを脅かされる懸念もあり、彼らのプラットフォームに加わることを躊躇する心理を持つ方もいたでしょう。

一方で「Amazonという強力な集客プラットフォームに乗じることで、販路を大きく拡大できる」構造をつくったので、卸売業者はAmazonを使い続けています。

GA Groupも同様に、プラットフォームとしての側面と、我々自身が不動産会社でもあるという2つの側面があります。そのため、プラットフォームへ参加する不動産会社に参加メリットを理解してもらいながら、プラットフォームを強くすることで、win-winの関係をつくっていく必要があります。

Amazonのように利便性が向上することで、GAの提供する「RENOSY」も「消費者と不動産会社のどちらにも欠かせない」強いプラットフォームになっていくと考えています。

SECTION 5/5

カオスな市場に飛び込み、DXの当事者になろう

──「DXの手段」と「プラットフォーム」で業界変革を仕掛けているGAですが、挑戦的なキャリアを描く学生にとってはどんな場所でしょうか? 上場して第二創業フェーズのGAには、どんな課題やカオスがありますか?

山口:カオスに飛び込みたいのであれば、気にすべきは「市場」だと思います。市場がカオスであれば、取り組むべき課題は山ほどあり、会社としてやるべきことは増えます。GAは企業として徐々に制度は整ってきていますが、我々の市場はカオスそのものです。

経営戦略本部 山口氏

山口:新しく生まれてきたテーマに対して、自分から課題を設定して取り組める人にはGAは向いていますし、我々のチャレンジにぜひ一緒に取り組んでもらえると嬉しいです。企業選びでは、会社組織としての成熟度合いよりも「何のためにその会社が存在しているのか」に注目するのがよいかと私は思います。

野口:コロナの影響で、あらゆる業界で地殻変動が起こっています。この状況下で、私なら「激動の世界でも成長する企業はどこかな?」という視点で探します。

激動する世界では、今までのサービスのあり方から変化に適応できない会社が淘汰されます。一方で新しい時代に向けて「手段やプラットフォームを提供するような会社」が生き延びて、急激な成長を迎えることになるでしょう。今はまさにスクラップ&ビルドの過渡期にあると思います。

執行役員CPO / イタンジ代表取締役 野口氏

野口:我々GAは不動産業界において「手段を提供する会社」としては、最もいい位置につけています。不動産会社各社がこの状況下で「どうやって自分たちはデジタルトランスフォーメーション(DX)したらいいのか?」と考えた時に、一番に思い浮かべるのがGAです。

彼らがトランスフォーメーションした時に、GAが彼らの成功体験をつくれたら、「不動産業界全体がアップデートされる所以はGA」となりますので、ここでGAがブレイクする時代が到来します。

新卒で入る皆さんの立場からすると、GAであれば、その渦の中を当事者として思いきり経験できます。我々のように「変革のカオス」が経験できるところに行くといいと思います。

編集部:GAはカオスな市場のど真ん中で「DXの手段」と「プラットフォーム」を武器に、急速に攻めている変革者でした。それが急成長の理由であり、DXのトップランナーとして今後さらなる伸びや広がりが描けるので、入社先としても面白そうです。学生の皆さんは、このような視点で、GAのような会社を探してみてはいかがでしょうか。

編集:

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