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COLUMN

2025年の崖?業界や規模ではなく、企業を見極める新たな視点「DX推進」

皆さんは「テクノロジーでイノベーションを起こしたい」「デジタルに強くなりたい」と思ったことはありますか? ITを使って活躍したい人の多くは「IT業界」「ITの大手かベンチャーか」というように、業界や規模を軸に企業を見ているでしょう。しかし「非ITのレガシー」として目を向けていない業界にこそ、革新的でITに触れながら成長できる企業があるかもしれません。今回は、非ITの業界大手の事例を通じて「DX推進」という切り口で、企業を見る視点を鍛えましょう。

SPONSORED BY アフラック生命保険株式会社

話し手

土屋 敦

土屋 敦

アフラック生命保険株式会社
デリバリーコーディネーション部
IT開発プロモーション課 課長  

高垣 遼資

高垣 遼資

アフラック生命保険株式会社
デリバリーコーディネーション部
IT開発プロモーション課

SECTION 1/7

企業を「DX」で見ると、競争力や経営課題が見えてくる

皆さんは「DX」という概念はご存知だと思いますが、DXについて一歩踏み込んで考えたことはありますか? 例えば……

・なぜ企業はDXを推進する必要があるのか?
・自分の志望企業がどれくらいDXを推進できているのか?

デジタルやデータは事業を推進する原動力であり、DXは企業経営における最重要課題の一つです。一方で、志望企業の「DX」に対する本気度まで見ているでしょうか? 就活において企業の「DX推進」を見るべき理由のヒントは、経済産業省が2018年に公開したDXレポート「2025年の崖」にあります。

経済産業省 DXレポート「2025年の崖」概要:

・多くの経営者が、将来の成長・競争力強化のために、DXの必要性を理解しているが、 DX実現には、既存システム刷新や、現場の抵抗が大きい業務自体の見直し(=経営改革)をいかに実行するかという課題がある。
・企業がDXを実現しないと、国際競争力が低下し、2025年以降に日本全体で年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性がある。
・2025年までに企業がDXを実現すると、2030年に実質GDP130兆円超の押上げが見込める。

※1

政府は「2025年の崖」として、日本経済にかつてないダメージを与える課題の集合体を提起し、日本企業が崖を乗り越える必要性と、乗り越えるカギとなるDXについて提示したのです。

各企業は、DXを実現しなければ新しいビジネスモデルに対応できず、企業の競争力は崖を下るように著しく低下し、経済的損失をもたらすだけでなく、人材面にもマイナスがおよびます。

そのため、もし皆さんの志望企業がDXを推進できていなかった場合、爆発的に増加するデータを活用しきれずデジタル競争の敗者となり、高額化していくシステムの維持管理費といった技術的負債を抱えながら、最先端のデジタル技術への投資や人材確保・育成ができない事態に陥ります。

DXを実現できないと、企業が陥ると想定される事態

その結果、入社後に描いている、例えば「データやデジタル技術を活用した新規事業やイノベーション」への優先度が下がったり、取り組めなかったりするかもしれません。一方で、DXに携わる機会があれば、経営者視点を持って現場から経営改革に貢献し、デジタルに触れながら、自社の経営課題の解決を担うことができるでしょう。

このように、志望企業の現在の「DX推進」状況は、数年後の事業成長や経営状態に関わることはもちろん、入社後に携わる業務にも影響が及ぶ可能性があります。

それを踏まえて「企業がDX推進できているか」を知るには、何に注目すればよいのでしょうか? 先述のDXレポートをまとめた南山大学の青山 幹雄氏は、「DX推進のためには『経営者、業務部門、IT部門による三位一体』での取り組みが重要」※2と国会で提言しています。

これらを頭の片隅に置きながら、今回はレガシーなイメージのある生命保険業界のなかでDXを実現しているアフラックを例に、「DX推進」の切り口で企業を見極める視点を鍛えましょう。

※1 出典: 平成30年版 経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」サマリーより抜粋、要約
※2 出典: 第200回国会 参議院 経済産業委員会 会議録 第4号 令和元年11月26日

SECTION 2/7

業界イメージを覆す変革者? 知る人ぞ知るDX推進企業

アフラックは1955年アメリカのジョージア州コロンバスで創業し、1958年世界初のがん保険を開発しました。その後同社は1974年に日本進出を果たし、がん保険を始めとする生きるための保険で市場を作ってきました。

現在は社員約5,000名、保有契約件数2,400万件を超え、がん保険・医療保険では保有契約件数No.1 ※3 の企業として市場をリードしています。2018年に日本法人化され、より一層日本に根ざした生命保険会社になりました。

※3 出典:保険研究所 令和元年版「インシュアランス生命保険統計号」

保険業界と聞くと「お堅い縦割り組織、対面営業中心、IT化が遅れてそう」と想像する人もいるでしょう。しかし、実はアフラックの成功要因の1つとして挙げられるのは、DXの推進です。

同社はここ数年でペーパーレス化やオンラインでの契約申込完結、AI・データ活用等で成果を出し続け、アジャイル型の働き方を導入し、スタートアップ企業とのオープンイノベーションや新規事業の創出を行う拠点アフラック・イノベーション・ラボを設立するなど、業界の変革に取り組んでいます。

なぜアフラックではDXで成果が出ているのでしょうか。DX推進の最前線で活躍する同社のリーダーと若手社員に、話を伺いました。

SECTION 3/7

独自のDX戦略を策定し、全社で導入する「アジャイル型の働き方」

土屋 敦

アフラック生命保険株式会社

デリバリーコーディネーション部 IT開発プロモーション課 課長  

2003年に新卒でアフラックに入社。大学院まで工学部で金融工学を専攻し、入社後は、主にIT部門でシステム開発業務やプロジェクトマネジメント業務を担当。現在はデリバリーコーディネーション部 IT開発プロモーション課の課長を務め、DX推進に取り組む。

アフラック生命保険株式会社 土屋 敦 氏

⸺2020年には、全社でのペーパーレス化や、商品提案から契約までオンラインで完結する仕組みも導入されています。レガシーに見える生命保険業界において、アフラックはなぜDXで成果を出せているのでしょうか?

土屋:当社は、全社でDXを推進していくために「DX@Aflac」という、当社独自のDX戦略を策定し、社員一人ひとりの理解を深めています。このDX戦略には、コロナ禍における業務態勢の確保や、新しい保険サービスや保険の枠に捉われない新たなサービスの提供に関する戦略まで含まれています。

このようにDXを推進する背景には、日本全体の課題である少子高齢化などにより国内市場が縮小し、生命保険業界の競争が激化していくことに対する大きな危機感があります。また、デジタル技術の進展や新型コロナウイルス感染症問題を契機として、人々の価値観の多様化や生活様式の変化はより一層進んでいます。

そのような環境下においても、当社が持続的に成長して存続するためには、コアバリュー(基本的価値観)に基づき「いかに新たな価値提供をして、社会的課題を解決していけるか」が重要であり、その手段の一つとして、DXがあると考えています。

また、当社のDXは「アジャイル」という手法を用いて推進しています。めまぐるしく変わる社会や顧客ニーズに対応し、デジタルを活用してサービス変革や業務変革を起こすためには、アジャイルが最適な手法だと考えているためです。実際にスピーディーに成果が出ているのは、アジャイル型の働き方の浸透によるところが大きいと思います。

⸺経済産業省のDXレポートでは「アジャイル開発による事業部門人材のIT人材化」が、DXの重要なポイントとして挙げられていますが、アフラックが取り組む「アジャイル型の働き方」について教えてください。

土屋:「アジャイル型の働き方」とは、柔軟かつスピーディーにイノベーションを起こすために求められる新たな働き方です。そうした働き方を「Agile@Aflac」として掲げ、IT部門のみならず全社に展開しています。

Agile@Aflacは、当社のこれまでの仕事の進め方と全く異なります。以前の部門横断プロジェクトは、各部門がそれぞれ意思決定を行った上で部門間の意見調整を行っていたため、意思決定に時間を要していました。

一方でアジャイル型の働き方を取り入れた部門横断プロジェクトは、権限委譲されたプロダクトオーナー(PO)と各部門からアサインされたメンバーが一つのチームとなり、各部門の意見を取り入れつつも、最終的にはPOの判断で意思決定できるようになりました。その結果、これまでのプロジェクトと比べて、意思決定に要する時間が大幅に短縮されました。

⸺大企業のDXの壁として、アジャイルを導入しても「既存組織に阻まれて従来のやり方に逆戻りすることが多く、IT部門以外に波及しづらい」と聞きますが、なぜAgile@Aflacは全社に浸透したのでしょうか?

土屋: 当社では社長の古出による強力なリーダーシップならびに、経営陣におけるマインドチェンジのもとにアジャイルを導入・推進しているので、浸透したと考えています。「アジャイルで」と言うのは簡単ですが、実際に浸透させるのは容易なことではありません。

社長をはじめ全役職員が研修へ参加して「アジャイルとは何なのか」という全社的な理解が、この2年ほどでかなり進み、DXの成果に繋がった実感があります。そうして経営トップが、アジャイルによるDX推進を後押してくれたことで、やる気があれば若手でもリーダーに登用してプロジェクトを任せる風土が醸成されました。

SECTION 4/7

2年目の若手主導で実現した、AIロボットの導入

高垣 遼資

アフラック生命保険株式会社

デリバリーコーディネーション部 IT開発プロモーション課

2019年に新卒でアフラックに入社。大学では応用生物学を専攻し、就活ではFinTechやInsurTechなどITを軸に企業を見ていた。DXの進んでいたアフラックに注目し、選考中からIT部門配属を希望。入社1年目からIT開発プロモーション課に所属し、AIロボットtemiの導入をはじめ、社内外に向けたDX推進に関するプロモーション業務を担当。

アフラック生命保険株式会社 高垣 遼資 氏

⸺DXを推進するために若手を登用しているとのことですが、具体的にどのようにDXを実行しているのでしょうか?

高垣: temi(テミ)というAIロボットを活用したプロジェクトについてお話させてください。temiは全国4つの部署で社内のリモートワークツールとして活用され、成果を挙げています。AIアシスタンス機能を持った自律走行型のパーソナルロボットで、在宅など遠隔でも「自らがあたかもそこにいるような」コミュニケーションができるのが特徴です。

このロボットの良さを知った時に「アフラックやお客様に活用できないか」と思い、まずは各部門の悩みをヒアリングしながら、今年の3月に導入検討を始めました。

土屋:導入に際しては新卒2年目の高垣さんが中心となり、企画からサービス化までわずか3ヶ月で実現しました。「導入したらどの程度の効果があるのか」という費用対効果の試算から、導入時の社内説明に至るまで、高垣さんがリーダーシップをとって推進してくれました。

高垣:在宅勤務の社員は、自宅からスマホの遠隔操作で、オフィスにあるtemiを移動させることができます。そうしてオフィスにいる社員に声をかけるなど、自発的なコミュニケーションを取ることが可能となります。

社内でtemiを使用している様子

temiと他の会議ツールの一番の違いは、オフラインに近い双方向のUX(顧客体験)です。TeamsやWebexなどのオンライン会議ツールや電話では、相手が了承した時にしかコミュニケーションを取れませんが、temiは自由なタイミングで使うことができるので、自宅にいながらにして遠隔で自由にオフィス内の人に話しかけられます。コミュニケーションの質が高まったことで生産性も向上しました。

⸺temiのプロジェクトを推進するにあたって、こだわったポイントはありますか?

高垣:手段が目的化しないように意識して進めました。DXの各施策は、あくまでも手段なので「課題を解決できて、便利だと思ってもらえるか? 」にフォーカスしました。結果的には、当初想定していた以上の効果が得られています。

初めての取り組みで、誰も答えがわからない状態からスタートしたので苦労しましたが、進め方について社内の様々な部署の先輩社員からアドバイスをもらい、親身に協力的な姿勢でサポートしてもらいました。

SECTION 5/7

若手をDXのリーダーにアサインする理由

⸺高垣さんは、入社2年目にして、なぜDXの業務で活躍できているのでしょうか?

土屋:高垣さんはとても行動力がある人財と感じています。前例のないDXの業務では、初めてでわからないことがたくさんあるはずですが、立ち止まらずにアクションを続けてくれていて、それがスピーディーな成果創出に繋がっていますね。

高垣: 進め方が分からないときや何か問題があったときは土屋さんに相談しますが、基本は「自分で動きながら見つけにいく」姿勢で仕事を進めています。大学時代に4年間ハンドボール部でコーチをやっていた当時から、自分の裁量でいろいろと試していました。また昔からフットワークの軽さはあったので、それらが業務に活きているのかもしれません。

⸺行動しながら考える姿勢がDXで活かされているのですね。ちなみに高垣さんは、なぜ新卒1年目からDXの部署に登用されたのでしょうか?

土屋:高垣さんは入社前の面接段階からIT部門志望でしたが、入社後自らが手を挙げ、今の部署に配属されました。当社では「手を挙げた人の意向が尊重される、やりたい人に機会を与える」という考え方があるので、希望が通ったのだと思います。

⸺手を挙げることがポイントなのですね。なぜ、アフラックではDXに若手をアサインするのでしょうか?

土屋: お客様に喜んでいただけるサービスを提供するためには、多種多様な意見に耳を傾ける必要があるので、DXには若手も含め様々なメンバーがアサインされています。また、会社として持続的な成長を実現していくためには、人財育成が非常に重要であると考えており、「若いうちから自分自身で考えて行動できる人財」の育成に積極的に取り組んでいます。

それに加えて、デジタル技術の急速な進展に伴い、DXや新サービスに求められるスピード感の変化も背景にあります。スピーディーに変化に対応するために、当社では特にこの2年間、若手でも強い意志を持っていれば、積極手にプロジェクトのリーダーに登用してきました。若手でもやる気があれば「リーダーとしての取り組みの中で学んでいけば育つ」と考えて任せています。

土屋:積極的に若手を抜擢した成果として、コアバリュー(基本的価値観)を意識しながら、自ら判断し、行動できる若手社員も増えてきました。これはまさに、当社が全社的に進める働き方の変革にも沿っていますね。

SECTION 6/7

DX推進に向いている人とは?

⸺ちなみに、高垣さんはなぜアフラックに入社して、DXの部署を希望されたのですか?

高垣: 就職活動ではIT業界と生命保険業界を中心に見ていました。昔からPCやガジェットが好きだったことから、特にFinTechや保険×テクノロジーのInsurTech(インシュアテック)に注目していましたね。

私がアフラックに入社した決め手は「DXに注力してイノベーションが進んでいる」と感じたからです。また、お客様サービスの向上に本気で向き合っていて、例えばITを使った保険金支払いスピードの向上というように、テクノロジーで新しい価値を提供しているところに共感しました。

DXの部署を希望したのは、学生時代から新しいデジタルサービスに関心があり、PCの製作やプログラミングの勉強をするのが好きだったからですね。大学の専攻は情報系ではなくエンジニアではないものの、ビジネス職でテクノロジーを使って仕事をしたかったので、面接中からIT部門志望と伝え続けました。

⸺入社前から希望されていたDXを担う醍醐味は、何でしょうか?

高垣: temiという最新技術の導入では、社内の関係部署を巻き込みながら形にして、実際に使ってもらい、利用者から高い評価をいただくことができました。このように、課題のヒアリング・導入検討・実行・検証まで一貫したプロセスに関与できるところが醍醐味です。

また、DXの推進では社内外の関係者との調整が多いのですが、新しいことに人を巻き込んで取り組むことは、難しい分だけ達成感は大きいですし、結果的に「プロジェクトマネジメント力」という形で、自分の成長にもつながっていると感じます。

⸺DXを牽引されているお二人の視点では、どんな人がDX推進に向いていると思われますか?

高垣:DXを推進していく上では、変化を恐れず、新しいことにチャレンジできる人が必要です。また、社内外のいろいろな人と関わって進めていくので、お客様をはじめ誰かの役に立つことにやりがいを感じる人は、DX推進に向いていると思います。また疑問や課題意識を持てる人には活躍の機会がありますし、結果的に成長できると思います。

土屋:私が一緒にDX推進に取り組みたいのは、主体的に言葉で表現して、行動に移せる人ですね。お客様に感動を与えるサービスを作るためには、保険業界に染まっていない若い人の感性や、多様な価値観が欠かせません。

テクノロジーでイノベーションを起こしたい、ビジネスリーダーとして経営を担うために1年目から挑戦したい。そんな意欲的な学生の皆さんとお会いできる機会を楽しみにしています。

SECTION 7/7

バイアスで判断せず、新たな視点で企業を見てみよう

編集部:今回は非IT業界で、DX先進企業として変革を起こすアフラックの事例を通じて、企業がどのようにDX戦略を掲げているか。また、それを浸透させるための取り組みやDXへの若手人材の登用など、具体的な事例をもとに、DX推進を見るポイントを探りました。

「DXを推進している企業かどうか」を深く知るポイントは、第一に経営トップがビジョンを示し、リーダーシップをとってコミットしているか。第二に、アジャイル導入などにより、IT部門のみならず部門を横断した組織体制をつくっているか。第三に、アジャイルや若手登用などにより、現場がどれだけDXに取り組んでいるか。DX推進のためには「経営者、業務部門、IT部門による三位一体」での取り組みが欠かせません。

このようにして「志望企業がDX推進にどれだけ本気で取り組んでいるか? 」を見極めなければ、数年後の事業成長・競争力が低下し、皆さんが思い描くイノベーティブな仕事が遠ざかる可能性もあります。

特に「IT・デジタルで活躍したい人」が自分の可能性を狭めないためには、バイアスで判断せず様々な業界に目を向け、その上で「この企業はDXをどれくらい本気でしているか」という視点でも見ることをおすすめします。

「レガシーなイメージの業界だから」「大手だから」と業界や規模にとらわれていると、入口が狭まり、少ない可能性の中での選択となってしまいます。

そうして入口を広げた上で「DX」という切り口で見ると、隠れた革新的企業や、ITに触れながら活躍できる成長環境に巡り会えるチャンスを増やせるでしょう。本記事を通じて皆さんの視野が広がり、企業を新たな視点で見る一助となれば幸いです。

編集:

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